個人事業主がアマゾン配送に携わる方法はいくつかあります。
働き方によって作業範囲や報酬面が変わってくるので、どのような種類があるかについて、知っておいたほうがよいでしょう。
この記事では、個人事業主でもできるアマゾン配送の種類やそれぞれの評判、年収について解説します。
アマゾン配送を個人事業主が行うには?
アマゾン配送を個人事業主が行う方法は、直接アマゾンの仕事をするか、業務委託で仕事を受けるかのどちらかです。
ここでは、個人事業主がアマゾンの配送に携わるための方法を紹介します。
アマゾンフレックスに登録する
まずはアマゾンフレックスに登録する方法です。
アマゾンフレックスは、唯一個人として直接アマゾンと契約できる働き方です。
20歳以上で普通自動車免許を保持しており、スマートフォンと黒ナンバーの車両があれば誰でも登録できます。
シフトが決められているわけではなく、受けたいオファーを自分で選んでエントリーできるため、好きなときに働けるのが魅力です。
また、業務委託では毎月の報酬から「ロイヤリティ」を引かれるケースが多いですが、アマゾンフレックスではロイヤリティが発生しません。
ただし、取りたいオファーが取れるとはかぎらないため、安定的に仕事を得ることが難しいという難点もあります。
アマゾンデリバリープロバイダ(デリプロ)と委託契約を結ぶ
続いては、アマゾンデリバリープロバイダ(以下デリプロ)と委託契約を結ぶ方法です。
デリプロとは、アマゾンから委託を受けて配送を行う特定の中小配送業者のことです。
そのデリプロ業者からの委託、もしくはその下請けから再委託を受ければ、個人でもアマゾンの配送を行えます。
デリプロで働く際は、まずデリプロ業者や下請けの運送会社に応募します。その後面接に進み、業務委託契約を結んだら研修を受けるといった流れです。
アマゾンフレックスでは研修制度が用意されていませんが、デリプロで働く場合は研修を受けられるため、初心者でも安心です。
ただし、注意点もいくつかあります。
デリプロの場合もアマゾンフレックスと同様に、自分で黒ナンバーの車両を用意する必要があります。
また、週5日勤務のシフト制で安定して働けますが、1日の拘束時間が長く、長時間労働になりがちです。
さらにアマゾンフレックスとは異なり、ロイヤリティと呼ばれる企業からの中抜きが行われる可能性がある点にも注意が必要です。
メリットとデメリットをよく考慮したうえで、始めるかどうかを決める必要があるでしょう。
アマゾンデリバリーサービスパートナーと委託契約を結ぶ
最後に、アマゾン配送サービスパートナーと委託契約を結ぶ方法です。
アマゾン配送サービスパートナーとは、アマゾンと契約した企業がアマゾンの荷物を配送するプログラムで、2023年3月にスタートした新たな取り組みです。
デリプロと似ていますが、デリプロの場合はデリプロ業者の下に協力会社があり、そこからの下請け、そのまた下請けといった働き方になる可能性があります。
しかし、アマゾン配送サービスパートナーはアマゾンと直接契約している企業との契約になるため、下請け構造ができにくいのが特徴です。
そのためデリプロで働くよりも多く報酬を受け取れる可能性がありますが、アマゾン配送サービスパートナーでもデリプロと同様に、ロイヤリティが発生する可能性があります。(発生しないケースもあり)
そのほか、拘束時間が長くなることも考えられますが、アマゾンフレックスのようにその都度オファーを取る必要がないため、安定して仕事ができる点はメリットといえるでしょう。
アマゾンと法人契約を結ぶことは可能?
アマゾンと法人契約を結ぶ手段は、現在アマゾン配送サービスパートナーへの参加しかありません。
ただし契約するためには審査があり、審査に通る必要があります。
また、審査基準が明らかにされていないため、どのような企業であれば審査を突破できるのか、どのような要件を満たす必要があるのかといった点については不透明です。
アマゾン配送サービスパートナーへの応募方法は以下のとおりです。
- 公式サイトから「応募する」をクリックする
- アカウントを作成する
- 申込内容を提出する
- 審査を受ける
- 審査通過後、配送地域を決定する
- オリエンテーションに参加する
- 配送に向けて準備をする
- 配送を開始する
登録から実際に配送を開始するまでに2カ月〜6カ月程度かかります。
思い立ってすぐに始められるものではない、どの会社でも契約できるわけではないという2点を覚えておきましょう。
アマゾン配送を行う個人事業主の年収は?
個人事業主としてアマゾン配送を行う場合、年収はどれくらいになるのでしょうか。
ここでは、アマゾンフレックスとアマゾンデリバリープロバイダ、アマゾン配送サービスパートナーそれぞれの単価や年収を紹介します。
アマゾンフレックスの単価・年収
アマゾンフレックスには「ブロック」という独特の概念があり、報酬はブロックの稼働時間によって異なります。
アマゾンフレックスの単価と年収について解説します。
アマゾンフレックスの単価
アマゾンフレックスの単価は、荷物単価ではなく「ブロック」という単位ごとに決まっています。
1ブロックあたりの稼働時間は4~8時間で、ブロックの稼働時間に応じた報酬額が設定されています。
ブロックの稼働時間と報酬例は以下のとおりです。
1ブロックあたりの稼働時間 | 報酬額(税込み) |
---|---|
4時間 | 8,800円程度 |
6時間 | 13,200円程度 |
8時間 | 17,600円程度 |
オファーさえ取れれば、1日に複数のブロックをこなせます。
たとえば、同じ日に4時間のブロックと6時間のブロックを組み合わせることも可能です。その場合、1日の報酬額は22,000円です。
ただし、報酬額は地域によって異なるため、上記の報酬額どおりに稼げるとはかぎりません。
アマゾンフレックスの年収
月に22日稼働した場合の月収例、年収例は以下のとおりです。
ブロック | 月収例(税込み) | 年収例(税込み) |
---|---|---|
4時間 | 193,600円 | 2,323,200円 |
6時間 | 290,400円 | 3,484,800円 |
8時間 | 387,200円 | 4,646,400円 |
4時間+6時間 | 484,000円 | 5,808,000円 |
ただし、アマゾンフレックスでは稼働時間に制限があります。
1日に12時間、週に50時間以上は稼働できません。また、週の稼働日数も5日までです。
また、オファーがコンスタントに取れるとはかぎらない点にも注意が必要です。
また、アマゾンとの直接契約であるためロイヤリティは発生しませんが、車両費やガソリン代、保険料などの経費がかかるため、上記の金額=手取りではないことを覚えておきましょう。
アマゾンデリバリープロバイダ(デリプロ)の単価・年収
アマゾンデリバリープロバイダの場合は、委託契約を結ぶ運送会社によって報酬形態が異なります。
日給制が一般的ですが、配達個数によって報酬が変わる歩合制を取り入れているところもあります。
ここではデリプロの日給、歩合それぞれの報酬例を紹介します。
デリプロで日給制だった場合の報酬例
デリプロで日給制だった場合の報酬例は以下のとおりです。
日額 | 稼働日数 | 月収例(税込み) | 年収例(税込み) |
---|---|---|---|
13,000円 | 22日 | 314,600円 | 3,775,200円 |
25日 | 357,500円 | 4,290,000円 | |
15,000円 | 22日 | 363,000円 | 4,356,000円 |
25日 | 412,500円 | 4,950,000円 | |
20,000円 | 22日 | 484,000円 | 5,808,000円 |
25日 | 550,000円 | 6,600,000円 |
運送会社や地域によって日額は異なりますが、相場は13,000〜20,000円程度です。
上記の金額は手取りではなく、ロイヤリティや車両費、ガソリン代などの経費がかかります。
ロイヤリティはデリプロ業者や協力会社によって異なりますが、10〜15%程度が相場です。
日給制の場合、どれだけ荷物を配達しても報酬額は変わりません。荷物量が少なければ単価は上がりますが、荷物量が多ければその分単価は下がります。
配達スキルが高く、数多く荷物を配れるドライバーなら、日給制よりも歩合制のほうが大きく稼げる可能性があります。
デリプロで歩合制だった場合の報酬例
デリプロで歩合制だった場合の報酬例は以下のとおりです。
荷物単価 | 配達個数 | 稼働日数 | 月収例(税込み) | 年収例(税込み) |
---|---|---|---|---|
130円 | 100個 | 22日 | 314,600円 | 3,775,200円 |
25日 | 357,500円 | 4,290,000円 | ||
150個 | 22日 | 471,900円 | 5,662,800円 | |
25日 | 536,250円 | 6,435,000円 | ||
150円 | 100個 | 22日 | 363,000円 | 4,356,000円 |
25日 | 412,500円 | 4,950,000円 | ||
150個 | 22日 | 544,500円 | 6,534,000円 | |
25日 | 618,750円 | 7,425,000円 |
日給制の場合と同様に、ロイヤリティや車両費、ガソリン代などがかかります。
荷物を配れば配るほど稼げるのが歩合制のメリットですが、荷物量によって収入が変動することはデメリットでもあります。
時期によって荷物量が減ったり、台風や大雨などで物流が止まったりといったこともあるため、環境に左右される可能性があることを知っておいたほうがよいでしょう。
またデリプロの場合は、アマゾンフレックスと同様に週は5日まで、週の稼働時間は60時間までと定められています。
アマゾン配送サービスパートナープログラムの単価・年収
アマゾン配送サービスパートナープログラムの報酬は、契約する企業によります。
中には日当保証があるところや、個建インセンティブが設定されているところもあります。
個建インセンティブとは、荷物1つあたりのサイズや重さ、距離を考慮した配送料のことです。荷物によって、1個あたり2~5円程度のインセンティブがつく場合もあります。
報酬例は以下のとおりです。
稼働日数 | 基本報酬 | 個建インセンティブ | ガソリン代 | 月収例 | 年収例 |
---|---|---|---|---|---|
20日 | 416,482円 | 22,000円 | 26,400円 | 464,882円 | 5,578,584円 |
22日 | 458,130円 | 24,200円 | 29,040円 | 511,370円 | 6,136,440円 |
23日 | 478,954円 | 25,300円 | 30,360円 | 534,614円 | 6,415,368円 |
上記の例ではインセンティブがつくため、頑張りによってはインセンティブだけでも小遣い稼ぎになります。
また、業務委託ではガソリン代を自分で負担するケースが一般的ですが、企業によってはガソリン代が支給されるところもあります。
そのような企業を選べば稼ぎやすいでしょう。
もっとも稼げるアマゾン配送の働き方は?
アマゾン配送の働き方のうち、どのような働き方がもっとも稼げるかは、委託契約を結ぶ運送会社にもよります。
そのため、「この働き方がもっとも稼げる」とは一概にいえません。
どの働き方を選ぶにしても、何社か比較し、それぞれ詳しい説明を聞いたうえで慎重に検討する必要があるでしょう。
個人事業主によるアマゾン配送の評判・口コミは?
実際にアマゾン配送を行っている個人事業主は、アマゾン配送をどのように評価しているのでしょうか。
個人事業主によるアマゾン配送の評判と口コミを紹介します。
アマゾンフレックスの評判
アマゾンフレックスに関する評判のうち、ポジティブな意見は以下のとおりです。
このように、中には月収100万円を達成したという人や、閑散期でも40万円以上売り上げられたという人もいます。
オファーが取れない、収入が安定しにくいといわれることもあるアマゾンフレックスですが、やり方によっては稼げるようです。
一方、ネガティブな意見は以下のとおりです。
やはりオファーを取るのに苦戦している人は少なくありません。
はじめからアマゾンフレックス一本でやっていくのは難しいかもしれません。
アマゾンデリバリープロバイダ(デリプロ)の評判
アマゾンフレックスに関する評判のうち、ポジティブな意見は以下のとおりです。
安定的に仕事があるのは、デリプロのメリットといえるでしょう。
アマゾンフレックスにはオファーが取れずに悩んでいるドライバーが大勢いますが、デリプロでは「仕事がない」という状況になりにくい印象です。
一方、ネガティブな意見は以下のとおりです。
デリプロでは、下請け構造が問題視されることが多々あります。
インボイス制度が開始する2023年10月からは、さらに厳しい状況に陥るドライバーも出てくるのではないでしょうか。
アマゾン配送サービスパートナープログラムの評判
アマゾン配送サービスパートナーは、2023年3月から始まった新しい取り組みです。
登録から開始までに時間がかかることもあり、2023年9月現在ではまだ口コミなどは見られません。
ただし、今後浸透していけば参入する企業が増え、それにともないドライバーも増えてくることが予想されます。
また、アマゾンフレックスやデリプロなど、ほかの働き方から移行するドライバーも増えてくる可能性があります。
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個人事業主向けのアマゾン配送案件に関する、評判や年収などについて解説しました。
今回は3つの働き方を紹介しましたが、それぞれにメリットとデメリットがあるため、自分に合った働き方をよく検討する必要があるでしょう。
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