軽貨物ドライバーになるのは「やめとけ」と言われることがあります。実際に軽貨物の仕事を辞める人も少なくありません。
この記事では、軽貨物の仕事を辞める理由として、代表的な3つを実際のドライバーの声を参考に解説していきます。
なお、本記事では軽貨物ドライバーのなかでも、運送会社と業務委託契約を締結して配達する委託ドライバーに焦点を当てます。
具体的な業務委託ドライバーの仕事内容も紹介するので、軽貨物ドライバーとして働くか迷っている方は参考にしてくださいね。
軽貨物の仕事を辞める人は多い?
軽貨物の仕事に対して「自由に働けて、高収入を得られる」というイメージがある方も多いのではないでしょうか。
個人事業主の軽貨物の働き方には、主にフリーランスと業務委託があります。
業務委託ドライバーに限っていえば、すぐに辞める人も多く、定着率は決して高くありません。
また、辞めた後のアクションは主に以下の3つに分けられます。
- 契約先の運送会社を変える
- アマゾンフレックスやピックゴーなどのフリーランス案件に変える
- 軽貨物業自体から撤退する
状況や事情によって、軽貨物業自体を辞めるのか、その案件から手を引き、別の案件を探すのかは異なります。
【軽貨物を辞める人が多い本当の理由1】配達の仕事が思ったよりきつい
配達の仕事と聞くと、「荷物を住所通りの場所へ配達するだけなので単純な業務では?」と思われがちです。
しかし、実際に軽貨物ドライバーの仕事に携わると、思っていたよりもきついと感じる場面が多くあります。
この章では、リアルな軽貨物の仕事内容をもとに、どういったきつさがあるのか紐解いていきましょう。
軽貨物ドライバーの仕事内容
軽貨物ドライバーの1日の流れの一例を以下の表にまとめました。
7:30 | 配達営業所 ・センターへ出勤 |
7:30~8:40 | 仕分けられた担当荷物を携帯アプリへ入力 ・車両へ積み込み ・配達ルート確認 |
8:40 | 午前配達スタート |
13:30 | 配達営業所 ・センターに戻る |
13:30~14:30 | 持ち戻り荷物の積み下ろし ・昼食 ・午後指定や指定なしの荷物の積み込み |
14:30 | 午後配達スタート |
17:00 | 配達営業所 ・センターに戻る |
17:10~17:50 | 夜間指定荷物の積み込み |
18:00 | 夜間配達スタート |
20:00~20:50 | 配達営業所 ・センターに戻り、締め作業 |
21:00 | 業務終了 |
上記は一例に過ぎないため、全体の荷物量や夜間指定の荷物が少なければ、早く上がれることもあります。
1日の流れにおいて、委託ドライバーと正社員ドライバーの異なる点は決められた休憩時間の有無です。
例えば、ヤマト運輸の正社員ドライバーは、働き方改革の労働環境改善の点から13:00~14:00の時間帯では休憩が必須となっています。
一方で、委託ドライバーにはこのように決まった時間が確保されていません。
ドライバーごとに適宜休憩をとる権利はありますが、実際に稼働しているとまとまった昼休憩がとれないまま、朝から夜遅くまで働き詰めとなってしまうことも多くなります。
荷物量の少ない日もありますが、タイトなスケジュールで1日12時間以上拘束されるのも珍しくありません。
これを週5日ペースで行えば、当然肉体的な疲労が溜まってくるでしょう。
荷物を1日に100個運ぶのは普通?
一般的な軽貨物ドライバーの平均配達個数として、1日100個は普通です。
配達スキルを身に付けたうえで、以下の条件が揃えば1日に150〜200個の配達も不可能ではありません。
- 土地勘のある慣れたエリアを担当する
- 不在のお宅が少なく、1発で配達完了できる
- 同じ宛先に複数個数の荷物がある
- 1件だけ離れているような組みにくい配達ルートではない
- 天気に恵まれる
ヤマト運輸の委託ドライバーを例に挙げると、1日に110〜120個運ぶのが一般的です。
なかには午前中のうちに100個運んで、1日200個以上配達するスキルの高いドライバーもいるほどです。
とはいえ、配達の初心者にとっては1日100個というハードルはかなり高く感じるかもしれません。
最初から配達業務を難なくこなせる人は限られているため、経験を積んで配達に慣れるまでに辞めてしまう場合があります。
重い荷物や再配達などもきつさの原因に……
軽貨物で運ぶ荷物は、アマゾンなどのネット通販で購入された日用品やガジェットなども多く、軽くて持ちやすいものばかりでは?と考える人もいるでしょう。。
しかし、“軽”貨物といっても運ぶのに苦労する重い荷物もあります。
例えば、夏にはペットボトルの箱買いをする人が増えます。
1ケース(約12kg)だけなら大したことはありませんが、3ケース、4ケースと数が増えると負担になります。
また、危険な暑さのなか、エレベーターがない4階や5階のお宅へ配達となれば、より過酷な労働となるでしょう。
ほかにも、ウォーターサーバーの交換ボトル(約24kg)やコピー用紙(約20kg)、アマゾンフレックスでは運ばない大きなサイズなど、重量物は案外多く存在します。
また、荷物の再配達もドライバーを苦しめるポイントの1つ。
不在の荷物の再配達は二度手間です。委託ドライバーは配達が完了しないことには収入にならないのに加え、再配達に伴う労力やガソリン代は負担でしかありません。
【軽貨物を辞める人が多い本当の理由2】思ったより稼げない
軽貨物に興味をもった人のなかには、求人広告で「未経験でも50万稼げる」などと目にして、簡単に稼げる仕事だと感じたから、という人もいるのではないでしょうか。
しかし、実際に高収入を得ているドライバーは一握りです。
ここでは、軽貨物ドライバーが思ったより稼げないと感じる具体的な状況について、詳しくみていきましょう。
軽貨物ドライバーの手取りは意外と少ない
「未経験でも50万円稼げる」などの目を引くフレーズ。ここでいう50万円は、あくまで総売上の話です。
個人事業主である業務委託ドライバーは売上から経費や手数料、税金を支払う必要があるため、手取りとして残るお金は案外少なくなります。
業務委託ドライバーの売上から引かれる可能性のある経費項目は、主に以下のとおりです。
- (購入している場合)軽バンの購入費用(減価償却費用)
- ガソリン代
- オイル・フィルター交換代
- タイヤメンテナンス代
- 車検代
- 駐車場代
- 自賠責保険・任意保険
- JAF年会費
- 国民健康保険料
- 国民年金保険料
- 所得税・住民税・個人事業税
個人事業主は、国民健康保険料と国民年金保険料を全額自己負担し、確定申告から自身で税金を納める必要があります。
たとえ50万円稼げたとしても、給与明細を確認するとさまざまな費用が減算されているはずです。
そのため、正社員の額面付与の感覚で月収を捉えると、個人事業主である業務委託ドライバーは思ったより手取り収入が少ないと感じるかもしれません。
業務委託ドライバーはロイヤリティが引かれる
業務委託ドライバーのほとんどは、売上からロイヤリティが引かれます。
軽貨物のロイヤリティとは、軽貨物ドライバーが請負元の運送会社に支払う業務委託手数料です。
請負元の運送会社は、以下のようなさまざまな業務をドライバーに代わって対応するため、業務委託ドライバーにロイヤリティを請求しています。
- 営業費用
- 所属ドライバーのシフト管理
- 新人教育
- 事務手続き
- クレーム対応
- 事故対応
軽貨物のロイヤリティの相場は、売上の約10〜15%程度です。
請負元の運送会社によって異なりますが、一般的な基準相場として把握しておきましょう。
ロイヤリティは、先述した経費項目とは別で総売上から差し引かれます。
ロイヤリティなしの案件は収入が安定しにくい
「ロイヤリティを支払いたくないなら、ロイヤリティなしの案件を受ければよいのでは?」と考える人もいるでしょう。
例えば、アマゾンフレックスでは、ロイヤリティが発生しません。
しかし、アマゾンフレックスでは、自分でオファーを獲得する必要があります。
配達員の多い人気エリアでは競争率が高く、そもそも仕事が取れないといった事態に陥ることもしばしば。
そのため、ロイヤリティなしの案件は収入が安定しにくいデメリットも併せもつと理解しておく必要があります。
稼げる人と稼がない人の差は大きい
業務委託ドライバーは稼げる人がいる一方で、稼げない人もいます。月収50万円以上のドライバーもいれば、10万円のドライバーもおり、その差は大きいといえます。
稼げる人の特徴は、仕事に対する熱心さと肉体的・精神的なタフさがあること。
効率的に配達するために正社員ドライバーと積極的に情報交換して良い人間関係を構築しています。
また配達の際は走って移動したり、配送ルートを工夫したりといった努力も欠かしません。
対して、稼げない人は、「1時間に20個配達する」といった時間の意識が低かったり独りよがりな働き方をしたりという特徴をもちます。
また、委託元の運送会社や、契約条件によっても稼ぎには差が出てきます。歴のあるドライバーであれば、案件の相場を把握していますが、初心者からすれば採用されたところでとりあえずやってみる、という方も多いでしょう。
運送会社のなかには、手数料率が高かったり、仕事を回さなかったりといった悪質なところもあるので、応募の際はある程度の目利きが必要です。
【軽貨物を辞める人が多い本当の理由3】思ったより自由度が低い
個人事業主として働く軽貨物ドライバーに自由度を求めている方も多いでしょう。
しかし、委託ドライバーとして安定収入を得ていくためには、拘束される部分も多く、ある程度、会社員的な働き方を強いられます。
具体的なケースについて、それぞれ詳しくみていきましょう。
軽貨物の仕事は基本的に休めない
委託ドライバーの稼働は基本的に運送会社が管理するシフト制であるため、相当な理由がない限り、簡単には休めません。
自分自身の体調不良や家庭の事情で出勤しづらい状況であっても、当日代わりの人を立てるよう求められます。
急遽欠勤となれば、本来配達するはずの担当エリアを正社員ドライバーやほかの業務委託ドライバーにカバーしてもらうことになります。
個人事業主といっても仕事に穴をあけると、周りへの負担が増え、あなたへの信頼を傷つけることにもなりかねません。
悪質な運送会社では「違約金あり」「辞められない」ケースも
悪質な運送会社と契約してしまうと、辞める際にトラブルが発生することもあります。
業務委託契約書に記載された期間内に契約を解除すると、違約金を支払う義務が生じる可能性もあるでしょう。
ただし、労働基準法第16条においては、以下のように明記されています。
「使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。」
出典:労働基準法(賠償予定の禁止)第十六条|厚生労働省
しかし、個人事業主は労働者の定義に該当しないため労働基準法が適用されず、違約金や辞められないトラブルも相次いでいます。
こうなると退職代行サービスを提供している弁護士に相談するなどして、悪質な運送会社との契約解除方法を探らなければなりませんが、ただ辞めたいだけなのに負担が大きいですよね。
これを避けるには、契約時に退職の取り決めについて事前に把握しておくことが重要です。
自由度が高い案件は本業には不向き
アマゾンフレックスやフードデリバリーなどは、前日ないしは当日の好きなタイミングで仕事を見つけて稼働できる仕事です。
シフト制でないため、好きなときに働けるという点から自由度が魅力ですが、収入の安定性は低いといえます。
アマゾンフレックスやフードデリバリーはその日の仕事を都度獲得していかなければならず、毎日の仕事が確約されているわけではありません。
直近1カ月の仕事が約束されている業務委託ドライバーとは、収入の安定性に圧倒的な違いがあります。
自由度の高さを求めると、本業として生活を成り立たせることは難しくなることを覚悟しておきましょう。
軽貨物を辞める理由に共通していることは?
軽貨物の仕事を辞める主な理由は、配達の仕事がきついこと、稼げないこと、自由度が低いことです。
これらに共通していることは、軽貨物の仕事のイメージと実態にはギャップがあることです。
軽貨物ドライバーに挑戦する前に実態を把握しておくことで、認識のギャップを埋められるので、「こんな仕事だと思わなかった」と後悔しにくくなるはずです。
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軽貨物ドライバーが仕事を辞める本当の理由を紹介しました。記事を読んでネガティブな印象を持った方も多いでしょう。
しかし、必ずしもすべての案件が、記事で紹介したようなマイナスな要素に該当するわけではありません。
軽貨物(業務委託)の仕事のメリットは以下をはじめたくさんあります。
- 出来高制のため、ガッツリ稼げる
- シフトなど、ある程度の縛りはあるが、配達中は基本1人稼働なので人間関係の煩わしさが少ない
- 営業の必要がなく、安定して仕事を回してもらえる
このようなメリットを享受するには、運送会社選び(案件選び)が特に重要です。
軽貨物ドライバーの働きやすさは、委託元の運送会社によってほぼほぼ決まると考えておいてもよいでしょう。
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