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運送会社の労働基準法違反事例。労働時間のルールや罰則について解説

運送業界では、長時間労働や過酷な勤務環境が問題視されており、労働基準法違反が発生しやすい業種の1つです。

特にトラックドライバーの労働時間や休息時間の管理が不適切なケースも多く、違反が常態化している企業も存在します。

この記事では、運送会社における労働基準法違反の実態や罰則、通報方法について解説します。

適切な労働環境を選ぶためにも、法的ルールや自身の権利を知ることが大切です。ぜひ参考にしてください。

目次

運送会社における労働状況の実態

運送業界では、長時間労働が常態化しており、特にトラックドライバーの負担が問題となっています。

厚生労働省のデータによると、ドライバーの年間労働時間は全産業平均より約400時間も長いとされています。

さらに、運行ごとの荷待ち時間の平均は1時間34分とされ、これが労働時間の延長につながる要因の1つです。

こうした状況が改善されなければ、2024年には約14%、2030年には約34%の輸送能力が不足すると予測されています。

参考:トラック業界の現状|厚生労働省

運送会社の8割以上が労働基準法違反

厚生労働省の調査によると、2023年に労働基準監督署が監査を実施した3,711の事業場のうち、82.2%(3,049事業場)で労働基準関係法令の違反が確認されました。

特にトラック運送業では、事業場の81.6%が違反を指摘されており、もっとも多いのは労働時間の超過です。

具体的には、全体の48.0%が労働時間違反に該当し、次いで割増賃金の未払い(19.4%)、労働時間の適正な把握ができていない(6.5%)といった問題が続いています。

労働時間規制があるにもかかわらず、長時間労働が常態化しているのが現状です。過酷な労働環境はドライバーの健康や安全だけでなく、業界全体にも深刻な影響を与えています。

参考:自動車運転者を使用する事業場に対する監督指導、送検等の状況|厚生労働省

1カ月間の平均残業時間は88.3時間

厚生労働省の調査によると、トラックドライバーの1カ月間の平均残業時間は88.3時間に達しており、バスやタクシー業種の平均を大きく上回っています。

特に運送業では月60時間以上の残業が珍しくなく、長時間労働が常態化しています。

その背景には、業界全体の人手不足や荷待ち時間の影響があり、規定の労働時間内で業務を終えるのが難しい状況です。

2024年4月からは、トラック運転者にも時間外労働の上限規制が適用されました。しかし、現在の労働環境を考えると、企業側が労働時間の適正管理や業務の効率化を進めない限り、規制の遵守は困難といえるでしょう。

参考:第3章 運送業における労働時間と働き方に関する調査|厚生労働省

運送会社でのパワハラによる事件も

運送業界では長時間労働に加え、パワハラ問題も深刻です。

特に、上司や先輩ドライバーからの暴言や厳しい指導が原因で、精神的に追い詰められるケースが増えています。

実際に、佐川急便では2021年に上司からのパワハラを受けた男性社員が自殺する事件が発生しました。

当初、会社側はパワハラを否定していましたが、その後「うそつき野郎」などの暴言が確認され、謝罪に至っています。

また、ヤマト運輸の下請け運送会社では、内部告発をきっかけに、長期間にわたる上司からの過度なプレッシャーや不当な扱いが明るみに出ました。

運送会社の労働基準法違反事例

厚生労働省の調査によると、労働基準監督署が監査した運送会社の約8割で法令違反が確認されており、特に労働時間の超過や割増賃金の未払いが多い傾向にあります。

道路貨物運送業法違反のケースでは、ドライバーに1日あたり最大11時間40分の違法な時間外労働を強いていた事業者が送検されました。

また、ある運送会社では、36協定を締結せずに長時間の時間外労働を行わせて労働基準法違反。1カ月の拘束時間が法律で定められた293時間を超えたため、改善基準告示違反として是正勧告を受けています。

参考:
最近の道路貨物運送業に係る送検事例|厚生労働省 東京労働局
自動車運転者を使用する事業場に対する監督指導、送検等の状況|厚生労働省

運送会社によくある労働基準法の違反となるポイント

先述のとおり、運送業界では労働基準法違反が多発していたため、2024年4月の改正で労働時間や休息時間のルールがさらに厳しくなりました。

ここからは、労働基準法違反とみなされるポイントを解説します。

長時間労働・違法な時間外労働

労働基準法では、1日8時間、週40時間を超える労働には時間外労働とされ、割増賃金の支払いが義務付けられています。

例えば、運行管理の面で1日16時間を超える労働が発生した場合、労働基準法違反に該当します。

本来、トラックドライバーの1日の拘束時間は原則13時間以内、最大でも15時間と定められており、14時間を超えるのは週2回までが目安です。

また、1日の運転時間が9時間を超えると、安全上のリスクが高まり、違法労働と判断される場合があります。

さらに2024年4月の法改正により、年間の時間外労働が960時間までと制限されており、違反した企業には厳しい罰則が科されます。

出典:
第三十二条の四の二|労働基準法
トラックドライバーの新しい労働時間規制が始まります|厚生労働省

休憩・休息期間の不足

6時間を超える労働では45分以上、8時間を超える場合は1時間以上の休憩を取ることが、労働基準法で義務付けられています。

また、「ドライバーの労働時間に関する法律」では、1日の休息期間は原則11時間以上、最低でも9時間を確保しなければならないと定められています。

特例として休息時間を分割できる場合もありますが、その際は1回あたり継続3時間以上、2分割の場合は合計で10時間以上の休息が必要です。

連続して分割休息を適用することは避けるべきとされ、ドライバーの十分な休息を確保するための基準が、法改正で厳格化されました。

出典:
第三十四条|労働基準法
トラックドライバーの新しい労働時間規制が始まります|厚生労働省
トラック運転者の改善基準告示|自動車運転者の長時間労働改善に向けたポータルサイト 厚生労働省

割増賃金の未払い

2024年以降は、労働時間管理の厳格化で未払い賃金の調査が強化され、違反した企業には厳しい罰則が待っています。

労働基準法では、時間外労働や深夜労働に対し、以下の割増賃金の支払いが義務付けられています。

  • 時間外労働(1日8時間・週40時間超):25%以上
  • 深夜労働(22時~翌5時):25%以上
  • 休日労働:35%以上
  • 時間外労働が月60時間を超えた場合:50%以上

しかし、運送会社の中には、これらの割増賃金を適用せず、通常の賃金しか支払っていないケースが報告されています。

また、労働時間を実際より短く見積もる「サービス残業」の問題も深刻です。

このような違反が続けば、労働者が正当な対価を受け取れず、不利益を被ることになります。

出典:
第三十七条|労働基準法
労働基準法第三十七条第一項の時間外及び休日の割増賃金に係る率の最低限度を定める政令|労働基準法

労働契約の不備・違法な業務委託契約

正規の雇用契約を結ばず、労働基準法に違反した形でドライバーを働かせるケースも問題視されています。

本来、雇用契約では労働条件や給与体系を明確にし、ドライバーに説明する義務がありますが、一部の企業では契約内容が不透明なまま、業務を委託している事例が報告されています。

特に問題なのは、個人事業主としてドライバーに業務委託するケースです。

これは「業務委託契約」という形を取ることで、企業側が労働時間の管理や社会保険の負担を回避しようとする手法です。

しかし、実際には企業の指示に従いながら働いている場合、業務委託契約ではなく「労働契約」とみなされるべきでしょう。

参考:
労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)|e-gov 法令検索
トラック運転者の労働時間等の改善のための基準 教育・研修マニュアル|厚生労働省

労働基準法と改善基準告示の違い

労働基準法と改善基準告示は、どちらも労働者の労働条件を規定する重要なルールですが、適用範囲や法的効力に違いがあります。

労働基準法改善基準告示
対象すべての労働者特に自動車運転者(トラックドライバー)
目的労働条件の最低基準を定め、労働者を保護する自動車運転者の労働環境を改善する
法的効力違反した場合は罰則が科される直接的な罰則はないが、行政指導や監督の対象となる
規定内容労働時間・賃金・休息時間などの最低基準を定めるトラックドライバーの拘束時間や休息時間の基準が細かく定める
労働基準法と改善基準告示の相違点概要

改善基準告示では、労働基準法の特例として運用され、ドライバーの健康と安全を確保するための重要な指針となっています。

運送会社が労働基準法に違反した場合の罰則・ペナルティ

運送会社が労働基準法に違反した場合、刑事罰、行政処分、未払い賃金の支払い命令などの罰則が適用されます。

違反内容ごとの罰則をまとめました。

罰則・ペナルティ罰則の詳細該当する違反内容
刑事罰(懲役・罰金)6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金・時間外労働の強要
・時間外・休日・深夜の割増賃金の未払い
行政処分(営業停止)一定期間の営業停止または車両停止命令・点呼未実施
・点検整備違反など
未払い賃金の支払い命令労働基準監督署による是正勧告、支払い命令・時間外労働手当の未払い
労働基準法違反の罰則・ペナルティ概要

刑事罰(懲役・罰金)

運送会社が労働基準法に違反した場合、6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科される可能性があります。

特に、長時間労働を強制し、ドライバーが過労による事故を起こした場合、会社の管理者が責任を問われるケースがあります。

また、運行管理者が適正な休憩時間を確保せず、運転時間が9時間を超えた場合、安全管理義務違反となり、処罰の対象となることがあります。

違反が発覚すると労働基準監督署が企業を調査し、是正勧告を行います。改善が見られない場合は、企業名の公表や刑事処分の対象となる可能性もあります。

出典:
第百十九条一号|労働基準法
「トラック運送業における労務管理」その35-運送業における労働時間に関する違反事例とは?違反時の罰則等について解説|弁護士法人みなみ総合法律事務所

行政処分(営業停止)

労働基準法違反が繰り返される、または悪質なケースでは、行政処分として運送会社の営業停止や車両停止命令が下されることがあります。

例えば、以下のようなケースが挙げられます。

  • 勤務時間・乗務時間の基準違反
  • 点呼未実施
  • 整備管理者の研修未受講
  • 違反点数が累積し基準を超えた場合には輸送施設の使用停止命令(営業停止相当)

営業停止処分が下されると、運送会社の運行が停止し、従業員の生活にも悪影響を及ぼす可能性があります。さらに、企業としての存続も危うくなるおそれもあります。

出典:近畿運輸局/25年1月の行政処分、輸送施設の使用停止(140日車)など8社|トラックニュース

未払い賃金の支払い命令

運送業界では、時間外労働手当の未払いが問題視されています。労働基準監督署の調査により未払いが発覚した場合、企業は過去2年分の未払い賃金を支払うよう命じられます。

例えば、運送会社が労働時間を適正に管理せず、ドライバーの残業代を支払っていなかった場合などです。

また、2020年の労働基準法改正により、未払い賃金の請求期限は2年から3年に延長されました。

そのため、企業は最大で過去3年分の未払い賃金を一括で支払わなければならない場合があります。

出典:
第百十五条|労働基準法
消滅時効の在り方に関する検討資料|厚生労働省
未払賃金が請求できる期間などが延長されています|厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署

運送会社の労働基準法違反に関する相談先

運送業界では、長時間労働や未払い賃金の問題が発生しやすいため、専門機関に相談することで適切に対処できます。

以下の機関では、労働基準法違反に関する相談を受け付けています。

相談先対応内容
労働基準監督署違反の申告や是正勧告を行う公的機関(匿名相談も可能)
総合労働相談コーナー(厚生労働省)労働条件や賃金トラブル、パワハラなど幅広い相談に対応
トラック運転者の長時間労働改善特別相談センター(厚生労働省)トラック運転者の労働問題に関する相談窓口
労働組合・ユニオン未払い賃金の請求や労働環境改善の交渉をサポート
労働基準法違反の相談先一覧

出典:
全国労働基準監督署の所在案内|厚生労働省
総合労働相談コーナーのご案内|厚生労働省
トラック運転者の長時間労働改善特別相談センター|厚生労働省
労働相談メール受付 注意事項|日本労働組合総連合会

労働基準法に違反している運送会社を通報する方法

運送会社で違法な長時間労働や未払い賃金が発生している場合、適切な機関へ通報することで是正を求められます。匿名での通報も可能で、公益通報者保護制度を利用すれば、不正を報告した労働者が解雇や降格などの報復措置を受けないよう保護されます。

通報先として、以下の機関が利用できます。

機関概要
労働基準監督署匿名での申告も可能受け付けており、企業に対する是正勧告や立ち入り調査を行う
運輸局運行管理に関する違反の通報を受け付けている
公益通報者保護制度違法な労働環境に関する証拠を集めたうえで通報することで、企業への調査が進められる
労働基準法違反の通報先一覧

労働基準法違反が疑われる場合は、上記の通報手段を活用し、安全な労働環境を確保するための行動を起こすことが大切です。

労働基準法の違反が疑われる運送会社の特徴

違反の疑いがある運送会社には、共通した特徴があります。

入社後に「思っていた労働環境と違った」と後悔しないためにも、求人内容や労働条件を慎重に確認し、不審な点がないか見極めましょう。

頻繁な求人募集

運送業界は慢性的な人手不足が続いており、多くの企業がドライバーを募集しています。

しかし、同じ会社が何度も求人を出している場合、以下のような問題が考えられます。

  • 労働環境が厳しく、すぐに退職者が出る
  • 長時間労働や低賃金が原因で、定着率が低い
  • 過剰な業務負担を求められ、働き続けるのが困難

特に、「未経験歓迎」「すぐに働ける」などの言葉を強調し、高収入をアピールする一方で労働条件の詳細が書かれていない求人には注意が必要です。

労働時間の規定があいまい

求人情報や面接時に労働時間について説明が不十分な企業は、労働基準法違反の可能性があります。

例えば、以下のような企業には注意が必要です。

  • 「労働時間は状況に応じて変動します」とあいまいな説明をする
  • 「休みは取れるが、忙しい時期は出勤が多い」と言われる
  • 求人票に具体的な勤務時間や休日数が明記されていない

また、「繁忙期は休日が減る」と説明される場合、実際には年間を通して休みがほとんどなく、長時間労働や休日なしの勤務が常態化している可能性があります。

さらに、「残業代は出る」と言われても、適正に支払われていないケースが多いため、面接時に具体的な給与計算の仕組みを確認することが重要です。

ハラスメントやトラブルが多い

運送業界では、パワハラや過度なノルマの強制、上司や同僚との人間関係の悪化が原因で退職を余儀なくされるケースが目立ちます。

こうした職場では、精神的な負担が大きくなるだけでなく、長時間労働や休日が取得できないなどの労働基準法違反が発生しやすい傾向があります。

ハラスメントが横行している職場の主な特徴は、以下のとおりです。

  • 上司からの過度なプレッシャーや暴言がある
  • 同僚間のいじめや不当な扱いが日常的に発生している
  • 意見を言いづらい雰囲気があり、従業員が萎縮している
  • 問題が発生しても会社が適切な対応を取らない

入社前に企業の口コミや評判を確認し、職場の雰囲気や人間関係に問題がないかをチェックしましょう。

また、面接時に「ハラスメント対策はされていますか?」と質問し、会社の対応方針を確認するのも有効な手段です。

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