車を運転する仕事を検討している人の中には、「ハイヤー運転手」に興味がある人もいるのではないでしょうか。
ハイヤー運転手の仕事は、「きつい」と言われることがあります。
その理由として挙げられるのは、長い待ち時間が発生することや、高度なビジネスマナーを要求されること、責任が重いことなどです。
この記事では、「きつい」と言われるハイヤー運転手の仕事内容や現実を紹介します。
ハイヤー運転手の実務実態について興味がある人は、ぜひ最後までご覧ください。
ハイヤーの運転手の仕事とは
ハイヤーの運転手の仕事は、乗客を指定された場所に送り届けることです。
ただしタクシーとは異なり、乗客となるのは会社役員や政治家、海外のVIPといった要人であることがほとんどです。
また、完全予約制である点や、個人でやるのではなく会社に雇用されて働くケースが多い点もタクシーとは異なります。
要人の専属ドライバーになることも多く、高い運転技術や土地勘はもちろん、対人スキルやビジネスマナーも要求されます。
ハイヤー運転手の仕事が「きつい」と言われる理由
ハイヤーは上品で落ち着いたイメージがあるかもしれません。
しかし、「きつい」と言われることもあります。
ハイヤー運転手の仕事が「きつい」と言われる理由を紹介します。
待ち時間が長い
ハイヤー運転手の仕事が「きつい」と言われる理由のひとつは待ち時間の長さです。
完全予約制であるため予約が入らなければ待ち時間が長くなり、ときには何時間も待機することもあります。
会社役員の専属になれば、顧客の会社や送迎先で待機することもあります。
常に忙しく動いていたい人にはきついと感じるかもしれません。
とはいえ、待ち時間中も仕事中であることに変わりはないため自由に過ごせるわけではありません。タクシーと比較すると運転する時間自体は少ないものの、待ち時間が長いため1日が長く感じることもあるでしょう。
待ち時間の間は、車両の手入れや情報収集、同僚とのコミュニケーションなどをして過ごしますが、いつ仕事が入るかわからないため気が休まらないと感じるドライバーもいるようです。
慣れればある程度はうまく時間を使えるようになりますが、1日の過ごし方が決まっているほうが働きやすい人には向かない可能性があります。
労働時間が長時間になりやすい
労働時間が長時間になりやすいところも、ハイヤー運転手が「きつい」と言われる理由として挙げられます。
ハイヤー運転手は乗客の都合によって朝早くから夜遅くまで拘束される可能性があります。とくに全国的な会議や学会などがあった場合、当初の予定より長引くことで労働時間が長時間になりやすくなります。
タクシー運転手なら1日の拘束時間や休息期間に定めがありますが、ハイヤーに関しては規制が適用されません。
労働時間が長くなりがちなので、過度に長時間にならないよう注意が必要です。
出典:タクシー・ハイヤー運転者の労働時間等の改善のための基準|厚生労働省
高度なビジネスマナーを身につける必要がある
高度なビジネスマナーを要求されるところも、「きつい」と感じる要因のひとつでしょう。
前述のとおり、ハイヤーの利用客は主に会社役員や政治家といった、いわゆる「VIP」であるためです。
もちろん一般客が相手でも言葉遣いや身だしなみには気を遣う必要がありますが、さらにワンランク上の対人スキルを求められるでしょう。
相手に合わせた接客や空気を読むスキルも必要になるため、「ただ運転ができて人とコミュニケーションが取れる」というだけでは務まらない可能性があります。
責任が重い
ハイヤー運転手の仕事が「きつい」と言われる理由には、責任の重さもあります。
当然、相手が誰であっても安全には気を配り、事故を起こさないよう細心の注意を払いながら運転する必要があります。
しかしハイヤーの場合、事故を起こしたことが国の未来に影響するような事件に発展するかもしれません。
また、渋滞ややむを得ない事情であっても遅刻が許されないシーンが多く、精神的なプレッシャーを感じるでしょう。
そのため、責任の重さに耐えられる精神力も必要であるといえます。
「ハイヤー運転手=底辺」というイメージを持たれることがある
一部の人から「ハイヤー運転手=底辺」というイメージを持たれることがある点も「きつい」といえるでしょう。
ハイヤー運転手の中でも、稼げている人は「何を言われても気にしない」と誇りを持って仕事をしている傾向にあります。
しかし、あまり稼げないうちから「底辺」などと言われては、ハイヤー運転手の仕事に希望が持てなくなり、長く続けられない人もいるでしょう。
長く続けていくためには、ネガティブなことを言われても跳ね除けるだけの強い意思や、「ハイヤー運転手としてやっていきたい」と思う気持ちが必要かもしれません。
実際の口コミからみるハイヤー運転手の現実
ハイヤー運転手に関する実際の口コミは以下のとおりです。
長時間勤務に疲弊しているドライバーや稼げないと嘆く声、稼げるが辞めたいといったネガティブな投稿が目立ちます。
このことから、誰もが向いている仕事ではないことがわかります。
「ハイヤーは稼げない」という噂の真相は?
「ハイヤーは稼げない」という声をよく耳にしますが、噂の真相はどうなのでしょうか。
ここではハイヤー運転手の年収や、タクシーと比較するとどちらが稼げるかについて解説します。
ハイヤー運転手の年収
ハイヤー運転手の年収は、500万円程度であるといわれています。
ただしはじめから年収500万円稼げるというわけではなく、350万〜400万円程度からスタートし、勤続5年程度で年収500万円に到達するといったケースが多い傾向にあります。
給与形態は月給制であることが一般的ですが、完全に固定給の場合や基本給+歩合制にしているケースなどさまざまです。
月収・年収例は以下のとおりです。
月給例 | 年収例 |
---|---|
35万円 | 520万円(賞与を含む) |
ただし上記はあくまでも一例であり、実際の収入とは異なります。
多くの企業で月給制を採用していますが、歩合制や月給制でも歩合率が高いところであれば、年収1,000万円などさらに大きく稼げる可能性もあるでしょう。
なお、勤める企業によっては賞与が支給されることもあります。
また、最低賃金が保障されていたり、福利厚生が充実していたりと、待遇面が優れている企業もあるため、企業を比較してみるとよいでしょう。
タクシーとハイヤーはどっちが稼げる?
タクシーとハイヤーでは、ハイヤー運転手のほうが稼げる傾向にあります。
前述のとおり、ハイヤー運転手の年収が500万円程度であるのに対し、タクシー運転手の平均年収は361万3,300円というデータがあるためです。
とはいえ個人の能力や向き不向き、所属する企業などにもよるため、「ハイヤーのほうが確実に稼げる」とは言いきれません。
ケースによってはタクシーのほうが稼げる場合もあるでしょう。
そのため「ハイヤーのほうがタクシーよりも稼げる可能性が高いが状況にもよる」ことを念頭に置いておきましょう。
出典:タクシー運転者賃金・労働時間の現況|一般社団法人全国ハイヤー・タクシー連合会
ハイヤー運転手のメリット
ハイヤー運転手になるメリットは以下のとおりです。
- 安定した収入を得られる
- 貴重な体験ができる
- やりがいを感じられる
ハイヤー運転手の多くは正社員での雇用です。
毎月安定した収入を得られる点はメリットといえます。勤める企業によっては大きく稼ぐことも可能でしょう。
また、貴重な体験ができることもメリットのひとつです。海外のVIPや政治家などを後ろに乗せて運転する機会など、普通に暮らしていたらまず訪れません。
そのほか、やりがいを感じられるところもハイヤー運転手になるメリットです。地理を頭に叩き込むまでが大変ですが、熟練度を上げ、担当エリアを思いどおりに走れるようになれば、楽しさや充実感を感じられるでしょう。
ハイヤー運転手に向いている人とは
ハイヤー運転手には向き不向きがあるため、誰でもできる仕事ではありません。
ここでは、ハイヤー運転手に向いている人の特徴について解説します。
車の運転が好きな人
車の運転が好きな人はハイヤー運転手に向いている可能性があります。
トラック運転手やタクシー運転手ほどではありませんが、ハイヤー運転手も長時間車を運転する機会があるためです。
そのため、運転が苦手な人や長時間の運転は避けたい人は向かないでしょう。
なお、単に車の運転が好きなだけでなく、運転技術が高いかどうかもポイントです。
「運転は好きだけど下手」である場合は難しいかもしれません。
気配りができる人
気配りができる人もハイヤー運転手に向いています。
ハイヤーの乗客の多くは一般の人ではありません。そのため、一般の人を乗せる場合よりも気を遣わなければならないシーンが多いです。
乗客のために常に気を配ることで信用を得られれば、「専属に」との声をかけてもらえる可能性があります。
反対に、細かい気配りができなかったり空気が読めずに話しかけてしまったりする人には、向いているとはいえないでしょう。
守秘義務を守れる人
要人を乗せる機会が多い分、守秘義務を守れるかどうかも重要なポイントです。
有名人を乗せたことでテンションが上がり、SNSで呟いてしまったり周囲に「◯◯を乗せた」など情報を漏らしてしまったりするようではハイヤー運転手は務まりません。
見聞きしたことを他言せず、守秘義務をしっかり守れる人は向いているといえるでしょう。
ハイヤー運転手を辞めたいと思ったらどのような転職先がある?
「ハイヤー運転手を辞めたい」と思った場合、以下のような転職先があります。
- トラックドライバー
- タクシードライバー
- 軽貨物ドライバー
それぞれ解説します。
トラックドライバー
以下に該当する人は、トラックドライバーへの転職をおすすめします。
- 高度なビジネスマナーが身につかない
- 人とあまり関わらない仕事がしたい
- 接客よりもとにかく運転がしたい
ハイヤー運転手は車を運転する仕事ですが、それよりも接客の要素が強く、さらに相手が要人であることが多いため気を遣います。
トラックドライバーであれば、必要最低限のコミュニケーションで済むため高度なビジネスマナーを要求されることはありません。
また、運転がメインの仕事です。
人と関わる時間よりも、ひとりでトラックを運転している時間のほうが圧倒的に多いため、とにかく運転したい人にはもってこいでしょう。
タクシードライバー
以下に該当する人は、タクシードライバーへの転職をおすすめします。
- 自ら営業して仕事を得たい
- 乗客と気軽に話しながら仕事をしたい
- 待ち時間を有効に使いたい
ハイヤーは完全予約制であり受け身になりがちであるため、自ら営業をかけて仕事を得たいならタクシードライバーのほうが向いているかもしれません。
また、要人相手では気軽に話もできませんが、タクシードライバーであれば和気藹々と話しながら仕事をすることも可能です。
乗客との会話を楽しみたいならタクシーのほうがよいでしょう。
そのほか、ハイヤーでは多くなりがちな待ち時間も、タクシーの場合は営業の時間に充てられるため有効に使える可能性があります。
軽貨物ドライバー
以下に該当する人は、軽貨物ドライバーへの転職をおすすめします。
- 歩合制で大きく稼ぎたい
- 運転技術をさらに活かしたい
- 人ではなく物を運びたい
安定した月給制よりも、歩合制でとにかく大きく稼ぎたいなら軽貨物ドライバーがおすすめです。
中には月給制のところもありますが、軽貨物ドライバーは多くの場合歩合制で、「荷物を配達すればするほど稼げる」ためです。
中には、年収1,000万円を達成しているドライバーもいます。
また、運転技術をさらに活かしたい人にも向いています。
軽貨物ドライバーは細い道への進入やバックでの長距離移動など、細かいテクニックを要求されるシーンが多いためです。
運転技術に自信がある人は、検討してみてもよいでしょう。
運転の仕事で稼ぐなら軽貨物ドライバーもあり◎
「きつい」と言われるハイヤー運転手の仕事内容や現実を紹介しました。
ハイヤー運転手は待ち時間が長く、責任の重い仕事です。そのため、人によっては「きつい」と感じるかもしれません。
「運転の仕事ができるならハイヤー運転手にこだわらない」というのであれば、軽貨物ドライバーを検討してみることをおすすめします。
軽貨物ドライバーは基本的に1人で行動し、頑張りによっては大きく稼げる可能性のある仕事です。
運転の仕事で稼ぎたいなら、チャレンジしてみるとよいでしょう。