軽貨物の仕事を探している方の中には、スーパーカーゴの公式サイトや求人広告を見て興味を持ったものの、「稼げない」という話を聞き、始めるかどうか迷っている人もいるのではないでしょうか。
確かにスーパーカーゴは高速代が出ない、仕事がないなどの理由から「稼げない」「辞めたい」などと言われることがあります。
しかし、現役ドライバーの中には月に60万円以上売り上げている人も少なくありません。
この記事では、スーパーカーゴの実態や、辞めたい理由などについて解説します。
スーパーカーゴとは
スーパーカーゴとは、24時間365日年中無休で営業しているスポット便メインの運送会社です。
緊急の配送依頼や即日での配送依頼にも対応しています。
まずは、スーパーカーゴの基本情報やスーパーカーゴでの働き方、法人契約の可否などをみていきましょう。
基本情報
スーパーカーゴの基本情報は以下のとおりです。
運営会社 | FBサポート株式会社 |
設立 | 1982年 |
車両台数 | 約3,000台(軽貨物車両:約2,600台、中型・大型車:約400台) |
店舗数 | 840店 |
契約期間 | 1年 |
初期費用 | 52万円〜 |
スーパーカーゴは、株式会社アネックスの子会社「FBサポート株式会社」が運営する運送会社です。
個人事業主のドライバーは車両1台あれば独立開業でき、専任アドバイザーによる経営相談やバックアップを受けられます。
開業時にかかる初期費用の内訳は以下のとおりです。
加盟金 | 22万円 |
車両費 | 30万円〜250万円 |
マニュアル | 620円 |
元請け事業者専用伝票 | 400円 |
上記は正規の加盟運送店として契約した場合にかかる費用です。協力業者として契約する場合は、加盟金がかかりません。
加盟運送店、協力業者の働き方については後述します。
スーパーカーゴでの働き方
スーパーカーゴでの働き方は、専属契約と副業の2パターンです。
専属契約を結ぶ場合は正規の加盟運送店としてスーパーカーゴから仕事を斡旋してもらい、スポット便やチャーター便を中心に配達業務を行います。
一方、副業は「協力業者」として働く方法です。
協力業者とは、スーパーカーゴ指定外の車両をすでに所有しているケースや、すでにほかの発注先との取引があり専属で仕事ができない場合のための制度です。
専属契約を結ぶと、スーパーカーゴが斡旋する業者以外からの案件が受けられなくなるため、ほかの仕事もしたい場合や、すでに別の運送業者と契約している場合は協力業者として契約する必要があります。
スーパーカーゴと法人契約は可能?
スーパーカーゴと法人契約を結ぶことは可能です。
ただし専属契約は個人事業主向けであるため、法人の場合は協力業者として契約することになります。
すでに所有している車両をそのまま使用できるのに加え加盟金も不要であるため、費用をかけずに始められます。
スーパーカーゴと赤帽の違いは?
スーパーカーゴも赤帽も、スポット便がメインである点は同じです。
ただし、両者には以下のようにいくつかの違いがあります。
スーパーカーゴ | 赤帽 | |
---|---|---|
案件の種類 | スポット便(常温・クール・要温度管理の医薬品) | ・スポット便・引越し便 ・事務所移転 ・ルート配送 |
車両の種類 | クール車、常温車、幌車 | 常温車、幌車 |
車両購入費 | 30万円〜250万円 | 30万円〜170万円 |
加盟金 | 22万円 | 0円〜35万円 |
仲介手数料 | – | 10%〜15% |
その他月額費用 | 2万円(以下内訳)・商標使用料:5,000円・無線使用料:1万4,000円〜1万5,000円 | 1万5,000円〜2万円(以下内訳)・組合費:9,000円〜1万5,000円・連合会費:1,500円・共済会費:1,500円・無線使用料:2,000円 |
研修の有無 | 有 | 有 |
大きな違いは案件の種類です。
スーパーカーゴではほとんどの案件がスポット便なのに対し、赤帽はスポット便以外に引越し便やルート配送なども行います。
車両にかかる費用については、車種によってまちまちです。
中古の幌車であれば30万円程度で見つかりますが、スーパーカーゴではクール(冷蔵・冷凍)の荷物案件もあるため、この機会にクール車を調達するのもありでしょう。クール車を新車で購入するなら250万円程度かかります。
そのほか、加盟金に関して、スーパーカーゴでは22万円かかりますが、赤帽の場合は都道府県によって異なり、地域によっては加盟金が発生しません。
また、それぞれ「無線使用料」や「組合費」など、さまざまな月額費用がかかり、赤帽では組合から斡旋してもらった案件に10%〜15%の仲介手数料がかかります。
なお、研修が充実しているのはどちらも同じです。スーパーカーゴでは2日間経営研修を行ったあと、3日目からは実務研修に入ります。
スーパーカーゴは「稼げない」「辞めたい」に関する口コミ
ネット上では「稼げない」「辞めたい」など、スーパーカーゴに関するネガティブな口コミも見られます。
実際にスーパーカーゴで働いているドライバーの声を紹介します。
スーパーカーゴは稼げても高速代自腹だし、その他の経費で半分以上は消えるよ。至急便の高速代出さないくせに、「急げ急げ」ってうるさいし。
仕事をくれない、という声や経費がかかりすぎるといった口コミが多い傾向にあります。
とくに経費に関しては、高速代がネックになっているようです。
会社からあまり大切にされていないと感じて辞めていくドライバーも少なくないようです。
スーパーカーゴが「稼げない」「辞めたい」と言われる理由
スーパーカーゴは、なぜ「稼げない」「辞めたい」などと言われるのでしょうか。
ここでは、スーパーカーゴが「稼げない」「辞めたい」と言われる理由について解説します。
高速代を自分で負担する必要がある
高速代を自費負担しなければならないことがキツいと感じる人は少なくないようです。
タイムリミットが短い「至急便」では高速道路を走らなければ間に合わないため、ドライバーはやむを得ず高速道路を利用します。
しかし、ドライバーには高速代が支給されません。そのため割に合わない、という意見がよくみられます。
また、長距離配送の案件でも高速代は一切出ないようです。
全体的に経費がかかりすぎる、経費だけで潰れそうだという声も多く、50万円稼いでも大半が経費で消えるという方も……。
一方、赤帽では高速代が支給されることから、スーパーカーゴから赤帽に移るドライバーもいます。
仕事がない
公式サイトを見るとたくさんの案件があるように思えますが、実はあまり仕事がないという声もあります。
公式サイトに掲載されているドライバーのインタビューでは、どのドライバーも充実した生活を送っているように見えます。
しかし成功者はひと握りで、実態は自分の顧客を持たないかぎり安定して稼げるようにはならないようです。
ほかの仕事も兼業できればまだよいですが、正規の加盟運送店として専属契約をした場合は、スーパーカーゴから斡旋される仕事しかできないという縛りがあります。
確かに生活できないほど稼げない状態が続くのであれば、「辞める」という選択が濃厚になってきますよね。
なお、加盟運送店ではなく協力業者としてであればスーパーカーゴ以外の案件を受注しながら働けますが、担当エリア以外での活動ができないため、効率よく稼ぐことは難しいといえます。
クレームが多いと案件を振ってもらえない
「稼げない」と言っているドライバーの中には、顧客からのクレームが多いために仕事を斡旋してもらえなくなった人という人もいます。
クレームが少ないドライバーとクレームが多いドライバーがいた場合、後者に積極的に案件を振ろうとはあまり思わないでしょう。
多いのは、タバコや駐車違反に関するクレームです。
とくにタバコは、喫煙者にとっては気にならないことかもしれませんが、タバコを吸わない人からすると些細なニオイでも嫌悪感を感じることがあるでしょう。
ドライバー本人のニオイだけでなく、車内で喫煙している場合は荷物にニオイが移ることもあり、荷物へのニオイ移りに対してクレームをつけられるのは珍しくありません。
一度ならまだしも、何度クレームを受けても改善されない、反省の色が見られないドライバーはどんどん仕事が減っていく可能性があります。
スーパーカーゴでは裁判沙汰の事件が起きたことがある?
スーパーカーゴに関する裁判沙汰の事件は2024年3月時点では確認できません。
2013年に、生活協同組合ユーコープの宅配サービスを静岡県内で行っている2次下請け運送業者「カーゴスタッフ」に対して、業務委託契約で働く13名のドライバーが、「自分たちを個人事業主ではなく労働者」と認めるよう求めた裁判が行われましたが、この事件とスーパーカーゴは関係がありません。
スーパーカーゴは「稼げる」「儲かる」という意見もある?
スーパーカーゴに関する口コミは、ネガティブなものだけではありません。
「稼げない」という意見とは反対に、「稼げる」「儲かる」という意見もあります。
なかには月商70万円を達成しそれを維持している加盟運送店や、20万円以上稼いでいる協力業者なども存在するため、すべてのドライバーが稼げていないとはいえないでしょう。
公式サイトでも、スーパーカーゴの平均報酬月額例として以下の報酬額が記載されています。
- クール車:67万2,361円
- 常温車:65万3,906円
上記はフル稼働している加盟運送店(全体の51.5%)が稼いだ令和5年8月度の平均です。
仕事が多い少ないなどの運要素や、スーパーカーゴの仕事との向き不向きもあるため、実際にやってみないと稼げるか否かは分からないですが、しっかり稼げている人もいるのです。
スーパーカーゴの年収・手取り
ここではスーパーカーゴの年収・手取りについて加盟運送店・協力業者別に解説します。
スーパーカーゴの年収
スーパーカーゴの年収や手取りはドライバーや契約形態によって異なるため、一概に「いくら」とはいえません。
そのため、スーパーカーゴの公式サイトに記載されている、令和5年8月度の平均売上をもとに算出します。
加盟運送店が、毎月平均売上程度稼ぐと仮定した場合、車種ごとの年収は以下のとおりです。
車種 | 年収 | 月の平均売上 |
---|---|---|
クール車 | 806万8,332円 | 67万2,361円 |
常温車 | 784万6,872円 | 65万3,906円 |
参考:スーパーカーゴとは | スーパーカーゴでの軽貨物の独立開業を支援「FBサポート」
協力業者の年収については、求人広告に記載されている令和5年12年度の平均売上から割り出します。
月の稼働日数 | 年収 | 月額報酬 |
---|---|---|
20日以上 | 334万1,568円 | 27万8,464円 |
15日以上 | 268万2,908円 | 23万6,909円 |
加盟運送店で上記のような金額であれば、やや物足りない気がしますが、協力業者は他社からも仕事が受けられるため、ほかの仕事次第では十分な足しになるでしょう。
スーパーカーゴの手取り
スーパーカーゴでかかる毎月の経費は以下のとおりです。
- 商標・無線機使用料:2万円
- ガソリン代:5万円〜
- 駐車場代:5,000円〜2万円
- 自動車保険料:1万5,000円
- 貨物保険料:3,000円
加盟運送店であれば、毎月約10万円はかかります。
一方、協力業者には商標・無線機使用料の負担がないため、8万円程度の経費がかかると思っておくとよいでしょう。
車両をローンで購入した場合は、上記の金額+ローン代費用がかかります。
さらに、2年ごとに車検を受ける必要があるため、車検月には車検代として+10万円程度かかることを覚えておきましょう。
加盟運送店、協力業者別の手取り目安は以下のとおりです。
加盟運送店 | ・クール車:57万2,361円 ・常温車:55万3,906円 |
協力業者 | ・20日以上稼働:19万8,464円 ・15日以上稼働:15万6,909円 |
※上記の金額は、「スーパーカーゴの年収」で紹介した、それぞれの月額報酬をもとに算出しています。
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スーパーカーゴの手取りや「稼げない」と言われる理由について解説しました。
スーパーカーゴで稼げないことを理由に辞めていくドライバーも一定数存在します。一方で、稼げているドライバーが存在するのもまた事実です。
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