運送業の人手不足は業界全体の課題ともいえる問題です。
現在運送会社で採用担当を務めている人の中には、自社の人手不足に頭を悩ませている人もいるのではないでしょうか。
今回は、運送業に人が入ってこない原因やドライバーを集める方法を紹介します。
人が集まる運送会社の特徴についても解説しているため、ぜひドライバー確保に役立ててくださいね。

運送業の「人手不足」に関するデータ
運送業界の人手不足は、単なる「人が足りない」というレベルではなく、構造的な問題として長年指摘されています。
2026年時点でも、その傾向は改善しているとは言い難い状況です。
まず、国土交通省の調査によると、トラックドライバーの有効求人倍率は全職種平均を大きく上回る水準で推移しており、直近でも2倍前後とされています。
つまり、1人の求職者に対して2件以上の求人がある状態が続いており、慢性的な人手不足が続いていることが分かります。

さらに、全日本トラック協会の資料では、運送会社の約6割以上が「ドライバーが不足している」と回答しています。
特に中小事業者では採用難が顕著で、事業継続に影響が出ているケースも少なくありません。
加えて、年齢構成の偏りも深刻です。ドライバーの平均年齢は40代後半〜50代前半とされ、若年層の新規参入が進んでいません。若い人材が集まりにくい背景には、長時間労働や賃金水準への不安といった労働環境の課題があります。

2024年にはいわゆる「2024年問題(時間外労働の上限規制)」も施行され、1人あたりの労働時間が制限されたことで、必要なドライバー数はむしろ増加しています。
需要に対して供給が追いつかない構図がより鮮明になりました。
特に軽貨物のような個人事業主モデルでは、参入ハードルは低い一方で収入の不安定さやコスト負担が敬遠されやすく、人材の定着につながりにくい側面もあります。
出典:
自動車運送業を取り巻く現状と課題について|国土交通省
日本のトラック輸送産業 現状と課題2025|公益社団法人全日本トラック協会
運送業の人手不足は当たり前?
結論から言うと、運送業における人手不足は「当たり前」といえる状態が長く続いています。
先述の通り、トラックドライバーの有効求人倍率は全職種平均を大きく上回り、慢性的に人が足りていない状況です。
背景には、長時間労働や賃金水準、そしてドライバーの高齢化があります。特に若年層の新規参入が少なく、全日本トラック協会の調査でも、多くの事業者がドライバー不足を課題として挙げています。
さらに、2024年の時間外労働規制によって1人あたりの稼働時間が制限され、必要な人員はむしろ増加しました。
こうした複数の要因が重なり、「常に人手が足りない状態」が業界の前提になっているのが実情です。
物流の人手不足は倉庫人員も?
物流の人手不足というとドライバーに目が向きがちですが、実際には倉庫内で作業を行う人員も同様に不足しています。
入出庫やピッキング、仕分けといった業務は物流を支える基盤ですが、人手が集まりにくく、慢性的な人材不足に悩む現場が多いのが実情です。
背景には、立ち仕事や重作業といった身体的な負担に加え、繁忙期の波が大きくシフトが不安定になりやすい点があります。
また、EC需要の拡大により扱う荷物量が増え続けている一方で、それに見合う人員確保が追いついていません。
このように、物流の人手不足はドライバーだけの問題ではなく、倉庫を含めた全体のオペレーションに広がっています。
そのため、現場では自動化や省人化の導入が進められているものの、依然として人手に頼る部分が多く、課題の解消には時間がかかると見られています。
例)ヤマト運輸も人手不足?
ヤマト運輸でも、人手不足は実際のデータから確認できます。
親会社であるヤマトホールディングスの決算資料では、宅配便の取扱個数はEC需要の拡大により高水準で推移している一方、労働力の確保が課題として明記されています。
また、再配達の削減や置き配の拡大、拠点の集約など、業務効率化の施策が継続的に実施されている点も特徴です。
さらに、国土交通省の資料でも、宅配分野を含む物流全体で人手不足が深刻化しているとされており、大手企業であっても例外ではないことが示されています。
参照:ヤマトホールディングス決算説明資料|ヤマトホールディングス
運送業・物流業界に人が入ってこない原因

ここでは、運送業や物流業界に人が入ってこない原因について解説します。
給料やボーナスなどの待遇面に魅力を感じない
運送業・物流業界に人が入ってこない原因として最初に挙げられるのは、給料面の問題です。
単純に、トラック運転手として働きたいという理由で始める人もいる一方で、「稼げそう」と思って飛び込む人も多いでしょう。
そのような人からすると、ボーナスが出ない運送会社や昇給の望めない会社、明らかに稼げそうにない運送会社には魅力を感じません。
しかしドライバーを確保できている運送会社は、待遇面を充実させることはもちろん、とにかくドライバーを大切にしています。自分たちを大切にしてくれていると感じているドライバーは簡単には辞めません。
それだけでなく、それぞれが知人や友人を新たなドライバーとして引っ張ってくることもあります。そのため、大々的に募集をかけなくても、自然に人が集まってくるのです。


運送業で働きたいと思う若者が少ない
運送業で働きたいと思う若者が少ないことも、運送業・物流業界に人が入ってこない原因のひとつです。
若者が運送業で働きたいと思えないのは、運送業=きつい、きついわりに給料が少ないというネガティブなイメージが定着してしまっているためです。
たしかに、長時間の運転や炎天下での重い荷物の荷下ろしなど、きついといわれるような場面を想像すると、積極的に働きたいとは思えないのかもしれません。
若いドライバーをうまく確保している運送会社は、会社のPR動画を配信したりなど、若者が食いつきやすいよう工夫して広報活動を行っています。
若者を多く確保したいのであれば、若者が働きたいと思えるような環境づくりが必要不可欠でしょう。

運送業に対するイメージが悪い
運送業・物流業界に人が入ってこないのは、運送業に対して悪いイメージが定着してしまっていることも考えられます。
そのようなイメージからか、ネットで「運送業」と検索すると、そのあとに「辞めとけ」「やばい」といったキーワードが出てくるほどです。
今後人が集まってくる運送会社になれるかどうかは、マイナスのイメージを覆していけるかにかかっているといっても過言ではありません。
悪いイメージを持たれる理由は以下のとおりです。
- 長時間労働になりやすい
- 質の悪いドライバーが多いという印象が強い
ドライバーを確保できている運送会社は、上記の問題に対しすでに取り組んでいます。
それぞれ解説します。
長時間労働になりやすい
運送業でドライバーとして働く場合、どうしても長時間労働になりやすいといえます。
とくに長距離ドライバーであれば遠方まで荷物を運び、また同じ距離を運転して戻ってくる必要があるため、日を跨ぐこともあるでしょう。
パーキングエリアやコンビニの駐車場、路肩などにトラックを停め、運転席に座ったまま仮眠をとっているドライバーを見かけたことがある人も多いのではないでしょうか。
ドライバーのそのような姿を見てしまうと、運送業に対して良いイメージが持てなくなるのも無理はないでしょう。

質の悪いドライバーが多いという印象が強い
業界そのものだけでなく、ドライバーに対する印象が良くないことも悪いイメージにつながっています。
近年では運送業全体の意識が変わり、以前よりもドライバーに対して接客態度や身だしなみについて厳しくなっている運送会社が増えているものの、以下のようなドライバーはまだ存在します。
- 態度や言葉遣いが悪い
- 身だしなみを気にしていない
- たばこのにおいがきつい
上記のような印象が強いままだと、なかなか世の中のドライバーに対する評価が良くなっていきません。
まずは、世の中のドライバーに対する印象を変えていくことが重要でしょう。

一方で、人が集まる運送会社の特徴は?

運送業界全体では人手不足の傾向が強いですが、なかには人材確保に成功している運送会社もあります。
ここでは、人が集まる運送会社の特徴について解説します。
福利厚生が充実している
人が集まる運送会社は、福利厚生が充実していることが多いです。
例えば、以下のような制度です。
- 年間の休日数が100日以上ある
- 社会保険や雇用保険が完備されている
- 有給休暇がある
- 産休制度がある
- 退職金制度がある
- 社員寮や社宅、住宅手当などがある
- 旅行に行く従業員に対して旅費の補助を行なっている
とくにそのような会社は、年間の休日数や保険関係がしっかりしている傾向にあります。
そのため、休日がきちんと確保できない、社会保険に加入していないといった運送会社は、従業員を大切にしない会社だと判断される可能性があるため要注意です。
福利厚生の充実度は、ドライバーが求人に応募するか否かを決定するうえで大きな要素といえるでしょう。
また、充実した福利厚生は、仕事を続けていくモチベーションにもつながります。
これらをすぐに改善するのは難しいかもしれませんが、現状、福利厚生がそれほど充実していない場合は福利厚生が充実している運送会社を手本にし、将来的に改善していけるよう体制を整えていく必要があるでしょう。
給料面が充実している
人の集まる運送会社の多くは、給料面が充実しています。
やはり、多くの求職者にとって給料面での魅力が応募の決め手となるためです。
また、人の集まる会社では昇給や賞与についてもきちんと定められていることが多いです。
運送業はほかの業界に比べると、そもそも賞与がもらえなかったり、賞与についての制度が定められてなかったりという会社が多い業界だといえます。
しかし、「長年勤めているのに給料が上がらない」、「この先上がるかもわからない」、「賞与ももらえない」というのでは、ドライバーもモチベーションを維持できませんよね。
ただし、ただ給料が多ければよいというわけではありません。
提示した月収や年収の金額が相場よりも高すぎる場合は、「仕事がきついのでは?」と警戒され、応募から遠ざかってしまう可能性があります。
研修をしっかり行っている
人が集まる運送会社には、研修をしっかり行える体制が整っています。
なかには、大型未経験の人材を募集し、入社後2カ月間にわたってみっちりと研修を受けさせてから大型ドライバーデビューをさせる運送会社もあります。
通常、未経験者が大型ドライバーとして採用されるケースはあまりありません。そのため、大型ドライバーになりたくても、よそでは採用されない未経験者が殺到するでしょう。
このように、研修体制を充実させることで、結果的に人が集まる環境を作り出せるのです。
また、研修体制を充実させることはドライバーの質を高め、さらには会社のイメージアップにもつながります。
うまくドライバーを集める方法
実際に、ドライバー集めはどのように進めればよいのでしょうか。
この章では、ドライバーをうまく集め、人材を確保するための方法やポイントを紹介します。
雇用基準の幅を広くする
雇用基準の幅を広くし、ドライバーを採用するポイントを見直すことでドライバーが集まりやすくなります。
なぜなら、ほかの多くの運送会社は即戦力を求めており、高齢者や未経験者、経験があってもブランクがある人などを採用しない傾向にあるためです。
例えば、年齢制限を引き上げたり、未経験者を受け入れたりなど、行き場のない求職者を迎え入れられるようにすることで、自然に人は集まるようになります。
ただし、その場合は高齢のドライバーが無理せず働ける体制や未経験者を育成できる環境など、土台を整えておくことが必須です。
求人の際に魅力を大きくアピールする
ドライバーを集めるためには、会社の魅力を求人票でしっかりアピールすることが重要です。
求職者にとって求人は選べるほどたくさん存在し、何の魅力もない求人は目にとまることもなく埋もれてしまいます。
求職者に注目してもらうためには、求人広告の文章も定型文のようなものではなく、求職者の興味を惹きつけるような内容にする必要があります。
求職者にとってメリットといえるような会社の魅力を記載し、会社の魅力を最大限アピールしましょう。
また、応募条件や待遇面などについて詳しく記載することも大切です。
そのほか、実際に在籍している従業員の写真や口コミなども乗せておくと求職者がイメージしやすくなり、応募につながる可能性が高まりますよ。
他社の求人との差別化を図る
他社の求人との差別化を図ることも、ドライバーを集めるためには必要です。
他社と同じことをしていては求人が埋もれてしまうので、ドライバーはいつまで経っても集まらないでしょう。
例えば、求人数の多いメガ求人ポータルサイトでは、せっかく求人を掲載していても、ほかの求人に埋もれてしまいます。
一方で、掲載企業がさほど多くない新進気鋭の求人サイトなどにアンテナを立てるなど、露出する場所を考慮することで、期待以上の応募を集められることもありますよ。
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運送業に人が入ってこない原因や、ドライバーを集める方法について解説しました。
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