街の中で配達をしている赤帽。軽貨物運送業で独立開業する選択肢に、赤帽ドライバーを視野にいれる方も多いのではないでしょうか。
とはいえ、インターネットを見ていると、「赤帽はやめたほうがいい」などの口コミも散見されます。
赤帽のフランチャイズとして働くことで、多くのサポートを受けながら軽貨物ドライバーの仕事を進めていくことができます。
今回は、赤帽の仕事内容や「やめたほうがいい」「やばい」といわれる理由、手取り収入などを解説します。赤帽ドライバーとして収入を上げるコツについても紹介するので、ぜひ参考にご覧ください。
赤帽とは
赤帽とは、軽貨物自動車を使って運送業を行う個人事業主で構成される「協同組合組織」のことをいいます。「赤帽」の正式名称は「全国赤帽軽自動車運送協同組合連合会」です。
「赤帽」という運送会社が存在しているわけではなく、個人事業主として独立開業した人たちが集まっています。農家に携わる方々で構成される「農業協同組合」や、漁業者で構成される「漁業協同組合」と同じような組合組織のひとつです。
赤帽では、加盟金とロイヤリティを支払い、フランチャイズ権利を取得することで、ドライバーとして稼働できます。
現在、組合員数は8,000名で車両台数は10,000台にものぼり、全国に拠点を持っています。(参照:組織概要|引越し・配送は赤帽へ)
赤帽の仕事内容
赤帽の仕事は、「軽貨物で運べる荷物ならなんでも運ぶ」ことです。
主な仕事内容は以下の2つに分けられます。
- 配送サービス
- 引越しサービス
配送は、緊急時の貸切配送となる「チャーター便」と、指定の日時に配送する「ルート配送」の2つがあります。
引越しサービスは、学生や単身者をはじめ、荷物の多い家族世帯の引っ越しにも複数台で対応することもあります。
赤帽で独立するメリット
赤帽で独立するメリットは、「仕事が取りやすい」と「ノウハウが学べる」点があげられます。
赤帽に加入することで、赤帽の看板を掲げて営業できます。知名度があり信頼性も高いため、ただの個人事業主として営業するときと比べると、仕事が取りやすいです。これまで赤帽が積み上げてきた知名度&信頼性を使えるのは、最大の武器となります。
2つ目の「ノウハウが学べる」は、配送などの技術がない方にとっては、大きなメリットです。
テキパキと効率よく仕事を進めるためには、体に負担のかからない荷物の運び方や荷積み荷下ろしをスムーズに行うなどのテクニックが必要です。
知識やノウハウもなく、どこのコミュニティにも属さないままの状態で独立すると、ノウハウを手に入れるまで長い時間がかかります。
一方、赤帽の場合だと、経験豊富な先輩たちに教わりながら、実践を通じて技術やノウハウを身につけていけるのです。1人で始めるより、軽貨物運送に関する技術やノウハウを早く習得できるのも大きなメリットです。
赤帽の収入や手取りについて
赤帽ドライバーとして独立開業した場合の、収入事情を紹介します。
毎月かかる組合費についても触れながら、具体的な手取り収入金額の目安もみていきましょう。
赤帽のドライバーの収入
首都圏の赤帽の男性ドライバーでの平均年収は年代ごとに異なります。
平均年収が最も低いのは、20代前半ドライバーで290万円ほど、最も高いのは50代後半で590万円ほどと差があります。
この数値を見ると、体力のある若い時ではなく、年齢を重ねてから年収があがるということが分かります。
一方、女性については、実態が男性と若干異なります。赤帽の女性ドライバーの平均年収が一番少ないのは20代前半で約210万円、一番高いのは40代後半で約440万円です。
女性の場合、経験だけで年収が上がるのではなく、体力が落ちてくることで収入が落ち込んでしまう場合もあるのです。
赤帽のドライバーの手取りは?
赤帽に加盟して働くためには、組合費などを毎月支払う必要があります。そのため、稼いだお金がすべて自分の収入になるわけではありません。
赤帽に毎月支払う費用には、下記のものがあげられます。
内容 | 費用 |
組合費 | 約15,000円 |
無線使用費 | 2,000円 |
赤帽連合会費 | 1,500円 |
共済会費 | 1,500円 |
組合から仕事を斡旋してもらった際の手数料 | 10〜15% |
【合計】 | 約44,000円 |
上記費用を支払った残りの金額から、さらに燃料費や保険料などの経費を差し引いた金額が、最終的な手取り金額となります。なお、組合費は全国の各組合によって費用が異なるため、変動する可能性があります。
年収290万円を例にあげると、手取り収入は以下のとおりです。
「月収:240,000円」ー「組合費:約44,000円」=手取り収入額:196,000円
さらにこの「手取り収入額:196,000円」から経費を引いた分が、最終的な手取り金額となります。
参考:紹介手数料も赤帽ドライバーの収入源
依頼される荷物の量が多くなってしまったり、営業活動が順調にいき過ぎてしまったりした場合、自分1人で荷物を運びきれないという事態に陥る可能性もあります。
その場合には、依頼を断るのではなく、待機している他の赤帽ドライバーに仕事を斡旋することで、斡旋手数料を得ることが可能です。
赤帽のドライバーの中には、自分の配送の仕事だけでなく、斡旋手数料も計算に入れながら事業を展開したり、ドライバーを雇用して事業をより拡大したりしている人もいます。
赤帽のフランチャイズ同士で横の繋がりをもち、互いにもちつもたれつ皆で稼いでいける仕組みは、独立開業のドライバーとしては心強い味方となります。
赤帽での経験を積み、仕事になれてきたら、斡旋手数料で稼いでいくという選択肢も考慮していくのがおすすめです。
赤帽での開業は失敗する、やめたほうがいいと言われる理由
赤帽についてい調べていると「開業失敗する」「やめたほうがいい」などのネガティブな意見を目にする機会もあります。
ここでは、そのように噂される理由について考えられる原因を解説します。
費用がかかる
赤帽のドライバーとして働くためには、赤帽車の購入費用や加入手数料などまとまった初期費用が必要です。
車両購入費は、新車の場合だと100万円ほど、中古車の場合でも20万円以上は用意しなければいけません。
ローンやリース契約なども可能ですが、会社員とは違いそれなりの覚悟が必要となります。
最初は仕事がとりにくい
独立したての頃は、仕事を斡旋してもらえることもあります。しかし、基本的には自分で積極的に営業をかけて、得意先を見つけていかなればいけません。
そのため営業スキルがないうちは、仕事が思うように取れず、手取り収入も少なくなる可能性もあります。
とはいえ、毎月の組合費や固定費用がかかるため、仕事が取れないままだと開業失敗となるケースもあります。
体力的にしんどい
赤帽では、長距離配送や引越しなどさまざまな仕事を受けられるのが特徴。そのため、長い時間の運転や、家具や家電の荷物出しや荷積など、体に負担がかかる業務もあります。
忙しいときは休みなく働くこともあるため、年齢によっては体力的にきつく感じる方もいます。
赤帽の実態についての口コミ・評判
ここでは実際に赤帽で働く人たちの声をピックアップし、赤帽の実態がどのようなものかをみていきましょう。
サラリーマンのような組織的なストレスがないのはメリット。だけど得意先の急な仕事や、無理難題にも臨機応変に応えなければいけないのは辛いところかもしれません。ある意味自分の時間を切り売りしているようなものなので、体調が悪い時でも働かなければ成り立たないのは大変だと思う。
また、自営業になると青色申告をしなければいけないのが面倒でしょうね。最近、佐川急便のドライバーが荷物を蹴り上げるという事件がありましたが、あの気持ちもわからなくないかもです。知り合いの赤帽の人に年収を尋ねた事がありますが、あまりサラリーマンとは変わらない感じでした。自動車に乗るのがよほど好きな人でないと、続かないという部分もあるかなと思います。
口コミ評判の投稿者:男性 53歳 兵庫県 自営業 2017/02/16
赤帽で独立開業の口コミ評判 | 脱サラ独立開業みんなの口コミ評判
http://independence.jobmark.jp/akabou.html
知人が一人で開業し、今現在も赤帽として働いています。最初は町の規模が小さいとは言え、忙しそうという印象でした。しかし実際は町の便利屋さんのような形になっていて、地域の方にはとても親しまれているようでした。暮らせるだけの収入にはなりそうですが、完全出来高制とは知らなかったので、やはり大変だろうなと思いました。
ですが、人と関わるのが好きで、町の便利屋さんとして親しまれ、それが儲けにつながっていくというのはいい事だと思います。知人も忙しそうですが、楽しく仕事はしているようなので、やりがいを感じる方には魅力的な仕事だと思います。
口コミ評判の投稿者:女性 39歳 北海道 専業主婦 2017/02/07
赤帽で独立開業の口コミ評判 | 脱サラ独立開業みんなの口コミ評判
http://independence.jobmark.jp/akabou.html
上記の口コミや評判を見ると、個人事業主のため、会社員のように組織や人間関係のしがらみに左右されることなく、自由に働けるのは魅力的といえます。
軽貨物で運べるものならなんでも運ぶという赤帽の仕事内容から、街の便利屋さんのように柔軟に対応している方もいるようです。取引先を自ら開拓していくことや案件ごとに臨機応変に対応する柔軟性、人や自動車が好きじゃないと長続きしにくいという、厳しい現実も伺えます。
しかし、赤帽で得られる収入は完全出来高制です。頑張った分がお給料に反映されるため、人によっては楽しく働きながら大きく稼ぐことも十分可能と考えられます。
赤帽での開業方法
ここでは、「赤帽滋賀県のHP」の情報をもとに、赤帽の仕事を始めるまでに必要な資金と手続きについて紹介していきましょう。
赤帽への加盟に必要な初期費用
赤帽で開業していくためには赤帽へ下記の費用を払う必要があります。
- 入会金
- 登録作成費用
- 出資金
- 赤帽車
入会金は275,000円、登録作成費用は55,000円、出資金は50,000円、赤帽車は約1,400,000円ほどかかるため、計178万円ほど開業資金として必要です。
赤帽車については、リースという方法もあるため、リースの場合には開業資金を抑えることもできるでしょう。
赤帽開業に必要な手続きの流れ
赤帽を開業していくためには、以下の流れで開業していくことが可能です。
- 加入説明会
- 加入申し込み
- 申請書類の準備と作成
- 国土交通省支局にて申請書提出
- 国土交通省支局による聴聞と許可
- 赤帽車の契約
- 赤帽にて研修会の受講・開業
赤帽は個人事業主
赤帽での仕事は個人事業主扱いになるため、確定申告が必要になります。また、各種保険なども自分で手続きをとらなければなりませんので、気を付けてください。
任意保険への加入をおすすめしたいです。赤帽では、もしものときのために、「赤帽共済会」という共済会制度もあります。
加入していると、死亡弔慰金や結婚祝金だけでなく、疾病見舞金や健康診断受診費用補助金といった手当も受けられるメリットもあるのが赤帽共済会の特徴です。
赤帽で稼いでいくために意識したいポイント
赤帽で安定して稼ぐためのポイントは以下の3つです。
- 運送にかかわる仕事を手広く受ける
- 自分で仕事を獲得していく営業スキルを磨く
- 普段の業務の効率化を図る
それでは、各項目を詳しく解説します。
運送にかかわる仕事を手広く受ける
赤帽で稼ぐための1つ目のポイントは、「運送にかかわる仕事を手広く受ける」ことです。
例えば、ほかの運送会社で輸送を断られてしまった依頼などにも、柔軟に対応して引き受けるなどです。
利用者が良い口コミを周囲に広めてくれることで、「〇〇なときは、赤帽さんに相談してみよう」となり、他の運送会社に頼みにくい細かな配送の依頼が増えていくケースもあります。
そうした細やかな運送の需要をきちんと汲み取って仕事に結びつけていくことが重要です。
自分で仕事を獲得していく営業スキルを磨く
安定的に稼ぐためには、赤帽からの斡旋を待つだけでなく、自分でも仕事を獲得していく営業スキルを身につけることが必須です。
飛び込み営業だけでなく、普段からさまざまな人と接して、赤帽をやっているという話をしていくことで、思わぬルートから仕事が舞い込むケースもあります。
自らネットワークを広げ、営業先を拡大していきましょう。
普段の業務の効率化を図る
ある程度仕事に慣れてきたら、業務の効率化を図り、手取り収入を増やすことも忘れてはいけません。
たとえば、配送ルートの見直しがあげられます。配送ルートを見直すことで、より多くの荷物を運びながら、ガソリン代やメンテナンス代の節約につなげることが可能です。その結果として無駄なコストが削減でき、手取り収入も増やせます。
このように、少しの努力がたくさん積み重なることで、大きな結果を産むのが軽貨物ドライバーの仕事です。
普段の業務の無駄を減らしていけるよう、常に業務の効率化を考えていく意識も持っておきましょう。
軽貨物初心者は赤帽で力をつけるのがおすすめ
赤帽に依頼される荷物は年々増加傾向にあります。
つまり、赤帽は軽貨物ドライバーとして働くうえで、今後も安定した仕事量が見込める事業です。
赤帽での配送は斡旋される荷物の量も多く、軽貨物のノウハウを得やすいといえるでしょう。
まずは赤帽から軽貨物ドライバーの仕事を始めて、仕事に慣れ、徐々に徐々に事業を拡大していくという戦略で収入を上げていくのがおすすめです。