黒ナンバー(営業用軽自動車)を所有している方の中には、名義変更の手続きが必要だとわかっていても、どこから手をつければよいのか迷うこともあるでしょう。
この記事では、黒ナンバーの名義変更が必要なケースや具体的な手続きの流れ、必要書類について解説します。
さらに、黒ナンバーから黄ナンバーへの変更や使用者のみを変更する方法など、よくある質問にもお答えします。
黒ナンバーの名義変更が必要なケース
黒ナンバーの名義変更は、車両の所有者が変わる際に必要な手続きです。
必要となる主なケースを以下の表にまとめました。
ケース | 具体的な状況 |
---|---|
個人間や法人との売買・譲渡 | 友人や会社から軽貨物車両を購入・譲り受けた場合 |
リース契約終了後の買い取り | リース車両を契約終了後に買い取り、自分のものにする場合 |
相続 | 車両の所有者が亡くなり、相続人が引き継ぐ場合 |
家族間での譲渡 | 親から子へ、または子から親へ譲る場合(同居・別居を問わない) |
黒ナンバーの名義変更の流れ
黒ナンバーの名義変更には、いくつかの手続きが必要です。
ここでは、黒ナンバーから黒ナンバーのケースにおける名義変更の流れを解説します。
それぞれの工程を確認して、名義変更手続きの全体像を把握しておきましょう。
運輸支局(旧称:陸運局)で必要書類を提出する
名義変更を行うには、まず運輸支局に必要書類を提出します。
主な提出書類は、以下のとおりです。
- 自動車検査証(車検証)
- 譲渡証明書(所有者が変わる場合)
- 委任状(代理人が手続きする場合)
- 住民票または法人登記簿謄本(新しい所有者の情報を証明するため)
これらの書類に不備があると手続きが進まないため、事前に必要書類を確認し、不足のないよう準備しておきましょう。
運輸支局で押印済みの事業用自動車等連絡書を受け取る
書類が受理されると、運輸支局で押印された事業用自動車等連絡書を受け取れます。
事業用自動車等連絡書は軽貨物車両の名義変更に必要不可欠なので、正式に変更手続きが完了する前に必ず手に入れる必要があります。
軽自動車検査協会で黒ナンバーの発行手続きを行う
運輸支局で受け取った事業用自動車等連絡書を持参し、軽自動車検査協会で名義変更の手続きを行います。
ここで、新しい所有者の名義で黒ナンバーの登録が行われます。
手続きが完了すると、新所有者の情報が記載された車検証が発行され、正式に所有権の移転が証明されます。
黒ナンバーの名義変更に必要な書類
黒ナンバーの名義変更には、所有者が個人から法人、または個人同士で変更される場合、異なる書類が必要となります。
名義変更で手間取らないよう、必要な書類を事前にチェックし、準備を整えておきましょう。
変更前後の所有者 | 必要書類 |
---|---|
個人→法人の場合 | ・自動車検査証(車検証) ・住民票の写し(マイナンバーが記載されていないもの)または印鑑(登録)証明書 ・ナンバープレート(車両番号標) ・希望番号の予約済証 ・字光式車両番号指示願 ・自動車検査証変更記録申請書(軽第1号様式) ・事業用自動車等連絡書 ・申請依頼書 ・軽自動車税申告書 ・貨物軽自動車運送事業経営届出書または貨物軽自動車運送事業経営変更等届出書 |
個人→個人の場合 | ・自動車検査証(車検証) ・商業登記簿謄(抄)本 ・登記事項証明書 ・印鑑(登録)証明書のいずれか1点 ・ナンバープレート(車両番号標) ・希望番号の予約済証 ・字光式車両番号指示願 ・自動車検査証変更記録申請書(軽第1号様式) ・事業用自動車等連絡書・申請依頼書 ・改姓の場合は戸籍謄(抄)本 ・相続の場合は戸籍謄本等または法定相続情報一覧図 ・軽自動車税申告書 ・貨物軽自動車運送事業経営届出書または貨物軽自動車運送事業経営変更等届出書 |
出典:
名義変更(売買・譲渡・その他)|軽自動車検査協会
事業用自動車等連絡書様式・記載例|千葉運輸支局
軽貨物事業(黒ナンバー)に関するよくあるお問い合わせ|岐阜運輸支局
黒ナンバーの名義変更にかかる費用
黒ナンバーの名義変更に関する申請手数料は無料ですが、手続きには各種費用が発生します。
総額は3,000円〜7,000円程度が一般的で、ナンバープレートの取得費用や証明書の発行費用などが含まれます。
項目 | 希望番号なし | 希望番号あり |
---|---|---|
通常のナンバー | 約1,500円 | 約4,000円 |
字光式ナンバー | 約5,000円 | 約7,000円 |
図柄ナンバー | 約7,000円 | 約10,000円 |
印鑑証明書・住民票の発行費用 | 約500円 | |
環境性能割(軽自動車税) | 取得価格に応じて課税(50万円以下は非課税) ※中古車や商用車には別基準が適用される可能性あり |
また、名義変更を代行業者に依頼する場合は、別途代行費用が発生します。
出典:
名義変更(売買・譲渡・その他)|軽自動車検査協会
軽自動車の名義変更の手続きの方法・流れや必要書類、費用について|おとなの自動車保険
【FAQ】黒ナンバーの名義変更に関するよくある質問
ここでは、黒ナンバーの名義変更に関するよくある質問と回答をセットで紹介します。
黒ナンバーから黄ナンバーへの名義変更へのやり方は?
黒ナンバー(事業用軽貨物)から黄ナンバー(自家用軽自動車)へ名義変更する場合、運輸支局と軽自動車検査協会での手続きが必要です。
手続きの流れ
- 運輸支局で事業用自動車等連絡書を提出し、黒ナンバーから黄ナンバーへの変更を申請する
- 名義変更の申請(運輸支局)
- 運輸支局での手続き完了後、黄ナンバーのプレートと車検証を持参し、軽自動車検査協会で新しい車検証を受け取る
- 黒ナンバーを返却し、黄ナンバーのプレートに交換する
必要書類
- 自動車検査証(車検証)
- 住民票または印鑑証明書(新しい所有者のもの)
- ナンバープレート(黒ナンバー2枚)
- 自動車検査証記入申請書(軽第1号様式または軽専用第1号様式)
- 事業用自動車等連絡書(運輸支局で押印されたもの)
出典:軽貨物事業(黒ナンバー)に関するよくあるお問い合わせ|岐阜運輸支局
黒ナンバーの使用者のみ変更したい場合は?
黒ナンバーの所有者は変えずに使用者のみを変更する場合、以下の手順で進めましょう。
手続きの流れ
- 運輸支局に必要書類を提出し、「事業用自動車等連絡書」に押印してもらう
- 運輸支局で押印された事業用自動車等連絡書を持参し、軽自動車検査協会で使用者変更の手続きを行う
必要書類
- 自動車検査証(車検証)
- 新しい使用者の印鑑
- 旧所有者の印鑑または委任状等、同意が確認できる書類
- 新しい使用者の住所を証明する書類(住民票または印鑑証明書)
- 事業用自動車等連絡書(運輸支局で押印されたもの)
法人が使用者になる場合は、法人の証明書類(登記簿謄本・印鑑証明書など)が必要です。
出典:名義変更(売買・譲渡・その他)|軽自動車検査協会
車両の取得と黒ナンバーの名義変更は同時にできる?
車両の取得と同時に、黒ナンバーの名義変更を行うことは可能です。
具体的には、車両の売買や譲渡に伴い、新たな所有者が名義変更の手続きを行います。
この際、必要な書類として以下が挙げられます。
- 自動車検査証(車検証)
- 新旧所有者の印鑑証明書
- 譲渡証明書など
手続きは、所管の運輸支局や軽自動車検査協会で行います。
出典:自動車検査登録総合ポータルサイト|国土交通省
黒ナンバーの名義変更は代行してもらえる?
黒ナンバーの名義変更手続きは、行政書士事務所などの専門機関に代行を依頼できます。
平日に役所へ行く時間がない方や手続きの方法がわからない方でも、代行サービスを利用すれば手続きの負担を軽減できるでしょう。
代行の内容や料金は事務所ごとに異なりますが、黒ナンバー取得を一括でサポートし、名義変更を無料で行う事務所もあります。
ローン中の車両も黒ナンバーに変更できる?
ローンが残っている車両でも、黒ナンバーへ変更できます。
ただし、車両の所有者がローン会社にある場合(所有権留保)、名義変更やナンバープレートの変更を行うには、ローン会社から必要書類(譲渡証明書や委任状等)の取得が必要になります。
これらの書類は、全国の書類交付窓口で手続き当日に受け取ることが一般的ですが、数日かかるケースもあります。
手続きの詳細や必要書類は、各ローン会社や運輸支局によって異なるため、事前に確認しておくことをおすすめします。
出典:軽自動車の場合|登録管理ネットワーク
黒ナンバーを名義変更した後の注意点
ここからは、黒ナンバーを名義変更した後の3つの注意点について解説します。
税金関連の手続き
名義変更に伴い、車両の所有者情報が更新されるため、軽自動車税の納付先も新しい所有者に変更されます。
新しい所有者は、速やかに税務署や市区町村の窓口で手続きを行い、適切な税額が課税されるよう確認しましょう。
手続きを怠ると旧所有者に納税通知が届く可能性があるため、忘れずに対応する必要があります。。
保険の名義変更と契約内容の見直し
黒ナンバーの名義変更後は、自賠責保険の名義変更も必要になります。
新しい所有者が正しく補償を受けられるよう、保険会社に連絡して手続きを行いましょう。
また、任意保険に加入している場合は、契約内容の見直しが重要です。
所有者が変わると補償の適用条件が変わる可能性があるため、契約者情報や車両情報を正確に更新してください。
名義変更を怠ると、万が一の事故時に補償が適用されないおそれがあります。
トラブルを避けるためにも、速やかに保険会社へ連絡し、適切な手続きを済ませておきましょう。
営業区域の確認
名義変更後、車両の登録住所や営業所の所在地が変わると、営業区域の変更手続きが必要になる場合があります。
特に事業用の車両では、営業区域が変わると運行できる範囲に影響が出るため、事前に運輸支局へ確認し、必要な手続きを済ませましょう。
手続きを怠ると、新しい営業区域での業務が認められない可能性があります。
なお、営業区域の変更が不要なケースもあるため、不明な点は運輸支局に相談すると安心です。
黒ナンバーのその他の各種変更手続きと必要書類
黒ナンバーの使用状況に応じて、車両の入れ替え、増車、減車・廃車などの手続きが必要になる場合があります。
これらの変更を行う際は、運輸支局や軽自動車検査協会で適切な手続きを進めることが重要です。
ここでは、それぞれの手続きの流れと必要書類をまとめました。
車両の入れ替え
黒ナンバーの車両を別の車両に入れ替える場合、運輸支局で事業用自動車等連絡書の取得が必要です。
その後、軽自動車検査協会で車両の登録変更手続きを行い、新しい黒ナンバーを取得します。
必要書類
- 事業用自動車等連絡書(運輸支局で取得)
- 新旧車両の車検証(コピー可)
出典:黒ナンバー車両を入れ替えたい|京都運輸支局
増車
事業で使用する黒ナンバー車両を増やす場合、運輸支局で増車申請を行い、事業用車両として登録する必要があります。
軽自動車検査協会での手続きを経て、新しい黒ナンバーを取得できます。
必要書類
- 貨物軽自動車運送事業経営変更等届出書(提出用と控え用)
- 事業用自動車等連絡書(運輸支局で取得)
- 車検証(コピー可)
- 使用者の印鑑証明書または住民票
出典:黒ナンバー車両を増やしたい・減らしたい(事業を廃止したい)|京都運輸支局
減車・廃車
減車の際は、運輸支局で「減車」の手続きを行う必要があります。
また、黒ナンバー車両の廃車手続きは、廃止届を運輸支局に提出することで行います。
必要書類
- 貨物軽自動車運送事業経営変更等届出書(提出用と控え用)
- 事業用自動車等連絡書(運輸支局で取得)
- 車検証(コピー可)
出典:黒ナンバー車両を増やしたい・減らしたい(事業を廃止したい)|京都運輸支局
自分に合った軽貨物案件を見つけるなら、ハコボウズのキャリア相談◎
黒ナンバーの名義変更が必要になるケースには、個人間や法人との売買・譲渡、リース契約終了後の買い取り、相続、家族間での譲渡などがあります。
名義変更を行うには、運輸支局と軽自動車検査協会での手続きが必要であり、事前に必要書類を揃えておくことが大切です。
また、黒ナンバー(営業用軽自動車)を所有し、名義変更の手続きを検討している事業主や個人の方の中には、どのような軽貨物案件を請け負えばよいのか悩んでいる方も多いでしょう。
そのような方には、軽貨物専門の求人サイト「ハコボウズ」のキャリア相談サービス利用がおすすめです。
ハコボウズでは、運送業界に特化した無料のキャリア相談を実施しており、現場経験が豊富な専門コンサルタントが、あなたに合った案件選びをサポートします。
少しでも気になる点があれば、LINEから気軽にご相談くださいね。