軽貨物業で個人事業主として独立をした場合、企業からの業務委託によって仕事を請け負うことがほとんどです。
大手企業から仕事を請け負うことで収入面も安定しやすくなります。
運送会社の大手として名前が挙がるのが佐川急便です。
今回は配送業者のなかでも大手の「佐川急便」に焦点をあて、佐川急便の業務委託について、契約方法や収入面に関して詳しく解説していきます。
佐川急便の業務委託とは?
独立してドライバーとして働くためには、企業から案件を請け負って仕事をこなす必要があります。
佐川急便から業務を受ける際には主に”業務委託”の形式をとることが多いので、詳しく解説していきます。
個人事業主として佐川急便と業務委託契約を結ぶこと
業務委託とは、個人事業主と企業が「業務委託契約」を結ぶことであり、佐川急便から案件を受ける際にはこの業務委託が主となります。
業務委託契約の際には、委託側である企業と受託側である個人事業主の間で内容を細かく決めた契約を交わすため、受託側が目標を達成できなかった場合などにペナルティを受けてしまうこともあります。
佐川急便と業務委託契約を結ぶまでの流れ
佐川急便と業務委託契約を結ぶまでの流れは、以下のような6つのステップに分かれています。
- 説明会
- 車両準備
- 営業許可の取得
- 業務委託契約を交わす
- 研修
- 業務開始
このように、業務委託契約はすぐに交わせるものではなく、事前の準備が必要です。
事前に車両の準備ができていたり、営業許可を取得できている方は早いスパンで業務を開始できるでしょう。
佐川の業務委託ドライバーへの研修・給与補償
佐川急便と業務委託契約を交わし業務をスタートする前に、事前に研修がおこなわれるため、軽貨物が未経験の方でも配達に関するノウハウを身に付けられます。
佐川急便の研修は3日間に及びますが、研修中の3日間で9,000円の報酬が支払われます。
研修を受けさせてもらえるだけでなく、給料も支払われるなんて一石二鳥ですね。
また、佐川急便の報酬は通常「完全出来高制」であり、荷物を配達した分だけの報酬が支払われます。
しかし、配達が未経験の方は業務に慣れていないため、配達できる荷物が少なく、思うように報酬も得られないでしょう。
そんな配達初心者のために、佐川急便では新人限定で1日当たりの報酬を3か月分保証する制度を採用しています。
短時間であれば1日6,000円、フルタイムであれば1日で13,000円も保証してくれるので、未経験でもある程度の報酬は期待できます。
佐川急便の業務委託の仕事内容
実際に佐川急便の業務委託ではどのような流れで、どのような業務をおこなっているのか紹介していきます。
佐川急便の業務委託ドライバーの1日の流れ
佐川急便の業務委託ドライバーとして働く際の1日の流れは以下の通りです。
7:00 | 出社・積み込み |
---|---|
8:30 | 配達開始 |
12:00 | 休憩(各自自由) |
21:00 | 配達終了 |
21:30 | 業務終了 |
基本的な業務の進め方は、一般的な軽貨物の業務委託と同じです。
休憩は各自の好きなタイミングでとれます。長時間運転していると集中力が低下し事故を起こす可能性も高まるので、適宜休憩をとるようにしましょう。
佐川急便の主な委託業務
先ほどの流れに沿って委託業務の内容を解説していきます。
出社・積み込み
業務委託契約を交わした営業所へ出社し、配達するエリア分の荷物を車両に積み込みます。
積荷にかかる時間はおよそ1時間〜2時間ほどとされていますが、慣れるまで時間がかかってしまうため、初めのうちは早めに出社しておくとよいでしょう。
配達開始
配達をおこなう際には専用の端末を使って担当エリアに荷物を配達していきます。
佐川急便の配達は基本的に3便制となっているため、営業所とエリアを3往復します。
休憩
先述したように、長距離運転による事故防止のためにも、各自の配達状況に応じて都合のよいタイミングで休憩をとります。
配達終了
その日の担当する荷物の配達が終わったら、営業所へ戻り伝票整理や専用端末のシャットダウンや荷物の整理をおこないます。
業務終了
片付けが終わったらその日の業務は終了です。
参考:佐川の業務委託と宅配メイトの違い
佐川急便からの業務を請け負う形態には業務委託のほかに「宅配メイト」というものがあります。
軽自動車を利用して荷物を配達する業務委託とは違い、宅配メイトは自転車や徒歩、台車などを利用して主に営業所の近隣のみの配達業務です。
最短で週1日、1時間から働くことができますが、新人であっても報酬保証制度はありません。
しかし、業務委託と同様に業務開始前に3日間の研修があり、3日分の報酬として9,000円が支払われます。
佐川急便の業務委託は稼げる?単価や収入について
先述したように、佐川急便の業務委託は「完全出来高制」であり、配達した荷物の量が多ければ多いほど報酬が多くなります。
単価は、1つの荷物あたりおよそ140円〜180円となっており、荷物の量は1日あたり80個〜200個ほどです。
荷物の量は担当するエリアや時期によって異なりますが、仕事に慣れてくれば短い時間で多くの荷物を配達できるようになり、1日に受けられる荷物の量も多くなります。
下記を条件として佐川急便の業務委託を請け負う際の年収例を挙げてみます。
- 単価:150円
- 1日当たりの荷物の量:100個
- 稼働日数:22日
- 1日あたりの報酬=150円×100個=15,000円
- 1か月の報酬=15,000円×22日=330,000円
- 年収=330,000円×12か月=3,960,000円(396万円)
上記はあくまで事例です。実際には働き方や各々のスキル、時期などによって収入は変動します。
また、この金額全てが収入になるのではなく、ここから配達の際に使用した「ガソリン代」や「保険料」「駐車場代」などの経費やロイヤリティを差し引いた金額が自分の手取りとなります。
佐川急便の委託がきつい、やめとけと言われている理由
「佐川急便の業務委託はきつい」と耳にしたことがある方もいると思いますが、そのように言われる理由として次のようなことが挙げられます。
営業所の拠点数が少ない
佐川急便の全国にある営業拠点数は、同業者のヤマト運輸や日本郵政に比べて少なくなっており、自身が担当するエリアが営業所から遠い場合、荷物を取りに行く時間がかかってしまい効率が悪くなります。
荷物をとりに行く時間がかかるほど、配達できる時間は短くなり、配達できる荷物は少なくなるので、必然的に報酬も少なくなってしまうのです。
ロイヤリティが高い
佐川急便で業務委託を受けるには、佐川急便のパートナー企業である運送会社と契約する必要があり、仲介費として10%前後のロイヤリティを支払わなければいけません。
多くの荷物を配達してもそのうちの10%ほどはロイヤリティの支払いとなるため、手元に残る収入が少なくなってしまいます。
佐川急便の業務委託はクビになることもある?
企業と業務委託を結ぶうえで懸念となるのが「契約の解除」です。
業務委託契約において契約解除とはクビを意味するので、契約を解除された場合は、以後仕事ができなくなくなってしまいます。
結論から言うと、佐川急便の業務委託はクビになる可能性もあります。しかし、真面目に業務をおこなっていればクビになることはそうそうないでしょう。
佐川急便で業務委託ドライバーをするメリット・デメリット
佐川急便の業務委託ドライバーとして働くにあたって、人によってメリット・デメリットの感じ方は異なりますが、今回はなかでも代表的なメリットとデメリットについて紹介します。
佐川急便で業務委託ドライバーをするメリット
佐川急便の業務委託ドライバーとして働く主なメリットは次の3点です。
頑張った分だけ稼げる
佐川急便の業務委託ドライバーの大きなメリットは、荷物を運んだ分だけ報酬になり、自身の頑張りが報酬に反映されるという点です。
そのため、より高い収入を得たいという人には大きなメリットになるといえます。
3か月の報酬保証がある
先述したように、佐川急便の業務委託では新人向けの「3か月間、1日当たりの報酬を保証する制度」があります。
一般的に、配達未経験者は仕事に慣れるまで稼ぎにくいですが、佐川急便の業務委託なら報酬保証によって気軽に業務を始められます。
女性の採用に積極的
軽貨物ドライバーといえば、男性の仕事というイメージが強いですが、佐川急便の業務委託では女性の採用も積極的におこなっています。
主婦をしながら短時間勤務も可能であり、女性に嬉しい働き方を実現できます。
佐川急便で業務委託ドライバーをするデメリット
一方でデメリットとして次の2点が挙げられます。
担当エリアによっては稼ぎにくい
先述したように、佐川急便の営業所拠点数は少なく、担当するエリアによっては荷物の受けとりに手間がかかります。
配達開始までの時間がかかると配達できる荷物量も少なくなり、稼ぎにくくなるケースもあるでしょう。
勤務時間が長い
佐川急便の業務委託は、フルタイムで働くとなると1日の拘束時間が長い傾向にあります。
また、基本的には週5日以上の労働が求められるため、自分の好きなペースで仕事をしたいという方には大きなデメリットになるでしょう。
委託ドライバーの仕事は運送会社の選定が命!
今回紹介した佐川急便のみならず、業務委託ドライバーとして仕事をするには運送会社選びが非常に重要です。
運送会社ごとに担当しているエリアや荷物の量、ロイヤリティなどの条件が異なるため、運送会社を間違えてしまうと仕事に見合った収入が得られないこともあります。
委託元は大手企業だけではありません。会社規模が大きくなくとも条件のよい運送会社は多く存在します。
「どこの運送会社を選べばよいかわからない」「どうやって運送会社を探せばいいのかわからない」という際には、軽貨物ドライバー専用の求人サイトから、ご自身の希望に合った運送会社を選んでみてはいかがでしょうか。