軽貨物での開業を検討している人の中には、黒ナンバーを取得することで生じるデメリットを気にして、一歩踏み出せない人もいるのではないでしょうか。
たしかに、黒ナンバーの取得にはデメリットも存在します。
しかし、軽貨物はそれ以上のメリットと魅力のある仕事です。
今回は、軽自動車で黒ナンバーを取得するデメリットとメリットを比較しながら、デメリットを回避する方法についても解説します。
そもそも黒ナンバーとは?
黒ナンバーとは、その名のとおり黒いナンバープレートのことです。文字は黄色で印字されています。
通常、軽自動車のナンバープレートといえば黄色のプレートに黒字でナンバーが印字されていますが、配色が逆になっているのが黒ナンバーです。
貨物軽自動車運送事業を営む場合、この黒ナンバーを車両につける必要があります。
黒ナンバーは、営業所を管轄する運輸支局に届け出ることで取得でき、黒ナンバーを取得すると車検証上の「自家用・事業用の別」が「自家用」から「事業用」に変わります。
自家用のままでは軽貨物の仕事ができないため注意しましょう。
黒ナンバーを取得したらもともとついていたナンバープレートと付け替え、取り外したナンバープレートは返却します。
軽自動車を黒ナンバー化するデメリット
軽自動車を黒ナンバー化するデメリットは以下のとおりです。
- 任意保険料が高くなる
- 黒ナンバー=底辺の仕事だと思われる
- 初回の車検期間が短い
- 黒ナンバーの取得に手間がかかる
それぞれ解説します。
任意保険料が高くなる
黒ナンバーを取得するデメリットとして挙げられるのは、自家用の車両に比べて任意保険料が高くなることです。
軽貨物の仕事は走行距離が長くなることから、事故に遭うリスクが自家用の車両よりも高いと考えられるためです。
保険会社にもよりますが、自家用の車両よりも保険料が2倍以上になることも珍しくありません。
また、事業用の任意保険を取り扱っている保険会社も限られています。どこでも入れるわけではないため、取り扱いのある保険会社を探す手間もかかります。
黒ナンバー=底辺の仕事だと思われる
黒ナンバーの車両に乗っていると、底辺の仕事だと思われることがあります。軽貨物の仕事に対する世間のイメージがあまりよいとはいえないためです。
よくないイメージが定着している理由には、以下のようなものがあります。
- 「軽貨物=稼げない」という印象が強い
- 身なりの怪しいドライバーが目につく
- 態度や言葉遣いの悪いドライバーが多い
- 危険な運転をしている軽貨物車両をよく目にする
上記のような理由から、あまりよい印象を持たれないことがあります。
実際は「底辺の仕事」などではなく、むしろ一般的なサラリーマンなどよりも稼いでいるドライバーは大勢います。
たしかに態度や言葉遣い、運転が荒いドライバーや見るからに怪しいドライバーもいますが、質の悪いドライバーばかりではありません。
軽貨物は人のためになる仕事です。今や宅配を利用したことがないという人はほとんどいないでしょう。
しかし、悪いイメージが先行して、黒ナンバーの車両に乗っているというだけでよい印象を持たれない可能性があることを念頭に置いておいたほうがよいでしょう。
初回の車検期間が短い
初回の車検期間が短いというデメリットもあります。
自家用の新車であれば初回の車検は3年後です。
しかし、事業用(黒ナンバー)の車両は新車でも中古車でも、初回の車検は2年後と定められています。
その後は、自家用でも事業用でも2年ごとに車検を行っていくことになりますが、初回の車検期間が1年短いところを損だと感じる人もいるでしょう。
ただ、車検費用は自家用よりも事業用のほうが安く済む傾向にあるため、デメリットばかりというわけではありません。
黒ナンバーの取得に手間がかかる
黒ナンバーの取得に手間がかかるというデメリットがあります。
黒ナンバーを取得するためには、営業所を管轄する運輸支局に届出をする必要があります。
届出に必要な書類は以下のとおりです。
- 貨物軽自動車運送事業経営届出書
- 運賃料金設定届出書
- 運賃料金表
- 事業用自動車等連絡書
- 車検証の写しまたは完成検査証
以上の書類を用意し、運輸支局に出向く必要があります。
書類作業に慣れていない人にとっては気の進まない作業になるかもしれません。
また、支局によっても異なりますが、運輸支局の営業時間は平日の8:45〜11:45、13:00〜16:00であることが一般的です。
時間が限られているため、営業時間内に行けない人もいるでしょう。とはいえ、代行サービスを依頼すると、20,000〜40,000円程度費用がかかります。
このように、黒ナンバーの取得自体がネックになるという人も少なくないのではないでしょうか。
軽自動車の黒ナンバー化によるデメリットは回避できる?
軽自動車を黒ナンバーに変更することで生じるデメリットは、ある程度回避が可能です。
たとえば任意保険料が上がってしまう問題に関しては、現在の等級を引き継ぐことで負担を軽くできます。
現在の等級を黒ナンバーの車両に引き継ぐ手順は以下のとおりです。
- 現在加入している保険を解約し、中断証明書を発行してもらう
- 「日常・レジャー」の使用目的で黒ナンバーを取り扱っている保険会社に加入する
- 黒ナンバーを取得する
- 任意保険の使用目的を「業務」に変更する
注意したいのは、任意保険に加入する時点では「自家用」でなければならない点です。この時点で事業用になっていると、加入はできても等級の引き継ぎができません。
また、現在の保険を解約する際に中断証明書を発行してもらうことと、新たに加入する際にその中断証明書を使用することを忘れないようにする必要があります。
ほかにデメリットとして前述した「車検期間」については、法律で定められていることであるためどうしようもありません。
「黒ナンバーの取得に対する手間」については、「手間はかかるが費用はかからない方法」か「費用はかかるが手間はかからない方法」のうちどちらかを選択するしかないでしょう。
黒ナンバー=底辺の仕事という印象に関しては、自らよいドライバーとして働く中で信用を得ていけば問題ありません。
軽自動車を黒ナンバー化するメリットは?
軽自動車を黒ナンバー化するメリットは以下のとおりです。
- すぐに独立・開業できる
- 頑張り次第で収入を増やせる
- 初期費用をかけなくても始められる
それぞれ解説します。
すぐに独立・開業できる
軽自動車を黒ナンバー化するメリットのひとつは、すぐに独立・開業できることです。黒ナンバーは短期間での取得が可能であるためです。
たとえば緑ナンバーを取得する「運送業許可」は、申請から許可が下りるまでに3〜5カ月かかります。
しかし、黒ナンバーを取得する「貨物軽自動車運送事業の届出」であれば、書類や内容に問題がなければその日のうちに完了します。
長い時間をかけなくても独立・開業できる点はメリットといえるでしょう。
頑張り次第で収入を増やせる
軽貨物の仕事は、頑張り次第で収入を増やせます。軽貨物案件は完全歩合制であることが多く、荷物を配れば配るほど報酬につながるためです。
たとえば会社員の人が、本業で毎月の収入を5万円増やそうと思ってもなかなかできないでしょう。
しかし軽貨物なら、月5万円増やすことはそう難しくありません。
宅配で収入を月5万円増やしたい場合、以下のように1日の配達個数を15個増やすだけで達成できます。
150円(荷物単価)×15個=2,250円
2,250円×25日=56,250円
1日15個という数は、1時間の配達個数をいつもより2個程度増やせば達成できる数です。そのためそれほど負担に感じないでしょう。
初期費用をかけなくても始められる
初期費用をかけなくても始められるというメリットもあります。軽貨物の仕事は、普通運転免許証と軽貨物車両があれば始められるためです。
軽貨物車両を現金で購入するならその分が初期費用としてかかりますが、ローンで購入する場合やリースであれば初期費用はかかりません。
ほかの業種で初期費用をかけずに開業したいと思っても、できるケースはそう多くありません。
会社を立ち上げるにしても店舗を経営するにしても、それなりの資金が必要になる場合のほうが多いことを考えると、初期費用0円で開業できる可能性がある点は十分メリットといえるでしょう。
【FAQ】軽自動車の黒ナンバー化に関するよくある質問
黒ナンバーは個人でも取得できるのか、黒ナンバーの車両は普段使いしてもいいのかなど、軽自動車の黒ナンバー化に関して疑問を抱えている人は多いのではないでしょうか。
ここでは、軽自動車の黒ナンバー化に関するよくある質問を紹介します。
黒ナンバーは個人でも取得できる?
黒ナンバーは個人でも取得できます。貨物軽自動車運送事業の届出は、個人・法人を問わず行えるためです。
そのため個人で届出書を提出し、黒ナンバーを取得すれば、運送会社に所属しなくても個人として軽貨物運送事業を始められます。
黒ナンバー車は普段使いできる?
黒ナンバーの車両は普段使いが可能です。
ただしリアシートを畳んであるため、通常の軽自動車のように4人乗りができない点には注意が必要です。また、プライベートで使用した分のガソリン代については経費扱いができません。
そのほか、リースの契約内容によっては業務以外での使用が認められないケースもあるため、リースの場合は契約内容の確認が必要です。
軽自動車の黒ナンバー解禁とは?
「軽自動車の黒ナンバー解禁」とは、軽バンや軽トラといった軽貨物車両だけでなく、5ナンバーの軽乗用車も黒ナンバーの取得が認められるようになったことを指します。
軽乗用車の黒ナンバー化が認められるようになった背景には、運送業界の需要増加や人手不足といった要因があります。
ただし軽バンなどのように荷物を積めないため、軽バンで軽貨物をしている人と同じように仕事をこなせるわけではありません。
軽乗用車で軽貨物の仕事をするなら、フードデリバリーや短時間のギグワークなどが適しているでしょう。
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軽自動車で黒ナンバーを取得することのデメリットやメリットについて解説しました。
記事でも解説したとおり、軽自動車を黒ナンバー化するデメリットはいくつかあります。
しかし参入しやすい点や大きく稼げる可能性がある点など、デメリット以上にメリットの多い仕事です。
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