軽貨物ドライバーの仕事をするうえで欠かせないのが任意保険への加入。
黒ナンバーの保険料は自家用車と比べて高くなる傾向にあります。
これから軽貨物ドライバーを始めようと思っている人や、現在軽貨物ドライバーとして活躍している人の中には「黒ナンバーの保険料の相場がよくわからない」「できるだけ任意保険料を安くしたい」と思っている人もいるでしょう。
今回は、黒ナンバーの保険料の相場や保険料を安くする裏ワザを紹介します。
黒ナンバーの保険とは?
黒ナンバーの保険とは、軽貨物で使用する黒ナンバーの車両が加入する任意保険を指します。
「任意」の保険であるため強制ではありませんが、軽貨物ドライバーは1日の運転時間が長時間に及ぶことが多く、事故のリスクも高くなりやすいため、軽貨物運送事業を行うのであれば加入しておいたほうがよいでしょう。
なお、アマゾンフレックスでは任意保険の加入が義務づけられているほか、委託ドライバーの場合も、運送会社から加入を求められる場合がほとんどです。
黒ナンバーの保険料の特徴
黒ナンバーの保険料には以下のような特徴があります。
- 自家用車よりも保険料が高くなる傾向にある
- 2年目以降は保険料が安くなる
黒ナンバーの車両は用途が事業用であり、運転頻度が増えるため、自家用車に比べて保険料が高くなる傾向にあります。
ただ、基本的には等級が毎年上がっていくため、保険料は2年目以降少しずつ安くなっていきます。
黒ナンバーの保険料(任意保険)は高い?
黒ナンバーの任意保険は保険料が高くなりがちです。
運転時間が長いため、自家用車に比べてどうしても事故のリスクが上がってしまうためです。
軽貨物ドライバーは以下のような状況で運転しなければならないこともあり、実際に配達中に事故を起こすドライバーも少なくありません。
- 夜間や悪天候により視界が悪い
- 荷物の積みすぎで後ろが確認できない
- 時間指定に間に合わない、数が多く配りきれないため急ぐ必要がある
- 長時間の勤務により疲労が溜まっている
以上の理由から、黒ナンバーの車両は自家用車よりも事故を起こす危険性が高く、その分保険料が上がってしまうのです。
黒ナンバーの任意保険料の相場については、次章で解説します。
黒ナンバーの保険料(任意保険)の相場はいくら?
黒ナンバーの任意保険料は、保険会社やプランによっても異なりますが、6等級で月額10,000〜15,000円程度が相場です。
つまり、年間で120,000〜180,000円かかります。
これに対し、加入が義務づけられている自賠責保険の保険料は一律で年間23,300円と決まっているため、どの保険会社で加入しても変わりません。
主要6社の黒ナンバーの保険料(任意保険)を比較
ここでは、黒ナンバーの任意保険を扱う保険会社のうち、主要6社のサービス内容を比較します。
保険料はもちろんのこと、保障面やロードサービスの有無、弁護士費用特約の有無などについても比較しているため、さまざまな角度から自分に合った保険会社を見つけてくださいね。
なお、本記事では以下の条件にて比較しています。
- 被保険者の年代:30代
- 車種:スズキエブリイ
- 運転者条件:年齢を問わず保障
損保ジャパン
まずは、大手保険会社である損保ジャパンです。黒ナンバーの任意保険を取り扱っており、即日での加入も可能です。
また、24時間365日対応可能で、深夜や休日でもサポートしてくれる手厚さは大手ならでは。
事故対応の早さや、担当者のフットワークの軽さも評判です。
保険料(月額)車両保険なし | 14,240円 | |
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保険料(月額)車両保険あり | 23,120円(75万円) | |
保険期間 | 1〜7年間 | |
ロードサービスの有無 | 有 | |
弁護士費用特約の有無 | 有 | |
対人対物賠償 | 無制限 | |
人身障害保障 | 5,000万円 |
あいおいニッセイ
あいおいニッセイ同和損保の魅力は、500kmまで無料でレッカー搬送してもらえるところです。
損保ジャパンでは180kmまで、楽天損保では60kmまでが無料で対応できる距離であるため、いかに長距離まで対応してくれるかが分かるのではないでしょうか。
また、ロードサービスの到着が早い、早朝でも対応してもらえたなど、対応の早さにも定評があります。
保険料(月額)車両保険なし | 17,840円 | |
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保険料(月額)車両保険あり | 27,100円(車両金額75万円) | |
保険期間 | 1〜3年間 | |
ロードサービスの有無 | 有 | |
弁護士費用特約の有無 | 有 | |
対人対物賠償 | 無制限 | |
人身障害保障 | 5,000万円 |
楽天損害保険
楽天でも黒ナンバーの任意保険を取り扱っています。
支払った保険料が一部楽天ポイントとして還元されるため、楽天経済圏の方にはお得感もありますね。また、溜まった楽天ポイントでの保険料の支払いも可能です。
搭乗者傷害保障付帯により、治療が終わっていなくてもスムーズに保険金が受け取れる点も魅力です。
保険料(月額)車両保険なし | 要見積もり | |
---|---|---|
保険料(月額)車両保険あり | 要見積もり | |
保険期間 | 1年間 | |
ロードサービスの有無 | 有 | |
弁護士費用特約の有無 | 有 | |
対人対物賠償 | 無制限 | |
人身障害保障 | 5,000万円 |
AIG損害保険
AIG損害保険の強みは、雪道やぬかるみで身動きが取れなくなった場合の「スタック」にも対応しているところ。豪雪地帯で活動するドライバーにとっては、頼れる味方となってくれることでしょう。
また、あいおいニッセイ同和損保と同様に、500kmまで無料でレッカー搬送してもらえます。
保険料(月額)車両保険なし | 要見積もり |
---|---|
保険料(月額)車両保険あり | 要見積もり |
保険期間 | 1〜3年間 |
ロードサービスの有無 | 有 |
弁護士費用特約の有無 | 有 |
対人対物賠償 | 無制限 |
人身障害保障 | 5,000万円 |
三井住友海上
三井住友海上では、全国149か所(2022年4月時点)に設置された拠点にて、24時間365日体制で事故や故障への初期対応をしています。
また、事故防止に関する取り組みを行っており、オリジナルの専用ドライブレコーダーや事故防止教育ツールなどで事故防止をしっかりサポート。
保障内容も充実しており、傷害一時金特約を付帯することで、事故による入院または通院の際には1万円・10万円の傷害一時金を受け取れます。
保険料(月額)車両保険なし | 要見積もり | |
---|---|---|
保険料(月額)車両保険あり | 要見積もり | |
保険期間 | 1〜3年間 | |
ロードサービスの有無 | 有 | |
弁護士費用特約の有無 | 有 | |
対人対物賠償 | 無制限 | |
人身障害保障 | 5,000万円 |
東京海上日動
東京海上日動では、保険のプロと事故対応のプロが連携し、スピーディな事故対応をしてくれます。
また、入院時に保障メニューを選べるアシストや事故発生から24時間をサポートしてくれる事故現場アシストなど、保障面でも充実しています。
保険選びに迷った場合は、オンラインでの相談も可能です。
ただし、事故の際の宿泊費保障、帰宅・移動費用保障が用意されていないため、長距離の配達を受けることが多い人は注意が必要です。
保険料(月額)車両保険なし | 15,670円 | |
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保険料(月額)車両保険あり | 24,380円(車両金額75万円) | |
保険期間 | 1〜7年間 | |
ロードサービスの有無 | 有 | |
弁護士費用特約の有無 | 有 | |
対人対物賠償 | 無制限 | |
人身障害保障 | 5,000万円 |
黒ナンバーの保険料を安くする裏ワザ
諸費用が膨らみがちな軽貨物ドライバーにとって、経費はできるだけ抑えたいと思うもの。
経費の中にはガソリン代や車両リース料など、なかなか減らせないものもありますが、任意保険料はちょっとしたコツで安くできます。
ここでは、黒ナンバーの保険料を安くする裏ワザを紹介します。
月払いではなく年払いにする
黒ナンバーの保険料を少しでも安くしたい場合は、支払い方法を月払いではなく年払いにすることをおすすめします。
わずかではありますが、年払いのほうが支払保険料の総額は少なくて済むためです。
ただし、一度に大きな金額を支払う必要があるため、まとまったお金が手元にない方には難しいかもしれません。
等級を引き継ぐ
現在加入している任意保険の等級を、黒ナンバーの車両に引き継ぐという裏ワザがあります。
黒ナンバーの任意保険料は自家用車よりも高くなる傾向にありますが、等級が高ければその分、割引された保険料での加入が可能です。
ただし、事業用で加入できる保険会社はかぎられており、現在事業用の取り扱いがない保険会社で自家用車の任意保険に加入している場合は、保険会社を乗り換える必要があります。
保険会社を乗り換えて等級を引き継ぐためには、以下の手順で手続きします。
- 現在の任意保険を解約し、中断証明書を発行してもらう
- 軽貨物に使用する車両を黄色ナンバーで入手する
- 事業用の任意保険を取り扱っている保険会社に自家用車として加入する
- 黒ナンバーのナンバープレートを取得する
- 任意保険の用途を自家用から事業用に変更する
それぞれ順番に解説します。
1.現在の任意保険を解約し、中断証明書を発行してもらう
まず、現在加入している自家用車の任意保険を解約します。その際、忘れずに中断証明書を発行してもらいましょう。
中断証明書は、いったん任意保険を解約したあと、再度加入する際に等級を引き継ぐための書類です。
保険会社にもよりますが、解約後1週間程度で発行してもらえます。自宅に届いたら、紛失しないよう保管しておきましょう。
2.軽貨物に使用する車両を黄色ナンバーで入手する
次に、軽貨物に使用する車両を入手しましょう。
自分で購入してもリースでも構いませんが、任意保険に加入するまでは黄色ナンバーにしておく必要があるため、黒ナンバーではなく黄色ナンバーで入手することがポイントです。
3.事業用の任意保険を取り扱っている保険会社に自家用車として加入する
軽貨物車両を準備したら、事業用の任意保険を取り扱っている保険会社に加入します。
注意が必要なのは、用途を「自家用」や「日常・レジャー」で申し込むことです。ここで「事業用」にしてしまうと等級の引き継ぎができません。
どの保険会社を選んでもそれほど大きく保険料に差が出ることはありませんが、何社か見積もりを取り、保険料や保障内容を比べてみてもよいでしょう。
4.黒ナンバーのナンバープレートを取得する
任意保険加入後、ここで初めて黒ナンバーを取得します。
黒ナンバーは、管轄の運輸支局に「貨物軽自動車運送事業経営届出書」を提出すると、軽自動車検査協会で発行してもらえます。
ナンバープレートは自分で簡単に取り付けられるため、黒ナンバーを取得したらすぐに取り付けましょう。
5.任意保険の用途を自家用から事業用に変更する
黒ナンバーを取得したら、任意保険の用途を「自家用」から「事業用」に変更しましょう。
保険会社に連絡すれば、そのための手続きをしてくれます。
用途が変わったことで保険料も変わりますが、等級をそのまま引き継ぐため、新規で6等級から始めるよりもかなり安くなるはずです。
等級を下げないようにする
もっとも確実なのは、事故を起こさないように気をつけ、等級を下げないようにすることです。
6等級からスタートする場合、はじめは高い保険料を支払っていかなければなりませんが、何年も無事故を貫けば保険料は年々安くなっていきます。
日ごろから事故に気をつけ、等級を下げないようにしましょう。
保険料以外の黒ナンバーの任意保険の選定基準は?
任意保険を選ぶ決め手は、保険料だけではありません。
もちろん保険料の安さも大切ですが、任意保険を選ぶ際には保障の手厚さや対応の早さなども重要です。
ここでは、保険料以外の黒ナンバーの任意保険の選定基準について紹介します。
保障が手厚いかどうか
保険選びにおいて、保障の手厚さは大きな決め手となるでしょう。
対人・対物賠償や人身傷害、車両保険などの保障に関しては、保険会社による違いはあまりありませんが、現場駆けつけサービスの有無やスタックへの対応をしてくれるかどうかなど、細かい保障内容や特約は保険会社によって異なります。
任意保険を選ぶ際は、細かい部分まで確認しましょう。
十分なロードサービスが受けられるかどうか
ロードサービスの内容は、軽貨物ドライバーにとって重要な要素です。なぜなら、ロードサービスの質次第で、仕事に大きく影響が出るためです。
たとえば、タイヤのパンクやバッテリーが上がった場合など、ロードサービスの対応が遅ければ車両が動かせず、配達ができなくなってしまいます。
ロードサービスはどの保険会社にもありますが、保険会社によって保障内容が異なるため、何社か比較して決めるとよいでしょう。
自分に合っているかどうか
任意保険は、保障金額が高額であればよいというわけではありません。
たとえば、自分のけがや死亡に備えるための人身傷害保障は自分で保障金額を設定できますが、設定した金額が高ければその分保険料も上がります。
自分の家族構成や年齢などを考慮し、本当に必要な金額を設定しましょう。
また、自分の車両を保障する車両保険は、車両の状態によって加入したほうがよい場合と加入しないほうがよい場合があります。
保険料と受け取れる保険金額のバランスを見て、車両保険をつけるかを考える必要があるでしょう。
黒ナンバーの任意保険は保険料以外の条件も確認しておこう!
黒ナンバーの任意保険料の相場や、保険料を安くする裏ワザについて解説しました。
任意保険料はできるだけ抑えたい経費のひとつです。しかし、保険料は安ければ良いというわけではありません。
もしものときの備えである以上、トラブルが起きた際に「入っていてよかった」と思えるような内容であることが求められます。
任意保険を選ぶ際は、保険料だけでなく保障内容や対応の早さなども考慮するようにしましょう。