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軽貨物で10台以上になると何が必要?整備管理者の選任義務や手続きを解説
基礎知識

軽貨物で10台以上になると何が必要?整備管理者の選任義務や手続きを解説

事業が順調に拡大して黒ナンバー(事業用軽自動車)を10台以上へ増やそうと考えたとき、追加でどんな資格や手続きが必要になるのか気になっている方も多いのではないでしょうか。

軽貨物運送事業では、使用する車両が10台以上になると整備管理者の選任が法律で義務付けられます。5台以上で必要となる安全運転管理者との違いや、増車に伴って満たすべき車庫要件、運輸支局への届出手順を分かりやすく解説します。

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軽貨物で10台以上になると何が必要?義務化される整備管理者の選任基準

個人事業主から事業を拡大し、運用する黒ナンバー(事業用軽自動車)の台数が増えてきた際に、意識しなければならないのが「10台」という基準です。結論からお伝えすると、軽貨物運送業において使用する車両が10台以上になると、整備管理者の選任が法律で義務付けられます。

10台以上で使用の本拠ごとに必要となる整備管理者

貨物軽自動車運送事業では、道路運送車両法に基づき、使用の本拠(営業所や拠点)ごとに10台以上の事業用自動車を使用する場合、点検や整備の責任者として整備管理者を選任しなければなりません。1台から9台までの規模であれば事業主自身による管理で問題ありませんが、10台以上になるとより厳格な安全体制が求められます。

注意したいのは、この「10台」という基準が事業者全体の合計台数ではなく、使用の本拠(拠点)ごとに判定される点です。たとえば同一法人であっても、A営業所に6台、B営業所に5台を配置している場合は選任義務が発生しません。1つの営業所で10台以上を一括管理する段階で選任が必要になります。

整備管理者になれる資格と実務経験の条件

整備管理者は誰でも無条件になれるわけではありません。2026年9月時点の法令において、選任されるためには以下のいずれかの要件を満たす必要があります。

選任ルート

必要な資格・実務経験の条件

国家資格ルート

1級・2級・3級の自動車整備士技能検定に合格していること

実務経験ルート

車両の点検・整備や整備管理に関する実務経験が2年以上あり、地方運輸局長が実施する「整備管理者選任前研修」を修了していること

整備士資格を持っていないドライバーや運行責任者であっても、2年以上の点検整備実務経験があれば、事前に指定の研修を受講することで資格要件を満たせます。事業拡大を見据えて事業用車両の増車手続きを進める際は、あらかじめ社内で候補者を育成しておくか、資格保持者を採用しておく段取りが欠かせません。

整備管理者を選任した際は、管轄する運輸支局長へ整備管理者選任届を遅滞なく提出する必要があります。届出を行わずに10台以上の運行を続けると法令違反となるため、増車が決まった時点で速やかに書類を整えて提出しましょう。

木製デスクで整備管理者選任届の書類にペンで記入する手元

軽貨物運送業で運行管理者や安全運転管理者は何台から必要?

車両の保有台数が増えて規模が拡大すると、整備管理者だけでなく「安全運転管理者」や「運行管理者」の選任が必要になるのか気になる方も多いはずです。それぞれの役割と法律上の選任基準を正しく理解し、台数に応じた適切な体制を整えましょう。

乗車定員11名以上または5台以上で必要な安全運転管理者

安全運転管理者は、道路交通法に基づき、事業所における安全な運転環境を確保するために選任する責任者です。事業用(黒ナンバー)か自家用(白ナンバー)かを問わず、自動車を5台以上(乗車定員11名以上の場合は1台以上)使用する事業所には、安全運転管理者の選任が義務付けられています。

軽貨物運送業であっても、営業所で稼働する車両が5台に達した時点で選任が必要です。安全運転管理者は、運転者の健康状態や過労の把握、アルコール検知器を用いた酒気帯び確認、安全運転の指導などを担います。選任したときは、15日以内に管轄の警察署を経由して公安委員会へ届け出なければなりません。

軽貨物における運行管理者の選任義務と近年の安全対策動向

緑ナンバーのトラックを扱う一般貨物自動車運送事業では、営業所ごとに国家資格者である「運行管理者」の選任が義務付けられています。しかし、軽貨物運送事業(貨物軽自動車運送事業)においては、法律上の運行管理者を選任する義務はありません。

管理者の種類

根拠法令

軽貨物での選任義務

選任基準

安全運転管理者

道路交通法

あり

乗車定員11名以上なら1台、それ以外は5台以上

運行管理者

道路運送車両法 / 貨物自動車運送事業法

なし

一般貨物等は必要だが、軽貨物は対象外

整備管理者

道路運送車両法

あり

軽貨物車両が10台以上

ただし、選任義務がないからといって安全管理を怠ってよいわけではありません。2026年時点の最新動向として、軽貨物運送業界における事故防止を目的とした安全規制の強化が進んでいます。軽貨物運送業の届出を行った事業者に対しても、安全管理者講習の受講や運転者への指導監督の記録など、実質的な安全管理体制の構築が強く求められています。

軽貨物を10台以上に増車する際の手続きと車庫要件

事業規模を拡大して車両を10台以上に増やす際は、管理体制の整備だけでなく、車庫の拡張や行政手続きが必要になります。法令に沿った体制を整えずに車両だけを増やしても、事業用として公道を走らせることはできません。増車時に求められる具体的な基準と手続きの流れを把握しておきましょう。

全車両を確実に収容できる車庫面積の確保

車両を増やす際、最初に対処すべきなのが車庫の収容能力です。軽貨物運送業では、保有するすべての事業用車両を確実に収容できる車庫を確保することが義務付けられています。台数が増えた分だけ駐車スペースを追加で契約しなければなりません。

車庫には広さだけでなく、立地や道路条件にも明確な基準が設けられています。原則として営業所から直線2km以内(地域ごとの運輸支局の規定による)に位置している必要があり、前面道路の幅員が車両の出入りに支障がないことも条件です。また、車庫の土地や駐車場を賃貸している場合でも賃貸借契約書などの提出は不要で、届出書への宣誓で足りますが、正当な使用権原を確保しておく必要があります。契約期間が極端に短い場合や、又貸しが禁止されている区画は認められないケースがあるため事前に確認しましょう。

運輸支局への変更届と黒ナンバー取得の流れ

車庫や車両の準備が整ったら、行政機関へ増車の届出を行います。事業用軽貨物車両の追加は、運輸支局と軽自動車検査協会の2箇所で手続きを進めます。軽貨物で必要な登録の手順に沿って、書類の不備がないよう進めることが大切です。

ステップ

手続きを行う場所

主な内容と必要書類

1. 増車の届出

管轄の運輸支局(輸送担当窓口)

「事業計画変更届出書」「事業用自動車等連絡書」などを提出し、連絡書に経由印をもらう。

2. ナンバーの交付

管轄の軽自動車検査協会

経由印付きの連絡書、車検証、旧ナンバープレート等を提出し、黒ナンバー(事業用)の発行を受ける。

運輸支局へ事業計画変更届出書を提出すると、確認印が押された事業用自動車等連絡書が交付されます。この連絡書を持参して軽自動車検査協会へ行き、車検証の用途変更と事業用ナンバープレート(黒ナンバー)の取り付けを行えば、増車手続きは完了です(2026年時点の運用規定に基づく)。10台以上の規模になると手続きの件数も増えるため、計画的にスケジュールを組んで進めましょう。

白線で区切られた広い屋外駐車場に並ぶ複数の配送用バン

軽貨物で10台以上の規模に拡大する際の注意点

事業用軽貨物車両が10台以上の規模に拡大すると、増車手続きだけでなく日々の運行管理や法令遵守の負担が大きく増加します。個人事業主の感覚のまま台数だけを増やすと管理が行き届かなくなるため、組織としての管理体制を整える必要があります。

整備管理者の退職リスクと後任候補の育成

10台以上の体制で最も警戒すべきなのが、整備管理者の退職によって選任要件を欠いてしまうリスクです。整備管理者が不在の状態で事業用車両を運行することは道路運送車両法違反となり、行政処分の対象となるおそれがあります(2026年時点の運用基準)。

整備管理者が1名しかいない状態は事業継続の観点から非常に危険です。実務経験のあるドライバーや運行管理担当者など、社内の複数名に運輸支局が実施する選任前研修をあらかじめ受講させておき、万が一の退職時にも即座に後任を選任できる体制を作っておくことが不可欠です。

点検整備記録簿の保管と日常点検の仕組み化

保有台数が増えるほど、ドライバー任せの日常点検や定期点検のスケジュール管理に抜け漏れが生じやすくなります。安全運行を維持するためには、点検の実施と記録簿の保管を業務フローとして仕組み化しなければなりません。

点検の種類

実施タイミング

管理上の注意点

日常点検(運行前点検)

1日1回(運行開始前)

チェックリストを用いてドライバーに提出させ、未実施の運行を防ぐ

定期点検整備

12ヶ月ごと(2026年9月時点)

点検整備記録簿を適切に保存し、期限前に整備工場へ計画的に入庫させる

日頃から車のメンテナンスを徹底しないと、突然の故障による配送遅延や重大事故を招く要因になります。点検結果は点検整備記録簿として必ず所定の期間保管し、運輸支局等の監査や立ち入り検査が入った際にも速やかに提示できるように整理しておきましょう。

また、10台規模になると車両ごとの稼働率と維持コストの把握も欠かせません。事業用任意保険料、車検代、タイヤやオイルなどの消耗品費用は台数に応じて確実に増加します。稼働率が低い車両を抱えたままでは固定費が利益を圧迫するため、車両別の売上と維持費を月次で比較・管理する視点を持ちましょう。

軽貨物10台以上の体制を整えて事業拡大を安全に進めよう

軽貨物運送業(貨物軽自動車運送事業)は車両1台から手軽に開業できる点が大きな強みですが、事業を拡大して保有台数が増えるにつれて、課される法的義務や管理体制の基準が段階的に変わります。事業規模が大きくなってから慌てて対応するのではなく、台数ごとの基準をあらかじめ把握し、計画的に体制を整えておくことが大切です。

特に重要なポイントは、車両台数の増加に伴う管理者の選任義務です。2026年9月時点の法令に基づき、基準となる台数と必要な管理体制をまとめました。

保有台数

必要となる選任・手続き

主な要件・対応事項

5台以上

安全運転管理者の選任

一定の実務経験または公安委員会の教習修了が必要。選任後15日以内に警察署へ届出。

10台以上

整備管理者の選任

実務経験2年以上かつ選任前研修の受講、または整備士資格が必要。選任後運輸支局へ届出。

5台以上で安全運転管理者、10台以上で整備管理者の選任が義務付けられるため、増車を決めてから資格要件を満たす人員を探すのでは手続きが間に合わないリスクがあります。特に整備管理者の選任前研修は開催日程や定員が限られている地域もあるため、増車計画を立てる初期段階から資格要件のクリアに向けて動いておきましょう。

管理者の適切な配置や車庫要件を満たした運行体制を整えることは、単なる義務の履行にとどまりません。近年はコンプライアンス(法令遵守)を重視する荷主や大手元請け企業が増えており、適正な整備・運行体制を維持している事業者は信頼性の高いパートナーとして選ばれやすくなります。

車両を10台以上へ拡大するプロセスは、個人事業主から組織的な運送事業者へと成長する重要な転換点です。必要な届出や要件を正しく把握し、軽貨物の登録手続きを計画的に進めながら、安全で持続的な事業拡大を実現させましょう。

配達のギモン、現役ドライバーがぶっちゃけ回答

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疑問を抱える軽貨物ドライバー

この記事を書いた人

小副川 祐貴

小副川 祐貴

株式会社Lic 代表取締役。軽貨物専門求人サイト「ハコボウズ」運営者。 2019年に株式会社Licを設立し、Amazon配送を中心とした軽貨物配送事業を運営。ドライバー採用・教育・品質管理まで一貫して携わり、日々現場の運営を行っています。 自身の現場経験をもとに、ハコボウズでは軽貨物ドライバー向けの求人情報や業界知識、働き方、収入、開業に関する情報を発信。未経験者にも分かりやすく、信頼できる情報提供を心掛けています。