個人事業主やフリーランスとして軽貨物運送をおこなうには、安定して仕事を獲得していかなければいけません。
しかし、独立後に安定して仕事を獲得するのは容易ではなく、たとえ獲得できたとしても単発で終わってしまうことも多々あります。
そこで、今回は軽貨物運送の仕事の中でも「定期案件」に焦点をあてて詳しく解説していきます。
軽貨物の定期案件とは
まずはじめに、軽貨物配送の定期案件について詳しく解説していきます。
定期案件の仕組み
定期案件は別名で「定期便」と呼ばれ、その他の「スポット便」「チャーター便」とは違った配送方法です。
「定期便」「スポット便」「チャーター便」を比較しつつ、それぞれ解説していきます。
定期便
定期案件とは、定期的に決まった曜日や日時に配送をおこなう配送方法であり、企業や荷主と契約をして特定の日時に特定の荷物を配送します。
コープや生協などの食品や日用品の宅配配送サービスも定期便の1つです。
スポット便
定期的に配送をおこなう定期便に対して、スポット便は単発での配送です。
1回の配送ごとに契約が完了するため、同じ企業や荷主からの依頼でも配送する荷物や指定の日時が毎回異なります。
スポット便は緊急の依頼が多く案件の単価は高いですが、依頼が不定期であるため安定して収入を得るのは難しいといえるでしょう。
チャーター便
「チャーター」とは、日本語で”貸切”という意味であり、チャーター便は時間で契約をする配送方法です。
例えば、3時間のチャーターであれば、その3時間内は荷主の専属ドライバーとなるため、指定の日時通りに配送をおこないます。
チャーター便は荷物が多い時や中距離、長距離の配送の際によく導入されます。
ルート配送とは違う?
定期便と同じように使われる言葉で「ルート配送」がありますが、この2つは基本的に同じような意味合いです。
ルート配送の意味は指定された一定の配送先に荷物を届けることであり、決まったルートを配送するという点では同じと言えるでしょう。
定期便の報酬体系は?
定期便の報酬体系をまとめた表は次の通りです。
定期便 | スポット便 | チャーター便 | |
---|---|---|---|
報酬の発生 | 1日の作業 | 1回の配送 | 契約の時間 |
毎回の依頼主 | 同じ | 違う | 違う |
報酬の相場 | 半日約10,000円 1日18,000円~20,000円 | 依頼によってバラバラ 多い時は5万円以上 | 依頼によってバラバラ 多い時は5万円以上 |
先ほど紹介した「スポット便」や「チャーター便」では1度の配送が完了すれば報酬が発生し、荷物の量が多ければ多いほど報酬が高くなります。
しかし、定期便は荷物の量に対しての報酬ではなく、”1日いくら”といった換算で報酬が発生するケースがほとんどです。そのため、荷物の量が多く、働けば働いた分だけ報酬が高くなることや、荷物の量が少ないから報酬が減るということはありません。
定期便の労働時間は1日8時間ほどのケースが多く、報酬の相場は半日で10,000円、1日で18,000円から20,000円とされています。
軽貨物の定期案件の契約方法
軽貨物の定期案件をこなすには契約を交わして案件を獲得しなければいけません。
主な案件の獲得相手は「荷主」と「運送会社」となりますので、それぞれ解説していきます。
荷主から直請けする
「荷主」とは、荷物の持ち主や荷物を送る人のことを指し、軽貨物配送における荷主は「配送業務を依頼する人」のことです。
荷主から直請けで仕事を獲得することで、荷主が獲得した案件を回してもらいやすくなり、安定して仕事を獲得しやすくなります。
また、ほかの下請け会社からの案件を獲得する際に比べて手数料が少なくなり、収入が高くなりやすくなります。
運送会社から受託する
荷主から直請けで獲得する以外にも、運送会社から受託するという方法があります。
昨今では、どの運送会社でも人手不足の問題を抱えており、依頼を受けた配送を自社の従業員では回しきれないというケースが増えています。
そのため、個人事業主やフリーランスのドライバーと提携し、案件を回そうとする動きをしている会社から仕事を獲得できるのです。
定期案件は個人契約と法人契約のどちらでもよい?
定期案件を獲得する際の契約で個人契約か法人契約かの問題がありますが、結論から言えばどちらでも問題はありません。
しかし、荷主や運送会社側からすれば、もし自社で回しきれない案件を1人で事業を営んでいる個人事業主に依頼をした際に、その相手が病気や体調不良で欠員をしてしまったら、また新しく人員を探さなければいけません。
その点、複数人で事業を営んでいる法人であれば、本来依頼するはずだった従業員が欠員してもその企業内で代理の人員を確保してくれるため、荷主側は安心できます。
そのため、荷主や運送会社からの定期案件を獲得するには、個人事業主では比較的難易度が高くなってしまいます。
もし、どうしても定期案件を獲得したいという際には、社会的信用を高めるために多くの実績を積んでおく必要があるでしょう。
軽貨物の定期案件のメリット・デメリット
ここからは軽貨物の定期案件におけるメリットとデメリットをそれぞれ解説していきます。
定期案件のメリット
定期案件のメリットは以下の3点です。
- 仕事が安定する
- スケジュールを組みやすい
- 長期的な付き合いができる
仕事が安定する
定期案件の最大のメリットといえば、仕事の安定性でしょう。
「スポット便」や「チャーター便」では、毎回依頼を受けなければ報酬を得られず、仕事が安定しません。
しかし、定期案件では一定の期間に仕事が入っているため、軽貨物ドライバーとして独立をした後にも安定した収入を得られるでしょう。
スケジュールを組みやすい
定期的に仕事が入る定期案件のメリットは、仕事の安定性だけではありません。
一定の期間に仕事が入っているということは、あらかじめスケジュールが組みやすく、ほかの予定を入れやすいということでもあるのです。
特に軽貨物ドライバーとして独立した後には、少しでも多くの案件をこなして収入面を増やしたい方がほとんどでしょう。
そんな時にスケジュールが組みにくい働き方では、案件と案件の隙間時間が無駄になってしまいます。その点、定期案件のようにスケジュールが組みやすければ、定期案件の隙間にスポット便を入れるなど、時間効率を上げられます。
長期的な付き合いができる
定期案件を獲得することで、特定の企業や荷主と長期的に付き合っていけます。
長期的な付き合いをすることで、将来的に別の案件を獲得できたり報酬の単価アップも可能になるのです。
定期案件のデメリット
続いては定期案件のデメリットについて詳しく解説していきます。定期案件のデメリットは以下の3点です。
- 決まった日にしか仕事がない
- 獲得が難しい
- スポットに比べると単価が低め
決まった日にしか仕事がない
決められた時間に仕事が入っているというのはメリットですが、裏を返せば仕事が入っている日時以外は仕事がないということ。
いかに安定した仕事が入っていようと、案件が少なければ収入が増えることはありません。
獲得が難しい
定期案件は獲得してしまえば大きな強みになりますが、獲得が難しいのが実際のところ。
特に個人事業主やフリーランスのドライバーとして独立したてのころは、社会的信用が低く、定期案件を依頼してくれる企業や荷主はなかなか見つかりません。
スポットに比べると単価が低め
先述したように、定期便は仕事の安定性が高い反面、スポット便やチャーター便に比べて1回の単価が低めに設定されています。
そのため、定期便だけの獲得で高い収入を得るというのは難しいといえるでしょう。
定期案件の仕事が向いている人
定期案件のメリットやデメリット踏まえたうえで、定期案件に向いている人は次のような人です。
- 仕事の安定性を重視する人
- 決まったルートを配送したい
- プライベートの予定も確保したい
裏を返せば、これらに当てはまらない人は定期案件には向いていないといえるでしょう。
「自分はとにかくやった分だけ稼ぎたい」という方は、スポット便の案件をたくさんこなすことに注力したほうがよいかもしれません。
軽貨物の定期案件の仕事の取り方
ここでは、実際に定期案件を獲得するための方法について解説していきます。
自ら営業して荷主を探す
独立後の仕事獲得といえば営業活動を思い浮かべる方も多いでしょう。
自ら荷主先を訪問して自信の経歴や実績をアピールし、直接契約を獲得する方法があります。
しかし、自ら営業活動をおこなう場合、もともと営業の経験があったり前職でのツテを活かせたりするような方でなければ、仕事の獲得は難しいでしょう。
軽貨物の掲示板で探す
専用の掲示板で探すのも軽貨物の仕事を獲得する手段の1つです。
ただし、掲示板によってはそもそも案件が少ないものや、信頼性に欠けるものもあるので、仕事探しの軸にするのは現実的ではなさそうです。
軽貨物専門の求人サイトで探す
昨今、軽貨物の仕事を探す際に注目を集めているのが「求人サイトで探す」という手法です。
求人サイトといえば、企業が正社員を募集しているというイメージが強いですが、最近では荷主や運送会社が個人事業主やフリーランス向けの業務委託案件を掲載しているのをよく見かけます。
求人サイトに掲載している企業は費用を払ってでも自社の案件をこなしてくれる相手を探しているため、仕事を獲得しやすいといえるでしょう。
ただし、大手の求人サイトなどは、あらゆるジャンルの求人が掲載されていたり掲載企業も多かったりして、希望の求人を見つけにくいこともあるでしょう。
そんな方におすすめしたいのが、軽貨物専用の求人サイトです。軽貨物に特化しているので、希望条件に合う案件を探しやすく、ドライバーの方でも安心して良質な案件を獲得できます。
もし、「独立前に安心できる仕事を獲得したい」「独立後もなかなか仕事の獲得がうまくいっていない」という方は、ご自身の理想の案件がないか一度チェックしてみてはいかがでしょうか。