軽貨物ドライバーの仕事をしていると、ラストワンマイルの対策が必要だと聞く機会や感じる場面が多くあるのではないでしょうか。
ですが、いまいち、ラストワンマイルってどういうことか分かっていないドライバーも多いはず。
今回は、ラストワンマイルという言葉の意味だけでなく、その重要性についてご紹介していきます。
さらに、近年発足したラストワンマイル協同組合についてや、組合からの提言・具体策についてもご紹介していきましょう。
軽貨物ドライバーの仕事をしていく上で、ラストワンマイルの効率化は非常に重要ですので、基礎知識として頭の片隅に入れておくことをおすすめします。
ラストワンマイルとは?
配送業界でもよく聞かれるようになった「ラストワンマイル」という言葉。ですが、実際にはどういう意味か分からないなという方もおおいのではないでしょうか。
もともと通信業界で使われていた言葉でもある「ラストワンマイル」ですが、今回は配送業界で使われる場合、どんな意味になるのかご紹介していきましょう。
もともとは通信業界の言葉「ラストワンマイル」
ラストワンマイルという言葉は、もともとは通信業界で使われていた言葉です。直訳は「最後の1マイル」ですが、これだけでは意味は分からないでしょう。
「末端となるユーザーに届けるための最終的な手間」という意味で通信業界では使われていました。
例えば、ユーザーの家の近くまで電話回線などを引いきても、そこから枝のように各家庭まで電話回線を分岐させていく作業は非常に手間のかかる困難な作業になるのは想像できるでしょう。
そういった最後の手間について、真剣に考えて対策を練っていくという流れが通信業界で始まりました。
配送業界での「ラストワンマイル」の意味
配送業界でのラストワンマイルとは、どのような意味で使われることが多いのでしょうか?
配送業界でのラストワンマイルとは、「荷物を最後に受け取る人まで届けていく過程」をいいます。
配送業界ではラストワンマイルは非常に重要な工程です。例えば、配送車をどこかに止めて、複数の配達先に届けるといった過程は日常生活でもよく見かける過程ですし、配送業のイメージとしても強くあるのではないでしょうか。
配送業界のラストワンマイルは他者から見ても仕事のイメージ像となるくらい、非常に重要な過程になっています。
配送業でのラストワンマイルの重要性
例えば、止めた軽貨物から荷物を取り出し、配送先に持っていくこの最後のラストワンマイルで、落としてしまったり汚してしまったり、紛失してしまったりというトラブルもおきてしまうでしょう。
さらに、荷物を届けても、そのときの軽貨物ドライバーの態度やコミュニケーションが悪かったのならば、配送先の方からの印象は非常に悪くなってしまいます。
軽貨物ドライバー側も、ラストワンマイルを効率化していかないと収入が上がっていかないという事情も。
配送業界にとって、荷物の安全性や業界全体のイメージアップ、収入アップといったさまざまな課題が生まれるのもこのラストワンマイルに集中していると言っても過言ではないでしょう。
軽貨物ドライバーや利用者の負担を減らすという考えも
実際の配送の現場では配送の過程の中でラストワンマイルの負担の多さに頭を悩ましています。
例えば、不在時の再配達といった問題は根強く業界全体の問題としてあるのはよく知られているでしょう。
配達先が不在の場合には料金0円で不在宅に再度配送していかなければならず、時間もお金も非効率な形となり、再配達が軽貨物ドライバーの負担になっているのが現状です。
2018年に創設されたラストワンマイル協同組合
ラストワンマイルの負担を減らし配送業界の効率化を図るべく、2018年に「ラストワンマイル協同組合」が発足されました。
ラストワンマイル協同組合とはどのような組織なのでしょうか。
また、ラストワンマイル協同組合ではどのような問題意識から提案が出されているのかについてもご紹介していきます。
ラストワンマイル協同組合とは
近年、軽貨物ドライバーの世界では、通信販売全盛のため非常に多くの荷物の依頼が寄せられています。
さらに荷物の多さや再配達依頼から長時間労働を余儀なくされている軽貨物ドライバーも多く、業界全体で強い問題意識を共有しています。
この社会的な流れと時勢から、発足されたのがラストワンマイル協同組合です。
配送業車が横断的に協力したり、分業したり、集約したりするだけでなく、荷主や配送先の方にも協力してもらい、ラストワンマイルの負担を減らしていこうという考えで組織されました。
ラストワンマイル協同組合の提案事項
ラストワンマイル協同組合では、1社で「荷物の受付」や「荷物の集荷」、「荷物の仕分け」、「荷物の運搬や横持ち」、「荷物の仕分け」、「配送先への運搬」を行なっていた従来の業界の仕事の携帯を変革していこうと提案しています。
ラストワンマイル協同組合では、上記の仕事の流れをどのように変化させていこうと提案しているのでしょうか。
大きく分けて、3つの提案をしています。
- 荷主に荷物の仕分けを事前にしてもらい負担を減らす代わりに、配送料金を安くする
- 付加サービスを減らし業務のスリム化を施していく
- 梱包材不要の配送サービス
といったことを提案して、ラストワンマイルの様々な課題をクリアしていこうと考えているのが現状です。
それぞれの提案はすでに具体的に行われています。
どのように具体的に行われているのかは以下の通り。
- 荷主が都道府県別に分けた荷物を一次仕分けセンターに持ち込む(プランA)
- 荷主が運送会社別に分けた荷物を一次仕分けセンターに持ち込む(プランB)
- 荷主が営業所別に分けた荷物を二次仕分けセンターに持ち込む(プランC)
- 荷主が営業所別に分けた荷物を各社の営業所に持ち込む(プランD)
- 付加サービスの内容を「時間帯サービス」や「日曜・祝日配達」、「指定日配達」、「代引きサービス」、「置き配サービス」、「荷物追跡情報サービス」、「回収サービス」の7つだけに設定
- 2019年7月より折りたたみコンテナを利用して梱包材なしでのサービスを開始
といったことを行い、ラストワンマイルを効率化し、その分荷主の配送料金の負担金額を抑えていくという方法で還元しています。
上記のような提案を実施していくことで、業界全体で協力しながら課題の多いラストワンマイル対策を行なってきているのが昨今の業界全体の動きです。
今後もドローンによる配送や置き配の浸透によって、荷物の受け取り手の負担やリスクはます可能性がありますが、配送料金を安くすることがより可能になるかもしれないという新たな期待も生まれてきています。
今後も配送業界全体のラストワンマイル対策や提案は注目されていくでしょう。
まとめ:「ラストワンマイル対策は始まったばかり!今後の進展に期待!」
ラストワンマイルについて、言葉の意味とその重要性についてだけでなく、ラストワンマイル協同組合というラストワンマイルへの対策や提言を行なっている組織についてもご紹介していきました。
人手不足や人件費の高騰、長時間労働や通信販売全盛といった社会的な流れもあり、業界全体が問題解決へと向かい始めています。
まだまだ始まったばかりの業界全体を巻き込んだラストワンマイル対策ですが、今後の動向から軽貨物ドライバーは目を背けてはならないでしょう。