
置き配標準化はいつから?ルール変更の詳細や反対の声も紹介
「置き配が標準サービスになった」というニュースを見て、なんとなく仕事がラクになりそうだと感じている軽貨物ドライバーの方も多いのではないでしょうか。
ただ、具体的にいつから何が変わるのか、対面での受け渡しがどこまで減るのかまでは、まだよくわからないという声もよく聞きます。
この記事では、置き配標準化の中身や開始時期の目安、現場で上がっている反対の声まで、ドライバー目線でまとめました。
置き配標準化とは
置き配標準化とは、これまでオプション扱いだった置き配を、宅配便の「基本的な受け取り方法」として位置づける動きのことです。
まずは制度の全体像を押さえておきましょう。
置き配標準化(標準サービス化)の概要
国土交通省は、玄関前や宅配ボックスへ荷物を届ける置き配を、宅配便の標準サービスに位置づけることを決めました。
背景にあるのは、再配達によるドライバーの負担増と、物流業界全体の深刻な人手不足です。詳しくは後述します。
出典:「置き配」を標準サービスに、国交省がルール改定へ 再配達|日本経済新聞
これまでの置き配は、利用者が事前に希望を申し出た場合にだけ選べる特別な受け取り方でした。
標準サービス化されると、利用者が特に対面での受け渡しを希望しない限り、置き配が基本の届け方として扱われる形に近づいていきます。
ドライバーからすると、インターホンを鳴らして応答を待つ時間や不在時の持ち戻り作業が減り、1件あたりの配達時間を短縮できる可能性があります。
ただし、すべての荷物が一律に置き配へ切り替わるわけではありません。
現金決済の代金引換や本人確認が必要な荷物などは、引き続き対面での受け渡しとなります。

国土交通省は置き配検討会を設けており、制度の詳細は今後も更新される見込みなので、配送現場では最新のルールを都度確認しておくきましょう。
出典:置き配検討会|国土交通省
置き配標準化のルール変更でどう変わる?
今回の改正は、標準宅配便運送約款の見直しによるものです。標準貨物自動車運送約款は対象に含まれていません。
ドライバー側と受け取る側、それぞれの視点で何が変わるのか見ていきましょう。
ドライバー向け
これまでの配達は、対面での手渡しが基本でした。置き配はあくまで不在時の代替手段や、利用者から個別に希望があった場合の対応という位置づけだったんですよね。
国土交通省の提言では、置き配を一律の標準サービスにするのではなく「選択肢の1つ」として約款に位置づける方針が示されています。
つまり、置き配が自動的に標準の配達方法になるわけではなく、利用者が置き配を選んだ場合にドライバー側も対応できる、という枠組みが整備される形です。
ドライバーからすると、置き配を選ぶ利用者が増えれば、インターホン対応や再配達の手間が減る可能性があります。
1件あたりの配達時間が短縮されれば、こなせる件数も増えていくかもしれません。
ただし、荷物の置き場所の確認や写真撮影など、置き配特有の作業も発生するため、単純に「ラクになる」とは言い切れない面もあります。
顧客(受け取り側)向け
受け取る側にとっても、選択肢が広がる変更です。
これまでは置き配を希望する人が事前に配送業者やEC事業者へ申し込む、という流れが一般的でした。
今回の約款改正でも、この基本的な仕組みは変わりません。利用者の同意や指定がない限り、勝手に置き配へ切り替わることはありません。
国土交通省は再配達削減の観点から、置き配やコンビニ受け取り、宅配ロッカーの活用を以前から呼びかけてきました。
今回の約款改正は、置き配を選びやすくするための土台づくりといえます。
約款改正によって置き配が自動的なデフォルトになるわけではなく、あくまで選択肢の1つとして明確に位置づけられる、という点を押さえておきましょう。
出典:物流の「2024年問題」と「送料無料」表示について|消費者庁
とはいえ、注文時の配送方法の設定画面で置き配を選びやすくなる可能性はあります。
置き配標準化はいつから始まる?
結論からいうと、置き配標準化は特定の一日を境に一斉スタートするものではありません。
国土交通省の検討会での議論を経て、政策パッケージのなかで段階的に推進されている取り組みです。
開始時期と国交省検討会の進捗
置き配標準化の議論は、国土交通省が設けた「置き配検討会」から始まりました。
2020年3月の第5回(書面開催)で提言が取りまとめられ、同検討会自体はすでに終了しています。
出典:置き配検討会|国土交通省
その後、再配達削減という課題は物流業界全体の効率化とも結びつき、2023年6月に決定された「物流革新に向けた政策パッケージ」に、マンションでの置き配推進や宅配ボックス設置の後押しが盛り込まれました。
ドライバーの負担軽減と再配達削減を両立させる施策として、国が主導するかたちで進められているわけです。
つまり「いつから」という明確な切り替え日はなく、検討会での提言と政策パッケージの実行を通じて、少しずつ現場に浸透していく流れだと理解しておくとよいでしょう。
置き配標準化の背景
置き配標準化が進む背景には、物流インフラそのものが崩れかねないという危機感があります。
ドライバー不足と再配達の負担、この2つが重なり、業界全体で対応を急ぐ状況になっています。
深刻なドライバー不足
ドライバーの人手不足は、以前から指摘されてきた課題です。
長時間労働に見合う賃金が確保しにくく、離職が進めば人材不足がさらに深刻化するという悪循環も懸念されています。
2024年からは時間外労働の上限規制が適用され、1人あたりが運べる荷物の量にも制限がかかっています。
限られた人数で荷物を運び続けるには、1件あたりの配達にかかる時間を削るしかありません。
対面での受け渡しをできるだけ減らし、効率よく回れる仕組みが必要になっているわけです。

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再配達による物流負担の増加
再配達は、ドライバーにとって同じ荷物を何度も運ぶ二度手間です。
国土交通省の調査によると、宅配便の再配達率は令和7年10月時点で約8.3%。一見小さな数字に見えますが、宅配便全体の取扱個数を考えると、再配達にあてられる労働力は膨大です。
出典:令和7年10月の宅配便の再配達率は約8.3%|国土交通省
この負担を減らすため、国土交通省は多様な受取方法の利用率を2030年度までに50%程度へ引き上げる目標を掲げています。
置き配は、この再配達削減策の柱のひとつです。

1回で配達を完了できれば、ドライバーの走行距離や拘束時間が減り、限られた人員でも配送網を維持しやすくなります。

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配送会社ごとに異なる置き配標準化のルール
置き配標準化といっても、実際の運用ルールは配送会社によってかなり違います。
ここではヤマト運輸・佐川急便・日本郵便・Amazonの4社を取り上げ、開始時期や現場対応の違いを比較してみましょう。
案件を選ぶときの判断材料にしてください。
ヤマト運輸の場合
ヤマト運輸では、すでに宅急便の受け取り方法のひとつとして置き配サービスを導入しています。
玄関前や宅配ボックス、車庫、物置など、荷受人が指定した場所に非対面で荷物を届けられる仕組みです。
以下で案内されているとおり、対面受け取りと置き配は荷受人が自由に選べる形になっています。
ドライバー目線で押さえておきたいのは、置き配の指定が「クロネコメンバーズ」への会員登録とマイページ操作を前提にしている点です。
- 1荷受人がMy荷物一覧から対象の荷物を選ぶ
- 2日時変更の画面で対面か置き配かを設定する
上記の流れになっています。
つまり配達員が現場で勝手に判断するのではなく、あらかじめ荷受人の指定が反映された状態で届けるのが基本ルールです。
出典:置き配(EAZYを含む)を指定するには、どうすればいいですか?|ヤマト運輸
委託ドライバーとして働く場合は、置き配指定の有無をハンディ端末や配達アプリでこまめに確認する作業が発生します。
佐川急便の場合
佐川急便は「指定場所配送サービス」という名称で置き配に対応しています。
法人向けには専用の申込書を営業所やセールスドライバーに提出する方式が用意されており、申し込みから利用開始まで1〜2週間ほどかかる場合があります。
出典:【佐川急便】指定場所配送サービス | 送る | 法人のお客さま|佐川急便
佐川の置き配も、届く荷物ごとにスマートクラブやLINEの通知から都度指定する仕組みです。
ドライバーからすると、佐川急便の案件は事前登録済みの置き配指定を確認するだけで済むケースが多く、当日その場で荷受人とやり取りする手間は比較的少なめです。
ただし法人契約か個人契約かで申し込み経路が違うため、担当エリアにどちらの契約形態が多いかで現場対応の感覚も変わってきます。

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郵便局(ゆうパック・レターパックなど)の場合
日本郵便では、ゆうパックや書留など対面が原則だった荷物についても「指定場所配達」という形で置き配に対応しています。
玄関前やメーターボックス、宅配ボックスなど、荷受人があらかじめ指定した場所への配達を申し込める仕組みです。
公式サイトでも、置き配バッグや車庫、物置まで指定場所の選択肢が細かく示されており、荷物の種類によって対応の可否が変わってくる点が特徴です。
また、通常のゆうパックだけでなく、対面が前提とされてきた書留郵便でも指定場所配達の対象になり得ます。
レターパックプラスは対面配達が原則ですが、指定場所配達の申し込みをしている荷受人であれば、他の荷物と同様に置き配の対象になり得ます。
配達員としては、荷物の種類だけで「これは対面、これは置き配」と一律に判断できない点に注意が必要です。
Amazonの場合
Amazonは他の配送会社に先駆けて置き配を標準的な配達方法として広く採用してきた事業者です。
注文時に受け取り方法として「置き配」を選べるほか、Amazon側で置き配をデフォルト設定にしている地域や商品カテゴリも少なくありません。
委託ドライバーの実務では、Amazonの配達アプリに表示される配達指示に「置き配」の指定がすでに反映された状態で案件が届くことが多く、現場で対面か置き配かを判断する場面自体が少ないのが特徴です。
宅配ボックスがない住宅では玄関前への設置が基本になり、写真撮影による配達完了報告とセットで運用されているケースも一般的です。
国交省が進める置き配標準化の議論は、こうしたAmazonの先行事例を参考にしている面もあります。
他社が今後ルールを整備していくなかで、Amazon案件の経験がある軽貨物ドライバーは、置き配特有の作業フローにすでに慣れているという強みを持っていると言えそうです。
置き配標準化のリスクと反対意見
置き配は便利な仕組みですが、盗難や破損といったトラブルと隣り合わせなのも事実です。
ドライバーとして何に気をつけるべきか、消費者がどんな不安を抱いているのかを知っておきましょう。
盗難・紛失リスク
置き配で最も多く聞かれる不安が、荷物の盗難や紛失です。玄関前に置かれた荷物が第三者に持ち去られても、ドライバー側では気づけません。
配達完了の記録は残っていても、その後の状況までは把握しようがないのです。
国民生活センターも、置き配を利用する際は事前に利用規約を確認し、誤配や盗難があった場合の補償の有無や連絡先を把握しておくよう呼びかけています。
出典:通販で宅配荷物の置き配 上手に利用するために!(見守り情報)|国民生活センター
ドライバー側でできる対策はシンプルです。
- 荷物が外から見えにくい位置を選ぶ
- 玄関先の写真をきちんと撮影する
- 指定場所以外には絶対に置かない
これらを徹底するだけで、トラブル発生時の説明責任を果たしやすくなります。
雨風やカラスなどによる破損リスク
盗難と並んで多いのが、天候や野生動物による荷物の破損です。段ボールが雨で濡れて中身が傷んだり、カラスに突かれて袋が破けたりするケースは各地で起きています。
特に食品や精密機器を運ぶ際は、置き場所ひとつで届け先の満足度が大きく変わってきます。
軒下やドアの陰など、雨風を避けられる場所を選ぶ、あるいは指定の宅配ボックスがあれば優先して使うといった判断が求められます。
国土交通省がまとめた「置き配の現状と実施に向けたポイント」でも、宅配事業者が留意すべき配置場所の工夫について触れられています。
出典:「置き配の現状と実施に向けたポイント」を策定しました~消費者・宅配事業者・EC事業者が留意すべきポイントについて~|国土交通省
置き配標準化の課題と対策
置き配を当たり前の選択肢にするには、いくつかの壁を越える必要があります。
まず大きなハードルになっているのが、荷物の盗難や破損への不安です。
実際、荷物を受け取る側からは「高価な商品や生鮮食品は不安で置き配を選びにくい」という声も根強く、利用者の心理的な抵抗が普及のスピードを鈍らせている面があります。
また、集合住宅特有の事情も見逃せません。
オートロック付きのマンションでは、そもそも配達員が建物内に入れず玄関前に置けないケースがあります。宅配ボックスが設置されていない物件も多く、置き場所そのものが確保しにくい状況が標準化のネックになっています。
ドライバー側も、置き配後に写真を撮って完了報告をする手間が増えており、現場の負担が完全になくなったわけではありません。
こうした課題に対して、国土交通省や経済産業省は置き配を選んだ消費者にポイントを還元する実証事業を後押ししてきました。
通販サイトで配送方法を選ぶ際に置き配を指定すると、購入者にポイントが付与される仕組みです。
利用者にとってのメリットを具体的に示すことで、心理的な抵抗を和らげ、置き配の利用そのものを底上げしようという狙いがあります。
置き配標準化の実現には、盗難対策や置き場所の確保といったハード面の整備と、利用者への還元によるソフト面の後押しを両輪で進める発想が求められています。
【FAQ】置き配標準化のルールに関するよくある質問
最後にオートロック物件と消防法まわりについて、Q&A形式で答えていきます。
オートロック物件ではどうなる?
オートロック付きの物件は、置き配標準化のルールが適用されにくい代表例です。
共用エントランスの内側まで入れなければ、そもそも玄関前に荷物を置けません。宅配ボックスがあれば解決しますが、設置されていないマンションではインターホン越しに解錠してもらうか、住民の後についてエントランスを通過するしかないのが実情です。
事前に「置き配可」と登録されている場合でも、オートロックの解錠コードや配達員用の暗証番号が事前共有されていなければ、実質的には対面か持ち戻りになってしまいます。
管理組合が置き配運用のルールを定めているマンションも増えていますが、統一された仕組みはまだ整っていません。
荷主側のシステムに登録された「置き配指定」だけを信じて時間を無駄にせず、オートロックの有無や解錠方法は配達前に確認しておくと、現場での手戻りを減らせます。
消防法周りのルールは?
マンションの共用部分、つまり廊下や階段、避難口に荷物を置く行為は、消防法上の避難障害にあたる可能性があります。消防法では避難上の支障となる状態で物を放置することを禁止しており、宅配物であっても例外ではありません。
国土交通省は分譲マンション向けに、置き配に関する使用細則を定める際のポイントを整理した資料を公表しています。玄関ドアの前でも共用廊下にはみ出す置き方は避難経路をふさぐおそれがあるため、荷物のサイズや置き場所については管理規約や使用細則で具体的に定めることが推奨されています。
出典:マンションにおける置き配の普及促進に向けた取組のポイント|国土交通省
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置き配標準化が進むと、対面での受け渡しにかかっていた時間や再配達の手間が減っていきます。1件あたりの配達時間が短くなれば、同じ稼働時間でより多くの荷物を回せるようになりますし、時間指定に振り回される場面も減るはずです。国交省が再配達削減を後押ししている以上、こうした流れは今後も続いていくと考えてよさそうです。
とはいえ、置き配標準化のメリットをどれだけ受け取れるかは、実際に契約している配送会社や案件の条件次第という面もあります。
置き配対応が進んでいる案件もあれば、まだ対面受け渡しが中心の案件もあり、同じ「軽貨物ドライバー」でも働きやすさには差が出てきます。
だからこそ、いま自分が置かれている条件を一度見直してみる価値があります。
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未経験歓迎の案件から経験者向けの好条件案件まで幅広く掲載されているので、置き配標準化を追い風に、より働きやすい環境を探してみてはいかがでしょうか。
この記事を書いた人

小副川 祐貴
株式会社Lic 代表取締役。軽貨物専門求人サイト「ハコボウズ」運営者。 2019年に株式会社Licを設立し、Amazon配送を中心とした軽貨物配送事業を運営。ドライバー採用・教育・品質管理まで一貫して携わり、日々現場の運営を行っています。 自身の現場経験をもとに、ハコボウズでは軽貨物ドライバー向けの求人情報や業界知識、働き方、収入、開業に関する情報を発信。未経験者にも分かりやすく、信頼できる情報提供を心掛けています。








