西濃運輸は業界の中でもトップクラスの規模を誇る運送会社です。
ドライバー職で転職先を探している方の中には、西濃運輸が選択肢に入っている方もいるでしょう。
西濃運輸はトラック輸送では最大手と言われており、そこで働く従業員や顧客からさまざまな意見もあります。
この記事では、西濃運輸のドライバー職が「やばい」と言われる理由に着目し、実際の顧客やドライバーの声を交えて紹介します。
また、西濃運輸のドライバー職のポジティブな面や2024年問題に対する同社の取り組みにも触れ、総合的な視点で解説します。
そもそも西濃運輸ってどんな会社?
まず、西濃運輸がどのような会社なのかを詳しくみていきましょう。
西濃運輸の基本情報
西濃運輸は岐阜県大垣市に本社を置き、2005年に設立された物流会社です。
「カンガルー便」のブランド名で知られ、2024年4月時点で全国に188カ所の拠点を展開しています。
また、企業間物流において最大手としての地位を確立しています。
西濃運輸の株主であるセイノーホールディングス株式会社は、1930年創業の歴史ある会社であり、輸送事業はもちろん、自動車販売事業・物品販売事業・不動産賃貸事業など手がけている事業は多岐にわたります。
その中で輸送事業の中核を担うのが西濃運輸です。
出典:
会社概要|西濃運輸
SEINO HOLDINGS COMPANY INFORMATION|セイノーホールディングス株式会社 輸送グループ
会社概要|セイノーホールディングス
株主の皆様へ|セイノーホールディングス
西濃運輸のドライバーの種類
西濃運輸では、主に3つのドライバー職種が用意されています。
それぞれに異なる役割があり、担当する業務や車両の種類も異なります。
- 路線乗務員職
- セールスドライバー職
- 軽貨物の委託ドライバー
路線乗務員職とセールスドライバー職は正社員であり、軽貨物の委託ドライバーは個人事業主です。
また、運転車両は大型トラックから2トン・4トントラック、軽貨物車両とさまざまです。
それぞれの仕事内容については、次章で解説します。
西濃運輸のドライバー職の仕事内容
ここでは、西濃運輸における3種類のドライバー職の仕事内容について詳しく解説します。
路線乗務員
路線乗務員は、主に大型トラックのドライバーとして働く正社員です。
固定ルートの定期便を担当するため、シフト変更が少なく、休日もほぼ一定です。
勤務時間も固定されているので生活リズムも安定しやすい傾向にあります。
月給は勤務地によって約25〜50万円と幅がありますが、固定給に加えて細やかな手当が支給されることが魅力です。
給与や仕事量が安定している点も、路線乗務員の魅力といえるでしょう。
また、大型トラックドライバー以外にも、タンクローリー運転手や大型トレーラードライバーといった職種もあります。
出典:全国の西濃運輸 ドライバー求人(正社員・アルバイト)情報一覧 大型ドライバー(正社員)|西濃運輸
セールスドライバー
セールスドライバーは、2トン・4トントラックを運転する正社員ドライバーです。
西濃運輸の「カンガルー便」トラックに乗務して、担当エリア内での配達と集荷業務を行います。
さらに、新規顧客開拓などの営業活動も担当します。
月給は勤務地によって約19〜42万円と幅がありますが、安定した収入が見込めるでしょう。
また、正社員のセールスドライバーのほかにも、契約社員として働く集配ドライバーや、引越部門スタッフといった職種もあります。
出典:全国の西濃運輸 ドライバー求人(正社員・アルバイト)情報一覧 セールスドライバー(正社員)|西濃運輸
委託ドライバー
委託ドライバーは、基本的に自身の車両で配達を行い、さまざまな案件に対応します。
例えば、封書や段ボールといった一般的な荷物を配達する案件では、月収約35〜80万円が見込めます。配達先はほとんどが法人であり、オフィス・倉庫・工場が9割、個人宅が1割程度です。
また、インターネットで購入された家具を個人宅へ届ける案件もあります。この場合、玄関先で荷物を渡すのみで、組み立て作業は必要ありません。
家具の配送料は1,500〜3,000円で、もし組み立て作業などが発生する場合は、別途3,000〜5,000円が支給されます。
なお、AT限定免許でも問題なく勤務できます。
【ドライバー向け】西濃運輸が「やばい」と言われる理由
企業間物流で有名な西濃運輸ですが、転職を考える際にはネガティブな噂も気になるところです。
実際、ドライバー目線で「やばい」と言われる理由が何なのか、その原因について詳しく探っていきます。
仕事量と給与が見合わないから
西濃運輸の給与は、一見安定しているように見えます。
しかし、仕事量の多さや休日の少なさを考慮すると、十分な報酬と感じていないドライバーも少なくありません。
実際、年収は職種や年齢、勤続年数によって異なります。
求人サイト「enエンゲージ」のデータによると、西濃運輸の平均年収は428万円で、回答者188人の年収範囲は210〜700万円です。
経験を積むと給与は上がる傾向があるものの、新入社員や若手ドライバーの場合、歩合給を増やしたり、上司からの評価を上げたりする必要があります。
また、勤務地や配属される支店によっても給与には差が生じるため、待遇面に不満を抱くことが多いのが現状です。
このため、長期的なキャリアを見据えた際に、不安材料と考えるドライバーもいるようです。
出典:西濃運輸株式会社の年収データ|enエンゲージ
上司とのトラブルが常態化しているから
西濃運輸では、上司からのハラスメントが常態化しているとの声が一部で上がっています。
こうしたハラスメントが原因で、訴訟に発展した事例も報告されています。
例えば、大阪府摂津支店で2007年から勤務していた男性ドライバーは、月平均120時間もの残業をこなしていました。
繁忙期には190時間に達することもあり、過酷な労働環境に置かれていたようです。
さらに、業務中の交通トラブルでは、身に覚えのない事故を上司から認めるよう強要されたとのこと。
納得できないまま従うも厳しい叱責を受け、その後3日間、炎天下での草むしりを命じられて、最終的には重度のうつ病を発症しています。
また、神奈川県内の支店に勤務していた事務職の男性も、サービス残業の強要や退職願の受理拒否に苦しんでいました。
男性は自ら命を絶つこととなり、このような問題が西濃運輸の職場環境の課題として浮き彫りになっています。
参考:
西濃運輸事件 大阪地裁で和解―長時間労働に「事故申告強制」「土下座・草むしり強要」等のパワハラで重度うつ病|民主法律協会(民法協)
退職届受理せず毎日12時間以上の労働を強要|物流タイムズ
拘束時間が長いから
ほかの業種に比べて物流業界は全般的に拘束時間が長い傾向にありますが、西濃運輸も例外ではありません。
特に、西濃運輸は長距離輸送を多く手がけており、従来は600kmを超える運行も頻繁にありました。
例えば、愛知県から福岡県までの約930kmの輸送では、運転時間だけでも約14時間を要します。
さらに、ドライバーの拘束時間には、運転以外の荷待ちや荷役作業も含まれます。
業界全体の人手不足により、1人あたりの業務負担が増加し、その結果、長時間の拘束を余儀なくされる状況にあるといえるでしょう。
ただし、西濃運輸では2024年問題におけるマイナス面の緩和のために、さまざまな対策を講じています。具体的な内容は後述します。
出典:物流事業者、荷主、消費者それぞれがやるべきことは?|西濃運輸
物販ノルマが厳しいから
西濃運輸では、依然として物販ノルマが課されているという声があります。
面接時にはノルマについての具体的な説明がなく、入社後に初めてその実態を知るケースもあるようです。
このノルマは年に数回課され、達成できない場合は自費で購入しなければならないこともあります。
年間での支出は10万〜15万円にも及ぶこともあり、給与に影響を与えることから負担に感じるドライバーも少なくありません。
辞めたいと感じるドライバーが少なくないから
ドライバーが辞めたいと感じる理由には、過酷な労働環境と低い給与体系が挙げられます。
2023年10月のセイノーホールディングス株式会社の資料では、西濃運輸の離職率は6.8%で、業界平均の9.4%を下回っています。
しかし、依然として退職を検討するドライバーは少なくありません。
労働環境が厳しく、基本給が低いうえに歩合制が導入されているため、安定した収入が得づらいという声もあります。
出典:
2024年問題がもたらす影響とセイノーHDの企業価値向上に向けて|セイノーホールディングス株式会社 経営企画室
令和5年雇用動向調査結果の概況|厚生労働省
顧客からの「西濃運輸はやばい」という声も
ここでは、一般顧客の視点で、西濃運輸ドライバーに関するネガティブな内容を紹介します。
西濃運輸は大手物流会社でありながら、顧客からトラブルや不満の声が多く寄せられています。特に、配達の遅延やドライバーの対応に関する問題が目立ちます。
例えば、「配達が指定時間に行われない」「再配達の依頼に対する対応が遅い」といった不満があります。
また、「ドライバーが挨拶をしない」「無視する」などの対応に不快感を覚える顧客も……。
こうしたトラブルは、西濃運輸の評判に悪影響を与え、顧客がほかの運送会社を選ぶ原因にもなっているようです。
西濃運輸のドライバー職に関する評判
ここでは、西濃運輸のドライバー職に関する評判について、実際のドライバーや一般の声を紹介します。
まず、ネガティブな意見です。
同業のトラックドライバーからは、西濃運輸のドライバーの運転が荒いという声が聞かれています。
また、働き方改革が進むなか、2024年4月時点でも依然としてパワハラ体質が残っているとされ、職場環境への不満が出ているようです。
一方で、ポジティブな意見も存在します。
配慮ある運転や届け先への気配りの行き届いた対応から、西濃運輸ドライバーのプロ意識を評価する声もあります。
一方で、西濃運輸の仕事には「楽しい」という声も
西濃運輸の仕事には、ネガティブな意見がある一方で「楽しい」という声もあります。
特に、同業他社から転職してきたドライバーの中には、西濃運輸での働きやすさを実感している方も少なくありません。
その理由の1つは、西濃運輸にはドライバーに直通電話がない点です。
例えば、ヤマト運輸や佐川急便のドライバーは不在票に直通電話番号が記載され、顧客から直接の問い合わせが頻繁にあります。
しかし、西濃運輸のドライバーはそのような負担を回避できるため、運転や配達に専念でき、顧客からの連絡に対応する必要もありません。
さらに、西濃運輸は主に企業相手の仕事が多いため、相手先の営業時間に合わせて働けます。
そのため、常識的な労働環境で働ける点も評価されています。
西濃運輸の2024年問題に対する取り組み
物流業界全体が直面している「2024年問題」ですが、西濃運輸もこの課題に積極的に取り組んでいます。
ここでは、西濃運輸が行っている具体的な対策について紹介します。
2024年6月に運賃値上げを実施
西濃運輸は2019年以降、運賃の値上げを実施していませんでしたが、2024年6月に運賃の引き上げに踏み切りました。
今回の値上げにはリスクも伴いますが、燃料費の高騰や従業員の労働環境改善を支えるための措置とされています。
この取り組みが、今後のサービス向上やドライバーの働きやすい環境づくりにつながることが期待されています。
出典:西濃運輸についてのお知らせ|西濃運輸
長距離運行便の見直し
西濃運輸では、600km以上の長距離運行便の40%を、トラックから鉄道や船舶などへモーダルシフトしました。
働き方改革関連法の影響で時間外労働管理が厳格化されたため、トラックドライバー1人が輸送できるエリアが限定されることへの対策です。
この取り組みにより、1日あたり約130トン、つまり大型トラック13台分の荷物を鉄道輸送に変更しています。この結果、年間約1,050トンのCO2削減が実現しています。
また、荷下ろし作業は現場作業員が担当するため、ドライバーの作業時間も軽減できました。
さらに、貨物を積んだトラックやシャーシ(荷台)ごと輸送するRORO船の導入により、ドライバーの運転時間と拘束時間は約87.5%削減できたとされています。
これらの取り組みは、輸送効率や積み込み作業の向上にも貢献しています。
出典:物流事業者、荷主、消費者それぞれがやるべきことは?|西濃運輸
高待遇の軽貨物求人を探すなら「ハコボウズ」!
西濃運輸は企業間物流の最大手であり、ドライバー職への転職を考える際の有力候補の1つです。
しかし、同社に対しては、物販ノルマのきつさやパワハラに関するネガティブな評判もあります。
とはいえ、規模の大きな会社ではこのようなネガティブな意見が出てくるのはよくあることです。反対にポジティブな意見も多いことを考えると、1人ひとりがその仕事や会社に合っているかがポイントだといえるでしょう。
ドライバー職にはさまざまな種類がありますが、EC需要の拡大から需要が伸びているのが軽貨物ドライバーです。
ハコボウズは軽貨物専門の求人サイトとして、運送会社と軽貨物ドライバーのマッチングプラットフォームの役割を担っています。
現役の運送会社が運営しているサービスなので、ドライバー採用の実態にも精通しており、軽貨物求人にありがちな誇大広告・虚偽広告などは徹底的に排除しています。
求人の閲覧から応募、内定から入社まで完全無料で利用できますので、軽貨物の案件が気になった方は一度サイトを覗いてみてくださいね。