トラック運転手について、ネット上では「きつい」「やめとけ」と言われることがありますが、一体どういったところが「きつい」のでしょうか。
たしかに、トラック運転手は楽な仕事ではありません。
しかしきついと感じるかどうかは、所属する運送会社のやり方や本人の感じ方などにもよります。
重要なのは、自分に合っているかどうかです。
この記事では、トラック運転手がきついと言われる理由や年収、トラック運転手に向いている人について解説します。
女性ならではのきつさや、きついと言われる一方で「楽すぎ」「儲かる」という意見があることについても解説しているため、ぜひご覧ください。
トラック運転手の種類と仕事内容
トラック運転手には、大きく分けて以下の種類があります。
- 小型(2トン)トラック:コンビニ配送、宅配便といった近距離向きのタイプ
- 中型(4トン)トラック:安定感があり、ある程度荷物も積める近距離・長距離向きのタイプ
- 大型(10トン)トラック:積載量に優れた長距離向きのタイプ
トラック運転手の主な仕事内容は、荷物の積み下ろしや輸送、配達です。
近距離、中距離、長距離と案件によって走行距離が異なるため、やるべきことは同じでも、走る距離が違えば働き方や1件あたりの運転時間も異なります。
走行距離による違いは以下のとおりです。
配送距離 | 走行距離 | 主な仕事内容 | きつさ |
---|---|---|---|
近距離 | 片道200〜300km程度 | 一度の配送で複数の配達先に荷物を届けるため、その都度荷下ろしが発生する基本的に日を跨ぐような仕事はない | 楽 |
中距離 | 片道500km程度まで | 配達先によっては日帰りできないこともある | 普通 |
長距離 | 片道500km以上 | ほかの案件よりも運転時間が長くなりやすく、配達先によっては車中泊が必要になるケースもある一度の配達につき配達先が一カ所であることが多いため、荷下ろしが最小限で済む | きつい |
上記のように、配送距離によって内容やきつさは異なります。
たとえば近距離の仕事なら、その日のうちに帰れることがほとんどで走行距離も中距離・長距離に比べて短いですが、複数の配達先に行かなければならないため荷下ろしが何度も発生します。
しかし長距離の仕事の場合、走行距離も運転時間も長くなりますが、基本的に一度の配送につき配達先が一カ所であるため、荷下ろしは一度で済むケースがほとんどです。
一般的に走行距離が長くなればなるほど体に負担がかかりやすいと思われがちですが、「どれだけ運転しても苦にならない」という人もいるため、何をもって「きつい」と思うかは人それぞれです。
仕事を選ぶ際は「どのスタイルが自分に合っているか」が重要でしょう。
トラック運転手の「きつい」に関する実際の声
世間的には、トラック運転手=きついというイメージが定着していますが、実際にトラック運転手として働いている人はどのように思っているのでしょうか。
ここでは、トラック運転手の「きつい」に関する実際の声を紹介します。
仕事自体は楽しいとしながらも、きついわりに生活が安定せず、拘束時間が長いために家になかなかいられないといった声があります。
また、「運転よりも荷物の積み下ろしがきつい」という意見もあります。
しかし、中には荷物や仕事の種類によっては楽な仕事もあるといった投稿もあるため、結局は案件次第でもあるようです。
トラック運転手が「きつい」「やめとけ」と言われる理由
トラック運転手は「きつい」「やめとけ」と言われることが多い仕事です。
そう言われる理由はどこにあるのでしょうか。
たとえば「きつい」といっても、きつさの種類はさまざまであり、そう感じる基準も人によって異なります。
ここでは、トラック運転手が「きつい」「やめとけ」と言われる理由について解説します。
1)労働時間が長い、寝られないのがきつい
「きつい」「やめとけ」と言われる理由のひとつは労働時間の長さです。
トラック運転手の労働時間は長くなる傾向にあり、人によっては1日16時間など、非常に長時間働くケースもあります。
万全の体調で運転するにはしっかりと睡眠時間をとるべきですが、家に帰っても数時間しか寝られず、疲れが癒えないまま出勤しなければならない状況になっているドライバーもいるようです。
一時的に労働時間が長くなるのは耐えられても、長時間労働が当たり前になっている場合は多くの人がきつさを感じるのではないでしょうか。
2)給料が安い、稼げないのがきつい
給料の安さや稼げないのも「きつい」「やめとけ」と言われる理由です。
かつては「きついけど稼げる仕事」だと言われていたトラック運転手ですが、今では会社の利益を優先し、トラック運転手の給料を下げているケースも少なくありません。
ただし、稼げるかどうかについては案件や所属する運送会社にもよるため、それぞれケースによって異なるでしょう。
トラック運転手の給料・年収はどれくらい?
厚生労働省の調査によると、トラック運転手の年間所得は大型トラックで447万円、中型・小型トラックで399万円というデータが出ています。
月収にすると33〜37万円程度です。
上記の金額を多いと感じるか少ないと感じるかは人それぞれですが、全産業の年間所得額が490万円であることを考えるとやや少なめといえるでしょう。
また、上記の金額で十分暮らしていけるにしても、労働時間が長く、割に合っていない場合もあります。
出典:【参考】自動車運送事業の働き方をめぐる状況|国土交通省
3)体を壊すのがきつい
体を壊したことから「きつい」と感じている人もいるようです。
トラック運転手は、1日のうちほとんどの時間を車内で過ごします。
睡眠不足や運動不足に加え生活リズムも崩れやすいため、心身ともに健康を損ねる可能性があります。
とくに長距離の仕事では、同じ体勢で長時間運転しなければならないことから腰を痛めるケースも少なくありません。
4)休みがとれなくてきつい
休みのとりにくさも「きつい」と感じるポイントのひとつであるようです。
たとえば短距離・中距離の定期便であれば、渋滞や天候の影響を受けにくく、取引先である企業の休日に合わせて稼働するため土日が休みになるケースも少なくありません。
しかし長距離の場合は土日関係なく稼働しなければならないことが多く、急な欠員が出たときは、物流を止めないために誰かが休日出勤をする必要があります。
現に、国土交通省が令和4年に調査した「トラック輸送状況の実態調査結果」によると、約1割のドライバーが7日間のうち1日も休日がなかったという結果が出ており、満足に休めていないことがわかります。
出典:トラック運送状況の事態調査結果|厚生労働省
5)自由にアルコールを飲めないのがきつい
酒好きのドライバーは、自由にアルコールを飲めないことを「きつい」と感じるようです。
当然のことですが、アルコールが残っている状態ではトラックの運転ができません。
トラック運転手には運転前のアルコールチェックが義務付けられており、引っかかると業務を行えないようになっています。
アルコールが抜けるには、飲酒から最低でも8時間は必要です。
トラック運転手は長時間労働になる傾向にあり、朝早くから夜遅くまで稼働しているケースも少なくありません。
そのため、翌日も仕事があるにもかかわらず飲酒してしまうと、アルコールが抜け切らないまま出勤する羽目になってしまうのです。
翌日が休日でないかぎりアルコールを楽しめないのは、酒好きのドライバーにとってつらいことであるといえるでしょう。
6)長距離の運転がきつい
長距離の運転がきついと感じることも、理由として挙げられます。
とくに長距離ドライバーは、一度の配送で500km以上もの距離を運転することがあります。
いくら運転が好きで苦にならなくても、頻繁にそれだけの距離を走っていれば疲労が溜まってしまうでしょう。
長時間運転し続けることで、エコノミークラス症候群のリスクもあります。
また、集中力が続かなくなると、事故の危険性も増してしまいます。
とはいえ急ぎの場合はなかなか休憩もとれないため、無理して運転を続けてしまうドライバーも少なくありません。
7)仲間からのいじめがきつい
「きつい」と言われる理由のひとつは、仲間からのいじめです。
トラック運転手は、基本的にひとりで黙々と仕事をします。
そのためあまり人間関係が問題にならないイメージが強いですが、社内の配車係や協力会社、積み込み先からのいじめに悩まされているドライバーもいるようです。
たとえば配車係からは、古い車両や運転しづらいと避けられがちな車両を割り当てられたり、ほかよりも配送先が遠い案件や荷物の積み下ろしがきつい案件ばかりを振られたりといったケースがあります。
協力会社からは嫌がらせや悪口、積み込み先からはほかの会社の積み込みを優先され、後回しにされてしまうなどさまざまです。
真面目で温厚なドライバーやNOと言えない気弱なドライバーなどが標的になってしまう場合もありますが、普段から無愛想で態度が悪いなど、ドライバー本人が問題となるケースもあります。
8)社会からのイメージが悪いのがきつい
社会が持つトラック運転手のイメージが悪いことに、「きつい」と感じている人もいるようです。
たとえばネット上では、トラック運転手のイメージについて以下のような書き込みが見られます。
- 態度が悪い
- 口調が荒い
- 乱暴な運転をしがち
- いかつい
- 愛想が悪い
- 学歴がない、何もできない人がやる仕事
- 社会の底辺
実際は、トラック運転手がいなければ物流が止まってしまうため、トラック運転手はなくてはならない職業です。
トラック運転手に対して心ない発言をしている人にかぎってネットショッピングをよく利用している傾向にありますが、注文した荷物が無事手元に届くのも、トラック運転手の存在があるからです。
しかし、態度や言葉遣いが悪いドライバーが存在するのも確かであり、社会が持つトラック運転手のイメージがなかなか払拭できない現実があります。
9)将来性に不安があり、きつい
トラック運転手の将来に不安を感じている人もいるようです。
トラック運転手は、老後もずっと続けていけるような仕事ではないためです。
現在トラック運転手の高齢化が問題視されており、実際に高齢の運転手もいます。
しかし、そこから10年、20年と同じ生活を続けていくのは難しいでしょう。
若い人でも、長時間の運転は体に負担がかかります。
高齢であれば長年培ったスキルはあっても、体力が続きません。
また、事故に遭うリスクも高くなってしまいます。
2024年問題によるトラック運転手への影響は?
2024年問題の影響で、トラック運転手の収入が減少するおそれがあります。
2024年問題とは、トラック運転手の時間外労働に年間960時間の上限が設けられることで起こる、さまざまな問題のことです。
これまで時間外労働を積極的に行っていた場合、労働時間が短くなった分の収入の減少が予想されます。
それだけでなく、離職やさらなる人手不足にもつながるとして懸念されています。
10)事故のリスクが高いのがきつい
事故のリスクが高いところも、きついと思われやすいポイントです。
トラック運転手は運転が長時間におよぶため、ほかの職業に比べて事故に遭いやすいというデメリットがあります。
さらに長時間労働によって疲労が溜まり、眠気や判断力の低下を招くおそれがあります。
事故は、運転中だけの事故だけではありません。
荷物の積み下ろしの際に転倒や転落、挟まれるといったアクシデントに見舞われる可能性や、運転中に脳梗塞や心筋梗塞などを引き起こす危険性もあります。
トラック運転手は、危険と隣り合わせの仕事であるといえます。
女性ならではのトラック運転手がきつい理由
公益社団法人全日本トラック協会が公表している「日本のトラック輸送産業 現状と課題2022」によると、84万人いるトラック運転手のうち、女性はたった3.5%であるとのデータがあります。
なぜ、これほどまでに女性ドライバーが少ないのでしょうか。
ここでは、女性のトラック運転手が「きつい」と感じる、女性ならではの理由について解説します。
出典:日本のトラック輸送産業 現状と課題2022|全国トラック協会
自由にトイレに行けないのがきつい
女性のトラック運転手が「きつい」と思う理由のひとつは、自由にトイレに行けないことです。
トイレの問題については男性ドライバーにも同じことがいえますが、女性の場合はさらに切実です。
人によってはまったく気にならない人やうまくコントロールできる人もいますが、女性は生理の問題や体の構造上トイレが近くなりやすいなど、トイレに関する悩みが生じやすい傾向にあります。
コンビニに寄ってトイレを借りることもできますが、到着時間を考えるとそう何度も寄れません。
トイレを気にして運転に集中できない可能性もあるため、人によってはきついと感じるかもしれません。
日焼け対策がきつい
日焼け対策のきつさも理由のひとつです。
車内にいればそれほど紫外線を気にする必要はないと思いがちですが、紫外線の多いシーズンに長時間運転しているとあっという間に日焼けします。
とくに腕や首筋は日焼けしやすいため、きちんと対策しないとすぐに真っ黒になってしまいます。
日焼け止めや腕カバー、ネックカバーなどは欠かせません。
中には、窓にUVカットのフィルムを貼っているドライバーもいます。
ただし、対策をしても100%日焼けを防ぐことは不可能です。
そのため、美容に気を遣っている人には耐えられない可能性があります。
トラック運転手は「楽すぎ」「儲かる」という意見も?
トラック運転手はきついと言われることが多い中、「楽すぎ」「儲かる」といった意見もあります。
中には「仕事が楽すぎて笑える」「慣れたら楽すぎ」という人や、「毎日が繁忙期」といえるほど稼いでいるドライバーもいるようです。
所属する運送会社やトラック運転手が天職であるかどうかなどにもよりますが、きつさについては、仕事に慣れて「当たり前」になればある程度感じなくなるでしょう。
また、儲かるかどうかについても、待遇のよい運送会社や案件をうまく見つけられれば、稼いでいける可能性があるかもしれません。
トラック運転手に向いている人の特徴
トラック運転手の仕事には向き不向きがあります。
トラック運転手に向いている人の特徴は以下のとおりです。
- 長時間の運転が苦にならない人
- 気が長く、イライラしにくい人
- 体力がある人
- 集中力がある人
- ひとりで過ごすことが好きな人
トラック運転手は労働時間のうちほとんどを運転時間に費やします。
1日の労働時間は16時間まで延長できるため、延長すれば朝から晩まで車内で過ごすことになります。運転が苦になる人では続けていけないでしょう。
渋滞に巻き込まれたり集荷先で待たされたりといったことも発生するため、短気な人には向きません。
また、長時間の運転には体力や集中力も必要です。
そのほか、ひとりで過ごすことが好きな人にも向いています。常に誰かと話していないと気が済まない人や、ひとりでイレギュラーに対応できない人には不向きかもしれません。
運送の仕事なら軽貨物ドライバーもおすすめ◎
トラック運転手は、きついと言われることが多い仕事です。
人によっては「楽」だと感じる場合もありますが、体を壊したり精神的に病んでしまったりするケースは少なくありません。
運送の仕事をしたいなら、軽貨物ドライバーもおすすめです。
軽貨物ドライバーにもいくつか種類がありますが、たとえば宅配なら個人宅や企業を回り、AmazonやZOZOTOWN、メルカリなどの荷物を配達します。
労働時間のうちの大半を車内で過ごすことになる点はトラック運転手と同じですが、走行距離はトラック運転手よりもはるかに短く、夜通し走ることもありません。
決して楽な仕事ではありませんが、配った分だけ稼げる歩合制を採用している運送会社が多く、頑張り次第では大きく稼げる可能性もあります。
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