ドライバーにとって、絶対にしたくないミスといえば誤配ですよね。
誤配をしたことに自分で気づいて何事もなく対処できればまだしも、誤配に気づかず、後にクレームに発展するなどの事態になれば、ドライバーの責任問題にとどまらず、運送会社のイメージダウンにつながる可能性もあります。
そのため、運送会社によっては誤配をしたドライバーに適切なペナルティを与えるところもあります。
この記事では、大手運送会社「ヤマト運輸」にフォーカスし、誤配をした場合のペナルティについて解説していきます。
ヤマトで誤配をしたらどのようなペナルティがある?
誤配は誰もが犯してしまう可能性のあるミスですが、もっともしてはいけないミスでもあります。
ヤマト運輸で誤配した場合、どのようなペナルティを受けるのでしょうか。また、そもそもペナルティは存在するのでしょうか。
ここでは、ヤマト運輸で誤配した場合のペナルティについて解説します。
支店長への報告
誤配してしまったら、まず支店長への報告が必要です。
黙っていればバレないのではと思うかもしれませんが、顧客からのクレームで誤配の事実が発覚する可能性もあるため、事態が大きくなる前に自分から報告したほうがよいでしょう。
その際、叱責を受けるかどうかは、支店長の性格ややり方、誤配の内容にもよります。
とにかく、誤配が発生したらまずは支店長への報告が第一です。
誤配してしまいどうすればよいのかわからない場合でも、これからすべきことについて指示をもらえるため、精神的な負担が減り、結果的に問題も早く解決します。
ただし、自分で誤配に気づいて即対応し、円満に解決した場合は正式な報告までは必要ありません。
情報を共有しておくために、「誤配はしたが自分でリカバリーした」ということを上司に伝えておけばよいでしょう。
始末書の提出
支店長への報告後、始末書を作成して提出します。
始末書の内容は「誤配がいつ、どこで、どのようにして起きたのか」についてです。
誤配してしまったときのことを思い出しながら、文章で経緯を説明します。とくに難しく考えず、実際の状況をそのまま文章にすれば問題ありません。
そして、再発を防止するためにはどうすればよいのかについてや、今回の誤配に対する反省、謝罪などで締めくくります。
誤配はしてはならないミスですが、してしまったものは仕方ありません。それよりも、適切な対応をすることや、いかに反省し、今後に活かすかが重要です。
なお、自分で気づいて対応し、解決した場合は始末書の提出までは求められないケースが多いでしょう。
業務委託の場合は契約解除されることもある
ヤマト運輸から業務委託で仕事を請けている場合は、稀に始末書の提出では済まないケースもあります。
業務委託の場合でも、1度や2度の誤配であれば注意で済むことがほとんどです。
また、顧客の怒りが収まらず、直接謝罪に出向くケースでも、多くの場合はドライバー本人ではなく委託会社の社長などが対応します。
ただし、誤配の頻度があまりにひどい場合やまったく反省が見られないような場合は、契約解除に至ることもあります。
契約解除に至らなくても、ケースによっては謹慎処分になったり、コースを変更させられたりといったペナルティを受ける可能性があります。
給料や評価にかかわるペナルティはある?
誤配をしても、給料や評価にかかわるようなペナルティはとくにありません。
そのため、誤配をしたからといって減給や降格に怯える必要はありません。
しかし、ケースによっては話が支店だけにとどまらず、本社まで動きだす事態に発展することもあります。
その場合は本社からきつく注意を受けたり、重いペナルティを課せられる可能性もあります。
仮にペナルティを受けなかったとしても、周囲から「誤配が多いドライバー」という不名誉な印象をもたれるため、職場で居心地の悪さを感じるようになるかもしれません。
誤配の内容や利用者の状況でペナルティは変わる?
誤配の内容や利用者の状況によっては、ペナルティが重くなる可能性があります。
誤配の内容によって問題の大きさが異なるためです。
たとえば以下のようなケースでは、まだ「仕方ない」と思えるような要素があります。
- 配達先に表札がなかったため、通常よりもしっかり住所や名前を確認したうえで配達したが、顧客が伝票をよく見ておらず結局誤配だったことが判明した
- 伝票に記載されている住所が間違っていることに気づかず置き配し、顧客からの電話で誤配だったことを知った
- アパートのA棟とB棟が地図上で反対になっていることに気づかず宅配ボックスに配達し、後日誤配が判明した
住所や名前を確認をしてサインまでもらえれば、合っていると思うのが普通です。
また、そのエリアに慣れているドライバーであれば住所の間違いに気づけても、配達の経験が浅いドライバーなどは気づきにくいといえるでしょう。
さらに、対面での配達であれば配達の際に指摘されて間違いに気づく可能性がありますが、置き配の場合は気づかない可能性のほうが高いです。
誤配をしてしまった事実は受け止める必要がありますが、このような理由であれば、多くの場合、そこまで問題視されません。
しかし、以下のようなケースには「仕方ない」と思えるような要素が見当たりません。
- 住所や氏名をよく確認せず、間違った配達先に勝手に荷物を置き配した
- ポストに「転居しました」のテープが貼られており明らかに転居後であるとわかったが、置き配指定になっていたため顧客に電話もせず置き配した
荷物に追われ、「とにかく1つでも多く配達しないと」という思考に囚われてしまうと、冷静に考えればアウトだと思えるようなことでも瞬時に判断できないことがあります。
とくに置き配の場合は「本当に合っているのか」「置き配しても問題ないか」などをよく考え、問題ないと確信できなければ持ち帰ったほうが賢明です。
そのほか、利用者の状態によっても処分は変わってきます。
たとえば、ドライバーがいくら「直接謝罪させてほしい」と申し出ても、利用者に「そこまでしてもらわなくてもいい」と言われたらその件はそこで終了です。
また、手を尽くしても利用者の怒りが収まらない場合は、支店で対応しきれず大ごとになる可能性があります。
ヤマトで誤配をしたことに気づいたらどうする?
誤配をしたことに自分で気づいた場合、どのような対応をすればよいのでしょうか。
ここでは、ヤマト運輸で誤配をしたことに自分で気づいた場合の行動指針について解説します。
ドライバー自身が回収に戻ってもよい?
自分で誤配に気づいた場合、ドライバー自身が荷物を回収しに戻っても問題ありません。
ヤマト運輸公式ホームページの「よくあるご質問(FAQ)」でも、以下のように回答されています。
『ご迷惑をおかけいたしまして、大変申し訳ございません。開封の有無に関わらず、セールスドライバーが回収にお伺いします。』
「セールスドライバーが回収にお伺いします」との回答から、ドライバー自身の対応が前提となっていることがわかります。
回収に戻る際は再度誤配先を訪問し、事情を話して謝罪しましょう。
荷物がまだ開封前であればそのまま受け取り、正しい配達先に配達し直します。すでに開封されている場合は配達せず、そのままセンターに持ち帰りましょう。
ただ箱が開いているだけで一見中身に問題がなさそうな場合でも、テープを貼り直したりせず持ち帰ります。
そして支店長に事情を説明し、指示をあおぎましょう。
ドライバーからのお詫びは必要?
ドライバーからのお詫びは、荷物を回収した際に、謝罪と誤配が起こった経緯を説明すれば十分です。
お詫びの品を持って改めて訪問する必要はありません。
ただし、利用者の怒りが収まらないときや誤配の内容がひどい場合は、上司や委託会社の社長が直々に謝罪に行くこともあります。
利用者が誤配に気づいたときの連絡先
利用者が誤配に気づいたときの連絡先は、ヤマト運輸の公式ホームページの「よくあるご質問(FAQ)」に掲載されています。
『お手数ですが、下記のいずれかへサービスセンターまたはセールスドライバーへご連絡いただけますようお願いいたします。』
「下記のいずれか」とは、以下の3つの連絡先を指します。
- サービスセンター
- セールスドライバー
- 固定回線
サービスセンターではAIオペレーターが対応しますが、AIオペレーターでは対応できないと判断したときは、ヤマト運輸の社員との通話に切り替わります。
また、セールスドライバーに直接連絡する場合は「直営店・取扱店・ドライバー検索」から担当ドライバーを検索すると、担当ドライバー直通の番号が表示されます。
ただし、実際に誤配をしたドライバーとは別のドライバーにつながることもあるため、関係のないドライバーが電話対応をすることになる羽目も。
そして固定電話は地域別に番号が用意されており、営業所ではなくサービスセンターにつながるようになっています。
【ドライバー向け】ヤマトの誤配に関するよくある質問
この章では、ヤマトの誤配に関するよくある質問とその回答を紹介します。
誤配のクレーム対応は誰が行うのかや、誤配した荷物が紛失した場合に弁償が必要なのかどうかなど、すべてドライバー向けの質問内容です。
今一度、誤配から発生するリスクについて考えながら読んでみてください。
誤配のクレーム対応は誰が行う?
誤配のクレーム対応は、事務職員や支店長、ドライバー本人、委託会社の社長など状況によってさまざまです。
顧客が直接営業所に来店した場合は、その場に居合わせた事務職員や支店長が対応することになります。
また、ドライバー直通の電話番号にクレームの電話がかかってきた場合は、その日に、その携帯を所持していたドライバーが誤配した本人ではなかったとしても対応するしかありません。
そのほか、委託ドライバーが誤配したときは委託ドライバー本人か、ひどいケースであれば委託会社の社長が対応します。このように、誤配をすると周囲も巻き込んでしまいます。
また、自分自身がクレームを受けたときはもちろん、本人以外がクレーム対応した場合でも誤配について質問を受けたり対応したりしなければならないことが発生するため、そうなると配達どころではありません。
誤配した荷物が紛失した場合、弁償は必要?
誤配した荷物が紛失した場合、宅急便1つにつき30万円の範囲でヤマト側が補償します。
宅急便コンパクトの場合は1つにつき3万円までです。
宅急便約款、宅急便コンパクト約款では、各項以下のとおりに定められています。
このように、誤配した荷物が紛失した際にはヤマト運輸から補償されます。
なお、ヤマト運輸からドライバー本人に請求がいくことはありません。
荷物の紛失は警察沙汰になることもある?
荷物の紛失は、ケースによっては警察沙汰になる可能性があります。
なぜなら、置き配に指定した荷物が紛失した場合、窃盗扱いになるためです。
実際には窃盗に遭ったのではなく誤配であっても、利用者が運送会社ではなく警察に通報し、被害届を出した場合は警察沙汰になってしまいます。
ほかの運送会社の誤配に対するペナルティは?
ほかの運送会社の誤配に対するペナルティも見てみましょう。
たとえば郵便局では、ゆうパックの誤配1件につき5,000〜10,000円程度の罰金が課されることがあります。
佐川急便でも、誤配をするときつく注意を受けます。
また、2022年には、一部の委託会社で誤配1件につき30,000円の罰金を設けていたことがニュースで取り上げられました。
そのほか、アマゾンフレックスでも誤配によるペナルティがあり、何度か繰り返すとアカウントが停止することもあります。
誤配に対しては、どこの運送会社でもシビアな考え方を持っています。運送業界に身を置いている以上、誤配には細心の注意を払う必要があるでしょう。
(参考:置き配で「罰金5万円」、ドライバー搾取の深刻問題|東洋経済ONLINE)
日ごろから誤配防止の意識を持つことが大切
今回は、ヤマト運輸で誤配したときのペナルティについて解説しました。
配達ドライバーにとって、誤配はあってはならないミスのひとつです。完全にミスをなくすことは難しいですが、日ごろから確認を怠らず、誤配しないよう意識を持つことが大切です。
また、誤配の防止をはじめとする配達に関するノウハウは、運送会社の研修で学ぶこともできます。
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