ゆうパックの配達=郵便局の正社員と思われがちですが、実はたくさんの委託ドライバーが活躍しています。
郵便局の配達員と一般的な軽貨物ドライバーの違いについて気になる人もいるのではないでしょうか。
今回は、郵便局配達員の働き方や委託契約の仕組み、給料について解説します。
個人事業主と郵便局の配達の契約について
個人事業主が郵便局の配達を始める際、誰とどのような契約を交わすのでしょうか。
また、郵便局の正社員や一般的な軽貨物の委託契約とどのような違いがあるのでしょうか。
ここでは、個人事業主が郵便局配達員として働く場合の契約先や正社員との違い、一般的な軽貨物の委託案件との違いについて解説します。
正社員と個人事業主の違い
個人事業主が郵便局の委託ドライバーとして働く場合、郵便局との直接契約ではなく郵便局と契約を結んでいる運送会社と契約します。
そのため、どの運送会社と契約を結ぶかによって契約内容やサポートは異なります。給料体系も運送会社によって異なり、日給制や時給制、歩合制などさまざまです。
くわしい契約内容については、事前に運送会社に確認し、比較することをおすすめします。
一方、正社員は直接郵便局に雇用されます。
個人事業主の委託と異なり、年2回の賞与や有給休暇、各種社会保険や扶養手当などの福利厚生が用意されている点は大きなメリットといえるでしょう。
なお、委託の場合はゆうパックの配達のみ行いますが、正社員はゆうパックだけでなく普通郵便や書留郵便物の配達なども行います。ノルマ制度は2019年に廃止されたものの、年賀状やご当地グルメなどの営業を配達中に行う必要もあります。
ただし、業務内容や待遇については郵便局によって異なるため、事前に確認しておいたほうがよいでしょう。
一般的な軽貨物の委託契約との違い
委託の郵便局配達員が行う基本的な業務は、一般的な軽貨物の委託ドライバーの業務と大きな違いはありません。
しかし、以下のような違いがあります。
- 集荷の有無
- 不在の荷物の取り扱い方
- 夜間の配達料金
それぞれ解説します。
集荷の有無
一般的な委託案件であれば、集荷は委託元の正社員が担当し、委託ドライバーは自分のエリアであっても集荷を行わないことがほとんどです。
しかし、郵便局の委託ドライバーは配達だけでなく集荷も行います。
集荷でも稼げる点はメリットといえるでしょう。
不在の荷物の取り扱い方
不在だった場合の荷物の取り扱い方も異なります。
一般的な委託案件であれば、不在の荷物は常に車両に積んでおいて、自分の都合で再配達が可能です。再配達依頼が来ていなくても、近くを通りかかった際に、ついでに寄って再配達できるのです。
しかし郵便局配達員の場合、不在の荷物は再配達依頼が来るまで郵便局で保管する必要があり、勝手には持ち出せません。
夜間の配達料金
夜間の配達料金についても違いがあります。一般的な委託案件の場合、時間帯で荷物単価が変わるケースは少ないです。
しかし郵便局配達員の場合は、最終の時間指定である20〜21時指定の荷物に関しては、配達料金が増額されます。
荷物単価や夜間料金は契約する運送会社によって異なりますが、荷物1個につき30円以上増額されるところもあります。
郵便局の委託契約を解約すると違約金が発生する?
ゆうパックの運送業務で、委託契約を中途解約した場合に違約金が発生するかどうかは、どのような内容で契約をしたかによって異なります。
実際に、途中解約を申し出た際に契約書を持ち出され、違約金を請求されたケースもあるため、業務委託契約を結ぶ際は、しっかりと契約書に目を通すことが重要です。
また、解約の際に違約金がかからない契約でも、誤配やクレームがあった場合5,000〜10,000円程度の罰金を取られることがあります。
荷物に書かれている宛先と配達先が合っているかの確認や接客態度、指定時間を厳守するなど、日ごろから罰金の対象にならないよう気をつけましょう。
郵便局配達員の委託業務はきつい?口コミは?
ネット上で、ゆうパックの業務委託はきついという口コミをよく見かけます。
実際、郵便局配達員の仕事はきついのでしょうか。
ここでは、郵便局配達員の委託業務に関する口コミをいくつか紹介します。
- 勤務時間が長い
- エリアは自分で決められない
- 安定して案件があるため仕事には困らない
- 時間制では割に合わないと感じることがある
- 郵便局ごとに待遇や仕事内容が異なる場合がある
ひとつずつ見ていきましょう。
1.勤務時間が長い
郵便局配達員の長時間になりがちな勤務時間が、きついと感じる人は多いようです。
朝は6時台から郵便局で集荷し始め、9時には配達開始、その後1日配達に明け暮れます。最終の時間指定が20〜21時であるため、どれだけ早く配り終わったとしても20時は過ぎてしまいます。
配達後は締めの作業などを行い、退勤する頃には22時を過ぎてしまうことも……。
また、お中元やお歳暮のシーズンは物量が増えるため、通常よりもさらに長時間の勤務になる可能性があります。
2.エリアは自分で決められない
エリアは自分で決められず、委託元の運送会社が割り当てます。
配属されるエリアによって配りやすさや物量、不在の多さなどが異なるため、きついと感じるかどうかはエリア次第ともいえるでしょう。
ただし、軽貨物経験者で慣れているエリアがあり、運よくそのエリアに空きがあれば優遇してもらえる可能性はあります。
3.安定して案件があるため仕事には困らない
ネガティブな意見や口コミが一定数あるものの、常に案件があり食いっぱぐれる心配がない点は郵便局配達員のメリットといえるでしょう。
また、荷物の配達や集荷は毎日郵便局から委託されるため、自分で営業して仕事を取る必要もありません。
4.時間制では割に合わないと感じることがある
郵便局配達員は業務委託以外にアルバイトやパートとしても働けるため、気軽にアルバイトから始めてみるのもひとつですが、時間制では割に合わないという声もあります。
アルバイトとして郵便局配達員をする場合の時間給は、都内で1,170円前後です。
アルバイトといえど業務内容は委託ドライバーと変わらないため、仕事のきつさと時給が釣り合っていないと感じる人もいるようです。
5.郵便局ごとに待遇や仕事内容が異なる場合がある
待遇や細かい仕事内容は、所属する郵便局によって異なる場合があります。
「ゆうパックを配達する」という基本的な業務は変わりませんが、郵便局によってそれぞれルールがあるためです。
そのため、郵便局によっては働きにくいと感じたり、反対に働きやすいと感じたりする可能性があります。
郵便局の委託ドライバーの給料は?
郵便局の委託ドライバーの給料は、給料体系や委託元の運送会社によって異なります。
給料体系は日給制のところと歩合制のところがあり、日給制の場合は15,000〜17,000円程度が一般的ですが、案件によっては20,000円や30,000円のところもあります。
以下は日給の一例です。
日収 | 月収(22日勤務) | 年収 |
---|---|---|
15,000円 | 330,000円 | 3,960,000円 |
17,000円 | 374,000円 | 4,488,000円 |
20,000円 | 440,000円 | 5,280,000円 |
一方、歩合制の場合は配達個数×荷物単価で計算します。
荷物単価の相場は150〜200円程度です。
以下は歩合給の一例です。
荷物単価 | 配達個数 | 月収(22日勤務) | 年収 |
---|---|---|---|
150円 | 100個 | 330,000円 | 3,960,000円 |
150円 | 150個 | 495,000円 | 5,940,000円 |
200円 | 100個 | 440,000円 | 5,280,000円 |
200円 | 150個 | 660,000円 | 7,920,000円 |
歩合制は配達個数に比例して収入も増えるため、たくさん配れる人におすすめです。
反対に、日給制のところで働くと、金額によっては割に合わないと感じるかもしれません。
また、あまり多く配れないという人は歩合制では思うように稼げない可能性があるため、日給制のほうが安定して稼げるでしょう。
なお、日給制、歩合制を問わず、業務委託の場合は上記の報酬金額からガソリン代や車両リース料といった経費が引かれるため、経費を引いた金額が手取りになります。
委託ドライバーと正社員ドライバーの給料の違いは?
郵便局の正社員ドライバーの月収は、平均すると22〜25万円程度といわれています。
年2回の賞与を含めても年収は340〜410万円程度であるため、収入だけを見ると前述した委託ドライバーの給料と比べて少なく感じるでしょう。
しかし、委託ドライバーには有給休暇がないため、欠勤すればその分収入が減ってしまいますが、正社員には有給休暇があり、欠勤しても有給休暇が残っていれば収入に影響は出ません。
なお、正社員の給料は年齢によって差が出ます。
たとえば、20代の平均月収は16〜18万円程度で賞与は50〜55万円程度ですが、40代では平均月収が27〜29万円程度、賞与は100〜120万円程度です。
そして50代では平均月収が28〜30万円程度、賞与は110〜120万円程度です。
とにかくたくさん稼ぎたい場合は委託、安定を求めるのであれば正社員、というように、何を優先するかによって働き方を選択するとよいでしょう。
郵便局の個人事業主配達員に将来性はある?
日給や荷物単価によっては個人事業主の郵便局配達員が稼げる働き方であることがわかりましたが、果たしてこの仕事に将来性はあるのでしょうか?
ここでは、郵便局の配達委託業者が今後撤退する可能性や、郵便局の業務委託に関するニュースについて紹介します。
郵便局の配達委託業者の撤退可能性は?
今のところ、郵便局側がゆうパックの委託業者を切る可能性は低いといえます。
なぜなら郵便局は慢性的に人手が足りず、ゆうパックの配達は下請け業者の協力がなければ回っていかないためです。
ただ、くわしい内容については後述しますが、郵便局がこれまで行ってきた下請け業者への対応は適切と言い難い部分があり、今後関係性を改めないかぎり、離れていく下請け業者が出てくる可能性はあるでしょう。
郵便局の業務委託に関するニュース
2023年4月14日、日本郵便が独自に行った調査の結果、調査対象のうち1割を超える郵便局・支社で、下請け業者に対して不適切な対応が行われたとの発表がありました。
「不適切な対応」というのは、下請け業者からの値上げ要請に対し協議すらせず据え置いたり、据え置いた際の理由を回答しなかったりといった対応のことで、経済産業省・中小企業庁が行った、価格交渉や価格転嫁について適正に対応しているかどうかの調査では、最低ランクの評価を受けたほどです。
さらに、ある郵便局では営業用のタオルを下請け業者に無償で配達させていたという例もあり、いかに下請け業者を軽視しているかが露見しました。
こうした郵便局の行いによって、下請け業者の幹部からは「委託料の安さに対して1人あたりの配達量が多く、もう2度とやりたくない」との声が上がっているほか、ゆうパックや代金を横領、窃取する配達員が現れたりといった買いたたきの弊害も見受けられました。
ただ2023年7月現在は、約5,500件あるすべての委託契約の委託料について見直し協議が進められており、4月10日の時点で2割弱が完了、残りの契約についても委託料の引き上げが予定されています。
(参考:日本郵便 1割超の郵便局・支社で“委託”協力会社へ不適切な対応|Yahoo!ニュース)
個人事業主が郵便局の配達業務を行うまでの流れ
個人事業主が郵便局配達員として働くまでの手順を、求人に応募するところから流れに沿って解説します。
求人に応募する
まずは郵便局配達員の求人を探し、応募するところからスタートです。
求人は、一般の求人サイトや軽貨物専門の求人サイトで探せます。
業務委託案件だけでなくアルバイトやパート、給料体系も日給制や歩合制など案件によって異なるため、手当たり次第に応募するのではなく、方向性を決めてから探すとよいでしょう。
業務委託契約を結ぶ
求人に応募し、採用されたら下請けの運送会社と業務委託契約を結びます。
形式としては郵便局と契約している運送会社から再委託されるかたちで、雇用ではなく個人事業主として受託します。
業務委託契約を結ぶ際はしっかりと契約書に目を通し、納得したうえでサインしましょう。疑問が生じた場合はそのままにせず確認することが重要です。
業務委託契約を結んだあとは日本郵政に対して再委託申込書を提出します。
研修を受ける
研修を受けたら、いよいよ郵便局配達員としてデビューします。
多くの運送会社で車両を貸し出す体制が整っているため、車両が持ち込めない場合でも運転免許証さえあれば配達員として働けます。
研修内容は委託会社によってさまざまです。内容については事前に確認しておくとよいでしょう。
個人事業主として郵便局の配達を行いたいなら、軽貨物専門の求人サイトを利用しよう
郵便局で委託ドライバーとして働く場合の仕組みや給料、個人事業主が郵便局で配達業務を行うまでの流れについて解説しました。
軽貨物案件は一般の求人サイトからでも探せますが、軽貨物専用の求人サイトを利用することをおすすめします。
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