軽貨物ドライバーが仕事を始めるにあたって必要となるのが、軽貨物車両です。軽貨物車両には以下のような種類があります。
- 軽トラック
- 軽バン
- ボンネットタイプ
軽トラは小型トラックの一種で、裸の軽トラもあれば保冷機能が付いた軽トラもあります。
軽バンは、佐川急便やヤマト運輸が配送時によく使っています。ボンネットタイプは軽バンを少し大きくしたイメージです。
軽貨物車両を入手するにあたって、購入だと初期費用に大きな金額がかかります。そこで、初期費用を抑えたい軽貨物ドライバーにおすすめしたいのが軽貨物車のリースです。
この記事では、軽貨物車のリースについて審査内容や相場、リースのメリット・デメリットなどを網羅的に解説していきます。
軽貨物車(黒ナンバー)をリースするのは可能?
貨物を運ぶ事業用の軽貨物車はリースで利用できます。初期費用を抑えて新車に乗りたいという方は、リース契約を利用するのがおすすめです。
ただし、契約期間や残価設定の有無によって金額が大幅に変わるので注意が必要です。
軽貨物車両のリースに関する審査や相場
リース契約で軽貨物車両をかしこく利用するためにも、審査の有無やリース代の相場などをあらかじめ頭に入れておきましょう。
軽貨物のリースに関わる審査
軽貨物車両のリース契約には審査があります。審査のないリース会社はありません。原則すべてのリース会社で審査が必要と考えておきましょう。
個人での審査に必要な書類は、下記のとおりです。
- 免許証
- 住民票や保険証
- 公共料金領収証
- 源泉徴収票や確定申告書類
主に、収入や信用情報などが審査対象となります。例えば、多額の借入などがあり過去に金融トラブルを起こしている場合は、審査が通りにくい可能性もあります。
ただし、審査のないリース会社は存在しないといっても、ほぼ100%の確率で審査が通る、と謳っているリース会社もあります。個人事業主などで無事に審査が通るか心配な方は、審査通過実績率の高いリース会社を選ぶのもありです。
軽貨物のリースの相場
軽貨物車両のリース価格の相場は、新車か中古車かによって異なります。
- 新車の場合:月額2万〜4万円
- 中古車の場合:月額1万5千円〜
ただし、走行距離に制限が設けられている場合は、追加料金が発生する可能性もあるので注意しましょう。長距離案件を受けるなど考えている場合は、走行距離の上限も加味した上でリース会社を選定しましょう。
なお、これらのリースにかかる費用は、経費として計上できます。
軽貨物のリース期間
軽貨物車両のリース期間は3〜5年の場合が多いです。なかには、「1カ月〜でもOK」など短期リースを売りにしているリース会社もあります。
このように、リース会社によって期間が大きく変わります。
長期を見据えた上で軽貨物ドライバーを始めるのか、とりあえず短期間だけ取り組みたいのかなど、軽貨物運送業をどの程度続けていきたいのか明確にし、自分にあったプランを選ぶのがおすすめです。
軽貨物でリースするなら新車?中古?
黒ナンバーの軽貨物車をリースで利用する際、新車にするか中古にするかはそれぞれのメリットなどを押さえたうえで選ぶとよいでしょう。
まず、新車は燃費がよいためガソリン代を抑えられます。しかし、新車だと傷つけてしまうのが心配など不安なことも出てくるでしょう。
新車だと運転中に気を張ってしまうという場合は、中古車の利用がおすすめです。
参考:軽貨物のリースとレンタルの違いは?
軽貨物車を借りるには、「リース」のほかにも「レンタル」という方法があります。
2つの違いは、下記のとおりです。
【リース】
カーリース会社から中長期にわたって借りる。初期費用は抑えられるが、契約期間や残価設定の有無によって金額が大幅に変わる。
【レンタル】
「レンタル会社から借りる」「請負元の軽貨物運送会社から借りる」の2通りがある。相場価格は、2.5万円〜3.5万円/月。
基本的に、車両をレンタルする際は、請負元の運送会社からレンタルするケースが多いです。しかし、冷凍車や4t車両をレンタルできる会社は比較的多いですが、軽貨物車のレンタルを扱っている会社はまだまだ少ないのが現状です。
また、黒ナンバーのレンタカーで運送業をしても違法にはなりませんが、委託会社によっては登録できないケースもあります。
個人事業主の軽貨物ドライバーがリースするなら軽バンがおすすめ
これから軽貨物事業を始めるドライバーは軽バンの使用をおすすめします。
- 普通免許でも運転可能
- 路駐する際も、軽トラなど他の車種よりも楽
- 車体も小さいので、小さい荷物を扱うには最適
軽バンは大手運送会社である、ヤマト運輸や佐川急便が好んで使用する軽貨物車両です。多くの配送ドライバーが軽バンを使って配送業務をしているので、宅配業務の要ともいえます。
もちろん、ほかの車種でも軽貨物事業をおこなえますが、これから軽貨物運送業を始めるのであれば、軽バンから利用するのが間違いないでしょう。
軽貨物車両の入手方法はリース、レンタル、購入のどれがよい?
- 車両をリースする
- 新車or中古車を購入する
- 車両をレンタルする
上記の3つが基本的な方法です。下記で詳しく解説していきます。
リース
カーリース会社が購入した車両を中長期にわたって借りる取引のことを「リース契約」といいます。
初期費用を抑えて、新車に乗りたいという方にはリースをおすすめします。
しかし、契約期間や残価設定の有無によって金額が大幅に変わるので注意が必要です。
新車を購入
多くのドライバーはまず、新車を購入して自分専用の営業車にしたいと考えるでしょう。そのような方には新車を購入することをおすすめします。
新車購入の相場はディーラーや自動車販売店によって異なりますが、下記が相場です。
しかし、上記の値段とは別に保険や税金、そしてガソリン代が発生することを忘れてはいけません。
- 自賠責保険
- 任意保険
- 自動車重量税
- リサイクル料金
- 他運輸局に届け出など
- ガソリン代
これらを含めると、下記の通りの料金になります。
上記の値段はあくまでも相場なので、ディーラーや自動車販売店によって値段は変化します。
新車のリースを考えているドライバーは上記値段を参考にしてください。
中古車を購入
新車を購入する資金がないという方は中古車の購入がおすすめ。中古車に関しては、走行距離や販売している自動車販売店にもよりますが、下記の値段が相場となっています。
上記価格は、新車と比べると3分の1程度です。しかし、車体代とは別に税金や保険費用がかかってきます。
また、中古車には「メンテナンス費用」がかかります。
中古車は新車ではないので、車両の不具合が発生する可能性があります。それらをあらかじめ試算しておくのは非常に重要でしょう。
レンタル
新車を買うお金がない、中古車も故障する可能性があるから買いたくないというドライバーにおすすめなのは車両のレンタルです。
車両をレンタルする方法は2つあります。
- 車両をレンタルできる会社からレンタルする
- 請負元の軽貨物運送会社からレンタルする
基本的に、車両は請負元の軽貨物運送会社からレンタルするケースが多いです。なぜなら、軽貨物車をレンタルできる会社はまだまだ少ないからです。
冷凍車や4t車両をレンタルできる会社は存在しますが、軽貨物車はまだ少ないのが現状です。
軽貨物運送会社から軽貨物車両をレンタルする場合、料金の相場としては、以下の通りです。
もちろん、レンタルする会社によって金額は変わってきます。
個人事業主が軽貨物でリースするメリット・デメリット
軽貨物車のリースにはメリットとデメリットがあります。このメリット・デメリットを理解したうえでじっくりと検討しましょう。
リースのメリット・デメリットに合わせて、購入とレンタルのデメリットも紹介します。
軽貨物車をリースするメリット
- 初期費用が抑えられる
- メンテナンスや整備を任せられる
- 節税対策になる
リースのメリットとして、初期費用を抑えられるという点が大きいでしょう。また、軽貨物車のリースをおこなっている会社は複数あり、料金や契約期間、新車か中古車かなど三者三様です。
自分の仕事スタイルに合わせてプランを選択できるのもリース契約のメリット。
軽貨物車をリースするデメリット
- リース契約の審査に通らない可能性がある
- 傷や凹みをつけてしまった場合は自己負担
- 基本的に中途解約はできない
ずリース契約を結ぶ際には所定の審査に通過する必要があります。リース契約を申し込んだが審査に落ちてしまったというケースは少なくありません。
また、リース会社から借りている車で事故を起こしたり、傷をつけてしまった場合は契約者の負担で修理しなければなりません。
現場での配達業務をこなしていく上で故障や不具合は避けては通れないものです。
そのため、リース会社によっては任意保険やメンテナンス項目がセットになったプランも用意されています。
配達に慣れていないと必然的に事故を起こしてしまう可能性も高くなるので、任意保険がセットになったリース契約を結ぶのがおすすめ。
新車を購入するメリット
- 新しい軽貨物車両を運転できる
- 故障が少ない
- 高いのは初期費用だけ
軽貨物ドライバーにとって軽貨物車両は仕事道具、そして家のように感じる人も多いでしょう。
そのため、新車を購入した場合は自分ならではのカスタマイズをして満足感を得ることもできます。
また、新車は故障が少ないです。
中古車の場合、故障が1番のデメリットですが、新車は数年においては故障がないでしょう。そのため、安心・安全に仕事ができます。
新車を購入するデメリット
- 初期費用が高い(高くて130万ほど)
- 初期費用が高いと、運送業をやめられない可能性も
新車を購入する上でのデメリットは金額面です。
軽貨物車両を用意する3つの方法の中では、もっとも初期コストがかかります。
新車を買うと、まずはコストの元を取り返すために働かなくてはいけません。したがって、途中で運送業をやめてしまうと、せっかく新車で買った軽貨物車両とローンが残ってしまいます。
新車を購入する際は、長く続ける覚悟で購入しましょう。
中古車を購入するメリット
- 価格が安い
- ディーラー・販売店によっては新車と変わらない車両を購入できる
- 途中で運送業をやめても損失が少ない
前述した通り中古車は新車より価格が安いです。
新車→110万円(車体費用)+20万円(税金、保険、ガソリン代)=約130万円
中古車→30万円(車体費用)+20万円(税金、保険、ガソリン代)+10万円(メンテナンス・修理費用)=約60万円
このように、新車と中古車ではかかる費用が70万円近く違います。もちろん、自動車販売店などによって金額は変わりますが、初期費用とランニングコストを考えると大きいです。
また、ディーラーや中古車販売店によっては、新車同然の車両を購入できる場合があります。例えば、展示車などは、お客さんが試乗しているので、中古車として買えたりします。
中古車を購入するデメリット
- 故障や不具合が発生する可能性が高くなる
- メンテナンス費用が高い
中古車は新車に比べると故障率は高いです。
故障率は走っている走行距離によって変わってきますが、中古車の場合メンテナンス費用が高くなりやすいといえます。
さらにメンテナンス費用も高い場合は長期的に見て、新車よりもコストが高くなる可能性があるでしょう。
メルカリやYahoo!オークションなどの個人売買サービスを活用すれば、格安で軽貨物車両を購入することも可能です。
ですが、中古車にはトラブルも多いので、購入する際は修復歴の有無や車両の状態をよく確認しましょう。
軽貨物車両をレンタルするメリット
- 価格が安い
- 車検・税金は運送会社・レンタル会社負担
- 手軽に軽貨物運送業を始められる
軽貨物車両をレンタルする最大のメリットは、ほかの2つの方法に比べて、価格が圧倒的に安いことです。
もちろん月単位なので、レンタルが何年も続けばその分コストは増え続けます。しかし、新車や中古の軽貨物車両を購入するより、初期費用は抑えられるといえるでしょう。
また、車検や税金関係は運送会社やレンタル会社の負担になります。そのため軽貨物運送業を試してみよう、という方にはおすすめです。
軽貨物車両をレンタルするデメリット
- 長期間レンタルした場合、最もコストがかかる
- 軽貨物車両を破損させてしまった場合、損害賠償になる可能性がある
軽貨物運送会社は自社のドライバー向けにレンタル車両を確保している場合が多いです。
月々3〜4万円程度で車両を貸してくれるので、ドライバーにとっては大変ありがたい制度ですが、その反面、長期間車両をレンタルすると多大なるコストがかかってしまう可能性があります。
また、レンタルした車両を破損させてしまった場合、破損具合によって運送会社から損害賠償を求められることも。
そのため、運送会社とレンタルの契約をする際に、契約事項をよく確認しておくことが重要です。
軽貨物のリースがおすすめな人
軽貨物車両のリースがおすすめな人は、次のとおりです。
- 初期費用をおさえたい人
- 毎月の経理処理を楽にしたい人
- メンテナンス管理が苦手な人
軽貨物運送をはじめる際、初期費用の大半を占めるのが車両の購入費用です。
新車購入の場合、車種にもよりますが車体費用・税金・保険などをあわせておよそ130万円が必要です。中古車でも約60万はかかるなど、まとまった金額を用意しなければいけません。
そのため、初期費用を抑えたいという方にはリースの利用がおすすめです。
また、毎月かかるリース代はそのまま経費として計上できるため、経理処理の負担も軽くできます。
メンテナンスサポートなどが充実しているリース会社もあるため、車のメンテナンス作業が苦手な方にもおすすめです。
軽貨物車両の入手方法は目的によって変わる
軽貨物車を取得する方法はさまざまです。「軽貨物で稼いでいくんだから自分の車を買うべき!」と考える人も多いでしょう。
その気持ちはわかりますが、実際にやってみたら仕事が合わず車両だけが残ってしまったという人も見てきました。
そのため、まずはリースで車両を用意するか、車両をレンタルしてくれる軽貨物会社と業務委託契約を結び、ある程度現場を経験した上で車両の購入を考えるという選択をおすすめします。
購入、リース、レンタルそれぞれの方法にメリット・デメリットはありますが、目的に沿えばデメリットはそこまで大きくありません。
リスクを理解して、自分に合った取得方法を決めてくださいね。