委託ドライバーとしての軽貨物の仕事とは異なり、自分のペースで配達ができる点が魅力のアマゾンフレックス。
しかし、1人での配達に限界を感じ、可能であれば2人で配達がしたいと思っているドライバーも少なくないのではないでしょうか。
本記事では、アマゾンフレックスを2人で配達することの可否や実情について解説していきます。
また、1人でも配達業務がスムーズになるために、押さえておきたいポイントについても解説しているので、ぜひ参考にしてくださいね。
アマゾンフレックスを2人で配達は可能?
アマゾンフレックスの配達を2人で行うことは、物理的には可能です。
2人で行動すれば1人は運転に徹し、もう1人は配達だけに専念できるため、配達スピードが上がるでしょう。
届け先では、車両は停車しておけばよいので、わざわざ駐車場所を探す必要がありません。また、1人が配達している間、残ったほうは次の配達先のルート確認や荷物の確認ができるので効率的です。
1つのマンションで複数件配達がある場合などは、手分けすることも可能でしょう。
実際にアマゾンフレックスで働いている人の中には、「1人じゃなくて2人で配達できたら効率がよいのに……」と思っている人も少なくないでしょう。
しかし、残念ながらアマゾンフレックスでは2人での配達を禁止しています。
アマゾンフレックスでは、2人での配達が禁止されている
アマゾンフレックスでは、助手席に人を乗せた状態での配達や、2人で荷物を分配して配達することを禁止しています。友人や配偶者、どのような間柄であっても同乗できません。
また、1人が受けたオファーに対し、2人で対応することもできません。
そのようなルールが定められていることから、2人での配達ができないのです。
ただし、怪我や病気など、ドライバーの体調に問題があり、1人では配達ができないといったような正当な理由がある場合は、許可を得られるケースもあります。
どうしても1人での配達が難しい場合は、アマゾンフレックスサポートセンターやステーションに常駐しているアマゾンのスタッフに相談し、指示を仰ぐようにしましょう。
アマゾンフレックスを2人で配達するのが禁止されている理由
アマゾンフレックスが2人での配達を禁止しているのはなぜなのでしょうか。
考えられる理由は主に以下の3つ。
- 同乗者に何かあったときに保証ができないため
- 同乗者がトラブルを起こしたときに責任を負えないため
- 車両の名義人以外は配達できないため
それぞれ説明しますね。
同乗者に何かあったときに保証ができないため
まずは、同乗者にトラブルなどが起きても、アマゾン側で保証ができないことが挙げられます。
配達中に事故に遭って、同乗者が怪我をする可能性はゼロではありません。また、子どもに手伝わせる場合、誘拐などの事件に巻き込まれる可能性も、万にひとつとはいえ、ないとは言えないでしょう。
アマゾンフレックスでの登録がない者を同乗させる場合、アマゾンは同乗者に対して一切保証してくれません。そのため、そのようなトラブルを未然に防ぐため、同乗者を乗せての配達を禁止しているのです。
同乗者がトラブルを起こしたときに責任を負えない
同乗者に何かあった場合だけではなく、同乗者が原因でトラブルが発生したときに責任が負えないというのも、2人での配達が禁止されている理由のひとつです。
誤配や荷物の破損などのトラブルが発生した場合、その原因となったのが登録しているドライバー本人であればまだよいですが、同乗者となると責任問題に発展します。
このような複雑な問題が起きないようにするため、ルールとして2人での配達を禁止しているのです。
車両の名義人以外は配達できないため
車両の名義人以外は配達できないということも、理由のひとつとして挙げられます。
アマゾンフレックスを始める際は車両登録を行います。車両登録は、車検証がアマゾンフレックスに登録する本人の名義でなければならず、名義人以外の配達は認められません。
軽貨物車両1台に対して、登録できるドライバーは1人です。もちろん名義人であれば配達できますが、2人で配達している場合、1人は部外者です。
「届け先に荷物を運ぶのが名義人ならよいのでは?」と思うかもしれませんが、アマゾンフレックスの配達業務は、車両の運転も含めて“配達”なので、部外者が運転のみを担当するのもNGです。
また、別の車両でアマゾンフレックスに登録している人であればよいのかというと、そうではありません。あくまで車両の名義人と配達を行うドライバーは、同じでなければいけないのです。
参考:2人で配達していることがアマゾンにバレたらどうなる?
2人で配達していることがアマゾンにバレたからといって、100%クビになるとは限りません。
しかし、それ以降仕事を受けられなくなる可能性はあります。
また、顧客とのトラブルなど、何かあったときに対応したのがアマゾンフレックス未登録の者だったと分かれば大問題です。場合によっては、登録ドライバーが責任を負わなければならなくなります。
そういったリスクを背負ってまで2人で配達するのは、メリットよりもデメリットのほうが大きいと感じるはずです。
アマゾンフレックスを2人で配達している人はいない?
アマゾンフレックスでは、2人での配達を禁止していますが、実際に2人で配達している人はいます。
なかでも多いのが、夫婦での配達です。軽貨物車両を2台用意し、1つのオファーに対し2台で対応する場合や、1台の軽貨物車両に2人が乗り、2人で協力して配達する場合などやり方はさまざまです。
しかし、効率よく稼げるとはいえ、ルールに反する行為であることに変わりはありません。
実際にやっている人がいるからといって真似をすると、見つかってペナルティを受けるなど、後悔する結果になりかねません。
なぜ2人で配達をするのか。メリットは?
2人で配達している人たちは、ルールで禁止されているにもかかわらず、なぜ2人での配達を続けるのでしょうか。
ここでは、2人で配達することのメリットを紹介します。
メリットとして挙げられるのは、主に以下の3つです。
- 車両の駐車場所に困らない
- 効率よく配達できる
- 役割を交代しながら配達できる
それぞれ見ていきましょう。
車両の駐車場所に困らない
2人で配達するメリットとして、駐車場所に困らないことが挙げられます。
1人で配達を行っていると、配達中、車両をどこに停めればよいのか迷うことがよくあります。
車1台がやっと通れるような細い道で、配達先である家の前に一時的に駐車して、そのまま配達先に走らなければならないような状況も珍しくありません。そんなときに限って後続の車が来てしまい、戻って車両を動かさなくてはならず、時間をロスしてしまうこともあるでしょう。
しかし、2人で配達できればそういった問題をクリアできます。
1人が車両を離れても、もう1人が車両に残れるため、ほかの車が来た際は残ったほうが車両をすぐに移動でき、わざわざ配達を中断する必要がないのです。
効率よく配達できる
1人で配達するよりも、効率よく配達できる点もメリットです。
1人で配達するときは、運転も荷物探しも配達もすべて1人で行わなくてはなりません。さらに次の配達先やルートの確認、アプリの操作といった作業も発生します。
しかし、2人いれば仕事の分担が可能です。
1人が運転し、もう1人は荷物探しと配達、その間に運転役が次の配達先やルートの確認をし、移動中は配達役がアプリの操作をするなど、うまく分担すれば配達をスムーズにこなせます。
それにより、配達スピードもかなり向上するでしょう。
役割を交代しながら配達できる
2人いれば、途中で役割を交代することも可能です。
1日中配達で走り回るのはかなりの重労働です。なかには重い荷物もあり、荷物を持ちながらマンションやアパートなどの階段の上り下りを繰り返すのは、体に負担がかかります。
一方、運転のほうも1日中となると集中が途切れ、事故を起こす可能性が高まります。
1人であれば、配達も運転もすべて1人で行わなければならず、荷物量が多いと休憩もままならないため、体力的にきついと感じるドライバーは多いでしょう。
しかし2人であれば、定期的に役割を交代しながら配達できるうえ、休憩も交代で取れます。
参考:アマゾンのデリプロでは2人で配達もOK?
アマゾンのデリプロ(デリバリープロバイダ)とは、アマゾンから直接配送業務を委託されている配送業者のこと。
デリプロの配達業務では、2人での配達が禁止されていません。
実際に、新人ドライバーを教育する際に横乗りといって、ベテランドライバーが新人を助手席に乗せながら教えたり、逆にベテランドライバーが助手席に乗って新人にアドバイスしたりなど、2人で配達することはよくあります。
アマゾンフレックスでの配達を効率化するためのポイント
ここからは、アマゾンフレックスでの配達を効率よく行うためのポイントを紹介します。
ここで紹介するメソッドを実践し経験を積み重ねることで、1人でも十分稼げるドライバーとしてやっていけるようになれますよ。
1つずつ確認していきましょう。
荷物の積み方を工夫する
アマゾンフレックスに限らず、配達に関するすべての業務に当てはまることですが、配達を効率よく行うためには、荷物の積み方を工夫することがもっとも重要です。
なぜなら、もっとも時間のロスとなるのが荷物を探す時間であるためです。
荷物を探さずにパッと取り出せる人と、探すのに時間がかかってしまう人とでは、配達件数にかなりの差が出ます。
たとえば、車を降りて荷物を取り出す→配達→車に戻るといった一連の作業を3分でこなせる人と、荷物を探すのに1分近くかかり、一連の作業に4分かかる人とでは、1時間で届ける荷物数に5件も差が出ます。
10時間稼働すれば50件、そう考えると、どれだけ荷物探しの時間ロスがもったいないか分かりますね。
エリア別に分けることはもちろん、周るルートを考えながら、できるだけ手前から出していけるよう積むことや、荷物の形状や名前をある程度記憶しながら積み込むと時間短縮につながるでしょう。
積み方がまずかったと思ったら、次回は積み方を変えてみるなどして、自分なりに試行錯誤していくことが大切です。
エリアの周り方を決めておく
自分なりに配達エリアの周り方を、事前に決めておくことも重要です。
その日の配達場所や時間指定の出方によって、周り方を臨機応変に変更することも大切ですが、周る順番はある程度固定し、ルーティン化しておいたほうが混乱なくスムーズにいきます。
とくに、周るエリアは最初に決めておいたほうが賢明です。
荷物をすべて積み込んだあと、地図やアプリを見て最初に周るエリアを変えてしまうと、積み方によっては荷物を出すのに手間取ってしまう可能性があります。
結局奥から取り出す羽目になると、その分時間がかかってしまうため、エリアの周り方はあまり変えないのが無難です。
周り方を変える場合は、それに応じて積み方も変えましょう。
慌てず落ち着いて配達する
意外かもしれませんが、落ち着いて配達するというのも大切なポイントです。
配達中は、まさに時間との闘い。1分1秒でも惜しいというのは、すべてのドライバーが共通して感じていることではないでしょうか。
配達中に焦ってミスが生じれば、持ち直すのに時間がかかってしまいます。
なかには体が不自由で、インターフォンが鳴ったことに気付いても、すぐに戸口まで出てこられない人もいます。インターフォンを鳴らしたあと、ろくに待ちもせず不在票を投函するドライバーもいますが、これはクレームにつながる行為です。
そのほか、焦って行動したせいで誤配をしてしまったり、荷物を落として壊してしまったりすることもあるでしょう。直接謝りに行かなければならなくなった場合、その日はもう配達どころではありません。
落ち着いて1件1件ミスなく対応することが、結果的にはスムーズな配達につながるのです。
とくに初心者のうちは、分からないことが多く焦ってしまうことが多いはず。いきなりアマゾンフレックスに手を出すと、教えてくれる人がいないので、効率よく配達できるようになるまで時間がかかるかもしれません。
そのため、これから軽貨物の仕事を始める方には委託ドライバーをおすすめします。請負元によっては、先輩ドライバーが同乗して、配達のいろはを教えてくれたり、研修制度が整っていたりなど、初心者にとって嬉しい環境である場合もあります。
ぜひ、優良な運送会社を見つけて軽貨物ドライバーとしてスキルアップを目指してくださいね。