アマゾンと直接契約を結びアマゾンの荷物のみを配達する軽貨物宅配サービス、アマゾンフレックス。
「軽貨物ドライバーを始めようと思っているけれど、アマゾンフレックスとほかの軽貨物宅配サービスとで迷っている」
「効率よく稼げるならアマゾンフレックスを始めたいけれど、単価や手取りの相場がよくわからない」
アマゾンフレックスへの参入を考えている人の中には、このような悩みを抱えている人も少なくないはず。
今回は、アマゾンフレックスの単価や手取りの相場、売上を上げる方法について解説します。
アマゾンフレックスの単価とは
アマゾンフレックスの報酬の仕組みは、ほかの軽貨物宅配サービスと異なります。
ここでは、アマゾンフレックスの報酬の仕組みや報酬単価について解説します。
アマゾンフレックスの報酬の仕組み
アマゾンフレックスでは給料ではなく報酬というかたちで配達の対価が支払われます。
アマゾンフレックスの配達員はアマゾンに雇用されているわけではなく、アマゾンと直接業務委託契約を結んだ個人事業主であるためです。
報酬は、受けたオファーに対して発生し、オファーごとに金額が決められています。オファーをたくさん受ければその分報酬につながるため、たくさん収入を得たいならどんどんオファーを受けるようにするとよいでしょう。
ただし、オファーは早い者勝ちであることから、必ず獲得できるとはかぎらないことや、1日12時間まで、1週間に50時間までと稼働できる時間も制限されているため、働きたいときに必ずしも働けるとは限らない可能性もあります。
なお、アマゾンフレックスでは週払い制度を採用しており、水曜日から火曜日までの報酬が翌週の水曜日に振り込まれます。
それほど待たずに報酬を受け取ることができるところは、できるだけ早く報酬を手にしたい人にとって大きなメリットといえるでしょう。
アマゾンフレックスの報酬単価は?
アマゾンフレックスではブロックごとに報酬が決まっています。
オファーを受ける時点でブロックの時間帯と報酬が明確に分かるため、オファーを受けるかどうかを判断しやすいでしょう。
ブロックごとに設定された報酬単価の目安は以下のとおりです。
1ブロックの稼働時間(目安) | 報酬額 |
---|---|
4時間 | 8,000円程度 |
6時間 | 12,000円程度 |
8時間 | 16,000円程度 |
※上記の金額はすべて税抜き金額です。
アマゾンフレックスの報酬額は、1時間あたり2,000円程度に設定されていますが、金額は登録しているエリアやステーションによって異なります。
また、1ブロックの稼働時間はあくまでも目安です。
荷物の積み込みや移動、配達自体を素早くこなし、目安となる時間よりも早く配達を完了させることができれば、時給単価は上げられます。
アマゾンフレックスの配達(荷物)単価
アマゾンフレックス以外の軽貨物宅配の場合は荷物単価×配達個数で報酬が決まることが多いですが、アマゾンフレックスでは荷物単価が決められていません。
ただし、1ブロックの稼働時間に応じておおよその荷物量が決められているため、1ブロックの報酬額と荷物量から荷物単価は計算できます。
以下は1ブロックごとの荷物量の目安です。
1ブロックの稼働時間(目安) | 報酬額 | 荷物量 |
---|---|---|
4時間 | 8,000円程度 | 40〜80個 |
6時間 | 12,000円程度 | 60〜120個 |
8時間 | 16,000円程度 | 80〜160個 |
※上記の金額はすべて税抜き金額です。
上記のとおり、荷物量は登録しているエリアやステーションによって異なりますが、1時間につき10〜20個のペースで配達すれば配りきれる程度の荷物量に設定されています。
たとえば、1ブロック4時間のオファーで荷物量が80個の場合の荷物単価は以下のとおりです。
8,000円÷80個=100円
また、1ブロック8時間のオファーで80個の場合は以下のとおりです。
16,000円÷80個=200円
荷物量が少ないほうが一見割がいいようにも思えますが、荷物量が少ないからといって配達時間が短くて済むとはかぎりません。
なぜならアマゾンフレックスでは、範囲が広いエリアほど荷物が少なく、逆に範囲が狭いエリアほど荷物量が多くなる傾向にあるためです。
範囲が広ければ1軒の配達に時間がかかり、範囲が狭ければ配達するエリアが広い場合よりも1軒にかかる時間は短くなります。
荷物量に差があっても、配達完了までにかかる時間にはそれほど差が出ないようになっているため、あまり時間あたりの報酬には差が出ないでしょう。
アマゾンフレックスの単価は人やエリアによって異なる?
アマゾンフレックスの単価は登録しているエリアによって異なります。
前述したように、関東エリアでは1時間あたり2,000円程度ですが、ほかのエリアでは1,800円程度になることもあります。
ただし、条件にそれほど大きな差はありません。
また、人によって報酬が変わることはありませんが、どのようなオファーが表示されるかは異なる場合があります。
たとえば、条件を満たした特定の配達員には通常のオファーに加え「優先オファー」が表示されます。
通常のオファーは1週間前に表示されるのに対し、優先オファーは1カ月前から表示されるものもあるため、優先オファーが表示されない人よりもオファーは取りやすいでしょう。
アマゾンフレックスと他の配達サービスの単価を比較
アマゾンフレックスは決して稼げないサービスではありませんが、報酬を多く得るためにはコンスタントにオファーを取る必要があり、オファーが取れなければ報酬にはつながりません。
そのため、アマゾンフレックスの配達員の中には、ほかの軽貨物宅配サービスと掛け持ちしたり、アマゾンフレックスをやめてほかの宅配サービスに移ったりする人もいます。
アマゾンフレックスの配達員の多くが登録しているのは、フードデリバリーの配達員です。
ここでは、アマゾンフレックスと大手フードデリバリーサービスである「Uber Eats」「出前館」の配達単価を比較します。
サービス名 | 時給 | 配達単価 |
---|---|---|
アマゾンフレックス | 2,000円程度 | 100〜200円程度 |
Uber Eats | 1,500〜2,000円程度 | 500〜650円程度 |
出前館 | 1,500〜2,000円程度 | 550〜870円程度+インセンティブ |
3つのサービスを比較すると、配達単価にはそれぞれ違いがあるものの、時給に換算するとそれほど大きな差がないことがわかります。
アマゾンフレックスでは1日にたくさんの荷物の配達をこなす必要がありますが、フードデリバリーは配達単価が高く、1日にそれほど多くこなさなくても希望の報酬を得られるといった魅力があります。
また、件数を増やせばさらに時給を上げることも可能です。
出前館でインセンティブがつけば、1件につき最大1,980円の報酬を受け取ることができます。
アマゾンフレックスを始めるかどうかで迷っている場合は、アマゾンフレックス、フードデリバリーの両方に登録しておくのもよいでしょう。
アマゾンフレックスの単価や報酬を上げる方法は?
アマゾンフレックスで、より多くの報酬を稼ぐためにはいくつかコツがあります。
ここでは、アマゾンフレックスで単価や報酬を上げるための方法について解説します。
できるだけ早く配り終える
アマゾンフレックスで単価や報酬を上げたい場合は、決められた荷物をできるだけ早く配り終えられるようにしましょう。
たとえば1ブロック4時間のオファーで報酬が8,000円の場合、40個の荷物を1時間につき10個のペースで配達すると時給は2,000円ですが、20個のペースで配達すれば時給は4,000円まで上がります。
配達にかかる時間を短縮することで、荷物1個あたりの単価を引き上げられるのです。
また、空いた時間にほかのオファーや別の案件を受けられれば、その分報酬を増やせます。
なんとなくで配達していても配達ペースは上がりません。
効率を意識し、どのようにすれば早く配り終えられるか、ということを考えながら配達すれば、1時間の配達個数も変わってくるため、常に効率を意識しながら配達することが重要です。
配達ルートをAI任せにしない
アマゾンフレックスでは、スキャンした荷物をどのような順番で配達すればよいのかをAIが判断し、ルートを組んでくれます。
一見便利なシステムで、自分でルートを考えなくてよいぶん手間は省けますが、AIの性能がまだあまり高くないうえに、実際の現場を把握しているわけではないため、効率の良い回り方であるとはいいきれません。
場合によっては、遠回りになったり非効率な回り方になったりすることもあるため、配達ルートはAIに頼らず自分で組んだほうがよいでしょう。
慣れないうちはAIの決めたルートに従って配達してもよいですが、慣れてくると「この回り方のほうがよいのではないか」と思うことが増えてくるはずです。
AIの指示に疑問を感じたら、自分で配達ルートを考えることをおすすめします。
決まった配達エリアを持つ
決まった配達エリアを持つことも、単価を上げるためには重要です。
慣れないエリアよりも回り慣れたエリアのほうが効率よく配達できるためです。
配達するエリアに慣れてくると、地図に載っていない家の場所や玄関の位置、顧客の行動パターンなどもわかってきます。そうすると、効率のよい回り方や車両を駐車するポイントも掴めてきます。
単価を上げたいのであれば、エリアは固定したほうがよいでしょう。
アマゾンフレックスで働いた場合の年収や手取りはどれくらい?
アマゾンフレックスだけで働く場合の年収や手取りは、どのようにオファーを取るかによって異なります。
ブロックごとの月収、年収は以下のとおりです。
1ブロックの稼働時間とブロック数 | 月の稼働日数 | 月収 | 年収 |
---|---|---|---|
4時間×1 | 22日 | 176,000円 | 2,112,000円 |
4時間×2 | 22日 | 352,000円 | 4,224,000円 |
6時間×1 | 22日 | 264,000円 | 3,168,000円 |
6時間×2 | 18日 | 432,000円 | 5,184,000円 |
8時間×1 | 22日 | 352,000円 | 4,224,000円 |
8時間×1+4時間×1 | 18日 | 432,000円 | 5,184,000円 |
※上記の金額はすべて税抜き金額です。
上記の報酬から経費を引いた金額が手取りです。
経費とは、ガソリン代や任意保険、車両のリース代など、アマゾンフレックスで働く際にかかる費用のことで、稼働時間にもよりますが月々50,000円以上かかります。
アマゾンフレックスでかかる経費は?
アマゾンフレックスでは、以下のような経費がかかります。
- ガソリン代
- 車両費
- 任意保険の保険料
- 車両のメンテナンス費
- 駐車場代
- 携帯代
- 自動車税
それぞれ解説します。
ガソリン代
毎月のガソリン代は、稼働時間や稼働日数、移動距離などによって異なりますが、アマゾンフレックスのみで生活している人の場合、月々20,000〜40,000円程度はかかるでしょう。
積極的にオファーを取って稼働している人はさらにかかる可能性があります。
車両費
アマゾンフレックスに登録するためには軽貨物車両が必要です。
アマゾンフレックスでは手配してくれないため、自分で用意する必要があります。
車両を購入する場合とリースとではそれぞれ費用が異なり、車両購入費は新車で80〜200万円程度、中古車で40〜100万円程度かかります。
また、リースの場合は新車で月々20,000〜40,000円程度、中古車で月々15,000円程度からが相場です。
任意保険の保険料
保険会社にもよりますが、任意保険の保険料は安くても月々10,000円程度かかります。
等級が上がれば年々安くなっていきますが、事業用自動車である軽貨物車両は自家用自動車よりも保険料が高くなる傾向にあります。
なお、配達中に起きた荷物の紛失や破損についてはアマゾンが負担してくれるため、貨物保険への加入は不要です。
車両のメンテナンス費
配達に使用する車両は、オイルやタイヤの交換など、定期的なメンテナンスが必要です。
オイル交換のタイミングは1〜2カ月ごとで、費用は3,000〜7,000円程度かかります。ちなみにタイヤの交換はタイヤの溝がなくなってきたら替えどきです。費用は15,000〜35,000円程度かかります。
そのほか、2年ごとに車検を受ける必要があります。車検にかかる費用は、車両の状態や業者によって異なりますが、50,000〜80,000円程度かかると心づもりしておくとよいでしょう。
駐車場代
軽貨物車両を自宅の敷地内に停められる場合はよいですが、駐車スペースを新たに確保する必要がある場合は別途駐車場代がかかります。
金額は地域や土地の所有者にもよりますが、月々数千円〜20,000円程度かかるでしょう。
スマートフォン・通信費
アマゾンフレックスではアプリを使用して配達するため、スマートフォンを持つことは必須です。そのため、スマートフォン代と通信費は経費として計上できます。
ただし、仕事用のスマートフォンを新たに契約するのではなく、プライベートでも同じスマートフォンを使用している場合は、仕事で使用した部分のみが経費の対象になります。
その場合、スマートフォンにかかるすべての費用を経費にできるわけではないため注意が必要です。
自動車税
軽貨物車両も毎年自動車税がかかります。
年間3,800円と高額ではないため、それほど負担ではないでしょう。忘れずに納付してくださいね。
配達単価を気にしながら収入を伸ばしたい方は、委託ドライバーがおすすめ◎
アマゾンフレックスの単価や手取りの相場、売上を上げる方法について解説しました。
アマゾンフレックスでは、良いオファーを取れるかどうかが勝負です。
しかし、良いオファーがなかなかコンスタントに取れないことや、オファーそのものが取れないこともあり、苦戦しているドライバーはたくさんいます。
また、配達する荷物の個数は決まっており、稼働できる時間に制限があるため、委託ドライバーのように大きく報酬を得ることは困難です。
たくさん配達してより多く稼ぎたい人は、配達件数ベースで報酬が上がる委託ドライバーがおすすめです。
委託ドライバーであれば研修を受けられるため、未経験でも安心して始められます。
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