軽貨物ドライバーの間では、「桃太郎便(クイックエース)」の話題が出てくることもあります。
インターネット上の口コミや評判では、「福利厚生がよく研修制度もしっかりしていて、最初に桃太郎便(クイックエース)で軽貨物ドライバーを初めて良かった」と書かれていることも多く、目にしたことがある方も少なくないでしょう。
とはいえ、実際に桃太郎便(クイックエース)で働いている方はどのように思っているのか?というのも気になるところです。
そこで今回は、桃太郎便(クイックエース)の口コミや評判をはじめ、仕事内容や気になる給与面の話も踏まえて紹介します。
桃太郎便(クイックエース)とは
ここでは、桃太郎便(クイックエース)の概要や仕事内容、配送地域などを解説します。
さらに、必要な開業資金・契約内容・契約の流れについても触れますので、興味のある方はぜひ参考にしてください。
桃太郎便(クイックエース)とはどんなサービス?
桃太郎便は株式会社丸和運輸機関が運営している運送業社です。2017年6月からEC市場の拡大によって軽自動車による宅配業務に参入してきました。
「クイックエース」と呼ばれる、独立開業型宅配ビジネスの業務委託による配送業務が中心です。
桃太郎便(クイックエース)の仕事内容
桃太郎便(クイックエース)の中心業務は、運送会社やAmazonなどの大手EC通販企業からの荷物の宅配です。
配送地域は東京都内だと以下のとおりです。
新宿区・豊島区・練馬区・杉並区・文京区・足立区・中野区・台東区・渋谷区・荒川区・三鷹市・武蔵野市・西東京市
半径1キロ以内の配送エリアで営業していることも桃太郎便(クイックエース)の特徴です。
桃太郎便(クイックエース)の開業資金や契約内容
桃太郎便(クイックエース)で開業するにあたって、スタートアップに必要な資金や契約内容はどのような事項なのかについても紹介していきましょう。
まず桃太郎便の委託ドライバーは、桃太郎便本部と業務委託契約を結びます。
開業資金は0円と良心的です。ですが、事務管理費として15,000円がかかります。また、希望者のみになりますが、車両のリースも行なっており、リース費用は23,000円ほどです。
フランチャイズの配送業務に必要なユニフォームや備品は用意してくれるため、初期費用をギリギリまで抑えたい方にはうれしいですね。
東京エリアの場合だと、1日当たりの収入は以下のようになります。なお、桃太郎便では配達完了した個数のことを「車建料金」と呼びます。
- 1日121個以上配送した場合:1日23,000円
- 1日120個以下配送した場合:1日21,500円
配達した荷物の個数が「120」個を基準に金額が変わるため、配送個数を気にしながら仕事をするのが基本です。
桃太郎便(クイックエース)で開業するまでの流れ
桃太郎便で開業するためには、以下の手順で進めていきます。
- 公式ホームページからクイックエースの説明会にエントリーして参加する
- 面接を受ける
- 面接を通過したら業務委託契約を結ぶ
- 開業手続きを行う
- 研修を受ける
- 個人事業主として開業
開業に必要な書類や手続きもサポートしてくれるので、実際の開業まで非常にスムーズに進められます。
桃太郎便(クイックエース)は稼げる?給料はどれくらい?
ここでは、1日あたりの配達収入を以下と仮定した上で、桃太郎便での月収と年収がいくらになるか見ていきましょう。
- 1日121個以上配送した場合:23,000円/1日
- 1日120個以下配送した場合:21,500円/1日
【月22日間稼働した場合】だと、月収と年収の金額は以下のとおりです。
- 1日121個以上配送した場合:506,000円/月、年収:約610万円
- 1日120個以下配送した場合:473,000円/月、年収:約570万円
さらにここから「車両費用・保険代・燃料代」などの経費「毎月約63,000円」を引いた金額が、最終的な手取り収入額になります。
- 1日121個以上配送した場合:443,000円/月、年収:約540万円
- 1日120個以下配送した場合:410,000円/月、年収:約500万円
これらの経費以外に、駐車場代などがかかってきます。月収や年収から経費を引いた金額が収入になりますが、そこからさらに年金や保険料なども支払わなければならないため、手元に残るのはいくらなのかを計算しておきましょう。
また、桃太郎便では、配送した荷物の個数によって、1年で40万円以上の年収差がついてしまいます。効率よく稼ぐためにも、報酬ルールを理解しておいてくださいね。
桃太郎便(クイックエース)のメリット・デメリット
ここでは桃太郎便のメリットとデメリットを解説します。
桃太郎便(クイックエース)のメリット
桃太郎便の主なメリットは、以下の2つです。
- 開業資金がいらない
- 手厚い研修サポートがある
開業資金がいらない
桃太郎便の大きなメリットは、開業資金や手続きがいらないこと。
さらに、開業に必要な手続きは会社側が代行してくれるため、必要な書類を準備したり提出しにいったりする手間がかかりません。リースではありますが車両の用意もしてくれます。
手厚い研修サポートがある
研修などで軽貨物ドライバーに必要な知識が学べるのも桃太郎便で開業するメリットです。
仕事の進め方や荷物の積み込み方なども教えてもらえるため、全くの未経験から軽貨物ドライバーを始める際には、心強いと感じるでしょう。
桃太郎便(クイックエース)のデメリット
桃太郎便のデメリットは、次のとおりです。
- 完全独立開業とはいえない
- 慣れないうちはきつい
完全独立開業とはいえない
桃太郎便で開業するデメリットは、桃太郎便以外の仕事を受けられないこと。
なお、桃太郎便で使用しているリース車は、桃太郎便でしか使えません。開業しやすい反面、本当の意味で個人事業主として独立開業を目指す方だと、合わないと感じる方もいるでしょう。
慣れないうちはきつい
桃太郎便は、1日の配達個数にあわせて運べば運ぶほど大きく稼げます。
しかし、ドライバーの仕事は体力勝負です。
仕事を始めたばかりで慣れないうちは、車を停めて1つずつ荷物を運んだり長時間運転したりすることに、体力的にしんどい、きついと感じることもあるでしょう。
桃太郎便の業務委託には不穏なニュースも……
桃太郎便を運営する丸和運輸機関は、労働基準監督署から労働基準法違反で是正勧告を受けて、改善報告書を提出したという事例があります。
事の詳細は、大手ECサイト「Amazon」の宅配業務を委託した個人事業主ドライバーとの関係が、委託ではなく「事実上の雇用関係」にあり違法性があるとみなされたものです。
勧告の詳細までは明かされていませんが、労働基準法で定める長時間の法定労働時間を超える際には、雇用契約を結んだ上で36協定の届出が必要です。
しかし、今回の件では業務請負契約として36協定の届出をせずに、細かい指揮命令をしていて法外に労働させていたのでは?と予測されます。さらに、それに伴い必要となるガソリン代などの経費も、個人事業主ドライバーの自己負担とさせていたのではないか、というのも問題として挙げられました。
今ではネット通販が増加し、荷物を運ぶ軽貨物は必要不可欠な存在となりました。
今回の件では、改善指示に対応し報告書も提出したとされていますが、法外な時間外労働は軽貨物ドライバーとしての懸念点でもあります。
桃太郎便(クイックエース)はひどいって本当?評判は?
ここでは、気になる桃太郎便(クイックエース)の口コミや評判について紹介していきます。
実際に働いている軽貨物ドライバーからは、「研修や開業後の支援も充実していて始めやすい」という点や「福利厚生が充実していて休みも取りやすい」という点、「研修が多いのでちょっと疲れる」といった評判をよく耳にします。
それぞれの口コミや評判について具体的に見ていきましょう。
研修や開業後の支援も充実していて始めやすい
桃太郎便(クイックエース)の特徴として、研修や開業後の支援が充実しているという評判が多いです。実際働いている方からも研修や開業後の支援が充実しているため、事業を始めやすいという意見が多かったです。
開業までに必要な備品や車両のリースだけでなく、座学研修や同乗研修の際にも給料が発生する制度になっているため、収入を気にせず、しっかりじっくり研修に打ち込める環境が整っているといえるでしょう。
研修が多いのでちょっと疲れるという意見も
充実した研修制度が辛いという方の声もありました。開業研修が最大8週間もあるため、早く現場に出てバリバリ稼いでいきたいという方にとっては辛く感じるようです。
さらに軽貨物ドライバーの経験者で、自分の配送のスタイルが決まっている方にとっては、研修の多さは周りくどいのかもしれません。
ですが、委託先ごとに特色や会社としての方針もあるので、多少のことは目をつぶって仕事をしていかなればならないこともあるでしょう。研修が多いということは桃太郎便(クイックエース)を始める前に頭に入れておいたほうが良さそうですね。
営業所によっては休めないこともある
営業所によっては、土日や年末年始でも休めないこともあるようです。特に繁忙期などは忙しくなり、拘束時間の長さや休日そのものがなくなるという声もみられました。
体力がない人にとっては、きついと感じる方も多いようです。
軽貨物初心者は、桃太郎便(クイックエース)から始めてみるのがおすすめ!
桃太郎便(クイックエース)の仕事内容や気になるお金の話、さらに実際に業務を行っている方の口コミや評判について紹介していきました。
桃太郎便に対して、福利厚生や研修も充実しているため、安心して働くことができるという意見が多く、運送業界に新規参入してきた軽貨物ドライバーにはおおむね好評といえるでしょう。
ですが完全独立型ではないこともあり、個人事業主の軽貨物ドライバーとして経験もあり、自分の働き方が決まっている人にとっては、研修の多さが辛いという声もありました。
客観的に見て、新規参入のほうが働きやすい環境が整っているということは、その後業界で長く仕事をしていく上で重要な要素です。
軽貨物初心者に適した環境が整っている桃太郎便(クイックエース)で働くという選択をして、軽貨物ドライバーの仕事を始めるというのもありですね。