軽貨物ドライバーの仕事をしていく上で、避けては通れない問題点があります。
それは、荷物の「再配達問題」です。
今回は軽貨物ドライバーを長年悩ませてきた荷物の再配達問題について、
- 軽貨物ドライバーの再配達問題とは
- 再配達問題の原因
- 再配達問題解消策
といった点を中心にご紹介していきましょう。
軽貨物ドライバーの再配達問題とは
軽貨物ドライバーを悩ましている再配達とは、荷物の届け先の住民や担当者が不在のため、一度戻り、届け先の受け取り手がいるときに再度届けなくてはならないということをいいます。
今に始まったことではなく、昔から荷物の再配達は軽貨物ドライバーを悩ましてきました。
近年では、様々な理由により、より一層再配達が問題視されてきています。
なぜ再配達が問題視されているのでしょうか?
軽貨物ドライバーを悩ます再配達の問題について、以下の点を中心にご説明していきます。
- 再配達が軽貨物ドライバーの負担に
- 再配達しても軽貨物ドライバーに支払われる賃金は不変
- 配達荷物の増加・多種多様なライフスタイル
再配達の問題について、上記のそれそれの点についてより詳しくご紹介していきましょう。
再配達が軽貨物ドライバーの負担になっている
国土交通省が発表した令和2年10月の調査結果[1]によると、宅配便再配達率は約11.4%となっています。
荷物の再配達は軽貨物ドライバーにとって大きな負担となっています。
ほとんどの軽貨物ドライバーはその日の荷物の届け先を事前に確認し、経路設計をしてから配達に向かいます。
ですので、再配達があると、その日のうちの荷物を配り終えてから、再度向かうこともありますし、別の日にまた届けることに。
再配達が1件だけということはなく、数件になってしまうので、より一層負担が増していくでしょう。
同じところに同じ荷物を配送するという手間は、一般の人が思っている以上に軽貨物ドライバーの負担になっているのが現状です。
再配達しても軽貨物ドライバーに支払われる賃金は変わらない
実は、再配達をしても軽貨物ドライバーには1件分の配送料しか支払われません。

配達荷物の増加
今や、通販で買い物をするということが当たり前の時代になってきています。
当たり前になっているということは、その分の、通販サイトで購入した荷物の配送量が非常に増えているということでもあるでしょう。
その結果、荷物が多くなり、配送自体の負担が増しているのが現状です。
配送の量が増えたことで、比例して再配送の量が増加しているということを忘れてはなりません。
多種多様なライフスタイル
社会人の働き方や働く時間帯も業種によって様々になってきているのが現代社会でしょう。
人々のライフスタイルが多種多様になってきていることで、再配達が増えてしまっています。
軽貨物ドライバーは配達先がどのような時間帯で働いているかなどはもちろん知りません。
指定された時間や、配達の経路的に配りやすい時間に配達するため、配達先が不在ということも発生してきています。
一定の時間に家にいることも少なくなってきているため、配達先が不在である確率も増加している点も軽物ドライバーを悩ませている点です。
人々のライフスタイルの変化を止めることもできませんので、社会全体で考えていかなければならないと言えるでしょう。
再配達問題の4つの原因
再配達の問題点についてご紹介していきましたが、なかなか軽貨物ドライバー個人の努力では解決が難しい問題もあります。
そもそも再配達が起こってしまう根本的な原因があるのではないでしょうか。
再配達が起こってしまう根本的な原因について、以下の点をご紹介していきます。
- 手渡しという日本の配送文化
- 不在な時間帯での配送
- 電話1本で再配達の依頼が可能
- 配達先の個人的事情
上記の再配達の根本的な原因について、それぞれご紹介していきましょう。
①荷物を手渡しするという日本の配送文化
日本の軽貨物配送の基本は軽貨物ドライバーが手渡しで届け先に荷物を届けるのが文化になっています。
ですので、荷物の配送先の相手がいないことには渡すことができません。
「手渡しをしなければならない」という縛りが再配達を問題化しているという考えもあります。
Amazon Flexは置き配に対応しているため、軽貨物ドライバーから人気となっています。
アマゾンフレックスのメリットとデメリットについてはこちらの記事で詳しく解説しています。
②家に不在な時間帯に配送
配送先が不在な時間に配送してしまうから、届けることができず、再配達になるということは言わなくても当然でしょう。
配達先の人がいる時間に的確に配送できれば、再配達が問題となることもなくなるため、軽貨物ドライバーの負担を大幅に減らしていくことができるのではないでしょうか。
③電話1本で再配達が依頼できてしまう
再配達が電話1本で依頼できるという手軽さも再配達を多くしてしまっている原因だと言われることもあります。
手軽に再配送を依頼できるのは荷物を受け取る方にとっては非常にありがたいサービスでしょう。
ですが、軽貨物ドライバーの負担によってなし得ているサービスだということは忘れてはなりません。
④配達先の個人的事情
実は、居留守を使われて、再配送ということも多いのはご存知でしょうか。
入浴中だったり、単に出るのが面倒だったり、ノーメイクだから受け取りたくないなど、気づかない場合だけでなく、意図して居留守を使われてしまって再配送になるケースも多くあります。
荷物の受け取り手も再配達が軽貨物ドライバーの大きな負担になっていることを理解しておかなければならないでしょう。
再配達問題が解決する?
様々な問題や原因がある再配達ですが、ここにきて様々な解消手段が実施されてきています。
再配達問題に対してどのような対策が始まっているのかご紹介していきましょう。
- コンビニ受け取り
- 駅に受け取りBOX設置
- 個人宅やマンションへの宅配BOX設置
- 詳細な配達予定時間伝えるシステム
- 社会問題化しつつある再配達問題
上記のような再配達問題への対策が現在行われています。
再配達問題への対策についてそれぞれご紹介していきましょう。
コンビニ受け取り

コンビニ受け取りという形にすることで、配送料を無料にしたり安くしたりといったことも。
受け取り手にも利益を提示するというシステムです。
軽貨物ドライバー側も、コンビニに荷物を持っていけば良いので、不在ということもなく、効率よく配送できるというメリットがあります。
受け取りBOXが駅に!
宅配受け取りBOXが駅に設置されるようになってきています。
例えば、JR東日本では、日本郵便の「はこぽす」やヤマト運輸・佐川急便などの「PUDOステーション」と呼ばれる宅配受け取りBOXが設置され、駅で荷物を受け取って帰るということができるようになってきているのはご存知でしょうか。
不在による再配達も無くなる上、時間関係なく駅で受け取ってそのまま持って帰ることができるため、軽貨物ドライバーと受け取り手の両者にとってメリットがあります。
今後一層多くの駅に設置されるようになるのではないでしょうか。
個人宅やマンションに宅配BOXを設置する
個人のお宅やマンションに宅配BOXを設置するという方も増えてきています。
不在時にも荷物を置いておいてもらえることで、帰ってきたら荷物を受け取れるので、便利です。
軽貨物ドライバーも再配達しなくて良いので、メリットは多いでしょう。
ですが、盗難や紛失、破損の可能性もある配達方法でもあるため、宅配BOXが広く定着していくには、まだまだ課題があるのが現実です。
近年では、宅配BOXがなくても、玄関先に荷物をおいたことで宅配が完了する「置き配」というサービスも始まっています。
置き配も盗難や紛失、破損といった問題点がありますが、徐々に広まってきているため、課題が解決できたときには、当たり前の配達方法へと進化してくのではないでしょうか。
置き配についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
配達予定時間を詳細に伝えるシステム
配達予定時間を詳細に伝えるシステムも構築されつつあります。
例えば、「ヤマト運輸のクロネコメンバーズ」。
メンバー登録することで、配達予定時間がスマホに連絡されます。
さらに、配達時間や場所の変更も可能なため、今後当たり前となっていくサービスになるのではないでしょうか。
再配達問題が社会問題化しつつある
様々な情報番組やニュース番組で、軽貨物ドライバーを悩ませてきた再配達の問題がとりあげられることも多くなってきました。
業界内だけで共有されていた問題が、一般社会での問題点へとなっていくことで、周知徹底され、多くの人が理解し、解決に向けて流れが変わっていくのではないでしょうか。
今後も情報番組やニュース番組で再配達問題や対策が取り上げられることもあると思いますので、世の中の動きをしっかりと見ていく必要があると言えます。
まとめ:「再配達問題解消に向けて様々な業界が努力している!」
軽貨物ドライバーを長年悩ませてきた再配達問題。
様々な問題点や原因があったのはご紹介の通りなのですが、スマホの普及などもあり、対策も多く考えられており、実現しています。
今後、支持が高かった対策については、日常の中の当たり前の光景となるものも出てくるでしょう。
技術が進化していくことで解消できるということもあると思います。
今後の再配達問題解消のための対策からも目が離せません。
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[参考]
・[1]国土交通省:宅配便の再配達率は約11.4%