軽貨物ドライバーの仕事を始める上で、どの車両を使って働いていくか悩むという方も多いです。
特に車両の最大積載量はそのまま運べる荷物の量に直結し、運べる荷物の量が収入へとつながるため、車両選びは軽貨物ドライバーにとって重要です。
軽貨物といえば、軽トラックか軽バンですが、どちらを購入すればよいか悩む方も多いのではないでしょうか?
この記事では収入に関わる軽貨物の最大積載量について、軽トラックと軽バンを比較しながら解説していきます。
さらに、最大積載寸法や、最大積載量以上に荷物を積むことができる例外についても言及していきましょう。
軽貨物車の最大積載量とは
多くの荷物を一度に運ぶことができれば、より多く稼げるのにと思ったことがある軽貨物ドライバーも多いでしょう。
ですが、最大積載量というものが車体ごとに決まっています。軽貨物の最大積載量を守ることは非常に重要です。
ここからは、最大積載量の定義や、車両総重量との違い、軽貨物の最大積載量を守らないとどういうことが起こるのか、について解説していきます。
「最大積載量」はどんな車に適用されるのか
そもそも最大積載量とは、その車が乗せられる荷物の重さの上限を指します。
軽自動車の場合、軽トラック、軽バンにかかわらず最大積載量は一律で350kgと定められており、軽ではない車は、車種ごとに最大積載量が定められています。
また、 最大積載量は貨物車のみに適用されます。
一般的な乗用車はあくまで人を乗せることを目的としており、 荷物はおまけであるという概念によるものです。
車両総重量と最大積載量の違い
車両総重量と最大積載量が混合している人がたまにいますが、両者は明らかに違う意味です。
最大積載量とは先述したように、その車に乗せることができる荷物の重さの上限を指します。
一方で車両総重量とは、車両重量と乗車定員、最大積載量を合算した重さの上限のことです。車両重量とは車に人や荷物が乗っていない時の重さを指します。
また、車両総重量を計算する場合、乗車定員の重さは55kgとします。つまり車両総重量は以下の式で求められます。
車両総重量=車両重量+乗車定員×55kg+最大積載量
(参照:公益社団法人全日本トラック協会「車両総重量と積載量」)
最大積載量オーバーして運送するのはNG
貨物車を運転する際に、最大積載量以上の荷物を積むのは禁止されています。
また、最大積載量以上の荷物を積んだ状態で運転することは危険な行為であり、以下のようなデメリットが発生するでしょう。
- 過積載として道路交通法違反になる
- 車体への大きな負担となり故障の原因になる
- 事故につながる可能性が上がる
しっかりと最大積載量を守っていくことが、法令違反を避けるだけでなく、事故を防ぐという観点からも重要です。
過積載は道路交通法違反
過積載は道路交通法違反になります。1回だけの過積載だけなら再発防止などの協力要請書が発行され、反復して過積載した場合には、道路交通法違反によって罰せられることに。
軽貨物ドライバーだけでなく、過積載をさせた荷主や事業主に対しても罰則が科せられるため注意しなければなりません。
過積載の軽貨物を運転していたドライバーには、超過割合に応じた減点と罰金が科せられてしまいます。
超過割合 | 5割未満 | 5割以上10割未満 | 10割以上 |
減点 | 1点 | 2点 | 3点 |
罰金 | 25,000円 | 30,000円 | 35,000円 |
過積載させた荷主や事業主に対しては、6ヶ月以下の懲役または10万円以下の罰金が科せられる場合があるので気をつけてください。
車体へ大きな負担がかかり故障の原因になる
最大積載量は車の性能を安全に発揮するために決められています。ですので、過積載を続けていくことで、車体にもダメージが蓄積されていくため、タイヤのパンクやブレーキの故障といったことも起きてくるでしょう。
道路運送車両法で車体の基準が厳格に決められています。安全に運行していくためにも車体に負担がかかってしまう過積載は避けるべきです。
事故を起こす可能性も上がる
過積載の状態だと車のバランスが崩れ、ハンドルを取られてしまったり、タイヤのパンクやブレーキの故障などが起きたりします。
その結果、事故が起こったというケースは少なくありません。一般道でも危険ですが、高速道路など、より死亡事故につながりやすいところでの故障の可能性もありますので、過積載は危険だと言えるでしょう。
軽バンと軽トラックの最大積載量はどのくらい?
ここからは、普段の仕事で軽貨物ドライバーが使用する軽トラックと軽バンの最大積載量について紹介していきます。
最大積載量は運べる荷物の量に直結します。さらに言えば、軽貨物ドライバーの収入にもつながる重要な事柄です。
所有している軽貨物車の最大積載量を確認して、法律を遵守しながら最大限効率のよい配送を考えていくことが収入アップにつながっていくでしょう。
軽トラックと軽バンの違い
軽トラックと軽バンは軽貨物車両と一括りにされることも多いですが、車体の大きな違いはどのような点でしょうか?
軽トラックも軽バンも車体の全長は同じですが、「前輪から後輪までのホイールベースの違い」と、「荷台がボディの外にあるかボディの中にあるか」といった点が異なります。
軽トラックでは、ホイールベースが1,900mmで荷台がボディの外に。軽バンは、ホイールベースが2,450mmで荷台がボディの中にあるのが特徴です。
形状での違いは上記の通りですが、軽貨物ドライバーが気になる最大積載量の違いについては、以下で説明していきます。
軽トラックの最大積載量。何キロまで積める?
軽トラックの最大積載量はどの会社のどの車種でも350kgに規定されています。軽トラックでは、荷台に積んだ荷物の重さだけで最大積載量を見ていくことになるので、注意が必要です。
さらに、荷台に設置した昇降機やクレーンなどの重さは車両重量として計算され、キャビンに積んだ荷物の重さや乗車定員の重量も積載量には加算されません。ですが、荷台に荷物の見張りとして人が乗る場合には、積載量として計算して行くことになるので気をつけましょう。
軽トラックで気をつけなければならないのは最大積載量だけでなく、最大積載寸法も気をつけなければなりません。また、載せられる荷物の大きさや積載方法に関しても制限があります。
詳しくは次章で解説していきます。
軽バンの最大積載量
軽バンの最大積載量は車両の定員人数分の重量とは別で計算されています。そのため、例えば2名定員の軽バンに3名乗ってしまった場合には、1人分の体重を最大積載量から引いた分だけ荷物が置けるという計算になりますので、気をつけましょう。
軽バンの最大積載量は、車種ごとに変わるので、配送で使いたい車体の最大積載量はしっかりと購入時に車検証を確認しておくようにしてください。
一般的な軽バンでは、定員2名、最大積載量が350kgという車体が多いです。また、軽バンの座席に載せた荷物については1人あたり10kgまでが乗員の携行品重量とみなされる点も確認しておくとよいでしょう。
最大積載寸法とは
最大積載量と同様に貨物車の運転手が遵守しなければいけない項目が、最大積載寸法です。
最大積載寸法とは、トラックなどの荷台に荷物を積む際の幅や長さ、高さの規定です。 最大積載量を守っていても、 荷物を高く積み上げたりすると 崩れ落ちるなど走行時に危険です。 そのような事態を未然に防ぐために、車種ごとに最大積載寸法が定められています。
なお、最大積載量と同様に最大積載寸法は貨物車にのみ適用されます。
軽トラックの最大積載寸法は以下の通りです。
- 幅 :1.48m
- 長さ:3.4m
- 高さ:2.5m
(参考:国土交通省)
軽貨物で最大積載量や積載寸法を超えた荷物を運ぶには?
最大積載量を超えた制限外積載での走行が認められることがあります。近くの交番や警察署に「制限外積載許可申請」を出すことで、最大積載量を超えて積荷することも可能です。
ここでは、制限外積載許可申請の手続き方法について紹介します。
制限外積載許可申請の許可条件を確認
まずは制限外積載許可申請の許可条件を確認しましょう。
許可を受けられるといっても限度はあります。許可条件は各都道府県警察により若干異なりますが、基本的には以下のように定められています。
- 長さ:積載物の長さが、自動車の長さの1.5倍以内
- 幅 :自動車の幅に1.0mを加えた数値以内(左右で飛び出す部分が0.5m以内)
- 高さ:4.3m以内
繰り返しになりますが、許可条件は都道府県警察により異なるので、自分が住んでいる地域の許可条件を事前に調べておくことが重要です。
制限外積載許可申請に必要な書類を準備
制限外積載許可の申請には定められた書類を持参する必要があります。記入が必要な書類はあらかじめ記入方法をインターネットなどで調べ、記入済みのものを持っていくようにしましょう。
必要書類も警察署によって異なりますが、基本的には以下の通りです。
- 制限外積載許可申請書
- 積載物及び積載状況が分かる図面
- 車検証のコピー
- 申請者の運転免許証のコピー
- 運転経路図
- 特殊車両通行許可証
申請書の記載方法などは以下から確認できます。
警察署や交番に申請
最後は申請です。実際に警察署や交番に足を運んで申請するのが一番ですが、専用のサイトや郵送でも申請できる警察署があります。
原則、制限外積載許可申請は運転の出発点が管轄する警察署にておこないます。
また申請をしたらすぐに許可証をもらえるというわけではありません。即日発行してもらえる場合もありますが、1週間以上かかる場合もあります。制限外の積載をして運転する予定がある場合は、時間に余裕を持って申請するようにしましょう。
最大積載量は遵守!軽トラックや軽バンに乗って稼げる軽貨物ドライバーになろう!
最大積載量は運べる荷物の量はもちろん、軽貨物ドライバーの収入にもつながる重要な事柄です。
収入アップのために運べるだけ運びたいという気持ちは抑え、法令を遵守しながら、制限いっぱい荷物を運べるような積荷技術を上げていくことが軽貨物ドライバーのスキルとして求められます。
また、最大最大積載量に関する法令の知識だけでなく、使用する軽貨物車両の知識もしっかり頭に入れながら普段の業務をこなして行くことが重要でしょう。