近年運送業の需要は増しており、ドライバーも人手不足となっているので、個人事業主として働く委託ドライバーの活動の幅も広がってきています。
日々の収入のために委託ドライバーを検討する人も増えており、中でも注目の働き方が、デリプロです。
アマゾンの配送部門として、荷物の配送を行うデリプロは、配送ドライバー初心者の人でも比較的働きやすい形として知られていますが、仕事がきついという話もよく耳にします。
この記事では、デリプロで働くことを検討している方のために、デリプロの基礎的な知識や、デリプロのメリット・デメリットなどを解説します。
実際の収入額や始める際の手順なども記載しているので、ぜひ参考にしてみてください。
アマゾンのデリプロとは
アマゾンデリバリープロバイダ、通称「デリプロ」は、アマゾンが独自に作り上げた配送部門として、アマゾンから配送を委託された中小の配送業者のことをいいます。
ヤマト運輸や日本郵便などの大手の配送業者とは異なり、デリプロの事業者は地域密着型の中小規模の運送会社がほとんどです。
また、デリプロは複数の会社から成り立っており、1つの会社ではありません。
全国に配置されている中小運送会社がそれぞれAmazonと独自に契約をして、配送をおこなっています。
デリプロの仕組み
Amazonの配送は、大手運送会社だけでなくデリプロもおこなっています。
デリプロの事業者は、営業所や物流センターによって担当地域が分かれているので、エリアによっては大手に代わってデリプロが配送することもあります。
また、デリプロの事業者は個人事業主の配送ドライバーと業務委託契約を個別に結んでいます。デリプロの事業者はAmazonから配送の委託をされ、個別に契約している配送ドライバーに消費者のもとまで商品を配達させるのです。
つまり、デリプロの配送ドライバーはAmazonと直接契約を結ぶわけではなく、中小運送会社に仲介してもらって配達業務を請け負っているのです。
デリバリープロバイダの事業者一覧
国内でデリプロとしてAmazonから配送を委託されている事業者は以下のとおりです。
業者名 | 営業所・物流センター |
SBS即配サポート | 東京・千葉・埼玉 |
札幌通運 | 北海道・宮城・関東全般 |
丸和運輸機関 | 全国 |
若葉ネットワーク | 全国 |
ギオンデリバリーサービス | 東京・神奈川 |
ヒップスタイル | 神奈川 |
遠州トラック | 静岡・愛知・福島・富山・関東全域 |
ロジネットジャパン西日本 | 関西全域・愛知・静岡 |
デリプロとアマフレはどう違う?
デリプロとよく似た働き方にアマゾンフレックスというものがあります。
アマゾンフレックスは、アマゾンの配送パートナーとして、個人で直接アマゾンと契約する働き方のことを指します。
どちらもドライバーは個人事業主として働くことになりますが、違いを分かりやすくいうと、アマゾンの配送部門として契約した中小の配送業者に所属して働くのがデリプロ、中小の配送業者を挟まずに個人で直接アマゾンと契約して配送を行うのがアマフレです。
デリプロは一般的な会社員のように拘束時間が長く、長時間の労働を強いられますが、安定した仕事を得られます。
一方でアマフレは自分の予定に合わせた短時間の労働が可能ですが、思うように仕事を取れない場合もあります。
それぞれに特徴があり、どちらがいいかは個人の状況や求める働き方によって異なります。
デリバリープロバイダでの働き方や給料
この章では、デリプロで働くまでの流れや仕事の進め方、給料面について具体例を挙げながら解説していきます。
デリプロで働くには?
デリプロで働くには、Amazonと契約した委託会社、もしくはその委託会社の下請けの会社と契約する必要があります。
デリプロで働くまでの流れを以下にまとめました。
- 運送会社に応募
- 面接
- 業務委託契約を結ぶ
- 研修を受け、ドライバーとして稼働
会社との契約自体は以上の手順でおこないますが、デリプロで働くためには、個人で用意しておくものや必要なものがいくつかあります。
まず、営業ナンバー(黒ナンバー)の取得です。デリプロに限らず軽貨物の運送業で働く場合は、貨物軽自動車運送事業の営業許可を交付してもらう必要があります。
書類を作成したのち、運輸支局に届け出を出し、発行を受けた書類を軽自動車検査協会に提出することで、車検証・黒ナンバーを発行してもらうことができます。
また、配達車両も自分で用意する必要があります。
カーリース等のレンタルを利用するという手もありますが、軽貨物ドライバーを長く続けようと考えている場合は、最初に車両を用意したほうが長い目で見るとお得だといえるでしょう。
デリプロでの仕事の流れ
デリプロでの仕事の流れは、以下のとおりです。
- アプリに登録する
- 指定された日時に、ステーションにチェックイン
- 荷物を集荷
- 配送
デリプロではアプリを使って仕事をするため、事前に登録を済ませておきましょう。
仕事当日は、ステーションにチェックインをしてから業務がスタートします。ステーションとは配達する荷物が置いてある倉庫を指します。
荷物の仕分けの有無に関してはステーションによって異なります。集荷が済んだらアプリに表示されているルートを確認しながら配達していきます。
デリプロの給料はどれくらい?
デリプロを本業としてがっつり働いた場合、どれくらい稼げるのでしょうか。
デリプロの報酬は日給で決められており、地域や会社によって料金の変動はありますが、およそ15,000〜20,000円です。
日給なので、配達件数や荷物を配り終える時間が異なっても報酬は変わりません。
月収に換算すると、週3で働いた場合は、月に180,000〜240,000円、週5で働いた場合は300,000〜400,000円ほどです。
ただし、デリプロでは業者による中抜きがおこなわれます。中抜きの金額は委託元の会社によって差がありますが、報酬から10〜15%程度は引かれるでしょう。
また、そこからさらに税金などが引かれることも把握しておきましょう。
デリプロで働くメリット・デメリット
アマゾンが独自に委託している中小運送会社と契約を結ぶことで仕事ができるデリプロですが、通常の配送会社やアマゾンフレックスで働くのとどのような違いがあるのでしょうか。
ここからは、デリプロで働くメリット・デメリットについて解説していきます。
デリプロで働くメリット
まずはデリプロで働くメリットです。
デリプロで働くメリットは以下の3点です。
- 安定した収入を得られる
- 同じ会社のドライバー同士の交流がある
- アカウント停止されにくい
それぞれ詳しく解説していきます。
安定した収入を得られる
デリプロは個人事業主ですが、中小の配送業者に所属して業務をおこなう、いわば普通のサラリーマンのような働き方をします。
個人事業主だから稼働時間を全て自分で決めて働くというのではなく、所属した会社によってシフトを組まれ、1日に12時間、週5日というような形で確実に仕事をもらえ、安定した収入を得ることができます。
その反面、自分の都合でスケジュールを管理できないというのはありますが、常に一定の収入を安定して得たいという人にはメリットとなるでしょう。
同じ会社のドライバー同士の交流がある
デリプロはAmazonとの直接契約であるアマフレと違って、1つの会社に所属することになります。
そうするとドライバー同士での交流が生まれるため、荷物が多すぎて困っているときに助けてもらえることもあるようです。
もちろん自分の仕事は自分できちんとおこなうのが原則ですが、もしものときに同じ会社のドライバー同士で連携をとれるというのは心強いでしょう。
特に初心者のころは、働き方のコツや、効率的に回れるルートなどの情報を先輩ドライバーが教えてくれることもあるので、仕事に早く慣れることができます。
研修の際にも隣に同乗してサポートしてくれる会社も多いようなので、安心して仕事を始めたいという人には確かなメリットといえるでしょう。
アカウント停止されにくい
デリプロで働くうえで避けたいのがAmazonによるアカウント停止、および契約解除です。
問題行動の多いドライバーはアカウントを停止され、アマフレやデリプロでの仕事ができなくなります。
アマフレと比べてデリプロはアカウント停止処分を受けにくい傾向にあるようです。
アマフレが個人での直契約に加え、デリプロは仮にも配送業者に所属しているという形になりますので、アマゾンとしても業者に所属している人間を気軽に処分するというのはやりにくいということなのでしょう。
デリプロで働くデメリット
デリプロで働くデメリットは、以下2点です。
- 拘束時間が長い
- 会社による中抜きがおこなわれる
それぞれ解説していきます。
拘束時間が長い
デリプロは個人事業主という立場ですが、普通のサラリーマンのように拘束時間が長くなります。
アマフレは、自分の働く時間をある程度コントロールできますが、デリプロは業者に所属しているという形になるため、長時間の拘束を受けるのです。
そのため、個人事業主=自由な働き方のイメージがある人には、デリプロは向きません。
実際のところは丸一日拘束されるため、通常の会社員と変わらないといえます。
会社による中抜きがおこなわれる
先述したように、デリプロでは所属している配送業者から中抜きという形で手数料を取られます。
手数料の割合は会社によって違いますが、大体15%ほどです。少ないところだと10%を切ることもありますが、多いところだと20%抜かれることもあります。
アマフレはアマゾンとの直接契約のため、この中抜きがありません。稼いだお金を100%受け取れます。
もしも同じ時間、同じだけ働いたとすれば、デリプロは収入面でアマフレに劣るといえるでしょう。
デリプロでの仕事が向いている人
以下のような特徴を持っている人はデリプロで働くのに向いています。
- 軽貨物初心者
- 安定して働きたい
それぞれ詳しく説明します。
軽貨物初心者
軽貨物の経験がなく、これから始めてみたいと思っている方にはデリプロが向いています。
デリプロは個人事業主でありながら、中小運送会社に所属して働くため、働き方は会社員に近く安心できるでしょう。
またデリプロであれば、分からないことがあっても気軽にドライバー仲間に聞いたり相談したりできます。
車も運送会社が用意してくれる場合がほとんどであるため、いきなり1人で配送業を始めるよりもデリプロのほうが気軽に始められます。
安定して働きたい
デリプロは配達件数に関係なく報酬がもらえる日給制なので、安定して働きたい方に向いています。
逆に、件数をたくさんこなしてがっつり稼ぎたいという方はアマフレが向いているでしょう。
デリプロで週5日のペースで働けば200,000〜300,000円ほどは稼げますが、倍ほど稼ぐことはできません。
アマゾンはデリバリープロバイダから撤退する?
「アマゾンはデリプロから撤退する」という話を耳にしたことがある方もいるのではないでしょうか。
この話の発端は、あるデリプロ事業者がT.M.GがAmazonから契約解除を通達されたことだといわれています。
契約解除された理由の真相はわかりませんが、予想されている理由の1つに、事業者がAmazonからの配達に関する要求に応えられなくなったという説があります。
この一件はあくまで一例であり、Amazonは、Amazonが目指す配送品質を保てない事業者との契約の見直しを随時おこなっていると発表しています。
今後、Amazonがデリプロから完全に撤退するのかは未定ですが、もしデリプロがなくなったとしても別のかたちで配達業が続けられるよう、準備しておくのは大切かもしれませんね。
デリプロの求人はどうやって探す?
デリプロの求人はどのように探せばよいのでしょうか。
「デリプロ 求人」と検索するとさまざまな求人サイトでヒットします。
原則、Amazonから委託されている中小運送会社が求人を出しているので、自分が仕事をしたいと考えている地域で募集をしている求人に応募してみましょう。
軽貨物の求人は専門サイトの利用がおすすめ
軽貨物の仕事を始めようと考えている方には、軽貨物専門の求人サイトの利用がおすすめです。
軽貨物業において委託元の事業者選びはもっとも大切だといえます。
軽貨物専門の求人サイトであれば、事業者の管理体制も整っており、誤った報酬例であったり、誇大広告に惑わされたりすることがなくなるでしょう。
特に軽貨物ドライバー初心者の方は、信頼性の高い軽貨物専門の求人サイトの利用をおすすめします。