ヤマト運輸のドライバーは「きつい」と言われることがあります。
肉体労働で体力的に厳しいのは容易に想像できるかもしれませんが、具体的にどのような理由が挙げられるのでしょうか。
この記事では、まずヤマト運輸のドライバーの種類や仕事内容に触れ、そのあと、シフト・労働の過酷さ・給料などの観点から「きつい」と感じる理由を解説します。
また、「きつい」状態を避けるための3つのポイントも紹介します。
現在ヤマト運輸で働いている方や、ドライバー職に興味のある方は、ぜひ参考にしてください。
ヤマト運輸のドライバーの種類と仕事内容
ヤマト運輸のドライバーには、いくつかの種類があります。
ヤマト運輸が取り扱う荷物を配達する点は同じですが、所属先や雇用形態によって、仕事内容が異なります。
ヤマト運輸に所属するのは、セールスドライバー(SD)・アンカーキャスト(AC)・パート・委託契約ドライバーです。
そして、ヤマト・スタッフ・サプライに所属する配送委託ドライバー、外部委託ドライバーがあります。
ヤマト運輸の荷物を運ぶドライバーの役割について、詳しくみていきましょう。
セールスドライバー(SD)
セールスドライバー(SD)は、ヤマト運輸に直接雇用されている正社員です。
全国各地の営業所に所属し、荷物の配達や集荷、さらに営業活動も行います。
外部委託ドライバーと異なり、セールスドライバー(SD)はコレクト(代金引換)や着払い、クール便など、幅広い種類の荷物を取り扱います。
出典:仕事紹介(セールスドライバー)|ヤマト運輸
アンカーキャスト(AC)
アンカーキャスト(AC)は、ヤマト運輸に直接雇用されている契約社員で、主に配達業務を担当しています。
セールスドライバー(SD)とは異なり、営業やノルマはほとんどありません。
また、軽自動車やワンボックス車での配達が主なので、AT限定免許でも問題なく働けます。
勤務時間は13時〜21時までの7時間実働で、1時間の休憩が設けられています。
そのため、午前中はプライベートの時間として活用でき、仕事と家庭を両立しやすいのが特徴です。
出典:
契約社員(アンカーキャスト)|ヤマト運輸
ヤマト運輸 午後からの配達ドライバー アンカーキャスト募集|ヤマト運輸
パート・委託契約ドライバー
ヤマト運輸には、パートや委託契約で配達をする形もあります。
パート契約の場合、社用の自動車や台車、リヤカー付き電動自転車を使用します。
普通自動車免許があれば働ける地域が多いですが、地域によっては免許不要のところもあります。
一方、委託契約で利用するのは、自身の自動車です。報酬は、配達した荷物1個あたりの完全出来高制となっています。
出典:パート・アルバイト採用|ヤマト運輸
配送委託ドライバー(ヤマト・スタッフ・サプライ)
ヤマト・スタッフ・サプライ株式会社(YSS)の配送委託ドライバーは、完全出来高制の報酬システムで働きます。
ドライバーはYSSに加盟し、個人事業主としてワンボックス軽自動車で荷物を配達します。
YSSはもともとヤマトホールディングス株式会社の子会社でした。しかし、2023年7月27日に株式会社ワールドホールディングスの連結子会社である株式会社ワールドスタッフィングに発行済株式の51%が譲渡されました。
その結果、2024年10月現在、YSSはワールドホールディングスの連結子会社となっています。
出典:
【公式】ヤマト・スタッフ・サプライ 派遣スタッフ 全国の求人情報一覧|ヤマト・スタッフ・サプライ
株式会社ワールドホールディングスとヤマトホールディングス株式会社による 業務提携および、ヤマト・スタッフ・サプライ株式会社を対象とする 株式譲渡に関するお知らせ|ヤマトホールディングス
外部委託ドライバー
外部委託ドライバーは、ヤマト運輸と業務委託契約を結び、個人事業主として荷物を配達しています。
報酬は歩合制が一般的で、配達する荷物はコレクト(代金引換)・着払い・クール便以外のものが対象です。
セールスドライバー(SD)とは異なり、配達業務に専念できる特徴があります。
【口コミ】ヤマト運輸のドライバーによる「きつい」の声
ここでは、ヤマト運輸のドライバーが実際に「きつい」と感じている声を紹介します。
猛暑や真冬、悪天候にかかわらず配達を続けなければならず、長時間労働のなかで休憩をほとんど取れない状況に嘆くドライバーが一定数いるようです。
さらに、上層部への不信感も強まっており、ヤマト運輸を辞めたいと考えるドライバーの声も目立ちます。
ヤマト運輸のドライバーからは良くない口コミや評判がみられますが、次章からその理由について詳しく解説します。
ヤマト運輸のドライバーがきつい理由1)天候に左右されない配達を強いられる
配達業務は、常に快適な天候で行われるわけではありません。
猛暑や極寒、雨や雪といった悪天候の日でも、荷物を時間通りに配達することが求められるため、ドライバーの体力消耗が激しくなります。
特に雨の日には、荷物が濡れないようシートをかけるなどの対策が必要ですが、その対応ができる荷物のサイズや重さ、届け先には限界があります。
悪天候でも正確かつ丁寧な配達が求められる点が、ドライバーに大きな負担をかけているといえるでしょう。
ヤマト運輸のドライバーがきつい理由2)シフト制で休みを取りづらい
ヤマト運輸は、年中無休で配達を行っています。
そのため、土日祝日だけでなく、お盆やお正月でも各営業所で最低5人程度のドライバーが出勤する必要があります。
シフトで担当コースが事前に割り当てられているため、急に休む必要がある場合には代理を立てなければなりません。
一部の営業所では、希望の休みを事前に提出し、経験年数に関係なく公平にシフトが組まれることもあります。
一方で、希望の休みが取りにくい雰囲気のある営業が存在するのも事実です。
このような勤務状況が、ドライバーにとって大きなストレスになっていると考えられます。
ヤマト運輸のドライバーがきつい理由3)拘束時間が長い
ヤマト運輸のドライバーの勤務時間は、基本的に8時〜21時の間でシフトが組まれていますが、拘束時間は長くなる傾向があります。
出勤時間は日によって異なりますが、朝9時や10時から17時〜21時までと日によってさまざまです。
基本的に、午前中の配達を終えて営業所に戻ると、13時〜14時が休憩時間として設定されています。
しかし、13時に到着する昼便トラックの仕分けなどの業務に追われることが多く、実際にしっかりと休めない日もあります。
また、必ずしもシフト通りに退勤できるとは限らず、結果的に労働時間は一般的な会社員よりも長くなることが少なくありません。
これが、ドライバーにとって負担となっている要因の1つといえます。
ヤマト運輸のドライバーがきつい理由4)専用端末を使いこなす必要がある
8時〜13時で50〜60個程度の荷物であれば、配達に慣れていなくても時間に余裕を持ってこなせるでしょう。
しかし、荷物の数が100個を超える場合、効率的な配達ができなければスムーズに処理することが難しくなります。
ヤマト運輸では、専用の端末が優先ルートを自動で組んでくれますが、出発前に自分でルートを確認・調整することが重要です。
さらに、専用端末にはお客様からの受け取り日時や場所の変更依頼がリアルタイムで通知されるため、その都度対応しなければなりません。
そのため、地図を頭に入れておくことに加え、専用端末をしっかりと使いこなすデジタルスキルも求められます。
効率良く荷物をさばくためには、デジタルに対応する能力も欠かせません。
ヤマト運輸のドライバーがきつい理由5)給与は集荷先の数によって大きく変動する
ヤマト運輸のセールスドライバー(SD)の給与は、外部委託ドライバーとは異なり、配達個数よりも集荷先の数に依存します。
集荷数が多いほどインセンティブが加算され、給与が増える仕組みです。
しかし、集荷先の数は自身の営業活動だけでなく、配属された営業所の立地条件にも左右されます。
例えば、個人宅が多い地域では大きな集荷が期待できず、営業の効果も限られます。
さらに、国道沿いにある自動車販売店などの大手チェーン店では、集荷契約を取りにくいことがほとんどです。
一方で、地元企業が多いエリアでは、営業がしやすく、集荷数を増やしてインセンティブを得やすい傾向にあるといえるでしょう。
担当するエリアや営業所は自分で選べないため、結果的にインセンティブによる給与の差が生じることがあります。
ヤマト運輸のドライバーがきつい理由6)時間指定や置き配指定など細かなルールに振り回される
ヤマト運輸では、以下の時間帯で配達時間を指定できます。
- 8:00~12:00
- 14:00~16:00
- 16:00~18:00
- 18:00~20:00
- 19:00~21:00
特に午前中や18:00~20:00、19:00〜21:00の時間帯は、指定する顧客が多いため、短時間での配達が求められます。
例えば、「午前中のもっと早い時間に配達してほしい」や「18:00~20:00と指定したのに、もう20時を過ぎている」といった不満もよく聞かれます。
さらに、2024年6月10日から始まった置き配サービスでは、「直射日光の当たる場所に置かれてしまった」や「食品なのに宅配ボックスに入れられていた」といったクレームが絶えません。
顧客からの細かな要望に応える必要があり、その対応がドライバーにとってさらなるプレッシャーとなっています。
出典:
受け取り日時変更|ヤマト運輸
2024年6月10日(月)から 個人向け会員サービス「クロネコメンバーズ」の会員を対象に 「宅急便」「宅急便コンパクト」の「置き配」での受け取りを可能に|ヤマトホールディングス
ヤマト運輸のドライバーがきつい理由7)ネガティブなニュースが相次いでいる
ヤマト運輸では、昨今ネガティブなニュースが続いており、ドライバーの士気にも影響を与えています。
特に問題となっているのは、パワハラによる社員の自殺や大規模なリストラ、退職者が続出していることです。
ヤマト運輸の社員が上司からのパワハラを受け、自殺に追い込まれるケースが以前から報じられています。
さらに、2024年には長年勤めてきた「クロネコメイト」と呼ばれる個人事業主やパート社員が約3万人もリストラされました。
不安定な雇用環境が浮き彫りになった報道は、ドライバーの仕事に対する不安を増幅させ、ストレスを高めているといえます。
ヤマト運輸のドライバーがきつい理由8)理不尽なサイズや重さの荷物を任される
ヤマト運輸のセールスドライバー(SD)が主に使用するのは、2tトラックです。
一方で、アンカーキャスト(AC)や委託ドライバーは、軽自動車やワンボックス車を使用しており、運べる荷物のサイズに制限があります。
それにもかかわらず、大型テレビなど車両のスペースを大きく占める荷物をセールスドライバー(SD)から振られることもあります。
また、アンカーキャスト(AC)には比較的女性が多いですが、「重量物はかわいそうだから」といった配慮をしてくれるセールスドライバー(SD)が必ずしも存在するわけではありません。
ヤマト運輸のドライバーがきつい理由9)配達しやすいエリアはセールスドライバー(SD)が優先
会社や病院、学校など、1度の訪問で配達が完了する場所は、ヤマト運輸のセールスドライバー(SD)が優先的に担当します。
一方、委託ドライバーは、効率的に配達しにくいアパートやマンションなど個人宅が多いエリアを担当することがほとんどです。
いわゆる「おいしい」コースが委託ドライバーに割り振られることはあまりありません。
そのため、委託ドライバーが効率の良いエリアを担当できる機会は少なく、負担がかかりやすい傾向があります。
ズバリ、ヤマト運輸のドライバーで1番きつい働き方は?
ヤマト運輸のドライバーにはさまざまな雇用形態や契約形態がありますが、そのなかでも最も負担が大きいのはセールスドライバー(SD)といえるでしょう。
正社員であるため、立場的に強かったり優遇されたりする面もありますが、セールスドライバー(SD)にかかる責任と負担は大きくなっています。
何度も変更される会社の方針に従わざるを得ず、その影響を最も強く受けるのがセールスドライバー(SD)といえます。
その他の仕事でも会社の方針変更に対応することはありますが、セールスドライバーの場合、業務に肉体労働が加わる点が負担を大きくしています。
ちなみに、ヤマト運輸と佐川急便はどっちがきつい?
安定した大手運送会社で働くなら、多くの人がヤマト運輸や佐川急便を思い浮かべるでしょう。
ヤマト運輸は、かつて佐川急便が担当していたAmazonと提携しました。
アマゾンフレックスが配達に参入していますが、Amazonが自社で配達しない荷物はヤマト運輸が担当するため、荷物の量が増えることになります。
また、ネット通販の増加に伴い、配達量が急増することもあります。
例えば、2024年8月8日の南海トラフ地震臨時情報発表後、水をオンラインで購入する人が増え、一気に荷物が増加しました。
一方で、佐川急便はヤマト運輸よりも、重くて大きい荷物を多く取り扱うため、体力的に厳しいとされます。また、営業所の数がヤマト運輸より少ないため、配達効率が低下する場合があります。
以下の記事では、ヤマト運輸と佐川急便を雇用形態別に比較していますので、ぜひ参考にしてくださいね。
ヤマト運輸のドライバーで「きつい」状態を避けるためにできること
ヤマト運輸のドライバーが「きつい」と感じる理由は複数あります。
もちろん、「きつさ」の感じ方や原因は人それぞれ異なりますが、自分に合った対策を取ることで負担を軽減できる可能性があるでしょう。
ここでは具体的な方法を紹介します。
効率的に荷物を積み込む
効率的な配達には、素早い積み込み作業が不可欠です。
仕分け職種のアシストがいる場合、ヤマト運輸のセールスドライバー(SD)は、積み込み作業を手伝ってもらえます。
しかし、アシストが不足している営業所では、アンカーキャスト(AC)や委託ドライバー同様、セールスドライバー(SD)も自ら荷物を積み込まなければなりません。
積み込みの方法は人それぞれですが、配達が早いドライバーは積み込みもスピーディーです。
どこに何を積み込んだかを把握しながら次々と荷物を積んでいくため、全体の効率が向上し、スムーズな配達が可能になります。
配達先情報をまとめる
ヤマト運輸の専用端末では、配達先の個別情報を入力できます。
例えば、「A宅は夜しか在宅していない」「B宅は不在時に玄関ドア前へ置き配OK」「C社は定期集荷ではなく、電話集荷に変更」といった情報です。
しかし、ドライバーの中には、この機能を活用していなかったり、使いにくさから入力を省略していたりする人もいるでしょう。
目先の小さな作業が面倒でも、長い目で見れば負担を軽くできる対策なので積極的に行いましょう。
また、専用端末に頼るだけではいけません。同じ営業所ドライバーとの口頭でのやりとりや営業所のグループLINEで共有された情報を自分なりにまとめておくことも大切です。
これにより、効率的な配達が実現しやすくなるでしょう。
仲間とのコミュニケーションを大切にする
配達する荷物の量は、日によって異なります。
例えば、ほかのドライバーが多くの荷物を抱えているときに、「Aエリアを自分がカバーする」といった助け合いができると、非常に効率的です。
いざ自分が大変なときには、ほかのドライバーにサポートしてもらえる可能性が高まります。
このように、ドライバー同士が協力し合う意識を持つことで、営業所全体の雰囲気もより良くなるでしょう。
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ヤマト運輸のドライバーの中には、「きつい」と感じている方も少なくありません。
ただし、その感じ方は人それぞれです。
多くの荷物を効率良く配達することにやりがいを感じたり、専用端末での情報確認や調整をゲーム感覚で楽しんだりするドライバーもいます。
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