稼げる仕事であると言われる一方で、割りに合わないという声もある軽貨物ドライバー。
今後軽貨物ドライバーを目指すために、現役ドライバーの給料事情を知りたいという人や、現在すでに軽貨物ドライバーとして働いていて、自分の収入が相場に対して高いのか低いのか気になるという人は多いのではないでしょうか。
当記事では、「業務委託」の軽貨物ドライバーの給料明細の話に絞って、給料明細の見方や手取り20万円と30万円ではどれくらい働き方が異なるかについて解説していきます。
軽貨物ドライバーの給料明細の記載項目
ここでは、軽貨物ドライバーの給料明細の記載項目について解説します。
現在すでに軽貨物ドライバーとして働いている人は、自分の給料明細を見ながら確認してみましょう。
- 基本給
- 車両リース料・車両購入費
- ロイヤリティ
- 保守費用・任意保険料
それぞれ順番に解説します。
基本給
基本給とはいっても、単純に配達件数×荷物単価で求めた金額に消費税をかけた金額です。
業務委託の場合、個人事業主であるため家族手当や住宅手当などといった福利厚生はありません。
また、有給休暇などもないため、体調不良などで休んでしまえば、その日の収入は0になってしまいます。
車両リース料・車両購入費
軽貨物ドライバーをするにあたって、軽貨物車両を持ち込めない場合は車両を購入するかリース契約を結びます。
請負元によっては、請負元から軽貨物車両をリースできるところもあり、その場合は毎月の報酬額から車両リース料が引かれます。
金額は請負元によってまちまちですが、30,000〜40,000円程度が相場です。
良心的な請負元もありますが、会社によっては廃車寸前の車両を相場以上の金額で貸し出すような、ぼったくりを疑わざるを得ないところもあります。
業務委託契約を結ぶ前に、どの車両をいくらで貸してもらえるのか確認しておきましょう。
また、購入を強要してくるような請負元は要注意です。
もちろん善良な運送会社もたくさんありますが、なかには、車両をローンで購入させることが目的で、購入させるだけさせて仕事をろくに回してもらえないなどといったトラブルもあります。請負元選びは慎重に行いましょう。
ロイヤリティ
ロイヤリティとは、請負元に支払う手数料のこと。「契約料」という名目で天引きされることもあります。
ロイヤリティの手数料率は請負元によって異なりますが、10〜15%程度が相場です。
請負元によってはロイヤリティ0の会社もありますが、ロイヤリティとして引かれるのは0でも別の名目で引かれる可能性もあるため、結果的に得かどうかはロイヤリティだけで判断するのではなく、明細書全体を見る必要があります。
保守費用・任意保険料
車両の保守費用や任意保険など、リース以外にも車両には何かと費用がかかります。
「保険料」や「車両メンテナンス費」などの名目で引かれている場合もあります。
保険に関しては、加入できるとしても自動車保険だけで、社会保険や雇用保険などには加入できません。
また、ガソリン代や備品などの経費については、自ら負担しなくてはなりません。
バッテリーやオイル、タイヤなどの交換にかかる費用は、請負元で面倒を見てもらえるところもありますが、実費で対応しなければならないところもあり、細かい部分は請負元によって異なります。
任意保険代が車両リース代に含まれている場合もあります。
【軽貨物ドライバーの給料明細】手取り20万円のケース
実際に、軽貨物ドライバーの給料明細を見てみましょう。
まずは、手取り20万円のケースです。
配達件数 | 小計 | |
---|---|---|
宅急便 | 1,900 | 323,000 |
ポスト投函の荷物 | 100 | 4,000 |
消費税 | 32,700 | |
合計 | 359,700 |
※宅急便が170円/1個、ポスト投函の荷物が40円/1個の荷物単価で計算しています。
車両リース料 | -40,000 |
---|---|
ロイヤリティ | -53,955 |
保守費用 | -11,000 |
合計 | -104,955 |
※ロイヤリティは15%で計算しています。
手取り |
---|
254,745 |
上記条件の場合、宅急便の荷物を月に1,900個配達できれば、手取り25万円は確保できます。
ガソリン代は3万〜5万円程度かかり自分で支払う必要がありますが、手取り25万円確保できれば、そこからガソリン代を差し引いても手元には20万円残ります。
目標が手取り20万円の場合、1日に100個配達すれば19日の稼働で達成できるため、初心者でも無理なく目指せる金額でしょう。
ちなみに、1日に100個配達することはそれほど難しいことではなく、未経験からのスタートでも1カ月もすればほとんどの人が配れるようになる数です。
慣れれば1日に150個以上配達することも可能であるため、その場合は2週間足らずで達成できます。
ただし、荷物単価やロイヤリティは請負元によって異なるため、荷物単価が低い場合やロイヤリティが高い場合はこのようにいかない可能性があります。
働いても働いても収入が増えない、総支給額に対して手取りが少ないといった場合は、荷物単価が低かったり、ロイヤリティが高すぎたりといった問題があるかもしれません。
また、手元に残った金額から住民税や国民健康保険、国民年金の支払いをせねばならないため、それらを支払っても手元に20万円残るようにしたいのであれば、さらに配達件数を増やすか、稼働日数を増やす必要があります。
なお、上記の明細は車両をリースした場合のものですが、車両の持ち込みができる人であれば車両リース料はかかりません。
【軽貨物ドライバーの給料明細】手取り30万円のケース
続いては、手取り30万円のケースです。
配達件数 | 小計 | |
---|---|---|
宅急便 | 2,500 | 425,000 |
ポスト投函の荷物 | 100 | 4,000 |
消費税 | 42,900 | |
合計 | 471,900 |
※通常の荷物が170円/1個、ポスト投函の荷物が40円/1個の荷物単価で計算しています。
車両リース料 | -40,000 |
---|---|
ロイヤリティ | -70,785 |
保守費用 | -11,000 |
合計 | -121,785 |
※ロイヤリティは15%で計算しています。
手取り |
---|
350,115 |
宅急便の荷物を月に2,500個配達できれば、手取り35万円は確保できます。そこからガソリン代を差し引いても、手元には30万円残せます。
手取りで30万円稼ぐためには、前章で紹介した手取り20万円の場合よりも配達件数や稼働日数を増やさなければなりません。
しかし、手取り20万円の場合と同様に1日の配達件数が100個だったとしても、25日稼働すれば30万円を突破できるため、それほどハードルが高いということはありません。
1日に150個以上配達できれば、月20日以下の稼働でも十分稼げるため、それほど無理をせずとも達成できる金額だといえるでしょう。
何事にも向き不向きがあるように、やはり軽貨物ドライバーにも稼げる人とそうでない人がいますが、手取り30万円程度であれば、ほとんどの人が稼げるようになります。
さらに配達スキルを伸ばし、配達件数を増やしていけば、40万、50万と収入を増やしていくことも可能でしょう。
要チェック!軽貨物の給料明細を見るときのポイント
業務委託の場合、企業に雇用されているわけではないため、厳密に言えば給料ではなく報酬が発生します。
そのため、請負元によっては給料明細という形式ではなく「業務委託報酬明細書」や「支払明細書」などといった名称であることが多いのではないでしょうか。
ここでは、給料明細や業務委託報酬明細書などを見る際のポイントについて解説します。
※表記は「給料明細」で統一しています。
不明な経費が引かれていないか
給料明細を見て、内容が不明の経費が存在していないかどうかをチェックしましょう。
たとえば、携帯電話は自前のものを使用しているにもかかわらず「携帯使用料」という項目がある場合や、ロイヤリティ0を謳っておきながら実際には「弊社契約料」が引かれている場合もあります。
軽貨物ドライバーは誰でもできる仕事ですが、決して楽な仕事ではありません。業務委託の場合、1日の拘束時間が長く、ろくに休憩も取れないことも珍しくありません。
そんな中、不当に経費が引かれてしまっては割に合わないと言えます。
少しでも不審な点がある場合は、契約書を読み返してみることはもちろん、給料明細書も金額だけではなく内訳までよく目を通すようにしましょう。
荷物単価やロイヤリティは説明どおりであるか
荷物単価やロイヤリティが説明どおりであるかどうかも、チェックすべきポイントです。
思ったよりも報酬が少ない場合、念のために一度自分で計算することをおすすめします。もしかしたら、荷物単価やロイヤリティが説明どおりでないかもしれません。
また、ロイヤリティに上限があると聞いていたのに、上限を超えてロイヤリティを取られていたというケースもあります。
少しでも疑問を感じたら、そのままにせず請負元に確認しましょう。
そもそも給料明細が存在しない
請負元によっては、そもそも給料明細がもらえないというケースもあります。
業務委託契約の場合、報酬に関する明細を発行する義務がないため、給料明細を発行してもらえないこと自体はおかしいことではありません。
しかし、なかには給料明細を発行する義務がないのをいいことに、不正にマージンを取る悪徳業者も存在します。
荷物単価やロイヤリティは事前に確認済みで、毎日の配達件数も把握しているにもかかわらずどうしても計算が合わない場合は、荷物単価やロイヤリティが聞いていた金額や割合と異なる可能性や、ほかに把握できていない経費が存在する可能性があります。
この場合は、請負先から給料明細を発行してもらうよう要請しましょう。発行してもらえない場合は、詳しい内訳を聞いてみてください。
より良い条件で軽貨物の仕事をしたいなら、優良な運送会社と業務委託契約を結ぼう
今回は軽貨物の給料明細について解説しました。
軽貨物ドライバーとして稼いでいくには、単純に配達スキルを上げて配達件数を伸ばすことももちろん必要ですが、重要なのは請負元である運送会社の選定です。
たくさん配達できたとしても、条件が悪ければ一向に稼げるようになりません。
そのため、優良な運送会社と業務委託契約を結び、より良い条件で仕事をすることが大切です。
優良な運送会社を探すには、軽貨物専門の求人サイトを活用することをおすすめします。気になる会社を何社かピックアップし、よく比較して決めるとよいでしょう。