業務委託ドライバーを始めようと思っている人の中には、「業務委託ドライバーはやばい」という情報を見聞きしたことがある人もいるのではないでしょうか。
業務委託ドライバーが「やばい」といわれる理由には、「稼げない」「ドライバーに不利な契約体系であることが多い」「労働環境が劣悪」といったものがあります。
しかし、実際のところはどうなのでしょうか。
この記事では、業務委託ドライバーが「やばい」といわれる理由について解説します。現役ドライバーの実際の声も紹介しているため、ぜひご覧ください。
業務委託ドライバーとは
業務委託ドライバーとは、運送会社と業務委託契約を締結し、個人事業主として働くドライバーのことです。
運送会社に直接雇用されて働く正社員や、業務委託契約を結ぶのではなく自分で営業して案件を獲得していくフリーランスとは異なります。
個人事業主という立場ではあるものの、案件は委託元である運送会社を通して請け負うため、自ら営業する必要がありません。
また、多くの場合シフトを組んで継続的に働くため、安定して仕事を獲得しやすいのが特徴です。
しかし、その一方で「やばい」といわれることもあります。
「やばい」といわれる理由や実際の声については後述します。
業務委託ドライバーは「やばい」に関する実際の声・口コミ
業務委託ドライバーのどのようなところが「やばい」のでしょうか。
ここでは、業務委託ドライバーが「やばい」といわれることについて、実際に業務委託で軽貨物ドライバーをしている人の声や本音を紹介します。
多くのドライバーが収入面や待遇面など、さまざまな部分に「やばい」と感じているようです。
「辞めたい」という声も少なくありません。
もちろん「委託」と一口にいってもそのような案件ばかりではなく、中にはホワイトな職場もあります。
しかし、「やばい」といえるような問題を何かしら抱えていることも多い印象です。
業務委託ドライバーが「やばい」理由1)稼げない
業務委託ドライバーが「やばい」といわれる理由のひとつが「稼げない」ことです。
委託ドライバーの報酬体系は歩合制であるケースが多く、頑張ればその分稼げる仕事でもありますが、誰でも稼げるわけではありません。
稼げるかどうかは契約している委託元との契約条件や労働環境、ドライバー本人の能力などにもよります。
ここでは、業務委託ドライバーの平均年収や手取り、稼げない理由について解説します。
業務委託ドライバーの平均年収
軽貨物の個人事業主の年収は260〜420万円程度です。
詳細は以下のとおりです。
1日の売上 | 稼働日数 | 月収 | 年収 |
---|---|---|---|
10,000円 | 22日 | 220,000円 | 2,640,000円 |
25日 | 250,000円 | 3,000,000円 | |
14,000円 | 22日 | 308,000円 | 3,696,000円 |
25日 | 350,000円 | 4,200,000円 |
※上記金額は税抜金額です。
業務委託ドライバーの1日の売上は1万〜1万4,000円程度が相場といわれているため、上記の金額はそれをもとに計算しています。
ただし、荷物単価や委託元に支払うロイヤリティ、配達個数などによって報酬は異なるため、あくまでも目安です。
ドライバーの中には年収600万円や800万円とさらに大きく稼いでいる人もいますが、条件の悪い運送会社と契約してしまったために、「配達スキルはあるのに稼げない」状態に陥っているドライバーもいます。
なお、条件のよい運送会社と契約しているドライバーとそうでないドライバーとでは、1日の売上に以下のような差が出ます。
荷物単価 | 1日の配達個数 | 1日の売上 |
---|---|---|
100円 | 100個 | 10,000円 |
200円 | 100個 | 20,000円 |
同じ配達個数をこなしていても、荷物単価次第で売上はこのように変わります。
また、ここから経費が引かれるため、手取りはさらに少なくなる点に注意が必要です。
手取りについては次の見出しで解説します。
業務委託ドライバーの手取りはどれくらい?
売上から経費を引いた金額が手取りです。
車両の調達方法やガソリン代、任意保険料などによっても異なりますが、毎月経費だけで10万円はかかると思っておく必要があるでしょう。
たとえば、以下のものが経費として毎月の売上から引かれます。
- 車両リース料
- ガソリン代
- 車両メンテナンス費
- 任意保険
- ロイヤリティ
そのほか、健康保険や年金も自分で支払っていく必要があります。
月の売上が25万円、35万円のケースを例に見てみましょう。
それぞれ、以下のような経費がかかると仮定します。
車両リース料:月40,000円ガソリン代:30,000円車両メンテナンス費:月10,000円任意保険:月10,000円ロイヤリティ:報酬の15% |
1日の売上 | 経費 | 手取り |
---|---|---|
250,000円(車両持ち込み) | 87,500円 | 162,500円 |
250,000円(車両リース) | 127,500円 | 122,500円 |
350,000円(車両持ち込み) | 102,500円 | 247,500円 |
350,000円(車両リース) | 142,500円 | 207,500円 |
※上記金額は税抜金額です。
このように、非常に多くの経費がかかることがわかります。
経費を少なくし、手取りを増やすポイントは以下のとおりです。
- 車両を持ち込めるなら持ち込む、または月額料金が安いリースを組む
- ガソリンを入れる際はガソリンカードを利用するなど、お得に入れられるようにする
- 任意保険はできるだけ保険料が安いところに加入する
- ロイヤリティの高い運送会社を避ける
できるだけ手取りを増やすためには、上記のような工夫が必要です。
稼げない理由は?
稼げない理由はさまざまです。
まず考えられるのは、ドライバー自身に問題があるケースです。
以下のケースにあてはまる場合、ドライバー自身に問題があるために収入が増えない可能性があります。
- 荷物の積み込みや配達が遅く、単純に数をこなせない
- 荷物を積極的に取る努力をしていない
- 無駄に経費がかかりすぎている
歩合制の場合、数をこなせなければ稼げません。
荷物の積み込みや配達自体に時間がかかり、荷物を自分でさばききれない場合、ほかのドライバーのフォローが必要です。
人に配ってもらった荷物は当然自分の配達個数に加算されないため、その分報酬が減ってしまいます。
また、物量が少ないときに社員から荷物を分けてもらうなど、荷物を増やす努力をしていないケースも収入が伸びない原因になります。
そのほか、経費で落とせるからと、経費がかかりすぎている人も要注意です。
自分に問題がないにもかかわらず稼げないなら、おそらく原因はそれ以外にあるでしょう。
考えられるのは、ドライバーに不利な契約を委託元と結んでいるケースです。
稼げない原因が契約体系にある場合については、次章で詳しく解説します。
業務委託ドライバーは「やばい」理由2)ドライバーに不利(違法)な契約体系
業務委託ドライバーが「やばい」といわれる理由の2つ目は、ドライバーに不利な契約体系を結んでいるケースが多いことです。
委託元によって、契約内容や待遇は大きく異なります。
たとえば委託元が悪質な会社であれば、稼げない原因にもつながります。
どのような運送会社と業務委託契約を結ぶかは、慎重に検討する必要があるでしょう。
ここでは、ドライバーに不利(違法)な契約体系について解説します。
高額なロイヤリティを取られる
ロイヤリティとは、委託元に支払う手数料のことです。
相場は10〜15%程度であるため、大きく超えている場合は要注意です。
ただし、ロイヤリティが高い=悪質な会社とはかぎりません。
なぜなら、荷物単価とのバランスもあるためです。
たとえばロイヤリティが相場より高くても、荷物単価も高く設定されているならロイヤリティが原因で稼げないとは言い切れないでしょう。
しかし、荷物単価が安く設定されているにもかかわらずロイヤリティが高いのであれば、「配っても配っても収入につながらない」といった事態に陥りやすくなります。
この場合、ほかの運送会社と契約したほうがよいでしょう。
ちなみに、宅配の荷物単価の相場は1個あたり130〜200円程度です。
車両リース料が相場よりも高い
相場より高い車両リース料が設定されている場合も注意しましょう。
運送会社によっては、運送会社がもともと所有している車両や、運送会社がローンで購入した車両をリースできるケースがあります。
しかしこのとき、相場よりもはるかに高いリース料を提示されたら、契約を見送ることも検討したほうがよいかもしれません。
車両リース料の相場は、車両の状態によっても左右されますが、中古車で1万5,000円〜新車で20,000〜40,000円程度かかることが多いです。
相場よりも高額である場合、このまま契約に進んでもよいのかどうかをよく考える必要があるでしょう。
架空の保険料が報酬から引かれる
存在しない保険料を天引きされる悪質な例もあります。
保険は仕組みが複雑なこともあり、「よくわからない」と思っている人も少なくありません。
それを利用し、かけてもいない保険の保険料を報酬から引かれるケースもあるため注意が必要です。
「荷物に対する損害保険」だといわれれば、おそらく多くの人が信じてしまうでしょう。
しかし、そのようなやり方は明らかに違法です。
契約の段階で少しでもおかしいと感じたら、保険の名称や内容をよく確認し、資料を見せてもらうことをおすすめします。
契約前に見破れなかった場合でも、もし実際に報酬を得るようになったときには、報酬の支払い明細をよく確認することが重要です。
とくに「思ったより手取りが少ない」と思うようなら、何が引かれているのかを確認したほうがよいでしょう。
業務委託ドライバーはやばい理由3)労働環境が劣悪
業務委託ドライバーが「やばい」といわれる理由の3つ目は、労働環境の劣悪さです。
軽貨物の仕事は長時間労働になりやすい傾向にありますが、運送会社によってはドライバーの健康など一切考慮せず、劣悪な労働環境で働かされるケースもあります。
ここでは、業務委託ドライバーの労働環境が「やばい」といわれる理由について解説します。
休みたくても休めない場合も
委託ドライバーは、休みたくても休めないことがあります。
委託ドライバーは運送会社に雇用されているのではなく個人事業主という立場ですが、シフトを組んで働く以上「好きなときに休む」といった働き方ができないためです。
委託元が真っ当な会社であれば、代わりにほかのドライバーを手配してくれたり委託元の職員がコースに入ってくれたりなど、何かしらの対応をしてくれることが多いです。
しかし、委託元によっては休むことによって違約金が発生するケースや、代わりを自分で探し、その日当を自分で払わなければならないこともあります。
契約する運送会社によっては、あまりよいといえない労働環境で働かなければならない点に注意が必要です。
辞めたくても辞められない場合も
軽貨物の業務委託を辞めたくても、辞められない場合があります。
また、辞められたとしても、運送会社によっては違約金が発生したり、退職時に残りの車両リース料を全額請求されたりするケースもあります。
業務委託は、契約期間に定めがなければいつでも契約の解除が可能です。
ただし「契約を解除する場合は1カ月前に申し出ること」など、契約解除のタイミングについて定められているケースもあるため注意しましょう。
大切なのは、契約書の内容によく目を通すことです。
とくに、何かにつけて違約金が発生するような契約は、安易にサインしないほうがよいでしょう。
少しでも不審な点や理不尽な文言がある場合は、その場でサインせずいったん返答を保留し、弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。
長時間労働が当たり前になっている場合も
委託ドライバーは長時間労働になりがちです。
早朝から荷物の積み込みをしなければならないうえ、夜は夜間の時間指定があるためです。
ひとりのドライバーがひとつのコースを担当する以上、多少の長時間労働はやむを得ない部分もあります。
しかし、ここで長時間労働を「当たり前だから仕方ない」と考えるか、少しでも労働時間を減らしドライバーへの負担を軽くしようと考えるかによって、運送会社の質は変わります。
たとえば優良な運送会社であれば、シフトを組む際に配慮したり、午後から助っ人としてコースに入れる人材を雇ったりなど、できるだけドライバーが長時間労働にならないよう対策するでしょう。
一方、個人事業主には労働基準法が適用されないため、労働時間を管理しなくても会社が責任を問われることはないとして対策をしない会社もありますが、そのような会社は優良とはいえません。
委託元となる運送会社選びは、よりよい環境で働くためにも重要なのです。
2024年問題による業務委託ドライバーへのデメリットは?
「2024年問題」とは、働き方改革関連法の施行によって物流・運送業界全体が受ける影響のことです。
2024年4月以降はトラックドライバーが年間960時間を超える時間外労働を行えなくなるため、トラックドライバーの収入減少や、もともと社会問題になっていた人手不足の深刻化が懸念されています。
なお、業務委託ドライバーへのデメリットとして考えられるのは、これまで物流企業が受けていた仕事が個人事業主に回ってくるようになり、長時間労働に拍車がかかることです。
時間外労働の上限規制は個人事業主には適用されないため、長時間働ける個人事業主の需要が高まるメリットがある一方で、労働環境の悪化を招くというデメリットがあります。
業務委託ドライバーが安心できる良質な軽貨物案件はハコボウズ◎
業務委託ドライバーが「やばい」といわれる理由について解説しました。
委託ドライバーの仕事が「やばい」のかどうかは、委託元の運送会社選びですべて決まるといっても過言ではありません。
委託ドライバーとして稼いでいくには、まず優良な運送会社と契約することが大切です。
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