車を活用して業務をおこなう仕事は多くありますが、なかには日頃から使い慣れている自家用車を使いたいという方もいるでしょう。
本業のかたわら、マイカーで気軽に副業ができれば挑戦してみたい方も多いはず。
本記事では、自家用車を活用してできる仕事の紹介や自家用車を使用する際の規定について詳しく解説していきます。
自家用車の持ち込みでできる仕事
自家用車を用いてできる仕事と特徴について以下の表にまとめました。
仕事の種類 | 始めやすさ | 大変さ | 業務内容 | 副業の可否 |
---|---|---|---|---|
配達 | 始めやすい(黒ナンバーが必要) | 荷物の量で変動 | 依頼主から指定された場所へ荷物を配達 | 副業しやすい (稼ぎたいなら本業にすべき) |
送迎 | 始めやすい | 比較的負担が少ない | 特定の人物を指定場所までの送り迎え | 副業しやすい |
運転代行 | 始めやすい | 比較的負担が少ない | 飲酒などで運転ができない方向けの運転代行 | 副業しやすい |
それでは「配達」「送迎」「運転代行」それぞれの仕事について詳しく解説していきます。
配達
配達は、依頼主から預かった荷物を指定された場所へと送り届ける仕事です。
配達の送り先は依頼主によって異なり、企業へ届けるケースもあれば一般宅へ届けるケースもあります。
報酬は基本的に運んだ荷物の量に比例します。また、労働量は依頼主から預かる荷物の量によって異なります。
荷物が少ないときは夕方に業務を終えることもありますが、荷物の量が多かったり不在による再配達が起こったりするため、21時や22時など夜遅くまで勤務するというケースもあるのです。
さらに、荷物を配達するには「黒ナンバー」と呼ばれるナンバープレートをつけなければいけないため、事前に黒ナンバーの取得が必要となります。
副業として始めるのであれば、運送会社と業務委託契約を交わすのではなく、AmazonFlexなど単発で請けられる仕事から挑戦するとよいでしょう。
送迎
送迎は、スタッフやキャストなど特定の人物を指定の場所まで送り届ける仕事です。送迎ドライバーの種類はさまざまですが、なかには有名人やエンタメ業界の関係者を送迎する仕事もあります。
送迎ドライバーは応募資格が「運転免許のみ」とされているケースが多いため、気軽に始められやすい仕事といえるでしょう。
また、送迎以外の時間は基本的に自由とされているため、拘束時間が少ないうえに給与が高いものが多い傾向にあります。
そのほかにも介護施設や幼稚園、ゴルフ場の送迎ドライバーなどの仕事がありますが、自家用車ではなく企業から指定されたマイクロバスを使用することもあるため、自家用車は認められないケースもあります。
運転代行
運転代行は、飲酒後などで運転できない自動車の保有者の代わりに車を運転し、自宅や目的地まで届ける仕事です。
飲酒運転への厳罰化やサービスの認知拡大により、需要が伸びている仕事でもあります。
ただし、運転代行の仕事はタクシー業務とは明確に分けられており、自分の車にお客様を乗せたり、お店から駐車場まで送るなどの行為は禁止されています。
また、運転代行をおこなうには随伴車が必要であるため、運転代行業者に登録して働くのが一般的です。
自家用車での配達は違法にならない?
自家用車を使用して配達業務をおこなうのは可能ですが、実際に業務をおこなううえで注意点がいくつかあるので紹介していきます。
マイカーの業務使用に関する規定
昨今、新型コロナウイルスの影響によってフードデリバリーの需要が増えており、デリバリー業務の労働者が増えました。
それに伴って国土交通省では以下のような規定を発表しています。
「他人の需要に応じ、有償で、自動車を使用して貨物を運送する事業を経営しようとする場合には、使用する自動車の種類に応じて、同法に基づく許可の取得又は事前の届出が必要です。また、同法に基づく必要な手続きを経ずに、他人の需要に応じ、有償で、自動車を使用して貨物を運送する事業を経営した場合には、同法第70条等に規定する罰則の対象となります。」
このように自家用車による配達は国の規定や法律によって方針が定められているので、事前に把握しておく必要があります。
白ナンバーで配達すると罰金の可能性も
結論から言うと、白ナンバーの自家用車で配達をおこなっても違法にはなりません。しかし、報酬が伴う配達は違法行為にあたります。
違反した場合「3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金」という罰則が科せられることも……
たとえば、依頼主の企業から受け取った荷物を、指定された企業へ届ける行為自体は問題ありません。このとき、配達業務に対する報酬が発生する場合は違法になるということです。
そのため、報酬を得るために自家用車を使用して配達業務をおこなうのはNGと覚えておきましょう。
自家用車を業務で使用する際に必要な手続き
自家用車の業務使用にはさまざまな規定が定められており、業務を開始するにはそれに伴う手続きが必要です。
実際に必要な手続きはおこなう業務によって異なりますが、今回は自家用車を使用して配達業務をおこなう際に必要な手続きを紹介します。
配達業務に必要な手続きは以下のようなものが挙げられます。
- 黒ナンバー取得
- 企業へ自家用車使用の申請
- 保険の加入
- 保険の「車両の使用目的」の変更
多くの方は自家用車の使用目的をプライベートでの使用と設定しているでしょう。
しかし、1年間のうち平均して月に15日以上、車を業務で使用する際には使用目的の変更が必要となります。
また、運転の頻度が増えるということは、それだけ事故が起こる可能性が高まるということであり、保険の加入も必要不可欠です。
ここまで記述したように、自家用車を業務で使用する際にはさまざまな注意点があるため、それらを知らずに活動すると法を犯してしまいかねません。
そのため、もし業務において自家用車の使用を検討している際は、事前にしっかり利用条件を確認しておくべきでしょう。
2022年10月より、軽貨物車両の貨物登録に関する規制緩和が施行されたため、黒ナンバーを取得せずとも、軽乗用車での配達が可能になりました。
目的別!自家用車を使ったおすすめの仕事!
自家用車を使用した仕事を考える目的は人によって異なり、本業として働きたい人がいれば、隙間時間で簡単に働きたいという方もいるでしょう。
ここでは、自家用車を用いてできる仕事を目的別に紹介していきます。
本業でガッツリ稼ぎたい人は軽貨物の業務委託
自家用車を使用して本業としてガッツリ働きたいという方には「軽貨物の業務委託」がおすすめです。
軽貨物は荷物の量によって報酬が異なり、多く荷物を配達すればするほど高い報酬を獲得できます。そのため、午後の半日で少しの荷物を配達するよりも1日で多くの荷物を配達したほうが報酬は高くなります。
委託契約をせずに、先述したAmazon Flexなどで単発で仕事をするのもよいですが、都度仕事を取りに行かなければいけないため、収入は安定しにくいといえるでしょう。
運送会社と業務委託契約を結んでいれば、安定して仕事を回してもらえるため、収入も安定しやすいです。
また、通販による商品購入やインターネット上のフリーマーケットの利用率が高まっている点、軽貨物ドライバーが業界的に人手不足である点から、新たに配達業務に参入しても仕事は獲得しやすいといえるでしょう。
副業やバイトで効率よく稼ぎたい人は送迎
送迎の大きなメリットは「報酬が高い傾向にある」「待ち時間を自由に使える」という点です。
ほかの業務のように1日中拘束されず、合間に自由な時間が生まれることで、プライベートや本業とも両立しやすくなります。
また、報酬が高い傾向にあることから、自身のスケジュールをコントロールしつつ効率よく稼げるでしょう。
運転が好きで気軽に働きたい人はレンタカーの回送
レンタカーの回送は、自家用車がなくても運転免許があればできる仕事です。
回送バイトでは、国内外の小型車からワンボックスまで、幅広い車を運転する機会があるので、車の知識も増えるなど車好きなら楽しく働けるでしょう。
メリットは、車庫入れや縦列駐車などの運転スキルも上がり、抜け道など道路にも詳しくなること。
また、車を取りに行く移動や運転など、仕事を1人でおこなうことが多いので、気楽に稼ぎたいという方にはうってつけの仕事です。
自家用車を仕事で使う場合の保険や経費
自家用車を仕事で使うと保険やガソリン代などの経費が発生します。
会社保有の車であれば会社側がすべて負担してくれますが、自家用車の場合は少し異なります。
ここでは、自家用車を業務に使用した場合の保険や経費の話について解説していきます。
自家用車を業務に使う場合の保険料はどうなる?
先述したように、1年間で月間平均15日以上、自家用車を業務使用する場合は、使用目的を「プライベート」から「業務」に変更しなければいけません。
しかし、使用目的を「業務」に変更すると保険料は割高になります。割高になる理由は、事故を起こすリスクの高さが上がるからです。
プライベート以外にも業務で車を使用すれば、運転頻度が増え、事故を起こす可能性が高くなるため保険料も高くなります。
しかし、万が一に備えて保険に入るのは止むをえないでしょう。
加入すべき保険の種類としては、加入が義務付けられている「自賠責保険」だけでなく「任意保険」や「貨物保険」などがあります。
(参照:チューリッヒ保険会社「自動車保険のレジャー・通勤・業務使用の違い」)
自家用車での業務中に事故が起きたら修理代は自己負担?
結論からいうと、事故による修理代の負担者は働き方によって異なります。
もし個人事業主として業務をしている場合は全額実費負担となり、会社に所属していて事故を起こした場合は、基本的に会社が負担をしてくれるケースが多いです。
しかし、業務委託の場合、修理代の一部のみを委託元が負担するケースやそもそも委託元は負担してくれないというケースもあります。
そのため、業務委託の際は事前に事故を起こした時にどのような対応をしてくれるのか確認しておくべきでしょう。
ガソリン代などの経費
ガソリン代の出費は自家用車で業務をおこなう場合は必要不可欠です。
ガソリン代の負担に関しては、先ほどの修理代と同様で働き方によって異なります。
会社に所属している場合は、会社側が費用を負担してくれるケースがほとんどですが、業務委託の場合は負担してくれるケースや一部のみ負担というケースもあります。
特に個人事業主として軽貨物運送業を行う場合は、ガソリン代を自己負担するのがほとんど。
また、ガソリン代で注意すべきは、業務中に使用したガソリン代だと証明できなければ負担してもらえない、かつ確定申告時に経費として認められないという点です。
特に自家用車の場合、プライベートで使用したガソリンか業務中かの判断が難しいため、業務中の使用であると証明できるように領収書をしっかりと保管しておくのはもちろん、プライベート使用と業務使用で支払い方法を分けておくのがよいでしょう。
軽自動車を持っている方には軽貨物ドライバーがおすすめ
自家用車を使用できる仕事はさまざまですが、仕事によって新たに登録変更や申請が必要な場合があるので、違反行為にならないよう必要な準備をしておきましょう。
今回紹介した仕事の中でも軽貨物ドライバーはおすすめです。
これまでは、軽乗用車を持っていても軽貨物車に登録変更をしなければ業務使用ができませんでしたが、2022年10月より、国土交通省が軽貨物の車両に関する規制を緩和したことで、軽乗用車でも配達が可能になりました。
(参照:貨物軽自動車運送事業における軽乗用車の使用について)
通販の需要やドライバー不足の観点から見ても、軽貨物運送は需要のある仕事です。規制緩和されたこのタイミングに、軽貨物ドライバーを始めてみてはいかがでしょうか。