企業配は、配送ドライバーの働き方の1つです。
配送の仕事といえば、個人のお宅に荷物を届ける宅配のイメージが強いですが、企業に対して配送をおこなう企業配という仕事も存在し、独自のメリットがあります。
この記事では企業配の特徴や、報酬の目安、企業配案件の探し方などを解説します。
企業配という働き方があることを知り、基本的な知識を得たいという人は、ぜひ参考にしてください。
軽貨物の企業配とは
企業間配送、企業配とは、荷物を個人宅ではなく企業に配送する仕事のことをいいます。
企業配は軽貨物の仕事の1つですが、宅配とは少し違った方法で日々の配送をおこないます。
まずは宅配と比較しつつ企業配の特徴を解説します。
企業配の仕事内容
企業配の主な仕事内容は、企業にコピー用紙といった事務用品や企業宛の荷物を運ぶことです。
企業配は、指定された荷物倉庫から荷物を積載するところから1日の仕事が始まります。宅配と違って、企業配は1日に配送するルートが大体決まっているので、同じルートで配送をおこなうのがほとんど。
また、1度きりでなく、定期的に同じ企業に荷物を運ぶケースが多いため、軽貨物ドライバーの仕事の中でも身だしなみや清潔さといった点を見られることも多くなるでしょう。
逆に、軽貨物ドライバーの雰囲気や仕事ぶりが評価されることで、また依頼してもらえる可能性も高くなるため、再依頼してもらえるように丁寧に仕事をしていく必要があります。
企業配は軽貨物での運送日時が決まっている
企業配は運送日時が決まっています。企業の営業している曜日・時間に配達することになるので、月曜から金曜日の9時から18時までが勤務時間になることが多いです。
日中が主な活動時間帯になるので、朝から昼、夕方までの配送で仕事を終わらせたい方にはぴったりですよ。
企業配の特徴
企業配の特徴として、まず安定性が挙げられます。
企業配の報酬は、固定された日給として支払われることが多く、その日1日の仕事の出来不出来に関わらず、決まった報酬を得ることができます。
逆に言えば、出来高制が多い宅配に比べて、大きく稼ぎにくいということでもありますが、波のある報酬よりも安定した報酬を求める人に好まれる傾向にあります。
また、配送先が企業であるため、配達時の不在がほとんどありません。そのため再配達が極めて少ないのも特徴です。
国土交通省が2021年10月に行った調査では、宅配便の再配達の割合は約12%にも上り、再配達問題は物流業界の大きな課題として、長らく問題視されています。
再配達は配送の効率を悪くするだけでなく、配達員のストレスにもなるので、再配達で煩わしい思いをしたくない人にも企業配はおすすめです。
宅配と企業配の違い
宅配と企業配には以下のような違いがあります。
- 報酬体系の違い
- 仕事が終わる時間の違い
- 配送ルートの違い
どの配送方法がよいかは人によって異なるので、自分にどちらが向いているのか判断の参考にしてくてくださいね。
軽貨の企業配の単価や収入はどれくらい?
企業配の仕事では、ほとんどの契約が成果報酬ではなく、一日保証金額で設定されています。
大幅に儲けていくことは難しいですが、安定した収入を得たいという軽貨物ドライバーにとってはとても利点のある仕事です。
一日保証金額の相場は、15,000円から18,000円ほど。月平均で22日働いた場合、330,000円から396,000円ほどが平均月収になります。
カレンダー次第で、多少月収は変わってきますが、安定した収入が見込めるといえryでしょう。
年収で考えると、400万円から480万円くらいが相場です。
ただし、これは経費などを引いていない金額なので、実際の手取り額はもうすこし少なくなります。
軽貨物の企業配のメリットやデメリット・注意点
企業配をしする上で、軽貨物ドライバーが知っておきたいメリットや注意点について、紹介していきます。
企業配のメリット
企業配の主なメリットは、以下の4つ。
- 平日中心に定時で働ける点
- 安定した収入がもらえる
- 男女関わらず運送に負担が少ない点
- 再配達がなくストレスや手間が少ない点
それぞれのメリットについて、詳しく説明していきます。
平日中心に定時で働ける
平日の日中、9時から18時までの定時で働けるという点は非常にメリットがあるといえるでしょう。
時間外に自分の時間や趣味の時間を設けることもできますし、より収入を増やしたい方は、単発の軽貨物配送を請け負って、さらなる収入アップを目指すことも可能です。
企業配は、子育て中の方から特に支持の高い働き方であり、子育てと仕事の両立も果たしていくことができるでしょう。
また、企業配の仕事はルーチン化しやすいので、軽貨物ドライバーとして駆け出しの初心者でも、安心して取り組めます。
安定した収入がもらえる
企業配では出来高制ではなく、一日保証金額で働いていくことになります。
企業配は日によって荷物の量に差があるため、出来高制だとドライバーの収入が安定しなくなります。企業配で一日保証金額を設定しているのには、収入が安定しないと軽貨物ドライバーが集まらないという事情もあるのです。
企業側としても、荷物の多い少ないはあれど確実に毎日配送があるため、軽貨物ドライバーを確保しておかないと、仕事に使う備品が補充されないなどの不都合が生じます。
企業側の事情で荷物量が変わるため、日によっては配送も大変な日がありますが、一日保証金額で安定した収入を得られるというのは、軽貨物ドライバーとして働く上で安心できますよね。
配送の負担が少ない
企業配は同じ企業への配送も多く、荷物の種類も同じものを配送することが多いでしょう。
いつも配達する荷物の特徴をしっかりと把握することで、効率的に、かつ、楽に配送するできるようになりますよ。
また、毎日のように配送する企業担当者の特徴や顔を知っておくことで、精神的な負担も少なくいられるでしょう。
ほかの軽貨物輸送よりも体への負担や精神の負担が少ない点も企業配のメリットだといえるでしょう。
再配達がなくストレスや手間が少ない
先述した通り、企業相手の配送なので、再配達が少ないというメリットもあります。
企業は定時時間内であれば誰かしら人間がいるので、よほどのことがないと再配達にはなりません。
軽貨物ドライバーのストレスの種である再配達がないというだけでも、精神的にも肉体的にもストレスや負担が少ないと言えるでしょう。
軽貨物の企業配はきつい?デメリットや注意点
企業配にはデメリットや注意点もあります。
- 荷物によってはきつい力仕事となることもある
- 企業の事情が配達に影響することもある
- がっつり稼ぐことができない
- 仕事内容に変化が見られにくい
それぞれの注意点について詳しく紹介していきましょう。
荷物によってはきつい力仕事となることもある
企業配は企業の荷物を配送する仕事なので、個人宅への配送ではあまり見られないような大量の荷物を配送する場合もあります。
なかでもコピー用紙の配送は、企業配でも特にきつい仕事として知られていて、コピー用紙の大きさにもよりますが、1万枚あたり、20kgから60kgにも及ぶ重さの荷物を配送しなければならない場合もあります。
また、大きな企業では車から配送場所まで距離がある場合があるので、尚更大変だといえるでしょう。
企業配の仕事は、配送先の企業が大体決まっているので、大量のコピー用紙の配送が必要となる企業に当たった場合は、定期的に配送することも覚悟しなければなりません。
配送先は自分が契約を結んだ配送会社によって決まるので、こればかりは運の要素が強いとも言えます。
企業の事情が配達にも影響することも
企業には細分化された部署があります。荷物を運ぶ部署や場所と、伝票のサインをもらう部署が異なるというパターンもあります。
相手の企業の事情で、たらい回しになるのはイライラするかもしれませんが、さまざまな部署を回らなければならないケースもあるので、注意が必要です。
がっつり稼ぐには企業配は不向き
安定した収入が企業配の良い点です。
ですが、成果報酬ではなく、固定報酬であるため、企業配だけでがっつりと稼ぐというのは現実的ではありません。
まだ若く体力の余っている内は、夜遅くまでの配送や休日配送などを行ってガンガン稼ぎたいという人も多いでしょうが、そういう人には不向きかもしれませんね。
逆に安定した報酬を求める人や、長時間の労働を避けたい人などは企業配が向いていると言えます。
もしも企業配を始めた後に、時間に余裕ができて、空いた時間に働きたくなったら、宅配の仕事に変えるか、別で単発の仕事を探すという手もあります。
仕事内容に変化が見られにくい
このデメリットは、車の運転や配送の仕事が好きな人ほど感じやすいと思いますが、企業配は基本的に同じルートでの配送なので、毎日の仕事に変化が少なく、面白味にかける部分があります。
初心者のうちは、仕事に変化がないというのは助かる部分ですが、仕事に慣れてきて、なおかつ配送の仕事に愛着が生まれると、毎日同じルートで配送するのに飽きてくる場合があります。
通常の宅配の仕事は、毎日違うルートで配送をおこなうので、特に長距離ドライバーの場合は見知らぬ土地で配送をおこなうのが楽しみだという人もいます。
企業配は同じルートで安定感がある反面、人によってはつまらなく感じてしまうというデメリットも持ち合わせています。
軽貨物の企業配の仕事が向いている人
企業配には人によって向き不向きがあります。企業配に向いている人は以下のような人です。
- 軽貨物初心者の人
- 保障された安定感のある収入を求める人
- 通常の会社員のように17:00〜18:00ぐらいの時間帯には仕事を終えたい人
順に解説します。
軽貨物初心者の人
軽貨物初心者の人に企業配が向いている理由は、宅配と違って配送ルートが大体決まっていることです。
宅配の場合、初心者の内は配送の勝手が分からず、大変さを感じるものです。
その点、企業配は配送ルートが大体決まっているので、1度配送の仕事を経験すれば、その後覚えることが少なくて済みます。初心者としては仕事がやりやすいです。
保障された安定感のある収入を求める人
軽貨物初心者のうちはベテランドライバーのように1日に多くの荷物を配ることができません。
宅配は荷物1つ配るごとにいくら、というように単価で換算された出来高制で報酬が決まることが多いので、初心者のうちは稼ぐのに苦労する場合もあるでしょう。
企業配は多くの場合が固定報酬制なので、初心者ドライバーとベテランドライバーの間での報酬差が生まれにくく、気持ちの面でもリラックスして仕事に臨むことができます。
さらに、企業配は大きな金額を稼ぎにくい一方で、1日の報酬が保障されているので、収入に安定感を求める人に企業配は向いています。
配送ルートにも変化が少なく、固定された日給で報酬が支払われるので落ち着いて働きたい人に企業配はおすすめです。
通常の会社員のように17:00〜18:00ぐらいの時間帯には仕事を終えたい人
17:00~18:00頃の早い時間帯に仕事を終えることができるのは、自分のプライベートや家族との時間を大事にしたいという人には、大きなメリットになるでしょう。
物流業界は長時間労働が当たり前の厳しい労働環境で知られています。
夜遅くまで仕事せずに、普通の会社の定時上がりのような時間帯で仕事を終えられるというのは大きなメリットです。
たとえたくさん稼げても、劣悪な労働環境は必ずドライバーの離職を招きます。そういう意味でも企業配は働きやすく、続けやすい仕事であると言えるでしょう。
軽貨物の企業配案件の探し方
実際に企業配を始めてみたいと思っている方のために、企業配案件の探し方をまとめました。
企業配を始めること自体はそれほど難しくないので、少しでも興味を持ったならこの項で記載した方法で案件を探してみてください。
求人サイトで企業配送の求人に応募
軽貨物で企業配を始めるならば、多くの人にとってこれが主な探し方になるでしょう。
求人サイトで仕事を探せば、「企業配」を明記しているものがあるので、その求人に応募するようにしてください。
契約した会社で企業配の仕事を始めれば、通常の宅配ができないわけでもなく、宅配と企業配両方の案件に対応している会社も多いです。
もしも企業配が合わないと思ったときのために、宅配と企業配両方の案件に対応してる会社と契約すれば安心でしょう。
法人として企業配送の業務委託を結ぶ
求人サイトで案件を探すよりもかなりハードルは上がりますが、自分で会社を設立(法人化)して企業配送の業務委託を結ぶという手もあります。
法人化は開業費などの金銭面でデメリットを感じやすいですが、会社に所属せずに自分で荷主と契約できる等のメリットがあります。
初心者にはあまりおすすめできないやり方ですが、ドライバーとして経験を積んで独立を考え出した人などには一考の余地があるでしょう。
個人で企業配送の業務委託を結ぶ
個人で荷主と契約し、企業配送の業務委託を結ぶという選択肢も存在します。
ただこの方法は現実的ではありません。契約を結ぶにしても法人としか契約を結ばないという荷主は多いですし、個人で直接営業するとなると相当なコミュニケーション能力と人脈が必要です。
やはり一番よい方法は、求人サイトで企業配の案件を探すという方法でしょう。まずは住んでいる地域に近いエリアから、自分に合った会社を見つけてみましょう。
軽貨物で会社と契約する際は、最初の会社選びは非常に重要です。安易に決めずに、複数の会社から比較検討をおこなうようにしてくださいね。