軽貨物は、運送業界のラストワンマイルとして配送を担うドライバーとして働く仕事です。
自分の能力や働き方によってはしっかり稼げるので、個人事業主の開業候補として人気があります。
また、自由な働き方ができるので副業としても人気があり、比較的始めやすいのも利点です。
この記事では、軽貨物とは何かをはじめ、仕事の種類や始め方などを解説します。軽貨物業に興味がある人はぜひ参考にしてください。
軽貨物とは
軽貨物とは、運送などのために貨物を積載する軽自動車のことを指します。しかし、一般的に軽貨物は軽貨物の運送事業そのものを表す場合が多いです。
「軽貨物で稼ぐ」というような感じで、職業の呼び名としても認知されています。読み方は軽貨物(けいかもつ)です。
軽貨物業とは
軽貨物業とは、正式には「貨物軽自動車運送事業」といい、軽貨物車を用いて行う運送事業のことを指します。先述した通り、軽貨物業をさらに省略して、「軽貨物」と呼ばれることも多いです。
軽貨物業の仕事内容
軽貨物事業の仕事内容は、軽貨物車を使った配送や運送がメインです。
配送業者から業務委託を請けたり、荷主と直接契約を結んだりして荷物の配送を担います。
大手の配送業者が使うような大型トラックではなく、軽貨物車での運送なので、比較的小さめの荷物を運ぶことになります。
軽貨物運送業が人気の理由
軽貨物運送業は個人事業主として働くことができるので、通常の会社員とは働き方が違います。
ドライバーの種類にもよりますが、自分のスケジュールに合わせて自由な働き方ができることも多く、副業としても人気があります。
体力的にはきつい仕事とされていますが、報酬面も比較的安定していて、専業ドライバーとして稼働すればしっかり稼げます。
そのほかにも人間関係の悩みが少ない、開業に必要なものが運転免許証と車だけなど手の出しやすさも人気の理由です。


事業としての軽貨物、やり方と仕事の種類
軽貨物での働き方や仕事の種類にはさまざまなものがあり、自分がどのような働き方をしたいかによって選ぶべき道は変わってきます。
この章ではドライバーの種類や配送タイプの種類などをまとめて解説します。

ドライバーの種類
軽貨物のドライバーとして働く上で、ドライバーの種類は大きく分けて以下の3つがあります。
- 業務委託ドライバー
- フリーランスドライバー
- 正社員ドライバー
いずれも仕事内容は配送の業務であり大きな違いはないですが、働き方にはそれぞれに違いがあり固有のメリットとデメリットを持ちます。
どれが一番よいかは人それぞれ異なるので、順番に解説していきます。
運送会社と業務委託契約を結ぶ委託ドライバー
委託ドライバーは、軽貨物の初心者におすすめできる働き方です。
運送会社と業務委託契約を結んで仕事をもらいながら働くことになります。
所属した運送会社から業務をもらえるので、いちいち自分で仕事を探す必要もありません。そのため安定した収入が見込めるのが最大の利点です。
また、契約先でドライバー同士の交流もあるので、情報交換をしたり、もしもの時に助け合ったりできる点も魅力です。
こういった面から委託ドライバーは軽貨物初心者に向いていると言えますが、当然デメリットもあります。
まず、契約した会社から手数料を取られてしまうのが最大のデメリットです。
手数料の相場は、稼いだ報酬の10~15%程度が一般的です。
ほかにもデメリットとして、拘束時間が長い、悪質業者と契約してしまうことなどが挙げられます。



フリーランスドライバー
フリーランスドライバーは、運送会社と業務委託契約を結ばない働き方です。
完全に個人で活動するので営業から事務作業、車両の用意などを全て自分でおこなう必要があります。
始めは大変かもしれませんが、自分のスケジュールに合わせた活動がしやすく、自由な働き方がしやすいのが利点です。
また、委託ドライバーのように契約した会社から手数料を取られるということもなく、報酬の全てを自分の稼ぎとして受け取れます。
ほかにも、会社から決まった給料を渡されるのではなく、自分の能力や努力次第でどんどん稼ぎを増やしていけるという利点もあります。
AmazonFlexやLALAMOVEなどのプラットフォームを使った活動も、この類です。
しかし、思うように仕事が取れないと収入が安定しませんし、委託ドライバーに自力で覚えることも多いので、初心者にはやや大変かもしれません。
軽貨物ドライバーとしてある程度経験を積んで、これから本格的に稼いでいこうと考えている人におすすめの働き方といえます。
また、働く時間をコントロールしやすいので、副業として軽貨物を始める人にも向いている働き方であると言えます。



正社員の軽貨物ドライバー
正社員の軽貨物ドライバーは、上記2つのドライバーとは大きく立場が異なります。
仕事内容は変わりませんが、委託ドライバーとフリーランスドライバーが個人事業主であるのに対し、正社員の軽貨物ドライバーはその名の通り企業の正社員です。
企業に雇用されるという形になるので、通常の会社員として福利厚生を受けられるのが大きな利点です。
個人事業主が加入する国民健康保険ではなく、社会保険に加入できるので健康保険料を半額会社が負担してくれますし、将来の年金受給の額にも違いが出ます。
また、会社に雇用されるとなれば、当然収入も安定し有給休暇もとれるようになるでしょう。
生活の安定を考えるならば、正社員の軽貨物ドライバーが一番よいかもしれませんが、正社員として働く以上、個人事業主と比べて不利になる部分も当然出てきます。
まず収入面ですが、会社から一律の決まった給料を受け取ることになるので、頑張りに応じてたくさん稼ぐということができません。
会社に雇用される以上、一定の拘束時間が当然生まれるので、フリーランスドライバーのような自由な働き方をすることも難しくなります。
配送タイプの種類
続いて配送タイプの種類についてです。
通常の宅配以外にも、突発的な依頼があったり、報酬の支払い方にも違いがあるので、1つ1つを大まかにでも理解しておくとよいでしょう。
宅配便
宅配便は軽貨物ドライバーのメインの仕事として扱われている配送タイプです。
軽貨物で働くならば、まずは宅配便の仕事をするという認識で問題ないでしょう。
仕事内容は、運送会社から業務委託を受けたりするなどして、担当した荷物を個人宅に運ぶというものです。
ルート便
ルート便は、決まったルートを回りながら、指定された荷物を指定された時間に届ける仕事です。
商業施設やドラッグストアなどが、定期的に荷物を仕入れるために利用することが多く、なかには個人で利用している人もいます。
通常の宅配便と違い、定期的な依頼を決まったルートで回る仕事になるので、配送が効率的におこなえるのが特徴です。

スポット便
スポット便は、荷主が緊急時などで急いで荷物を運んでほしいときに発生する単発の仕事です。
通常の配送とは違い急に依頼が来るので、その時の状況によっては対応が難しい場合もあります。その分報酬は高額ですが、遠距離への配送を求められる場合もあります。
チャーター便
チャーター便は、1人の依頼主が決められた時間で軽貨物ドライバーの貸切りができる配送タイプです。
ドライバーは契約した時間の分、1人の依頼主の専属ドライバーとして荷物の配送をおこなうことになります。
長距離の配送依頼が多く、ドライバーは交通費の負担なども念頭に置いて仕事を請ける必要があります。
引っ越し
引っ越しは、依頼主の荷物を車に乗せて引っ越し先まで配送する仕事です。
引っ越し業者と同じような感覚で働くことになりますが、仕事はあくまで配送のみで、引っ越し業者のように荷物の配置などはおこないません。
軽貨物車でも運べるようなサイズの荷物が主となりますが、肉体的な疲労は通常の配送よりも溜まるので、自分の体力と相談しながら受けるようにしましょう。


軽貨物の仕事をやるなら法人化すべき?
軽貨物業を開業する時に法人化するべきか迷う人もいると思います。
結論から言えば、急いで法人化する必要はありません。最初は個人事業主として始めて、慣れてきたら法人化も視野に入れていくという形でよいと思います。
法人として開業した場合初期費用がかかるので、収入が少ない内は個人事業主のほうが節税面でも有利です。
法人化のメリットとしては社会的信用が得られることや、事業が拡大しやすいなどが挙げられますが、法人化は後からでもできるので、まずは個人事業主として経験を積むことをおすすめします。

軽貨物運送業の始め方
軽貨物運送業を始めるまでの流れは以下の通りです。
- 車両の用意
- 開業届の提出
- 貨物自動車運送事業への営業許可公布
- 自分の働き方を選択する
車両の用意
配送の際に必要な軽貨物車を用意します。
軽貨物車として認められるには車内の積載面積などの条件があるので、それを満たす車両を用意しましょう。
軽貨物車と軽乗用車(軽自動車)の違いは?
軽自動車という名前は同じでも、「軽貨物車(黒ナンバー)」 と「軽乗用車(黄ナンバー)」 は用途もルールも大きく異なります。
とくに軽貨物の配送を始める人は、この区別を正しく理解しておくことが重要です。まずは違いを一覧で見てみましょう。
| 項目 | 軽貨物車(黒ナンバー) | 軽乗用車(黄ナンバー) |
|---|---|---|
| 主な用途 | 貨物の輸送(商用) | 人の移動(自家用) |
| ナンバー色 | 黒地 × 黄色文字 | 黄色地 × 黒文字 |
| 必要な手続き | 黒ナンバー取得(貨物軽自動車運送事業の届け出) | 特別な手続きなし |
| 保険加入 | 任意保険に加え、事業用の保険・特約が必要 | 通常の自家用車保険でOK |
| 車検頻度 | 毎年(1年ごと) | 初回2年、その後2年ごと |
| 車内構造 | 荷室スペースが広い・後部座席が簡易的 | 乗車スペースが優先され快適性が高い |
| 税金 | 自家用よりやや高めの区分 | 自家用としての軽自動車税 |
| 業務での利用 | 軽貨物配送に使用可能 | 配送業務には使用不可 |
軽貨物車は荷物の運搬を前提に作られた商用車で、荷室が広く後部座席も簡易的な構造です。配送業務で使うには黒ナンバーの取得が必要で、事業用として扱われます。
一方、軽乗用車は人の移動を目的とした自家用車で、内装や座席が快適に作られており、仕事用としては使用できません。
軽貨物として働く場合は、黒ナンバー登録や事業用保険、毎年の車検など独自のルールがあるため、自家用車と運用面が大きく異なる点を理解しておくことが大切です。

開業届の提出
個人事業主として開業する際には税務署に開業届を提出する必要があります。
開業から1ヵ月以内に提出するようにしましょう。
貨物自動車運送事業への営業許可公布
運輸支局に必要な書類を提出します。必要となる書類は以下の4つです。
- 貨物軽自動車運送事業経営届出書
- 運賃料金表
- 事業用自動車等連絡書
- 車検証
自分の働き方を選択する
自分の働き方に合ったドライバーの種類や、配送タイプを選択します。
例えば委託ドライバーが向いていると思った場合は、専用の求人サイトをチェックするなどして、条件のよい会社を見つけてください。

軽貨物の登録条件
軽貨物の登録条件として、営業ナンバー、通称黒ナンバーを取得する必要があります。
黒ナンバーはその名の通り黒い色をしたナンバープレートで、軽貨物業のドライバーが仕事をする際は、車両に付ける必要があります。
運輸支局から営業許可を得るために書類を提出すると、運輸支局から連絡書を受け取れます。それを軽自動車検査協会に提出することで、黒ナンバーと車検証をもらえます。

軽貨物の開業費用
軽貨物の開業費用のほとんどは車両代が占めるでしょう。
中古車か新車を用意するかなどで値段は大きく変わり、大体50万~250万円くらいの幅があります。
契約する企業によっては車両の貸し出しを行っているところもありますし、自身でリース契約するという選択肢もあります。

軽貨物ドライバーの手取り
軽貨物ドライバーは業務委託で働くことが多く、月々の収入は「売上」という形で支払われます。
ただし、売上の数字だけを見ると高く感じても、実際に手元に残る金額とは大きく差があります。車の維持費や保険料に加え、委託元に支払うロイヤリティ(マージン) が発生するためです。
ここでは、代表的な条件を用いて、どれくらい手取りに近い金額が残るのかを分かりやすく整理します。

月の売上相場と手取りのイメージ
軽貨物の委託案件は幅がありますが、フル稼働の場合、月の売上が30~45万円台に収まる人が多いといわれています。
(時間帯固定のルート配送なら30万円前後、宅配密集地帯の稼働なら40万円超もあり)
ここでは例として、月の売上が40万円のケースを考えてみます。
例として、月の売上が 40万円 のドライバーを想定します。ここから毎月の費用を差し引くと、実際の可処分額が見えてきます。
- 委託元へのロイヤリティ(10~15%想定):45,000円
- ガソリン代:20,000円
- 駐車場代:15,000円
- 事業用自動車保険:10,000円
- メンテナンス積立:10,000円
- 車両リース代または購入費の積立:25,000円
- 通信費・備品など:5,000円
経費とロイヤリティ合計は130,000円です。
- 40万円 − 13万円 = 27万円
ここから、確定申告で発生する税金(所得税・住民税・国民健康保険など)を差し引くと、実質的な「手取り感覚」は 23~26万円前後 になるケースが多いです。
軽貨物は事業主として働くため、給与のように「控除後の手取り」が示されません。
- 車の維持費
- ガソリン代
- 事業用保険
- タイヤ交換・消耗品
- ロイヤリティ(委託会社への手数料)
これらをすべて自分で負担します。そのため、売上=収入ではなく、売上からさまざまな費用を引いた残りが実質の手取り です。

軽貨物でおすすめの車一覧
軽貨物の仕事では、荷室の広さや燃費、車両の扱いやすさが収益にも直結します。はじめて車を選ぶ人は、仕事との相性を踏まえて選ぶことが大切です。代表的に選ばれている車種を、メーカー・金額帯・特徴とあわせてまとめました。
| 車種名 | メーカー | 中古相場の目安 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| エブリイバン | スズキ | 60〜150万円 | 荷室が広く積載性に優れる。グレードによって走行性能も高め。 |
| ハイゼットカーゴ | ダイハツ | 50〜140万円 | 小回りが利き、都市部の宅配現場に強い。整備性の高さも魅力。 |
| N-VAN | ホンダ | 80〜170万円 | シートアレンジが柔軟で、荷物の積み降ろしがしやすい構造。 |
車選びで意識したいのは「どの現場で稼働するか」という視点です。
都市部なら小回りの効く車が向き、郊外で長距離を走るなら燃費性能が重要です。荷物量が多い案件では、荷室の形がシンプルで積みやすい車が作業効率を左右します。また、軽貨物は走行距離が伸びやすいため、故障リスクを抑えるためにも整備性の高さや部品の流通量も確認しておくと安心です。
このように、軽貨物の車選びは「価格」だけでなく、「現場との相性」「荷室の使いやすさ」「維持管理のしやすさ」を踏まえて総合的に判断することがポイントです。

軽貨物と税金
軽貨物ドライバーは業務委託で働く場合が多く、給与ではなく事業所得として扱われます。
そのため、毎年の確定申告が必要で、売上から経費を差し引いた金額に対して所得税・住民税が発生します。経費にはガソリン代、車検代、メンテナンス費、事業用保険、駐車場代などが含まれ、適切に記録しておくことが重要です。
また、黒ナンバー車は毎年の軽自動車税が自家用よりやや高い区分となり、車検も毎年受けるため整備費用がかさみやすい点に注意が必要です。
さらに国民健康保険・国民年金も自身で支払うため、手取りを試算する際にはこれらの負担も踏まえておきましょう。


軽貨物の仕事の取り方
軽貨物業の仕事の取り方として、一番確実なのは運送会社と委託契約を交わすことです。
安定した収入が見込めますし、仕事が取れなくて困るということにもなりません。
直請けの仕事は企業に手数料を取られることもなく、収入面でのメリットが大きいですが、自分で営業をして仕事を取るのは現実問題かなり難しいといえるでしょう。
ただし、Amazon Flexなどのプラットフォームを利用すれば容易に契約できるので、フリーランスドライバーでも仕事を取りやすいでしょう。
複数の会社から直請けで仕事をもらいたいならば、まずは委託ドライバーとして活動して、業界内での信頼を得てから営業を始めるのが確実です。
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