軽貨物の直請けとは、フリーランスの軽貨物ドライバーが、荷主から直接配達の依頼を受け、配達業務をおこなうことを指します。
中間マージンがない点や自由に働ける点で魅力的な直請けですが、案件を見つけるのが大変だったり責任が重かったりデメリットも存在します。
この記事では、軽貨物の直請けについて仕組みや案件の取り方、メリット・デメリットなどを解説していきます。
ちなみに、”直受け“という表記がされる場合がありますが、正式には”直請け“です。
軽貨物の直請けとは
軽貨物の業務形態には「直請け」と「業務委託」とがあります。
軽貨物運送業における直請けとは、ドライバーと荷主が直接契約を結び、業務をおこなう形態を指します。二次請け三次請けの仲介業者が入らないため、直請け契約の案件は高い報酬を得られます。
直請けの運送業務をおこなう場合は、一件の荷主に限る必要はなく、複数の荷主と直接契約をすることが可能です。
案件を探すところから契約、そして業務完了までビジネスの一連の流れを踏むので、業務委託よりもやりがいを感じる方が多いです。
直請けの種類
ここでは軽貨物運送の直請けの種類について見ていきましょう。軽貨物運送の種類は大きく分けて3つあります。
定期便
まずは定期便です。これはルート便と呼ばれることもあります。案件名のとおり、決められた日時に決められた場所への配送業務です。
決められた日時とは、例えば毎週月・水・金曜日の午前中に荷物を届ける、というように配送スケジュールが予め決められています。中には早朝のみ、夜間のみというケースもあります。
決められた場所とは、メーカーの製造工場や倉庫から各店舗への配送だったり、社内の各営業所間の社内便の集荷及び配送だったりと、こちらもあらかじめ配送先が固定されています。
輸送する荷物は物量の変動はありますが、基本的には毎回同じものを運ぶことが一般的です。
チャーター便
軽貨物運送業では、チャーター便は貸し切りという意味で使われています。チャーター便は時間当たりで契約することが多く、8時間のチャーターであればその時間内は契約した荷主専属の車両となります。
中・長距離の配送が多いのもチャーター便の特徴です。
運ぶ荷物や配送先は毎回同じではなく、チャーターごとに変わることも珍しくはありません。
スポット便
スポット便は単価が高いので人気の案件です。
スポット便はチャーター便と似た案件のためしばしば混同して認識されています。チャーター便は日単位・時間単位で車両を貸し切りますが、スポット便は1回の配送が終わった時点で契約完了となります。
スポット便の特徴は緊急性が高く、配送依頼がいつ入ってくるか不確定な事です。しかし、実際には荷主も24時間稼働しているわけではないので神経質になる必要もないでしょう。
直請けの契約には何が必要?
直請けの配送業務をおこなうには、軽貨物運送業者として荷主と直接契約を交わすことになります。
荷主と直請け契約を交わすために必要な書類などは前もって用意しておくとよいでしょう。
業務委託契約書 | 業務委託契約書は荷主が用意していることが多いです。しかし、荷主によっては持参する必要があるので、事前に確認しておきましょう。とくに指定がなければ、インターネットで見つけられる雛形を参考に作成しましょう。 |
請求書 | 荷主から指定されたものがあれば、それを使用します。指定が無い場合は100円ショップやインターネットの雛形などで用意しましょう。 |
健康診断書 | 荷主によっては年1回の健康診断の診断書の提出を求められる場合もあります。 |
免許証 | – |
自賠責保険証 | – |
任意保険証 | – |
代走要員 | 自身や家族の身、車両に不測の事態が起きて稼働できなくなることへの備えとして、代わりに業務を行ってくれる同業者の仲間などを立てることがあります。 |
軽貨物における直請けのメリット・デメリット
ここからは直請けのメリットとデメリットを紹介します。メリットだけでなくデメリットも確かめて対策を立てましょう。
直請けのメリット
まずは代表的なメリットを3つピックアップします。
報酬が高い
直請けの最大のメリットは報酬面です。
荷主とドライバーの間に委託会社が入るケースでは、業務委託手数料として中間マージンが生じます。
業務委託で軽貨物運送業をされている方は「この手数料がなければなぁ」と考えたことがあるかと思いますが、それが叶うのが直請け契約です。
直請けの場合は設定した運賃が中抜きされることなく、全て自身の報酬です。当然、業務委託の報酬と比べると利益率は高くなります。
ついでに、一件当たりの報酬も高いので仕事に対するモチベーションも高まるでしょう。契約数を増やしていけばさらなる収入の増加が期待できます。
スケジュール調整ができる
一見すると自由そうに感じる軽貨物運送業ですが、委託会社が入る場合、スケジュールの決定権はドライバーではなくその会社にあるのが一般的。
それに対し、直請けはスケジュールの決定権、仕事量の決定権はドライバーにあります。適正な仕事量は人それぞれですが、ご自身の理想に近い仕事量であればスケジュール調整もスムーズに行えるでしょう。
事業拡大のチャンスがある
直請けの配送業務で実績や信頼を積んでいけば案件も増え、事業の拡大につながります。大きい案件が取れれば人を雇うこともできますし、法人化することもできます。
配送業務は部下や仲間に任せて、ご自身はマネジメントや新規事業に注力するという選択肢も出てくるでしょう。
直請けのデメリット
続いてデメリットを解説します。デメリットの対策を立てておけば直請け案件で大きく失敗するリスクを低減できます。
契約解除のリスク
軽貨物運送業の直請け契約では、突然契約が解除になるリスクがあります。
荷物の破損や遅配、クレームなどドライバーに落ち度がある場合は当然ですが、荷主が配送事業から撤退するなどのケースも考えられます。
契約解除が前もって知らされていれば新規荷主の獲得など手を打っておくことは可能です。しかし突然の契約解除では打つ手はなく、収入が減ることが考えられます。
全責任が自分にある
配送に関わる全ての責任を自身で負います。対応を間違えると訴訟問題に発展することもありえるという認識が必要です。
保険などを充実させ、万一に備えることも大切です。
配送以外の業務が増える
直請け契約に関わる業務は配送だけではありません。契約に必要な手続きや請求書、車両や荷物の保険など事務方の業務もご自身でおこないます。
配送以外の業務が増えると休息時間が減る、車両のメンテナンスに手が回らないといった影響が出ることが想定されます。
直請けの定期案件の取り方とは?
安定した収入を得られる直請けの定期案件ですが、どうやって取ればいいのか気になりますよね。
ここでは直請けの定期案件の取り方を解説します。
直請けの営業の仕方
今まで営業活動をしたことない方にとっては疑問や、実際に案件がとれるのか不安に感じてしまうでしょう。直請けの営業の仕方にはどのようなものがあるでしょうか。
友人や知人の紹介
友人や知人の紹介で定期案件を獲得することができます。そんなことかと思うかも知れませんが、ツテを頼ることも一つの営業方法です。
まずは業務委託のドライバーをしている同業者から情報を集めてみましょう。
定期案件が獲得できると収入面でも精神面でも安定しますし、小さな案件でも継続すれば実績になり、次の案件獲得につながりますよ。
SNSを利用する
SNSを営業ツールとして使う方法があります。拡散力のあるTwitterや本名により信頼感があるFacebookは、とくにこのビジネスとの相性がよいです。事業用の別アカウントを作成するやり方も有効です。
SNSが苦手だったり抵抗があったりしても、営業活動だと割り切りましょう。発信する内容は配送業務に対する姿勢や考え方、日々の業務風景などがよいでしょう。
また、SNSは荷主を探す面でも有効に活用できます。近隣の中小規模の倉庫やメーカーを検索することも可能です。
気になる荷主が見つかればSNS上でダイレクトメールを出します。返信があるとは限りませんが、そこで表示されるプロフィールや発信内容に好感をもってもらえれば案件獲得につながる可能性があります。
直請けをとるのに飛び込み営業はあり?
飛び込み営業をかけても即契約とはいきません。ましてや大手の製造メーカーや物流会社に飛び込んでも担当者に会ってもらうことすら難しいでしょう。
飛び込み営業をかける際は、ターゲットを中小規模の倉庫やメーカーに絞りましょう。
即決してもらうことを目的にせず、「欠便が出たときのスポット要員でも結構ですので」というニュアンスで連絡先を受け取ってもらえれば成功です。連絡先にはSNSのアカウントも添えておくとより効果的です。
営業せずに直請け案件を見つける方法は?
最後に、営業せずに直請け案件を探す方法を紹介します。
営業はできそうもないという方はこのような方法で直請けの案件を見つけることが可能です。
マッチングサービスを利用する
物流業界で荷主と運送業者をつなげるマッチングサービスが増えています。軽貨物運送業も例外ではありません。
ネットにつながるスマホやパソコンがあれば時間や場所を選ばずに案件を探せるので、その手軽さがメリットです。案件数も豊富で随時、追加更新されています。
メインの案件を見つけるだけでなく、隙間時間にできる案件を探したり業務委託から直請けに移行する期間に利用したりと使い方はさまざま。
検索機能を使えば、時間帯も早朝夜間、短距離から長距離まで受けたい案件に絞って探せますよ。
軽貨物案件の掲示板を利用する
軽貨物運送業の案件専用の掲示板があります。
掲示板もネットにつながるスマホやパソコンがあれば手軽に案件が探せます。マッチングサービスのように条件や時間などを細かく絞って検索することはできませんが、地域を絞って検索することは可能です。
荷主を求める情報よりも、ドライバーを求める情報が多く投稿されているようです。
軽貨物の初心者は運送会社からの業務委託がおすすめ
ここまで軽貨物運送業の直請けについて解説してきましたが、これから軽貨物運送業を始める方は、運送業界の仕組みや荷物の流れ、運賃の相場などを知ることも大切です。
軽貨物の初心者の方は、直請けの案件を受注するところからではなく、荷物もあって配送のノウハウが確立されている運送会社の業務委託から始めてみるのがおすすめです。
そこで配送の技量や知識を蓄えてから直請け案件の獲得に向けて動き出すと、効率よく稼ぐことができると思いますよ。