軽貨物ドライバーの仕事を始めるにあたって軽貨物車両の用意は必須です。
軽貨物車の購入は決して安い買い物ではなく、新車の場合100万円以上の出費も考えなくてはならないでしょう。
少しでも安く買いたいという方にとって、購入時の税金額や節税方法は気になるはず。
今回は、軽貨物車両にかかる税金の話や種類やその金額、他ナンバーとの税金における違いなどについて、詳しく説明していきます。
軽貨物ドライバー向けの節税方法も紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
軽貨物車両購入時にかかる税金
軽貨物車両を購入する際には、複数の税金がかかることを知っていますか?
かかる税金は以下の通りです。
- 消費税
- 自動車重量税
- 軽自動車税
- 環境性能割
これらの税金が車体価格に加算されます。
販売店で車体価格は掲示されていても税金に関しての記載がない場合があるので、税金額を計算してから購入することをおすすめします。
それぞれの税金について詳しく解説していきます。
消費税
普段の生活でもお馴染みの消費税。車の購入時にも消費税がかかります。
消費税込みの価格表示の場合、「消費税が含まれない車体の金額」は、「消費税込みの車体金額」を1.1で割ることで求められます。
逆に、消費税込みの値段を知りたい場合には、「消費税が含まれない車体の金額」に1.1をかければ求められます。
自動車重量税
自動車重量税は「新車と継続の場合」や「エコカー減税適用とエコカー減税適用なしの場合」で、税率が異なります。
それぞれの場合に分けて自動車重量税の金額を具体的に紹介していきます。
軽貨物車両が対象なので、車両総重量が2トン以下の事業用の車両の場合で見ていきます。ちなみに全て、「2年事業用軽自動車(二輪を除く)」の場合の自動重量税です。
新車新規登録等時
免税:0円
75%:1,200円
50%:2,500円
25%:3,700円
本則税率:5,000円
エコカー減免適用なし:5,200円
継続検査等時
免税:0円
50%:2,500円
エコカー:5,000円
13年未満:5,200円
13年以上18年未満:5,400円
18年以上:5,600円
自分が事業で使う軽貨物車両がどの区分になるのかしっかりと確認して、自動車重量税分の税金を収められるように準備しておくことが大切です。
また、自動車重量税は車検時に次回の車検分までまとめて支払わなければなりませんので気を付けましょう。
軽バンの車検については以下の記事で詳しく解説しています。
軽自動車税
軽自動車税とは毎年払っていくことになります。
軽自動車税の具体的な金額は、2種類あります。
なお、以下で紹介している金額は、「営業用の貨物軽自動車四輪以上」の軽自動車税です。
<平成27年4月1日以降に新規取得される新車の場合の軽自動車税>
3,800円
<最初の新規検査から13年を過ぎた軽自動車に対する軽自動車税>
4,500円
軽自動車税を納付しないと、車検を受けられない可能性もあります。
また、納付を怠ると支払い方法が限定されたり、延滞金を要求されたり、最悪の場合、財産差し押さえということもあるので、納め忘れにはくれぐれもお気をつけください。
環境性能割
2019年10月1日から自動車取得税から環境性能割という税制に変わりました。
環境性能割は車を買った際に支払う税金になるため、環境性能割の金額もしっかりと確認して軽貨物車両を購入しなくてはなりません。
具体的な金額は車ごとに変わってくるため、購入時に販売店の方に金額を確認して購入を検討しましょう。
例えば、2019年10月から2020年9月末までに購入した燃料電池車・電気自動車・クリーンディーゼル車に対しては非課税になることも。
2020年度燃費基準を達成している車を、2019年10月から2020年9月末までに購入した場合には車体の取得価格の1%が環境性能割として課税されてしまうので気をつけてください。
自動車税は13年経過すると上がる?
新規登録から13年経過した自動車の自動車税・軽自動車税は金額が上がり、重課(税率が重くなる自動車)となります。
重課になる理由は、自動車からの排出ガスが地球温暖化などに悪影響を与えるとされているからです。
そのため、排出ガスを出さない、あるいは少ない電気自動車やハイブリッドカーは重課の対象ではありません。
軽貨物の場合、新車登録から13年経過すると車両重量に関わらず税額が年間4,100円高くなり、18年目以降は車両重量にかからわず年間4,400円高くなります。
ちなみに、LPガス車は約15%、ディーゼル車は11年経過で約15%の重課となります。
軽貨物車(4ナンバー)と他ナンバーとの税金の違い
軽貨物車は4ナンバー車となり一般的に軽トラックなど、荷物を輸送することを目的としています。
軽貨物車のほかに3ナンバーの普通乗用車、5ナンバーの小型乗用自動車が存在します。
3ナンバーと5ナンバーは、排気量と車体の大きさに違いがあり区切られていますが、その5ナンバーの中には軽自動車も含まれ税額が異なります。
4ナンバーは軽貨物車として独自の規定があり、3ナンバーと5ナンバーとは税額が異なります。
各ナンバーごとにサイズや積載量などの基準がある
車のサイズや荷物のスペースや積載量など基準が各ナンバーごとにあります。
例えば、4ナンバーとして自動車登録しようとしても4ナンバーの基準外(車の高さが1mmでも違う場合など)であれば4ナンバーとして認められません。
軽貨物の自動車税の税額は、1トン以下で自家用であれば8,000円〜、3あるいは5ナンバーに該当する普通乗用車であれば排気量1L以下で29,500円〜となっています。
車検にかかる費用の違い
4ナンバー車の車検費用は、車両重量1t以下で車齢13年未満であれば3,300円/年となっています。
3ナンバーなどの場合、新車購入時から3年後、その後は2年ごとに車検があり、0.5t超1t以下の場合8,200円/年となっています。
つまり、軽貨物車(4ナンバー)と他のナンバーを比べると軽貨物車の税額が一番安いといえます。
軽貨物車両の購入金額を含めた税金の見積もり
実際に軽貨物車両を購入すると仮定して、具体的な購入金額を見積もってシミュレーションしていきましょう。
計算してみることで、どのくらいの税金支払わないといけないのかをイメージできます。
例としてあげる軽貨物車両は分かりやすいように、「2020年度燃費基準」を満たし、「総重量2トン以下」の車両とします。
軽貨物車で人気の「MAZDA SCRUM VAN 4WD (5MT)」で税金金額をシミュレーション
軽貨物ドライバーに人気の軽貨物車両「MAZDA SCRUM VAN 4WD (5MT)」で税金金額をシミュレーションしていきましょう。
項目 | 金額(税額) |
---|---|
車両金額 | 1,000,000円 |
消費税 | 100,000円 |
軽自動車税 | 3,800円 |
自動車重量税(エコカー減税適用なし) | 5,200円 |
環境性能割(車両金額の1%) | 10,000円 |
以上の金額が購入時に発生します。
合計金額「119万9千円」のうち、「19万9千円」が税金としてかかります。
新車で軽貨物車両を購入した場合、車体価格のおよそ2割の税額が加算されるので、税金も馬鹿にできない出費金額だといえるでしょう。
軽貨物の税金を安く抑える方法はある?
軽貨物でも税金を安く抑える方法があります。
軽貨物で個人事業主として仕事をする場合、さまざまな経費がかかるので少しでも費用は抑えたいところでしょう。
ここからは軽貨物の税金を安く抑える方法を紹介します。
エコカーにする
ハイブリッド車や電気自動車だけでなく、低排出ガスの車であればエコカーとみなされます。
残念ながらエコカー減税率が高いEVやハイブリッド車は軽貨物車ではないものの、低排出ガス車は販売されています。
エコカー減税であれば税額が安くなりますが、全ての軽貨物がエコカー減税になるわけでなく、グレードによって対象になるものとそうでないものがあることを頭にいれておきましょう。
また、エコカーであれば低燃費の車も多く、排出ガスも抑えられているため環境にもよく費用負担も軽くなります。
さらに、エコカー減税は2009年から延長されており、期間延長されるにともない軽減率が引き下がっているためこの制度は是非有効活用したいところです。
ちなみに、エコカーの中には車両価格が高いものもありますが、地方自治体から補助金をもらえる場合もあるので確認しましょう。
新車登録から13年目に車を乗り換える
新車登録から13年経過すると、グリーン化税制が適用されるため税額が上がります。
そのため、新車購入から13年目に車を買い替えると自動車税と重量税の節税になります。
13年目を迎える軽貨物は車種により15~20%税額が高くなりますが、さほど変わらないと思う方もいるでしょう。
しかし、走行距離にもよりますが新車から13年経過すると経年劣化もあり、故障や部品交換による費用の負担も大きくなります。
ただお金の負担が増えるだけでなく、安全性もよくない状態なので買い替えを検討するのがおすすめです。
場合にもよりますが、13年以上軽貨物に乗るよりも、新車に乗り換えた方が費用面でもメリットが多いでしょう。
軽貨物車にかかる税金の支払い時期や支払い方法
軽貨物車を所有している場合、ほかの自動車と同じように毎年税金を納めなければいけません。
軽貨物の税金を支払わなかったり、期限を超えてしまうとより多くの税金を納めなければならなくなります。
下記では軽貨物にかかる税金の支払い時期や支払い方法について紹介します。
税金の支払い時期
軽自動車税は毎年4月1日時点で車検証に記載されている住所に、4月末から5月初旬の間に納税通知書が届きます。(通常5月の初旬ごろに届きます)
支払い期限は基本的に5月末頃までです。
軽貨物車両の購入は4月2日直後がおすすめ
軽貨物車両は4月2日を過ぎてからできるだけ早く購入することで節税につながります。
軽自動車税は翌年の4月まで税金がかからないので、なるべく早い時期に購入することで、約1年分の軽自動車税を節約できるということです。
そのため、軽貨物車両の購入を検討している方は4月2日に購入するとよいでしょう。
軽貨物車両を手放すタイミングに注意
軽貨物車両を手放す際にも気をつけなければならないことがあります。
軽自動車税は、4月1日の時点で車両を所有する人に税金が課せられます。
ですので、軽貨物車両の所有権を3月31日までに誰かに譲渡し名義の登録変更をしたり、廃車時には抹消登録をしたりしなければ、損をしてしまいます。
また、しっかりと名義登録の変更や抹消登録をしておかないと、実質的に自分の車ではない車の税金を払い続けることになってしまうので気をつけましょう。
税金の支払い方法
軽自動車税の納付方法は公共料金の支払いと一緒で、
- 自治体の窓口
- コンビニエンスストア
- 金融機関
- 郵便局
などで納めることができます。
自治体によってはクレジットカードやキャッシュレス決済で支払うこともでき、ポイントも貯まるためおすすめです。
しかし、車検時に納税証明書が必要になり、クレジットカード・キャッシュレス決済の場合は電子化ができず、書面で発行する必要があります。
軽貨物車両の購入時には税金額を意識しておこう
ここまで軽貨物車両に関する税金の話をしてきました。
まずは、軽貨物車両にはどのような税金がかかるのか、また購入時や年次でいくらかかるのかなどを把握することが大切です。
また、購入時や廃棄時のタイミングを調整すれば節税につながります。知っているのと知らないのでは大きな差になるでしょう。「税金の計算などは苦手……」という軽貨物ドライバーの方も経費をできるだけ抑えられるよう、できることから実践していきたいですね。