郵便配達員への転職を考えている人は、郵便配達の仕事の実態が気になりますよね。
この記事では、郵便配達の正社員をテーマに、「辛い」と言われる理由や年収、向いていない人の特徴について解説します。
郵便配達の正社員の仕事内容
郵便配達員の主な仕事は、各家庭のポストに郵便物を投函したり、書留などの投函できない郵便物やゆうパックを直接届けたりする配達業務です。
そのほか、正社員は以下のような配達以外の業務も行います。
- 企業やコンビニ、個人宅への郵便物・荷物の集荷
- 切手や年賀はがき、かもめーるなどの商品を案内する営業活動
- 配達車両の点検
大まかな1日の流れは以下のとおりです。
時間 | 業務 |
---|---|
8:00 | 出社後ミーティング、配達準備、バイクや車両の点検 |
9:30 | 午前の郵便配達開始 |
12:15 | いったん帰局し休憩 |
13:15 | ミーティング、午後の配達準備 |
13:50 | 午後の郵便配達開始(終わり次第帰局し、締めの作業を行う) |
16:45 | 退社 |
なお、郵便配達は正社員のほかに非正規職員も行っています。
非正規社員は、主にバイクでの配達が中心です。
正社員でもバイクを使用する場合がありますが、基本的には「主任以上」など、役職が高くなると軽貨物車両での配達が多くなります。
郵便配達員の離職率
2019年度版の就職四季報では、日本郵便の3年後離職率は23.9%であるとのデータがあります。
つまり、新卒で入社した社員のうち、2割以上が3年以内に辞めてしまうということです。
ただし、上記は日本郵便に勤める全ての社員(非正社員を含)におけるデータであり、郵便配達員のみの離職率ではありません。
また、23.9%のうちどの程度正社員が含まれているのかも不明ですが、1つの目安にはなるでしょう。
ちなみに厚生労働省が公表する、2020年に卒業した新卒の3年後離職率は高卒で37%、大卒で32%です。
全業界の離職率が3割を超えていることを考えると、「やや少ない」と感じるかもしれませんが、10人中2人以上は3年以内に辞めていると考えると、定着率が高いともいえません。
出典:新規学卒就職者の離職状況(令和2年3月卒業者)を公表します|厚生労働省
郵便配達の正社員は「辛い」「きつい」に関する実際の声
実際に郵便配達をしている、もしくは過去していた人は、正社員の仕事についてどのように感じているのでしょうか。
ここでは、郵便配達員の「辛い」「きつい」に関する実際の声を紹介します。
大雨や酷暑など、天候や気候による配達の辛さはもちろん、正社員ならではの仕事が重労働という声もあるようです。
また、正社員の給料が下がり、非正規社員のほうが手取りが多い場合があるなど、収入に関する不満の声もみられました。
次の章より、郵便配達の正社員に対するネガティブな意見の実態をみていきましょう。
郵便配達の正社員が「辛い」と言われる理由
どのような理由から、郵便配達の正社員が「辛い」と言われるのでしょうか。
ここでは、「辛い」と言われる理由について解説していきます。
仕事がきつい
単純に、仕事内容がきついという声が多く聞かれます。
郵便配達員は、1日に大量の郵便物やゆうパックなどを配達します。
ポストに投函できない郵便物や書留などは直接対面で渡す必要があり、顧客が不在の場合は再配達が必要です。
そもそも、1人あたりの配達量が多すぎるという意見も少なくありません。
配りきれない場合は翌日に持ち越しとなるケースが一般的で、前日分の残りを配達するとなると、さらに配達料が増えるため、休憩もとらずに配達している人もいるようです。
郵便物の誤配や紛失といったリスクが高い
普通郵便の配達には、誤配のリスクがともないます。
書留やゆうパックなど、対面で渡すものであれば届け先に間違いがないか顧客本人に確認できるので、間違えることはないでしょう。
しかし、普通郵便の場合はポスト投函が基本であるため、表札のない家や、新築でまだ地図に載っていない家などはとくに誤配しやすいといえます。
また、毎日大量の郵便物を扱わなければならず、中には小さく軽い封筒などもあるため、配達中に強風で飛ばされてしまうこともあります。
見つからなければ紛失扱いになり、朝礼の際に全職員の前で謝罪させられるところもあるようです。
営業活動が辛い
正社員の郵便配達員には郵便配達以外にも「営業活動」という業務があります。
その一環として、2018年の年末までは「年賀はがきの販売ノルマ」が各郵便配達員に課せられていました。
ノルマを達成するために自腹で年賀はがきを大量に購入する「自爆営業」が問題になり、販売ノルマは廃止されました。
しかし、現在でも販売ノルマが継続されている支店もあるらしく、政府の調査資料では、販売ノルマ廃止後の事例として、年賀はがき1万枚の目標を自爆営業によって社員の8割が達成しているという報告もあります。
自腹で買い取った年賀はがきは金券ショップなどで売れますが、それでも差額分が発生するため、数万円の自己負担が発生することも……。
ノルマが廃止されてもなお、現場に残る「売れなければ自腹で買い取って当たり前」という空気に耐えられない、という人も多そうです。
郵便配達の正社員の年収
日本郵政グループの採用情報によると、正社員の郵便配達の年収は、新卒(大卒)・一般職の初任給で234万3,600円〜276万5,400円程度です。(高卒・専門卒の場合は、230万4,000円~275万4,120円)
それに加えて賞与が年2回、仮に4カ月分支給されると仮定すると、312万4,800円〜368万7,200円となります。
国税庁の「民間給与実態統計調査」で公表されている会社員の平均給与(523万円)と比較すると少ないですが、あくまで新卒の年収目安であり、入社後は昇給によって年収が増える可能性もあります。
なお、郵便配達のアルバイトや委託ドライバーとの年収比較を表にまとめました。
正社員 | 312万4,800円〜368万7,200円 |
アルバイト | 268万2,240円(時給1,270円×1日8時間×月22日稼働) |
委託ドライバー | 396万円(日給1万5,000円×月22日稼働)〜448万8,000円(日給1万7,000円×月22日稼働) |
上記のアルバイトの時給は、2024年4月10日時点で募集されている新東京郵便局の時給をもとに算出しています。
アルバイトの時給は支店によって異なります。
また、委託ドライバーは日給制であるケースが多く、日給1万5,000〜1万7,000円程度が相場ですが、契約先の支店によっては2〜3万円をもらえる場合もあります。
出典:日本郵便株式会社の東京都のアルバイト・パート求人一覧|日本郵便
正社員の郵便配達員に将来性はある?
さまざまな視点や解釈によって将来性の有無は議論の余地がありますが、正社員の郵便配達員に将来性があるとはあまりいえないでしょう。
理由は以下の2つの可能性があるからです。
- ドローン配送が今後実現する可能性がある
- 今後さらに個人事業主が増える可能性がある
近い将来、ドローンを用いて配達を行うドローン配送が実現する可能性があります。
実現した場合、人間が配達しなくてはいけない理由が薄くなる、もしくはなくなります。
人員を減らすとなれば、まずはアルバイトやパートといった非正規職員から切られることが予想されますが、正社員だから安心とはいえません。
郵便配達員の仕事自体がなくなることは考えにくいですが、規模が縮小し、廃局になる郵便局も出てくるかもしれません。
また、郵便配達員の中で、個人事業主の委託ドライバーの割合が大きくなることが考えられます。
企業にとって、正社員を雇用するよりも、委託ドライバーを使うほうがコストが削減できるためです。
直雇用の職員を最小限に抑え、代わりに委託ドライバーを増やすという方針となった場合、委託ドライバーでも代わりの効く「郵便配達」を行う正社員は為すすべがありません。
郵便配達員は「楽しい」「楽すぎ」といった意見も
「辛い」「きつい」と言われる一方で、郵便配達の正社員は、「楽しい」「楽すぎ」といった意見もあります。
郵便物の到着を楽しみに待っていた顧客から感謝の言葉をもらえたり、地域の人と交流できたりというメリットもあり、生きがいを感じながら働いている郵便配達員もいます。
また、正社員は非正規職員と比べ、以下のような面で優遇されています。
- 状況によって「奨励手当」が支給されることもある(非正規職員は支給なし)
- 最大3年の育児休暇、通算183日までの介護休業、不妊治療休暇などが取得できる
- 定時より早く退社できる「時間休」が多く利用できる
とはいえ、正社員ならではの苦悩もあるはず。良い面と悪い面を含め、自分に合うかなど総合的に考えたり、ほかの働き方と比較したりする必要があるでしょう。
郵便配達の正社員に向いてない人の特徴
ここでは、郵便配達の正社員に向いていない人の特徴を紹介します。
営業や接客が苦手な人
営業や接客があまり得意でない人は、正社員の郵便配達員に向いていない可能性があります。
前述のとおり、正社員の郵便配達員の業務には「営業活動」が含まれるためです。
また、窓口業務よりは人と接する時間が少ないものの、書留やゆうパックの配達時には顧客と話す機会もあります。
郵便配達員=郵便物をポストに投函するだけといった認識でいると、実際に働いた際にギャップを感じるかもしれません。
配ったら配っただけ稼げる「歩合制」で働きたい人
歩合制で働きたい人にも正社員の郵便配達員は向いていないでしょう。
手当などはあるにしても、多く配ったからといって劇的に収入が増えるわけではないためです。
たとえば荷物単価で働く委託ドライバーは、報酬が荷物の個数に紐づいているので、荷物を配ったら配っただけ稼げます。
体力的に辛くても、「頑張ったら稼げる」というのは大きなモチベーションになるでしょう。
ガッツリ稼ぎたいなら、正社員の郵便配達員ではなく、はじめから委託ドライバーで求人探しをしたほうがよさそうです。
マイペースすぎる人
マイペースすぎる人も郵便配達員に向いていないかもしれません。
郵便配達員が届けるのはポスト投函の手紙だけでなく、対面で手渡すものもあります。
中には配達時間を指定されている荷物もあり、指定された配達時間は必ず守るのがルールです。再配達の際に時間を指定されることもあります。
また、柔軟に行動するのが苦手な人も厳しいかもしれません。
自分の中でいつもの配達ルートが決まっていても、時間指定の荷物があることで、ルートを変えて配達することが求められるシーンもあります。
たとえば指定の時間に間に合うよう、先に時間指定の荷物を配達し、そこから普通郵便を配達するためにルートを逆走するなど、非効率な回り方をせざるを得なくなることもあるでしょう。
指定された時間に間に合わなければ、クレームにつながることも。
「少しくらい遅れてもいいや」と考えてしまうようなマイペースな人や、機転を利かせて動くことが苦手な人には向いていない仕事といえます。
配達の仕事で稼ぐなら委託ドライバーになるのがおすすめ◎
正社員の郵便配達員が「辛い」と言われる理由や年収、向いていない人について解説しました。
記事を読んで、正社員の郵便配達員は営業活動をする必要があったり将来性があるといえなかったりと、不安要素を感じた人もいるはずです。
同じ「荷物の配達」なら、委託ドライバーになるのも1つです。
委託ドライバーであれば基本的には営業活動を行う必要はなく、ほとんどの運送会社が荷物を配れば配るほど稼げる歩合制を採用しています。
ただし、委託ドライバーの案件もさまざまであり、ドライバーに不利な条件で契約させる悪質な運送会社も少なからず存在します。
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